9月14日(土)、映画『侍タイムスリッパー』の全国公開記念舞台挨拶が新宿ピカデリーで行われ、主演の山口馬木也、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの、庄野﨑謙、井上肇、安藤彰則、そして安田淳一監督が登壇。MCは、伊藤さとりが務めた。本作は、幕末の侍・高坂新左衛門が現代の時代劇撮影所にタイムスリップし、「斬られ役」として生きていく姿を描いたコメディ時代劇。自主制作映画ながら、東映京都撮影所の全面協力のもと、本格的な時代劇シーンを実現。8月17日に池袋シネマ・ロサで公開されると、口コミで評判が広がり、9月13日(金)より新宿ピカデリー、TOHOシネマズ日比谷など全国100館以上での拡大公開が決定した。
舞台挨拶では、観客の熱気に迎えられた登壇者たちが、映画への想いを語った。主演の山口は、「たった1館の上映から全国にこの作品が飛び立つことができたのは、ひとえに皆様のおかげです。この作品を愛してくれる人がこんなにもいるんだと実感し、感謝の気持ちでいっぱいです」と感無量の面持ち。
冨家は、「上映できるかどうかも分からなかった作品が、このような形で皆さんに届けることができて本当に嬉しいです」と喜びを爆発させた。
また、撮影中の苦労話も披露。庄野崎は、山口との殺陣シーンの撮影が途中で中止になったことを明かし、「一番盛り上がっているシーンだったのに(笑)。でも後日、改めて撮影ができて本当によかったです」と振り返った。安藤は、長年、東映京都撮影所で斬られ役として活躍してきた経験から、「撮影現場が楽しくてしょうがなかった」と笑顔を見せた。
さらに、海外の映画祭でのエピソードも。安田監督は、「カナダのファンタジア国際映画祭では、上映中から笑い声や拍手が鳴り止まず、スタンディングオベーションまで起こりました。海外の方にも時代劇の魅力が伝わったことを実感し、本当に嬉しかったです」と語った。
最後に、安田監督は、「この映画は、お客様が声を出して笑ったり、拍手をしたりすることで、まるでタイムスリップしたかのような感覚を味わえる作品です。ぜひ劇場で、あの頃の映画館の雰囲気を体感してください」とメッセージを送った。
■ 映画『侍タイムスリッパー』全国公開記念舞台挨拶 レポート
伊藤さとり
山口馬木也さんです。
山口馬木也
高坂新左衛門役を演じました、山口馬木也です。 今日は「侍タイムスリッパー」を観に来ていただきありがとうございます!短い時間ですが、一緒に楽しみましょう!
伊藤さとり
次は、冨家ノリマサさんです。
冨家ノリマサ
風見恭一郎役の冨家ノリマサです。ありがとうございます!。 1館から上映されて1ヶ月でここまで来て、 まだ夢の中を歩いているようです。 今日もまたこんなたくさんの方に見てもらえて、 役者としてこんなに嬉しいことはありません。 本日はご来場いただきましてありがとうございました。
伊藤さとり
次は、沙倉ゆうのさんです。
沙倉ゆうの
助監督の山本優子役を演じました、沙倉ゆうのです。本当に今日、ここから見る景色が…感無量です。
伊藤さとり
次は、庄野﨑謙さんです。
庄野﨑謙
山形彦九郎役の庄野﨑謙です。今日はありがとうございます!
伊藤さとり
次は、井上肇さんです。
井上肇
京都の撮影所の所長役を演じました、井上肇です。こんなにたくさんの方に「侍タイムスリッパー」を観てもらえて、本当に嬉しいです。作品がどんどん広がっていっているのを、 本当に僕もそうですし、 出演している俳優、 そしてスタッフ、 みんなヒシヒシと感じています。 本当にまだまだ、 歩き、また走り続けていけるようによろしくお願いいたします。 ありがとうございます。
伊藤さとり
次は、安藤彰則さんです。
安藤彰則
斬られ役安藤役の安藤彰則です。今日はありがとうございます!
伊藤さとり
そして、この映画の監督、安田淳一監督です。
安田淳一監督
京都で映画とお米を作っている安田淳一です。今日は楽しみましょう!
▼満席の新宿ピカデリーを前にしての感想
伊藤さとり
8月17日に、たった1館、池袋シネマ・ロサさんから始まったこの映画が、今ではこんなにたくさんの方に観ていただけて、本当に嬉しいです!何度も観てくださった方、いらっしゃいますか?
(観客から拍手)
伊藤さとり
ありがとうございます!皆さんの応援のおかげで、上映館もどんどん増えて、全国100館以上での公開も決まりました!おめでとうございます!山口さん、この光景を見て、どんなお気持ちですか?
