- 2025年5月17日
「東京予報 ー映画監督外山文治短編作品集ー」公開記念舞台挨拶。監督と遠藤雄弥が田中麗奈への愛がどちらが強いか語り合ったエピソードや各キャストが見どころを披露
「東京予報 ー映画監督外山文治短編作品集ー」は、「はるうらら……
6月26日、29日のロケ地である熊本県人吉市での先行上映会では、予想を超える大勢の県民が押し寄せ、急遽2回の上映を増やした映画『囁きの河』が、いよいよ東京でも7月11日(金)、池袋シネマ・ロサにて公開となった。初日舞台挨拶には、熊本出身の中原丈雄&宮崎美子が登壇。熊本豪雨当日に人吉球磨地域の人とやりとりしていた中原と、熊本豪雨前日にくま川鉄道で赤い鉄橋を渡り人吉駅に到着した乗客の一人である宮崎さんが、当日の様子やその後の現地の方の様子を語った。

2020年7月の熊本豪雨で壊滅的な被害を受けた人吉球磨地域を舞台にした映画『囁きの河』の初日舞台挨拶が開催され、主演の中原丈雄は、6月26日から熊本で上映され多くの観客に鑑賞されたこと、そしてこの日シネマ・ロサが満席になったことに喜びを表明しました。
大木一史監督も、人吉では2日間で3000人近い観客が集まり、その熱気を東京に持ち帰ったこと、そしてインディーズ映画の聖地である池袋シネマ・ロサの舞台に立てたことに感無量であると語った。
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孝之の息子・文則の元同級生である樹里役を演じた元AKB48の篠崎彩奈は、豪華な共演者との素晴らしい作品に出演できた喜びを述べ、自身の役柄が映画の中で「唯一ほっこりできる役柄」であり、そのスパイスとなるよう努めたと挨拶しました。

孝之の隣人・さとみ役の宮崎美子も、自身の役が「ほっこりできるんじゃないかな」と感じていると述べ、観客には「川の流れのようなゆったりした映画の時間をじっくりとお楽しみいただけたら」とメッセージを送りました。
大木一史監督は、水害の翌年である2021年に手にした絵本が、熊本豪雨についての映画を撮りたいと思ったきっかけだと説明しています。その絵本は洪水の時の実話に基づいたもので、「喪失、再生、あるいは被災地の希望や地元に宿る魂」を感じたことから、絵本の出版関係者と話し合いながら企画を立ち上げたとのことです。
人吉市出身の中原丈雄は、2020年7月4日未明からの記録的な大雨について、前日3日には「全然大したことないと思う」という電話での会話があったにもかかわらず、翌朝のニュースに「全然予想なんかしていなかった」と非常に驚いたと当時の状況を回想しました。

熊本県熊本市出身の宮崎美子も、熊本豪雨の前日にたまたまロケで人吉市を訪れており、くま川鉄道で赤い鉄橋を渡り人吉駅に到着した乗客の一人でした。宮崎は、九州では梅雨の末期にざっと雨が降ることがあるため、誰もそれほど心配していなかったこと、夕方にスマホが一斉に鳴り「上流の方で洪水の警報が出ているらしい」と知らされた時も人吉市内の人々は「大丈夫だから」と心配していなかったこと、しかし一晩明けると「全く世界が変わっていました」と当時の緊迫した状況を説明しました。

中原丈雄は、自身が定期的に人吉に戻り地元の方と交流がある中で、この映画が「人吉球磨の方にお世話になってようやく出来上がった映画」であることを強調しました。しかし、映画は人吉球磨地域に「おもねて、街の名所を映すということは一切やっていない」と述べ、「作品としての描き方で撮られていて素晴らしい」と、いわゆる“ご当地映画”とは異なる高い作家性を本作に評価しています。本作は、現実の地域が抱える「遊水地問題」も描いているとのことです。宮崎美子が演じた隣人のさとみについては、「モデルがいらっしゃる」と明かし、同じ災害に遭っても様々な捉え方がある中で、さとみは「自分にとってこの川はなんだろう」と災害を通して改めて感じ、「ここで生きていこう」と考えた人だと説明しました。
地元の老舗旅館の営業再開を目指す女将・雪子役の清水美砂と夫・宏一役の三浦浩一は、ロケ地にもなった旅館に撮影中宿泊しており、清水は女将の堀尾里美氏から話を聞いたものの、演じた雪子は「人格を含めて、私なりの雪子をやらせていただきました」と台本に基づいて役を作り上げたことを語りました。

三浦も、先行上映会の後に「人吉旅館のご主人はあんなグズじゃねぇ」と言われたエピソードを披露しつつ、自身が演じた宏一は「台本を読んで、僕がイメージした宏一であって、ご本人とは違う」と、役と実在の人物との違いを改めて強調しました。

