映画『釜石ラーメン物語』主演・井桁弘恵インタビュー。想い出の味は?

映画『釜石ラーメン物語』主演・井桁弘恵インタビュー。想い出の味は?

先行公開中の岩手での大ヒットをうけ、映画『釜石ラーメン物語』が7/8より新宿K’s cinameほか
全国順次公開される。本作は、釜⽯でラーメン屋「⼩川⾷堂」を営む⽗と妹の所に、⾳信不通だっ
た⻑⼥・正実が 突如帰ってきたことから巻き起こる騒動を描いた⼈情喜劇。主演は2020年「仮⾯
ライダーゼロワン」の出演を⽪切りにドラマ主演やバラエティ番組のMCを 務める等、⽬覚ましい
活躍をみせる井桁弘恵。3年ぶりに突如実家のラーメン屋に戻り、波乱 を巻き起こす姉・正美を溌
剌と演じる。
今回、井桁さんにお時間をいただき、本作出演のきっかけから、撮影時のエピソード、想い出の井
桁家の味についてお話をうかがいました。

釜石ラーメン物語

■ 映画『釜石ラーメン物語』主演・井桁弘恵インタビュー

▼1:『釜石ラーメン物語』への出演のきっかけは?

-『釜石ラーメン物語』への出演はどのように決まったのでしょうか?


井桁弘恵
数年前に監督の別の作品のオーディションに呼んでいただいたことがあって、そのときは出演には至らなかったのですが、その時のことを監督が覚えていらしてくださっていて、今回、「正実役としてのご出演はいかがでしょうか?」というお話をいただいて決まりました。

▼2:お声がけいただいた時の感想は?

-お声がけいただいたときの感想はいかがでしたか?


井桁弘恵
私が演じた正実は、私のイメージとは違う役だったので、私にお声掛けいただいたということは、何らかの期待を持ってオファーをいただいたと感じてすごく嬉しかったですし、主演も初めてだったので、その点に対する喜び・嬉しさもありました。

釜石ラーメン物語

▼3:“お騒がせ姉貴”の正実を演じるにあたっての役作りは?

-ご自身のイメージとは違う正実を演じるにあたってどういった役作りや取り組み
をされましたか。


井桁弘恵
正実は身なりを気にしないようなタイプですし、座り方や喋り方や仕草もガサツな印象だったので、ガニ股で歩いてみたりしました。また、正実はあまり考えずに、思ったことに向かってまっすぐ行動してしまうような女の子なので、こういう表情をしようといったことは決め込みすぎずに、思ったままの感情を表現できるように意識して演じました。

▼4:正実や、正実&仲良姉妹と比較して

-正実とご自身と比較して、キャラクターの違いはありますか。


井桁弘恵
私は考えて行動に移るタイプなので、その点については全然違うと思います。


-今回、正実・仲良という姉妹役で、井桁さんご自身もお姉さんがいらっしゃる姉妹だとうかがって
います。ご自身の姉妹関係と比較して、正実・仲良と似ている点・似ていない点はありますか?


井桁弘恵
私の姉も、考えて理屈で喋るタイプで、私も同じタイプです。正実・仲良のような感情的な口論というよりも、理詰めしていくような合理的な喧嘩が多いので、その点に関しては似ていることはあまりなかったです。もちろん喧嘩する時もありますが、結局やっぱり仲が良く、一緒にいると安心感があるのは、この正実・仲良の関係性と似ていると思いました。


-姉妹で喧嘩をした時の仲直りのコツみたいなものはありますか。


井桁弘恵
私達姉妹は頭で考えすぎて、気持ちの上での口論にはなりませんでした。理屈で白黒つかないのが姉妹の喧嘩だと思います。結果的に、自分が言いたいことや思ったことをきちんと相手に伝えられた方が、早く仲直りできると思っています。
だから最近はもやっとしたら、理屈でどうこう言うのではなく、「私はそれを言われて、こういう気持
ちになった」という感情的なところも話すようにしています。

釜石ラーメン物語

▼5:釜石弁については?

-撮影に臨むにあたって、地元の劇団の指導のもと釜石弁なども習ったそうですが、釜石弁の習得はいかがでしたか?


井桁弘恵
正実や仲良といった若い世代は、釜石でも方言を使われている人たちが多くはないという話を聞いたので、父役の利重さんや地域の周りの方は釜石弁を話されていましたが、私は感情的になった時にポロっと出てくる程度でした。
利重さんが話している釜石弁を聞くと、釜石という街に馴染んだ親和性の高さや雰囲気が心地よくて、世界観にグッと入ることが出来てありがたかったです。


-作品を観させていただいて、風景の綺麗さが印象的でした。井桁さんにとって印象に残っている場所はありますか?


井桁弘恵
海が印象に残っています。津波が起きたことで高い堤防が新しくつくられていて、その新しいコンクリートの堤防はすごく、印象的でした。でもそこで見た海はすごく穏やかで静かだったんです。そのギャップや新旧の建物が入り混じっている感じを受けました。
私は津波による震災を直接経験したわけではありませんが、そこで見た建物には浸水した高さの目印があって、津波の震災があったという歴史的な記録をこういうところで感じるんだと思いました。街に流れている空気はゆったりと穏やかなのですが、今なおこうやって街を歩くだけで、至る所で感じるところがあって、そこでこの釜石の方たちは生活しているんだなと強く実感しました。

▼6:震災当時の井桁さんと被災地の関わり

-震災当時はどのように過ごされていましたか?


井桁弘恵
震災当時は福岡にいました。中2の春休みだったと思います。


-被災地への訪問は初めてですか?


