第35回東京国際映画祭ユース部門にて「山崎バニラの活弁小絵巻2022」。5年連続出演。

第35回東京国際映画祭ユース部門にて「山崎バニラの活弁小絵巻2022」。5年連続出演。

2022年10月29日(土)、第35回東京国際映画祭ユース部門TIFFチルドレンにて、「山崎バニラの活弁小絵巻2022」が開催。前売り券が完売し、会場となった日比谷シャンテ スクリーン1は座席が埋め尽くされた。山崎バニラさんの東京国際映画祭への出演は5年連続。今年は「のらくろ二等兵 ~教練の巻・演習の巻」と、「ロスコー・アーバックル3本立て」を合わせて約1時間に渡り披露した。

山崎バニラ


山崎バニラさんといえば、トレードマークの金髪のおかっぱ頭に“ヘリウムボイス”と呼ばれる独特の声。大正琴を演奏しつつ、らっぱや笛(スライドホイッスル)、太鼓を用い、合図や落下音、ノックや打撃シーンに巧みにその音を鳴らす姿が印象的。

無声映画に対して、活弁士自身が台本を書くという。山崎バニラさんが台本を書き、活弁をする中には、作品ついて調べた数多くの情報が盛り込まれている。

「のらくろ」に関しては、その連載開始した年、掲載誌名、連載が続いた理由やエピソード。アニメーターという職業が確立されていない時代に滑らかなアニメーションがどのように作られたかの歴史も解説。
「ロスコー・アーバックル」に関しては伝説の喜劇王と呼ばれつつも、世界三大喜劇王に比べるとあまり有名でない理由や、アーバックルが出演する残存するフィルムが数少ない理由なども解説。
誰もが知る喜劇王チャップリンについては、その動きについて「台詞が不要で弁士泣かせ」と言われているエピソードなども織り交ぜて活弁を披露した。

■ 「山崎バニラの活弁小絵巻2022」 冒頭あいさつ

山崎バニラ
本日はにぎにぎしく、山崎バニラの活弁小絵巻2022にご来場いただきまして、まことに有難うございます。大変ありがたいことに5年連続の出演となります。活動写真弁士の山崎バニラでございます。
どうぞよろしくお願い致します。

司会
よろしくお願い致します。今日は、「のらくろ」ですね。ちょっと個人的な話で恐縮なんですけれども、「のらくろ」は犬のキャラクターの漫画なんですけれども、原作者の田河水泡さんという方は1889年生まれですけれども、実はですね。私の小学校の先輩でいらっしゃいます。

山崎バニラ
えー!

司会
門前仲町にございます、臨海小学校という学校なんですけれども、私、思い出しますとですね。小学校時代の学級新聞ですとか、運動会のキャラクターが、ちゃんと作者の承諾を得てるのかどうか分かんないんですけど、全部「のらくろ」だったんです。

山崎バニラ
それは実は良い思い出だと思います。田河水泡さんって、ちょっと著作権に大変おおらかな方で漫画映画も割と誰かれ構わず作っていたんですね。「のらくろ」も。
なので今日のは恐らく正規のものだとは思うんですけれども、私がたまにおもちゃ映画とかで活弁するのは原作より出世していたり、安否不明のまま終わってしまったり、もっと戦争色が濃かったり、ディズニーキャラクターと共演していたりするものがあります。

司会
司会の田中さんとは、この司会をご縁にということもあって、かなりさまざまな無声映画の上映会に足をお運びいただいて、すごくマニアックな無声映画鑑賞会にも、田中さんがいらしていてびっくりするんですけど、ありがとうございます。

司会
いえ、とんでもございません。バニラさんもコロナが明けてから、もうそれまでの沈黙期間をですね。打破するべく、すごい活動ですよね。

山崎バニラ
ありがとうございます。あと、意外と活弁ってコロナにも強いなと思いまして、私ステージ上で本当に一人で弾きながら話すので、意外と密には絶対ならないということで、大変ありがたくお仕事させていただいてました。

山崎バニラ

司会
ぜひ皆さんもですね。あの無声映画鑑賞会等々でですね。今日は「のらくろ」ですけれども、さまざまなジャンルの作品にバニラさんが挑戦されてますので、ぜひですね。ほかの会場にも足を運びいただければと思っております。


■「山崎バニラの活弁小絵巻 2022」 内容

声優としても活躍している弁士山崎バニラが、サイレント映画に合わせ、大正琴やピアノの弾き語り活弁をする上映。

のらくろ二等兵 ~教練の巻・演習の巻 [日本]
1933/10min/No Dialogue

昭和6年より雑誌「少年倶楽部」に連載され大人気となった田河水泡原作の漫画「のらくろ」を昭和8年『のらくろ二等兵』として初アニメ化した作品。作画監督は、切り紙アニメの名手・村田安司。

監督:村田安司
配給:マツダ映画社

▼ ロスコー・アーバックル3本立て (Roscoe ‘Fatty’ Arbuckle Triple Feature)

ノックアウト [アメリカ] (The Knockout [USA])
1914/21min/English

喜劇映画の帝王マック・セネット製作・監督の初期作品。伝説のコメディアン、ロスコー・アーバックル演じるボクサーを裁くレフェリー役は、映画デビュー間もないチャーリー・チャップリン。

監督:マック・セネット
出演:ロスコー・アーバックル、エドガー・ケネディ、チャーリー・チャップリン
配給:喜劇映画研究会

海辺の恋人たち [アメリカ](Miss Fatty’s Seaside Lovers [USA])
1915/14min/English

伝説のコメディアン、ロスコー・アーバックルの監督・主演によるスラップスティック喜劇。共演は当時まだ無名の新人だったハロルド・ロイド。アーバックルの暴力的な女優ぶりが見どころ。

監督:ロスコー・アーバックル
出演:ロスコー・アーバックル、ハロルド・ロイド、エドガー・ケネディ
配給:喜劇映画研究会


にぎやか雑貨店 [アメリカ](The Hayseed [USA])
1919/18min/French

伝説のコメディアン、ロスコー・アーバックルの監督・主演によるスラップスティック喜劇。共演はデビュー間もないバスター・キートンで、奇抜な発想と絶妙な掛け合いが見どころ。

監督:ロスコー・アーバックル
出演:ロスコー・アーバックル、バスター・キートン、モリー・マローン
配給:喜劇映画研究会


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