蔵のある街

映画『蔵のある街』完成披露舞台挨拶、満席の観客に感謝。中島瑠菜の泣きの演技に驚愕の山時聡真。初の映画の現場に高橋大輔は「オリンピックよりも緊張!」

山時聡真さんと中島瑠菜さんがダブル主演を務める映画『蔵のある街』の完成披露舞台挨拶が7月29日(火)、新宿ピカデリーにて行われ、主演の山時聡真さん、中島瑠菜さん、共演の櫻井健人さん、堀家一希さん、プロフィギュアスケーターの高橋大輔さん、前野朋哉さん、そして平松恵美子監督が登壇した。コロナ禍に全国で打ち上げられた「サプライズ花火」のエピソードから生まれた本作は、岡山県倉敷市を舞台に、幼なじみとの約束を果たすため街に花火を上げようと奔走する高校生の姿を描いている。

■ 映画『蔵のある街』完成披露舞台挨拶

作品完成の喜びと観客への感謝
満席の観客を前に、平松恵美子監督は「嬉しいです。これだけのたくさんの方が映画を楽しみにお待ちいただいておりました」と喜びを語りました。主演の山時聡真さんは、先行公開が行われた本作の舞台である倉敷での舞台挨拶も満席だったことに触れ、東京での上映も満席となったことに「本当にいいスタートを切れたなという実感が湧いてますし、どの地域の方にもすごく支えられてる、応援されてる作品だなという実感が湧きました」と感謝を述べました。同じく主演の中島瑠菜さんも、「倉敷に続いて東京でも満席でこうやって迎えられてとても嬉しいです」と、会場を埋め尽くした観客への感謝を伝えました。

役柄に込めた想い:自由な表現と内面の葛藤
司会者からの役柄についての質問に対し、主人公の蒼を演じた山時さんは、倉敷の街を全力で走り回ったり、サックスを大きな音で吹いたりと、「すごく自由に気持ちよくお芝居をさせていただいたなと思います」と振り返りました。サックスの音は下手だったが、街の人々が協力的で助けられたと語りました。

一方、絵を描くことを愛しながらも家の事情で夢を諦めかける紅子を演じた中島瑠菜さんは、高校生時代の紅子の苦しみを演じながら自身も苦しいと感じることがあったものの、蒼や祈一に助けられ、「人っていいな」と強く思ったと明かしました。

初共演の二人が明かす撮影秘話
今回が初共演となった山時さんと中島さん。山時さんは、中島さんの泣きの芝居について言及しました。中島さんが「難しい。できない」と言っていたにも関わらず、本番で一気に涙を流す姿に「やばいこれは僕も泣かなきゃ!みたいなすごいプレッシャーを与えられました」と当時の心境を語り、中島さんは「本当に緊張していてできないと思ってたの」と照れながら応じました。
中島さんは、紅子の苦しい気持ちをずっと感じていたため、その状況を思って涙が出てきたと説明しました。また、中島さんは山時さんの印象について、特に「集会所のシーン」での演技を挙げ、「何回かしかやっていないのにすぐオッケーを出されて、すごいなって感じる印象でした」と絶賛しました。

山時さんも、全員が参加し話し合いながら作ったそのシーンは、皆の素晴らしい芝居が光ると述べました。このシーンには、倉敷の実行委員会のメンバーで、一見して「似た背格好の3人」として知られる方々も出演しており、山時さんや前野さんは「下手したら僕ら食われるなと思ってめちゃくちゃ緊張感あったよね」とユーモラスに語りました。

個性が光る共演者たち:役作りと地元愛
自閉スペクトラム症のきょんくんを演じた堀家一希さんは、役作りのためにYouTubeの動画を参考にしたり、自閉症の方が書いた書籍を読んだりして勉強したことを明かしました。きょんくんの「紅子というか、あの日の家族を取り戻したい」という一貫した想いを意識して演じたと語りました。

蒼と紅子の幼なじみ祈一役の櫻井健人さんは、元々人見知りだった山時さん、中島さんとの関係性を深める上で、堀家さんが食事に誘ってくれたことが大きかったと語りました。韓国料理店でサムギョプサルを食べながら親睦を深め、その後は伸び伸びと演技ができたと感謝を述べました。