山口馬木也
いつも沙倉さんが舞台挨拶で泣くので、つられてみんなも泣いちゃうんです。今日は眼鏡をかけて涙を隠そうと思ったんですが、ダメって言われちゃいました(笑)。こんなにたくさんのお客様を見てると、本当にこの映画を愛してくださってるんだなって感じます。
山口馬木也
そうすると涙腺がゆるんでくるんですよ。皆さんの応援のおかげで全国に広がることができました。本当に皆様のおかげで、 たった1館の上映から全国にこの作品が飛び立つことができました。 若干ちょっと、 あまりにも速い速度で進んでいくので、 僕らもちょっと一同困惑しているんですけど、 皆様が本当にこの作品、 愛してるよ、 いいよって言ってくださって、 それを糧に全国でも大丈夫だってみんな信じて、今、 控室でそんなことを話しながらここに来ました。 本当にお客様に感謝感謝です。 この先どういうふうにこの作品が成長していくかわからないんですけど、 一緒に見届けていただけたら幸いです。
伊藤さとり
ありがとうございます。冨家さん、今の心境はいかがですか?
冨家ノリマサ
さきほど後ろとかでみんなで話したんですけれども、みんなちょっとはしゃいでます(笑)。まさかここまで来れるなんて、誰も思ってなかったです。撮影中は、本当にこの作品が世に出るのかどうかすら不安でした。上映館も決まってなかったよね、マッキー?あ、マッキーって呼んじゃった、ごめんね。
山口馬木也
この前は親友という契りを交わした仲だから大丈夫ですよ(笑)。でも本当に、撮影中は監督が一人で全部やっていて、どうなることかと思いました。
冨家ノリマサ
監督、顔が怖いですよ。
安田淳一監督
「俺一人でやってたな」って思いました(笑)。
冨家ノリマサ
上映できるかどうかも分からなかった作品が、こうしてたくさんの方に観てもらえるなんて、本当に嬉しいです。
山口馬木也
しかも、最初はもっと早く完成してお披露目する予定だったんですよね?
安田淳一監督
そうなんです。でも、編集に時間がかかって、結局1年くらい延びてしまいました。実は今年の4月12日に追加撮影もしたので、本当に完成したのは6月なんです。
▼監督の作品はサグラダファミリア?
冨家ノリマサ
監督の作品は、サグラダファミリアと呼ばれておりまして、 前作の『ごはん』も7年もかかったんです。マッキー(山口馬木也さん)のツイッターを見たら、「この間、追撮に行ってきました!」って書いてあって。とっくに終わってると思ってたのに、まだ追撮してたんです。
山口馬木也
一日だけ、どうしても監督が「ここはどうしても繋がらない」って言うから。
安田淳一監督
新左衛門が思い出を振り返るシーンで、タイムスリップ以降のところしかなかったんです。でも、それだと新左衛門の人生が薄くなるから、どうしても会津時代を追加したくて追撮しました。
東映撮影所の人も呆れてました。「まだやってるのか?」って。
山口馬木也
京都に行った時に言われました。「災難やなー」って。
▼安田淳一監督のいまの気持ち
伊藤さとり
監督の思いによって、 こうやってたくさんの人が大好きになって、 口コミで知れ渡ったじゃないですか。 監督、 今、 どんな気持ちですか?
安田淳一監督
僕、 ここにいること自体がうれしいんですけども、 こうやって見渡して 客席に座って応援して下さる皆さんの顔を見ていると、嬉しくなってくるというか、これ以上しゃべると…。
僕、歳のせいか、最近涙腺がゆるくなっていまして…
ゆうのちゃん!
▼助監督と、助監督役を演じてみて
伊藤さとり
沙倉さん、監督からのご指名です。今回は助監督役でしたね。しかも、実際に現場でも助監督をされていたとか?
沙倉ゆうの
はい、そうなんです。今回初めてスタッフとして参加したんですが、本当に助監督ができていたかは分からないです。でも、いつも現場にいて、皆さんとコミュニケーションを取ったりしていました。よくしていた仕事は、刀などの小道具の管理でした。安藤さんをはじめ、真木也さん、冨家さん、庄野崎さん、それぞれ刀が違ったんです。それを間違えないように渡したり、刃を磨いたりしていました。 普段は自分の出演シーンがある時しか参加できないので、なかなか皆さんと深くコミュニケーションが取れないんです。 今回はスタッフ、出演者全員と仲良く映画を作ることができて、それが一番嬉しかったです。
冨家ノリマサ
出演者もそうですが、スタッフの人数がとても少なかったんです。沙倉さんが現場で助監督の役をやってくれていたからこそ、チームワークがすごく良かったです。 例えるなら、「学園祭でいい出し物を作ろうよ!」という感じで、みんなが自分のことだけじゃなくて、いろんなことを助け合いながら作っていた感覚が強くて、侍タイファミリーになってしまいました。
安田淳一監督
役者さんがスタッフ役をやってくれるという、ちょっと変わった現場でした。 皆さん本当に性格が良くて、僕が「ちょっとあそこやって」と言うと、「はい!」とやってくれる。 役者さんがスタッフとして率先して動いてくれて、みんなができることを助け合う、そんな現場でした。
▼山口馬木也さんと庄野崎謙さんの縁
伊藤さとり
東映撮影所での本物の殺陣、本当に興奮しました! 皆さん時代劇のプロですが、今回の作品ならではの苦労はありましたか? 庄野崎さん、いかがですか?
