藍反射

映画『藍反射』池袋シネマ・ロサ上映が最終日に。主演・道田里羽が語った「正解はない、自分なりの正解を追求して」

気象キャスターの千種ゆり子さんの実体験をもとに、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断された20代女性の葛藤と歩みを描いた映画『藍反射』。5月21日(木)、池袋シネマ・ロサでの上映が最終日を迎え、野本梢監督や主演の道田里羽をはじめとするキャスト陣が舞台挨拶に登壇した。制作の経緯や、それぞれのリアルな経験に基づく役作りの裏話が明かされる中、終盤には道田から、不確かな現代を生きるすべての人に向けた、「正解」についての力強く温かいメッセージが投げかけられた。熱気に包まれた会場の模様をリポートする。

藍反射

同級生の告白から生まれた物語と、当事者の声に寄り添う役作り
野本梢監督は、本作制作のきっかけについて、高校の同級生である気象キャスターの千種ゆり子さんから、自身が難治性の不妊症である早発閉経になった実体験を打ち明けられたことだと明かした。テレビで活躍する姿を見ていたものの、苦しい思いや治療について全く知らなかったという野本監督は、「映画にして多くの方にご覧いただきたい」との強い思いからメガホンを取ったと語った。 劇中で、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断され悩む主人公・深山はるかを演じた道田里羽は、SNSで当事者の日記を読み込み役作りに生かしたと振り返る。同じPCOSでも人によって違いがあることを学び、更新が止まったアカウントを見ては状況を想像するなど、当事者のリアルな声に真摯に向き合ったという。

実体験を演技に昇華したキャストたちの舞台裏
共演陣からも、自身の経歴を重ね合わせたエピソードが次々と披露された。YouTuberの日向颯太を演じた大木空(アバンティーズ)は、14歳から動画配信を始め今年で15周年を迎える。撮影当時は自身の活動を一旦休止していたため、久しぶりに動画を撮る新鮮な感覚があったという。大木は自身の経験から、「1万回の再生数だとしてもピュアに届けられるコンテンツがある。そういったものを大切にするのも正解ではないか」と語った。 また、主人公に自己注射を指導する看護師の上原を演じた岡本詩織は、大学卒業後に実際に2年間病院で働いていた経歴を持つ。「久しぶりに撮られながら働いているみたいだった」と語る岡本は、医療行為が具体的に映るシーンとして、基本に忠実に、安心できるよう丁寧な手技を心がけたと明かした。 一方、はるかの元恋人の父親である秋田仁誠役を演じた小沼朝生は、自身の息子が主人公と別れたことに対し「あんな別れ方は良くない。追いかけてほしかった」と親心を見せ、会場を和ませた。さらに小沼は、30代で大病を患い長年闘病した自身の経験に触れ、「悩みは内に秘めがちだが、家族や友人に開示することで助けられた。一人で抱えずに相談できる人がいると楽になる」と、自らの体験を踏まえた言葉を送った。

「正解はない」主演・道田里羽が込めた人生へのエール
舞台挨拶の終盤、道田は本作とのコラボレーションとして先日行った書道パフォーマンスについて触れた。その際、「正解」という文字を書き、それを自ら破るという演出を取り入れたという。「劇中のはるかの生き方が正解というわけではなく、正解はないと思う」と語る道田は、自分なりの正解を追求していくためには、選択肢を広げ、学ぶきっかけを作っていくことが大切だと力を込めた。 「これからも様々な映画を見たり、興味のあるものに触れていってほしい。みんなで豊かに生きて、命ある限り一生懸命楽しく生きていけたらいい」と締めくくった道田の言葉は、病気や困難を抱えながらも自らの人生を歩もうとする全ての人へ向けた、温かく力強いエールとして観客の胸に深く刻まれた。


兵庫元町映画館2026年5月30日(土)~6月5日(金)
大阪シアターセブン2026年6月6日(土)~6月12日(金)
愛知シネマスコーレ2026年6月27日(土)~7月3日(金)

■ストーリー
突然の診断に、当たり前だったはずの未来が揺らぎ、
自分でもよくわからないまま、友人や恋人との間に少しずつ溝ができていく
25 歳の深山はるか(道田里羽)は、仕事やボランティアに奔走しながら、恋人との結婚を夢見てアクティブに日々を過ご していた。ある日、同窓会で再会した友人から不妊治療中であることを打ち明けられ、ショックを受けたはるかは、勧めら れるまま婦人科を受診し「女性なのに男性ホルモンが多い」と診断されるも、忙しさの中で対症療法的に片付けてしま う。しかし、不調を抱えながら迎えた大切な日、大量の出血に見舞われる。昔から持ち前の行動力で他者のために奔走 してきたはるかだったが、自身の悩みは誰にも共有することができない……。そんな折、はるかは薬局で万引きを疑わ れている中学⽣・優佳⾥(滝澤エリカ)と出会う。彼氏に依存し、家族や友人と距離を置く優佳里。はるかは、そんな優佳 里や周囲の人々を通して、今までの自分を見つめ返しながら、未婚のままひとり静かに疾患と向き合っていく。

映画『藍反射』

(2025/日本/103分)

道田里羽
滝澤エリカ / 井上拓哉 平川はる香 中山来未 定本楓馬 野上天翔 幹てつや(かりすま〜ず)
中原シホ 逢坂由委子 大貝瑠美華 大木 空(アバンティーズ) 美桜子 牧海斗 大塚菜々穂 村上りおん
土屋直子 小沼朝生 坂田遥香 大川 大 橋本紗也加 関口 蒼 小沢まゆ 二田絢乃 村田啓治
小島彩乃 岡本詩織 原恭士郎 藤 主税 千綿勇平 蔦 陽子 AOI(G.U.M) 田村魁成
しゅんしゅんクリニックP 岡本宗史 元木大介 大高洋夫
熊谷真実

監督・脚本・編集 野本梢
企画・プロデュース 千種ゆり子
エグゼクティブプロデューサー 稲村久美子
撮影 知多良 照明 斉藤徹 録音 横田彰文
衣裳 大賀のぞみ ヘアメイク 鎌田優子 鈴木ゆうすけ 撮影助手 金子愛奈
助監督・スチール 小関莉沙 助監督 田村魁成 衣裳アシスタント 高橋菜々子
音楽 TAKEYA メインビジュアル撮影 Fujikawa hinano
配給 キノパトス
制作 エイジアムービー
公式サイト https://ranhansha-movie.com/

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Hajime Minamoto

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