第19回田辺・弁慶映画祭で映画.com賞を受賞した村田夕奈監督の新作『おとなになりたくなれますように』と、高校卒業制作の『自画自讃』が、テアトル新宿の「田辺・弁慶映画祭セレクション2026」にて上映された。チケットは事前の段階で完売となり、場内は満席に加えて立ち見も出るほどの盛況ぶりとなった。上映後には、村田監督をはじめ、両作品に出演した大熊花名実、下川恭平ら総勢11名が登壇するアフタートークが開催され、同世代で作り上げた撮影の裏側や若き監督の素顔について和やかに語り合った。

■同級生たちの熱量が込められた『自画自讃』
はじめに、村田監督が高校卒業式の翌日から5日間で撮影したという併映作『自画自讃』のキャスト陣がマイクを握った。主人公の歩役を務めた下川恭平は、スタッフ全員が同級生の18歳で構成された現場を振り返り、「みんながすごくキラキラしていて、こっち側よりも眩しいんじゃないかと印象的でした。それが画面にも反映されていると思います」と語った。れお役の今井柊斗もこれに同調し、「映画を作ること自体に物語があり、エンドロールも含めてすべて込みで感慨深いものがありました」と撮影当時を懐かしんだ。花音役の野口天音は、監督と同じ中高に通っていた縁に触れ、「コロナ禍で演劇部の公演が中止になるなどした一人ひとりの後悔ややり残したことが、映画を作るうえでの熱量につながったのだと思います」と同級生たちと作品を作り上げた意義を熱く語った。




■二十歳の記憶を刻むエッセイフィルム
続いて、二十歳の瞬間の記憶と夢を紡いだ新作『おとなになりたくなれますように』の話題に移ると、村田監督は本作について「忘れないための映画ではなく、忘れるための映画を作ってみようと考えて撮りました」と制作の起点となった思いを明かした。ミサキ役の光嶌なづなは、自身がバースデーソングを歌うシーンで監督が感極まって泣いてしまったエピソードを披露し、「監督の涙を見て、この作品を作る意味がこの瞬間に詰まっていると強く感じました」と熱い思いを口にした。コウ役の園凜も、「監督はずっと嬉し泣きをしていて、『本当に最高だから安心しな、ごめんね』と言ってくれたのが可愛かったです」と微笑ましいエピソードを明かした。


■監督の温かな眼差しとキャストとの深い絆
撮影現場での監督の振る舞いについて、セナ役の大熊花名実は、「友人としてはふんわりした姿しか知らなかったのですが、現場ではビジョンを持って引っ張ってくれて、めちゃくちゃかっこよかったです」とその頼もしさを称賛した。るか役の端栞里は、「ずっと柔らかい風のような空気を作ってくれて、会話のお芝居の中でどんどん緩んでいくのを感じました」と感謝を述べた。みずき役の小春も、「監督がみんなのことを大好きだという気持ちがずっと伝わってくる現場で、それが印象的でした」と居心地の良さを語った。すいちゃん役の千田つむぎは「囚われすぎないようにしつつ、無邪気に臨めた現場でした。本当に遊びに行くみたいな気持ちで走れました」と振り返った。最後にほしくん役の清水元太が「顔合わせの時に『そのままの自分でいてほしい』と肯定してくれたおかげで、みんな自信を持って作品に臨めたのだと思います」と締めくくり、若き才能たちが集った温かいアフタートークは盛況のうちに幕を閉じた。




