水の中で深呼吸

映画『水の中で深呼吸』初日舞台挨拶、豪華キャストが撮影秘話と作品への深き想いを語る

2025年7月25日(金)、シネマカリテ(新宿)にて、映画『水の中で深呼吸』の初日舞台挨拶が開催され、主演・監督をはじめとする豪華な登壇者が集結した。脚本も手掛けたMCの上原三由樹が進行を務め、安井祥二監督、そして石川瑠華(朝比奈葵 役)、倉田萌衣(山下胡桃 役)、佐々木悠華(佐久本梨花 役)、松宮倫(都築玲那 役)、八条院蔵人(安藤昌樹 役)、伊藤亜里子(大野理奈子 役)、川瀬知佐子(佐々木麻美 役)、山本杏(遠藤由夏 役)、森川千滉(唐島萌 役)、倉林希和里(矢野さえ 役)、小西有也(大谷和樹 役)、野島透也(神楽宗介 役)、しゅはまはるみ(朝比奈まどか 役)、池上秀治(瀬戸雄馬 役)といった主要キャストが顔を揃えました。登壇予定のない八条院蔵人(安藤 昌樹 役)が急遽登壇するというサプライズもあり、会場を沸かせました。

■ 映画『水の中で深呼吸』初日舞台挨拶

舞台挨拶は、MC上原から登壇者一人ひとりに、名前と作品の見どころを一言ずつ求める形で始まりました。最初にマイクを握ったのは、朝比奈葵役の石川瑠華。石川さんは、撮影以来となる15人ものキャストが集まったことに「過酷な撮影を頑張ったご褒美を今いただいたみたいで嬉しい」と感謝を述べ、来場者に短い時間ながら楽しんでほしいと伝えました。

朝比奈葵役の石川瑠華

続いて、MCが登壇者たちに撮影中の楽しかったエピソードを尋ねると、山下胡桃 役の倉田萌衣さんからマイクを引き継ぎ、佐久本梨花役の佐々木さんが口火を切りました。

山下胡桃 役の倉田萌衣

佐々木さんは、自身と中島瑠菜(小坂日菜 役)、松宮倫(都築玲那 役)と4人で同じ部屋で生活した宿での日々が「女子高生みたいですごく楽しかった」と振り返り、他の部屋の共演者も招いてドッキリを仕掛けたことなどを明かしました。

佐久本梨花役の佐々木悠華

遠藤由夏役の山本杏も、共演者から「あんちゃんラブみたいな感じでずっとチュッチュされてた」と、パックをしながらもかわいがられたエピソードを披露。この作品が16歳での初映画だった山本は、姉のような先輩方に囲まれ、多くのことを教わったと語りました。

遠藤由夏役の山本杏

矢野さえ役の倉林希和里と唐島萌役の森川千滉は、プライベートでも仲が良いと紹介され、倉林が二人の部屋での様子を語りました。森川と3人で過ごした部屋では、自身の恋愛話などを聞いてもらっていたと述べ、さらに、真面目な二人(倉林と森川)は撮影後も宿で反省会を行い、悔しい気持ちを共有し、それが次の撮影の力になったと、絆の深さを示しました。

話は一転、撮影で大変だったエピソードへと移りました。大野理奈子役の伊藤亜里子は、劇中でプールに落ちるシーンを挙げました。日が暮れかかる中、水着から制服に着替え、急いでプールに向かうという慌ただしさがあったものの、「一番大変だったけど楽しかった」と、思い出深いシーンであることを語りました。

大野理奈子役の伊藤亜里子

佐々木麻美役の川瀬知佐子は、自身が演じたキャラクターが序盤でやりすぎと監督に指摘され、救いがないように見えてしまうというフィードバックを受けたと明かしました。「やりすぎず、ラストでお客さんが納得できる演技をするのがすごく難しかった」と語り、役者として大きな挑戦だったと振り返りました。

佐々木麻美役の川瀬知佐子

瀬戸雄馬役の池上秀治は、自身の出演シーンとは直接関係ないものの、オープニングで石川瑠華がプールに浮かぶシーンが「実写ではないアニメとかでよくありそうな画を実写で撮っているのがすごく印象的で、お気に入りの絵だ」とその美しさを称賛しました。