庄野崎謙
僕と馬木也さんの対峙するシーンですね。 実は撮影が途中で中止になってしまって…
山口馬木也
借りていた場所の時間がオーバーしてしまい、後日改めて撮影することになったんです。
庄野崎謙
深夜12時頃でしたね。
山口馬木也
一番盛り上がっていたところで…
安田淳一監督
撮影が楽しすぎて、誰も時計を見ていなかったんです。
山口馬木也
2週間後くらいに再撮影でしたっけね。
安田淳一監督
有名なお寺で撮影していたんですが、次は使わせてもらえなかったので、キャンプ場になりました(笑)
山口馬木也
その後現場では2人で現場では何も話さなかったんですが、二人ともニヤニヤしてね。
庄野崎謙
「今日良かったよね」って言って。
山口馬木也:
時期も時期だったので、あまりワーっと騒ぐわけにもいかず、でもビールを一杯くらい飲んで、「乾杯しようか」って。 実は僕、庄野崎さんとは、彼の初舞台の時にご一緒していて、その時僕は師匠の役だったんです。 そういうご縁もあって、感慨深いものがありました。
庄野崎謙
当時は仲間だったのに、12年越しで相対することになって。 馬木也さんの殺陣の凄さを感じることができたのは、僕の宝物です。 ありがとうございます。
▼安藤彰則さんの感想
伊藤さとり
安藤さんはどうですか? 今回はいろんな時代劇のシーンが出てきますよね。
安藤彰則
はい。私は18歳から東映の京都撮影所で斬られ役をやっていました。 東京に来てからも、作品があると京都に行っていたんですが、そのたびに「今日は何の撮影?」「何の番組?」「よう帰ってきたなぁ」って声をかけてもらっていました。 今回「侍タイムスリッパー」の撮影で帰ったら、「大変やなー」「遅いやろー」って言われましたね。 でも僕はそんなこと全然思っていなくて、とにかく現場が楽しくてしょうがなかったです。 だから空いてる時間は、僕も助監督としてずっと現場にいました。
伊藤さとり
みんなでいっしょに作り上げてきているという感じなんですね。
▼映画とリアルがリンクする名セリフ
伊藤さとり
井上さんも様々な作品に出演されていると思いますが、今回は何か格別なものはありましたか?
井上肇
そうですね、今回は刀は持っていませんでしたが、京都の撮影所の所長役でした。 僕は東京出身の江戸っ子ですが、役ではコテコテの京都弁を話す必要がありました。 ただ、僕は方言が好きで、音楽などにもすぐに覚えてしまう特技があったので、監督にセリフを入れてほしいとお願いしました。 全部のセリフを送ってもらい、3ヶ月くらい毎日聴いて練習しました。 完全コピーです。 監督にも安藤さんにも褒めていただきました。 コテコテの京都出身の安藤さんから「肇さん、京都の人みたいでしたよ」と言われた時は、本当に嬉しかったです。 でも、何よりも、現代と時代劇がリンクする対比を現代劇で描くという発想がすごく面白いと思いました。 お客さんにもそれを感じてもらえていると思うので、本当に良かったです。
冨家ノリマサ
僕ね、この脚本の中で一番好きなセリフがあるんですが、それは井上さんが話してくれたセリフです。 もう一度聞きたいのですが、お願いできますか。
井上肇
「はぁ~ 一生懸命頑張っていれば、どこかで誰かが見ていてくれる。 ほんまやなあ。」
伊藤さとり
これって今ですよね!私もこのシーンで涙を流しました。
▼海外での反応
伊藤さとり
この映画は日本だけでなく世界中で愛されていますね。カナダのモントリオールで開催されたファンタジア国際映画祭でも観客賞の金賞を受賞されました。おめでとうございます!スペインのシンチェス国際映画祭、ハワイ国際映画祭、そしてオーストラリアのジャパンフィルムフェスティバルなどへの出品も決定しています。この反響について、どう感じていますか?モントリオールには行かれたんですよね?