井桁弘恵
高校3年生の修学旅行が研修旅行に変わって、被災地研修になったんです。福島のハワイアンズや宮城県の名取市に行って、沿岸地域にも訪れました。震災から三年経過したくらいで更地になっている状況でした。
その数年後、大学生のときにプライベートでもう一度名取市に訪れた時には魚市場が出来ていて、少しずつ人が戻ってきている感じがありましたが、街として再生している印象はあまりありませんでした。
地域差はあると思うのですが、今回、釜石に来てみたら街の再生が進んでいた印象でした。新しいコンクリートの堤防が出来上がっていて、近くにおしゃれなカフェができていて、自分が想像しているよりももっと進んできていて、そこで新しく生活が始まっているんだなと感じました。

▼7:釜石での食事、ラーメンを食べた感想

-釜石ラーメンは食べましたか?また、ご出身地の福岡・博多ラーメンと比較していかがでしたか?


井桁弘恵
撮影場所となった三重食堂の釜石ラーメンを食べました。
博多ラーメンが麺も豚骨が細麺ストレートに対して、釜石ラーメンは細めのちぢれ麺で濁っていない透き通ったスープで豚骨ベースに対して醤油ベースというように、同じラーメンという括りにするには、全然違うものでした。
博多ラーメンはお酒を飲んだ後に食べるようなラーメンに対して、釜石ラーメンは働く方が朝からでも食べられるようなラーメンで、食べるタイミングでみても作られた背景も違うので、味わい自体は違ったのですが、私的には美味しくて好きなラーメンでした。


-作品の中では海宝漬も登場しましたが、海鮮系はお好きですか?


井桁弘恵
美味しかったです。海宝漬は食べたことがなかったですし、なかなか食べる機会がないので、地域ならではのものを美味しくいただけたて良かったです。

▼8:撮影中のエピソード

-撮影中の思い出に残るエピソードを聞かせてください。妹・仲良役の池田朱那さんは同じ事務所ですが事前に話し合ったことなどはありましたか?


井桁弘恵
元々面識があり、一緒にレッスンを受けたこともあって、エネルギーやパワーのある子だと感じていて、喧嘩のシーンはすごく楽しみでした。彼女が中学生・高校生ぐらいの時から知ってはいたのですが、実際にプライベートでゆっくり話すことはなかったので、今回話してみて、考え方も大人だし、周りが見えている方だと思いました。
現場の話もしてきましたし、お芝居についても正実と仲良のバランスを2人で相談しながら出来たので、すごくやりやすかったです。二人が元から知っている分、喧嘩のシーンでは遠慮せずにお芝居することが出来ました。彼女が私にティッシュ箱を投げるシーンがあったのですが、容赦なく、ガンガンと当ててきたのも、元々の関係性があったからこそのものですごく良かったと思います。

釜石ラーメン物語

▼9:作品にちなんで、井桁家の想い出の味について

-劇中で「お前なんかにお母ちゃんの味は出せねえ」といった台詞がありました。井桁家の食事
や料理で想い出となるものはありますか?


井桁弘恵
お味噌汁を毎朝出してくれていたのは、今になって思い返すとありがたかったと思います。きちん
といりこだしから作ってくれて、合わせ味噌を使っていたので、上京したての時に、自分で実家の
お味噌汁を再現しようと思っても、水も調味料も違うので一緒のものにはならなくて、家庭の味とし
て味噌汁は家でしか食べられない味だと思いました。

▼10:食に関する資格

-プロフィールの取得資格に「食生活アドバイザー」というものを見つけました。この資格を取得さ
れた理由や経緯にはどういったものがありますか?


井桁弘恵
私は料理が元々そんなに得意ではなくて、料理をできるようになるには何をしたらいいんだろうと
考えた時に、まず勉強してみようと思って資格の取得に挑戦したことがきっかけです。ただ、資格
を取得したからと言って、私自身の料理はうまくはなりませんでしたが、栄養素のことや基本的な
ことが学べたのでよかったと思っています。

▼11:お客様へのメッセージ

-映画をご覧になるお客様へのメッセージをお願いします。
井桁弘恵
この作品の登場人物は、それぞれの関係性や結びつきが強い人たちのお話です。映画を通して、その人たちのコミュニケーションを通じた結びつきの変化やお互いのエネルギーのぶつかり合いがどのようにベクトルが変わっていくか、ラーメンに対しての向き合い方から関係性がゆっくりと丁寧に変わっていく様を見ていただけると思います。
人と人との結びつきが大事だということ、身近な人の大切さや、コミュニケーションの必要性を感じられる作品だと思うので、そういうところをぜひ感じ取っていただけたらと思います。


■作品概要
映画『釜石ラーメン物語』
井桁弘恵 池田朱那 利重剛 渡辺哲 大島葉子 岡村洋一 木月あかり 厚木拓郎 関口アナン 佐々
木琉 山崎将也 森湖己波 長田涼子 椿かおり 島本和人 佐伯日菜子 村上弘明
Staff 脚本・監督:今関あきよし プロデューサー:伊藤直克 脚本:いしかわ彰 撮影:三本木久城
録音・音響効果:丹雄二 美術:Yacco 編集:鈴木理 音楽:遠藤浩二 助監督:土田準平 制作進行
:井口光徳 主題歌「ひかり射し込む場所」洸美-hiromi協賛:新潟商事 釜石はまゆり会 協力:釜石
市 制作協力:寿々福堂 ©「釜石ラーメン物語」製作委員会 2022/日本/カラー/16:9/85分

公式サイト http://kamaishi-ramen.jp/index.html

公式Twitter https://twitter.com/kamaishiramen

7/8より新宿Kʼs cinemaほか全国公開

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