瀬戸雄馬役の池上秀治

続いて、都築玲那役の松宮倫からは安井監督の印象が語られました。2年前の群馬での撮影が猛暑だったことに触れ、キャストが日焼け対策をする中、監督は直射日光に当たり続け、どんどん真っ黒になっていってちっちゃくなっていく姿に、そのエネルギッシュな印象を受けたと述べました。

都築玲那役の松宮倫


朝比奈まどか役のしゅはまはるみは、安井監督を「いい意味で頼りない」と評しました。一人で何でもこなしてしまう人よりも、周りに助けてもらうタイプの監督だとし、その人間味が若いキャストたちからも「お兄ちゃん扱い」され、現場に良い空気を作り出していたことが作品にも反映されていると感じたと語りました。

大谷和樹役の小西有也と神楽宗介役の野島透也も、安井監督とのエピソードを披露しました。野島は、オーディションで監督から高校時代の恋愛事情を聞かれ、自身の役柄が「同性から告白されたこと」という自身の経験とそっくりだったことに「運命を感じました」と驚きを明かしました。

神楽宗介役の野島透也

小西は、当初はZoomでの打ち合わせを通じて、作品の繊細な部分をディスカッションできる「仕事ができる人」という印象を抱いていたものの、現場に入ると監督が「バタバタバタって本当に倒れる勢いで奮闘していた」と語り、野島と宿で常に役柄について話し合い、撮影当日も「こうした方が分かりやすいかな」と試行錯誤を重ねたことを明かしました。

大谷和樹役の小西有也

そして、サプライズゲストとして急遽登壇した安藤昌樹役の八条院蔵人さんが紹介されました。八条院さんは、自身の役柄が難しかったと語り、特に体型へのコンプレックスを乗り越えるため、劇中で描写されているのは1シーンのみであるにもかかわらず、石川さんや倉田さんと共に水泳や飛び込みの練習を重ね、体を鍛え上げた苦労を明かしました。女性キャストの宿が明るい雰囲気だったのに対し、男性キャストの宿では「夜遅くまで筋トレしてる」というスパルタな日々を送り、「先生にもう寝ようかみたいにすごく言われていた」と、その違いを語り、大変さの中にも楽しさがあった3週間だったと振り返りました。

安藤昌樹役の八条院蔵人

舞台挨拶の終盤では、安井祥二監督がマイクを受け取り、満員御礼の会場に深い感謝を伝えました。この映画は4年前に準備を始め、3年前にキャストオーディションを行い、2年前に撮影し、まさに「やっと出来上がった」作品だとその道のりの長さを語りました。商業長編映画としてはデビュー作となる本作について、18歳で初めて映画を作って以来、「映画館で流れる映画を作りたい」と努力し続け、仲間やキャストの力に支えられて完成したと述べた。編集や音楽、カラーグレーディングの段階を経て、「自分が作った作品と思えないぐらい輝いてきて、すごい素敵な作品ができた」と、感極まって声を詰まらせる場面もあり、会場からは温かい拍手が送られました。

安井祥二監督

フォトセッションを挟み、最後に石川瑠華さんに締めの一言が求められました。

石川さんは、本作が「キャストの魅力が溢れ出ている映画」であると絶賛し、登壇者全員の魅力を語り尽くせるほどだと語りました。作品のテーマであるLGBTQ+にも触れ、自身が「自分はなにか」と問うことに答えはなく、“問いがあるだけ”という考えを持っていると説明し、そうすることで自分にも他人にも優しくなれると語りました。壁にぶち当たった人やその周りにいる人が、この映画を思い出して「優しい場所を自分のの中に作ってもらえたら」と願い、そのために本作を制作した甲斐があったとメッセージを送りました。


MCの上原さんは、明日、明後日も上映が続くことを告知し、2回目、3回目の鑑賞を呼びかけ、ロビーでのパンフレット販売やサイン対応についても案内し、舞台挨拶は幕を閉じました。


『水の中で深呼吸』

監督:安井祥二
脚本:上原三由樹 岳谷麻日子
主演:石川瑠華
出演:中島瑠菜 倉田萌衣 佐々木悠華 松宮倫 八条院蔵人
   伊藤亜里子 川瀬知佐子 山本杏 森川千滉 倉林希和里 小西有也 野島透也 池上秀治 しゅはまはるみ

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7月25日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開

この記事を書いた人 Wrote this article

Hajime Minamoto

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