映画の作り手が心身ともに健やかでなければ…横浜聡子監督(映画『いとみち』)受賞コメント

映画の作り手が心身ともに健やかでなければ…横浜聡子監督(映画『いとみち』)受賞コメント

3月26日(土)、高崎芸術劇場(群馬県)にて、第35回高崎映画祭授賞式が開催。映画『いとみち』で最優秀監督賞を受賞した横浜聡子監督が感謝と喜びの気持ちを語った。
横浜聡子監督は、過去に同映画祭に参加した時のことを振り返りつつ、映画の作り手側が心身共に健やかでいなければならない重要性について自身の考えを述べた。
ここに横浜聡子監督のコメント全文を掲載する。

高崎映画祭
横浜聡子監督(映画『いとみち)』 第35回 高崎映画祭 最優秀監督賞

■ 高崎映画祭 最優秀監督賞 横浜聡子監督(映画『いとみち』)受賞コメント

横浜聡子監督 
こんにちは。映画『いとみち』を監督いたしました、横浜聡子と申します。
今日は監督賞という素晴らしい賞をいただいたんですけれども、言わずもがな、『いとみち』という映画があってからこそ、私もここに立てているわけで…。
そして、『いとみち』を一緒に作ったプロデューサー、スタッフの皆さん、関係者の皆様、そして駒井蓮さん、中島さんをはじめとする俳優部の皆さん、本当にみんなの力を高崎映画祭に称えていただいた賞だと思っております。ありがとうございます。

高崎映画祭といえば、私は『ウルトラミラクルラブストーリー』(2009年)という映画を13年前に作りまして、そのときに主演の松山ケンイチさんが主演男優賞をいただいて、私も映画祭に参加させていただきました。
本当に高崎にはずっと私が映画を作り始めた頃から、本当に力強い応援をいつもいただいてまして、本当にまた12年経ってここにいられることを誇りに思っております。

高崎映画祭

ただ12年前に映画祭に参加したときの自分は、映画というフィクションの場で、フィクションの力で、観た人がちょっとでも前向きな気持ちになれれば、きっとそれがその一つ一つが社会全体を動かして、風通しがよくなる・風通しの良い社会になるんだろうという希望を持って、映画を作っていました。

本当にフィクションの力というものをずっと信じていて、自分がやるべきことはそこなんだろうなというふうに思っていたんですけれども、今はちょっと考えが変わりまして、やっぱりお客様に届ける前に、映画を作っている我々が健やか・心身ともに健やかでなければ、それはやっぱりちょっと嘘になるかもしれないという気持ちが今はあります。

私が映画を作ってきて、本当にスタッフや俳優のみんな、関係者のみんなが常に楽しかったか、本当にとても健康的な状態で映画を常に作り続けられたかと問われると、そうじゃなかった瞬間も私自身の現場にも多分たくさんあっただろうと思います。
そういう意味では今日いただいたこの監督賞という賞も、本当に私にとっては身に余る賞です。

私はこれからもゆっくりですが映画を作り続けたいとは思っているんですけれども、変えるべきところは変えていきながら、そこから逃げずに、映画を丁寧に作っていきたいと思っております。また何年も空いて、映画作りに私はだいぶ何年も空いてしまうタイプの人間なもので、一つの題材を見つけるのに、とても時間がかかってしまうんですけれども、また高崎映画祭に呼んでいただけるように、健やかで力強い作品を作りたいと思っております。

皆様また、私の映画を観ていただけたら嬉しいです。そして本当に今日、会場にいる関係者のプロデューサーの皆さん、そして俳優部の皆さんとこうやって、この場にいられることがとても嬉しいです。
皆さんに監督にしていただけていると思っております。これからも頑張ります。
本当に高崎の皆様、映画祭の皆様、ありがとうございました。

高崎映画祭


■「第35回高崎映画祭授賞式」概要
開催日:令和4年3月26日(土) 16:00~17:50
会 場:高崎芸術劇場 大劇場(収容数2,027席)
群馬県高崎市栄町9−1(高崎駅東口より徒歩5分)
司 会:渋川 清彦、田野内 明美(ラジオ高崎アナウンサー)

公式サイト:http://takasakifilmfes.jp/

来祭者: ()内は受賞作品名
最優秀監督賞     横浜 聡子 監督(『いとみち』)
最優秀監督賞     春本 雄二郎 監督(『由宇子の天秤』)
最優秀主演俳優賞  占部 房子(『偶然と想像』)
最優秀主演俳優賞  河井 青葉(『偶然と想像』)
最優秀助演俳優賞  水原 希子(『あのこは貴族』)
最優秀助演俳優賞  中島 歩(『いとみち』、『偶然と想像』)
最優秀新進俳優賞  片山 友希(『茜色に焼かれる』)
最優秀新進俳優賞  駒井 蓮(『いとみち』)
最優秀新進俳優賞  梅田 誠弘(『由宇子の天秤』)
最優秀新人俳優賞  河合 優実(『由宇子の天秤』)
最優秀新人俳優賞  和田 庵(『茜色に焼かれる』)
新進監督グランプリ   三澤 拓哉 監督(『ある殺人、落葉のころに』)

高崎映画祭

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