安田淳一監督
はい、馬木也さんとゆうのちゃんと3人で行きました。上映中から笑い声や拍手がすごくて、終わった後にはスタンディングオベーションまでしてくれて。僕は内心「これはもしかして接待かな?本当は気を遣ってくれてるんじゃないか?」なんて思ったりもしたんですが(笑)、1週間後に観客賞の金賞を受賞したと聞いて、観客の皆さんは本当に喜んでくれていたんだと実感しました。
山口馬木也
上映後、写真撮影会や握手会をやりますとアナウンスしたら、本当にたくさんの人が残ってくれました。最後の方は1時間半くらい待ってくれて、「すごく楽しかった」と言ってくれました。本当に感動して、ずっと鳥肌が立っていました。上映中も、時代劇ということもあり、表現方法も日本とは違うので、翻訳も通しているし、どこまで伝わるか不安でしたが、予想以上に伝わっていて。誰かが何かを達成するたびに拍手が起こるんです。例えば、「セリフをちゃんと喋れるかな?」という緊張感から、無事に言えた後に「ワァー!」って拍手が起きたり。それで今日は皆さんがいらしていて号泣でした。
沙倉ゆうの
はい、そうでしたね。まるで新左衛門が本当にそこにいるかのように皆さん見てくれていて、彼の存在を感じました。
▼がっかりしていたら…
山口馬木也
上映後、本当に嬉しかった出来事があったんです。YouTubeでも話したんですが、会場に入る前のレセプションパーティーで、3人くらいに声をかけられたんです。僕は和服を着ていたので、「侍の人だ!」「最高だった!」って。彼らが客席から降りてきたんですが、なんと審査員だったんです。僕を見て「コングラチュレーション!」って言ってきたので、「賞をもらえるんだ!」ってドキドキしながら待っていたんですが、結局何ももらえなくて…。後で「観客賞が欲しいね」なんて話していたら、それが本当に取れたのでみんなで喜びました。
安田淳一監督
でも、あの時は本当にがっかりしていました。
山口馬木也
現地のコーディネーターの方が「きっと賞を取りますよ」と言ってくれていたのに。 後の飲み会で「Sorry!」って謝られて。僕は「そんなことないですよ」と言ったもののね。
安田淳一監督
僕は内心「やってしまった…」と思いました。みんな自腹で来てもらって、あんなに応援してくれているのに。 ただ、心に残っているのは、写真撮影の時に、痩せて車椅子に乗った女性が来て、「私は今、人生でとても辛い時期を過ごしていますが、この映画を見てまた明日から頑張ろうと思いました」と言って、握手してくれたことです。映画を作ってよかったと心から思いました。
▼監督からのメッセージ
伊藤さとり
最後に、監督とキャストを代表して、監督からメッセージと意気込みをお願いできますか?この映画はこれからいろいろなところでもっともっと広がっていくと思いますので。
安田淳一監督
この映画はタイムスリップを扱っている映画ですが、上映中に声を出して笑ったり、よかったら拍手したりと、僕たちがこどもの頃の映画館の雰囲気に似ています。映画館全体がタイムスリップするような作品になっているので、ぜひ映画館でご覧ください。そして、おかげさまで大ヒットと言ってもらっていますが、今は大きな箱(たくさんの映画館)を用意していただいた段階です。これから本当にたくさんの観客に来てもらえるよう、気を引き締めて頑張ります。引き続き、応援よろしくお願いします。
映画『侍タイムスリッパー』
ストーリー
時は幕末、京の夜。
会津藩士高坂新左衛門は暗闇に身を潜めていた。
「長州藩士を討て」と家老じきじきの密命である。
名乗り合い両者が刃を交えた刹那、落雷が轟いた。
やがて眼を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所。
新左衛門は行く先々で騒ぎを起こしながら、
守ろうとした江戸幕府がとうの昔に滅んだと知り愕然となる。
一度は死を覚悟したものの心優しい人々に助けられ
少しずつ元気を取り戻していく。
やがて「我が身を立てられるのはこれのみ」と刀を握り締め、
新左衛門は磨き上げた剣の腕だけを頼りに
撮影所の門を叩くのであった。
「斬られ役」として生きていくために…。
出演:山口馬木也 冨家ノリマサ 沙倉ゆうの
監督・脚本・撮影・編集:安田淳一 殺陣:清家一斗
撮影協力:東映京都撮影所
製作:未来映画社
配給:ギャガ 未来映画社
宣伝協力:プレイタイム 南野こずえ
©2024未来映画社
■公式サイト https://www.samutai.net/
絶賛上映中
本作に関わる“斬られ役”として、観ておくべき作品『太秦ライムライト』
ここにも「どこかで誰かが見ていてくれる」の文字が。
映画『侍タイムスリッパー』で、殺陣師関本役の峰 蘭太郎も出演。
主演・福本清三