清水美砂は、女将役でこだわったシーンとして、17歳の頃に出演したNHKの朝ドラで土肥温泉が舞台だった時の経験を挙げ、温泉が出ない旅館はランクが下がると当時聞いたことを振り返りました。人吉旅館が水害で全滅し、それを立て直し「実際に温泉が出た時の喜びは誰にもわからない」ため、その感情を「しっかり表現したい」という思いで演じたと語っています。篠崎彩奈が演じる樹里は、地方活性化プロジェクトの一員として熊本に戻ってきた役柄であり、観客は樹里と一緒に船頭やお茶のことを知ることができると説明されました。特に“霧の味”の新茶の味について聞かれると、篠崎は「美味しかったです」と即答し、「甘くて、東京では飲んだことがないお茶の味がして、香りもすごく深かった」と絶賛しました。渡辺裕太が演じるかつての同級生である文則との関係性については、台本上では二人の関係性が明確に描かれていなかったため、篠崎と渡辺が二人で「学生の時はこの道をよく二人で帰ってたのかな」とか「学生の時もこういう風に不器用だったんだろうね」と想像しながら、共同で役を作り上げていったという裏話を披露しました。
エグゼクティブプロデューサーの青木辰司は、日本のグリーンツーリズム運動のリーダー的存在であり、作家の司馬遼太郎が人吉を「日本一豊かな隠れ里」と評したことに触れ、観光地にはない農村の豊かさに魅せられ20年間人吉に通いグリーンツーリズムを立ち上げた経緯を語りました。人吉の人々が「心が優しく、豊かな世界だった」と語る一方で、5年前の水害で「めちゃくちゃにやられ、彼らは絶望の淵に追いやられていました」と当時の状況を振り返っています。その状況を見て「なんとか外部から支援できないか」と考えているうちに大木監督と出会い、この映画が生まれたとのことです。青木は、この映画の「人吉の方々と、外から人吉を想い、支援する方々とのコラボレーション」というテーマが、自身のグリーンツーリズム運動にぴったりのテーマであると述べ、「ぜひ色んな想いでこの映画を観ていただければ」とメッセージを送りました。

映画『囁きの河』
【あらすじ】
2020年、熊本を襲った豪雨から半年。母の訃報を受けた孝之(中原丈雄)は22年ぶりに帰郷するが、仮設住宅で暮らす息子の文則(渡辺裕太)は、かつて自分を捨てた父に心を開こうとしない。
幼馴染の宏一(三浦浩一)が営む旅館「三日月荘」もまた半壊の痛手を負っていた。女将の雪子(清水美砂)が再建を願う一方、父を土砂で亡くした宏一は前を向けず、災害は夫婦の間にも亀裂を生む。
その頃、球磨川くだりの再開を信じて船頭を志す文則は、かつての同級生・樹里(篠崎彩奈)と再会。隣人の直彦(不破万作)と妻のさとみ(宮崎美子)は仮設から自宅に戻ることを決め、孝之も水害で荒れた田畑の開墾に希望を見出していく。
「居場所ばなくしたら、自分で取り戻すしかなか」
河とともに生きてきた人々は、それぞれの歩み方で明日へ進もうとしていた――。
【クレジット】
中原丈雄 清水美砂 三浦浩一
渡辺裕太 篠崎彩奈 カジ 輝有子
木口耀 宮﨑三枝 永田政司 堀尾嘉恵 福永和子 白砂昌一 足達英明
寺田路恵 不破万作 宮崎美子
監督・脚本 大木一史
エグゼクティブプロデューサー 青木辰司 チーフプロデューサー 竹内豊
プロデューサー 見留多佳城 有馬尚史 山本潤子 松山真之助
協力プロデューサー 進藤盛延 上村清敏 音楽 二宮玲子
撮影監督 山中将希 録音 森下怜二郎 整音 萩原一輔 美術監督 有馬尚史
衣装 宿女正太 ヘアメイク 高田愛子 助監督 東本仁瑛 制作進行 伊佐あつ子 スチール 中村久典
操舵指導 藤山和彦 方言指導 前田一洋 人吉球磨茶監修 立山茂 農作業指導 大柿長幸
被災体験の伝承: 本田節 堀尾里美 宮崎元伸 小川一弥 山上修一
後援:熊本県 くまモン 熊本県人吉市 球磨村 相良村 山江村 ヒットビズ 宮城県大崎市 人吉商工会議所 JR貨物労組
協力:日本航空 JR九州 熊本県
特別協賛:人吉旅館 宮原建設(株)メモリアル70th 株式会社すまい工房 株式会社白砂組 NPO法人 情熱の赤いバラ協会
メディア協賛:TKUテレビくまもと 協賛:大海水産株式会社 高橋酒造株式会社 球磨川くだり株式会社
ひとよし森のホール Cafe 亜麻色 THE 和慶
制作プロダクション:Misty Film 配給:渋谷プロダクション(2024/アメリカンビスタ/5.1ch/JAPAN/DCP/108min)
©Misty Film
公式サイト:https://sasayakinokawa-movie.com/
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池袋シネマ・ロサ、シネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開中