美術館の学芸員・古城役で映画初出演を果たしたプロフィギュアスケーターの高橋大輔さんは、平松監督から話をもらった際、演技に興味があったこと、そして故郷の倉敷が舞台だったことから「巡り合わせじゃないか」と感じ、すぐに快諾したと語りました。監督からは「そのままの高橋さんでいてください。あまり小芝居することを考えないでください」と指示があったため、台詞を覚えることに集中したと振り返りました。完成した映画を観た感想としては、自身が出ている場面では目を細めてしまい、正直真正面から見れない部分も多かったと照れつつも、映画の世界に引き込まれていき、終盤は「うるうる」しながら観たと述べました。スケートの演技を振り返るのとは異なり、初めての感覚で何とも言えない気持ちだったと語りました。

ジャズ喫茶のマスター中桐仙太役の前野朋哉さんは、高橋さんと同じ倉敷出身の同い年であり、成人式も一緒だったという驚きのエピソードを披露しました。前野さんは、クランクインの際、高橋さんがオリンピックよりも緊張している様子だったと明かし、「マジでどういう作り方でやってたかののかも分からない感覚だったのでもう本当に最初の時はもうキョロキョロとずっとしてました」と高橋さんが初体験の演技に戸惑っていた様子を語りました。

高橋さんにとって、同じ出身地の前野さんがいたことは「めちゃくちゃ心強かった」と述べました。平松監督も、高橋さんの初日は「端から見ても、あ、緊張してるわっていう感じがやっぱりありましたよね。なんか硬いし動きもぎこちなかったし、足をタンタンタンタンとずっとしてるし」と振り返り、高橋さんも足踏みを注意されたことを明かしました。喫茶店のシーンは全て初日に撮影されたため、高橋さんの緊張と徐々に馴染んでいく変化が映像にも表れていると語られました。

平松監督の故郷への想いとメッセージ
平松恵美子監督は、自身の故郷である倉敷を舞台にした作品を作るにあたり、観光地としての倉敷をただ美しく撮るだけでなく、「彼らの素敵な芝居をしっかり見せる」ことに力を入れたと語りました。そして、「彼らの背後にはこんな街があるんだよっていうことがしっかり分かるような形で撮ることを基本的には心をかけていました。皆さんを包み込む町も一つの主役なんだな」と、倉敷の街がもう一つの主役であることを強調しました。

最後に、登壇者一人ひとりが映画を見る観客へメッセージを送りました。 山時聡真さんは、高校時代に困難に立ち向かった経験を思い出し、この映画が観客自身の「無謀なこと」に立ち向かった経験を思い出させ、新たな勇気を与えられる作品だと語りました。

中島瑠菜さんは、本作を通じて人との繋がりを感じ、勇気をもらえたとし、誰かの手助けや背中を押す一本の映画になってほしいと願いました。堀家一希さんは、人が人を助けること、気遣うことの難しさを感じつつも、この映画には「人が隣の人を思う」という根源的な魅力があると述べました。

櫻井健人さんは、撮影中に多くの人や場所との繋がりを感じたとし、観客にもその繋がりを感じてほしいと語り、映画を多くの人に見てほしいと協力を求めました。

高橋大輔さんは、若者たちの熱い思いが物語を動かす一方で、大人も「青春」できると感じたとし、一歩を踏み出す勇気がない時にこの映画を観て、その勇気を感じてほしいと伝えました。前野朋哉さんは、倉敷で起こる出来事が全国の様々な場所で共感されること、そして頑張る若者を大人がどう見守り、助けていくかを感じ取ってほしいと語りました。また、映画のパンフレットを読んで、資金集めなど平松監督や実行委員会の苦労が綴られていたことに触れ、「映画作りって大変だけどやっぱすごい素敵だなと。やっぱ繋がってって、その末に僕らもオファーされて、で、その末に今日があるんだな」と、この映画が「繋ぐ映画」であることを改めて感じたと述べました。

平松恵美子監督は、倉敷が自身の故郷であるとしながらも、「故郷ってでも実は1つじゃないような気がしてる」と語り、本作を観た観客が、悩んだり傷ついたり笑ったりする登場人物たちを通して、「ここにひょっとしたら自分のもう一つの故郷があるかもしれない」と感じてくれたら嬉しいと締めくくりました。

映画『蔵のある街』は8月22日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次ロードショーとなります。会場では先行販売されたパンフレットも「めちゃくちゃ読み応えある」と紹介され、映画への期待を一層高めました。



『蔵のある街』

ぼくたちは約束した。この街に本物の、とびきり綺麗な花火を上げることを。

コロナ禍の時期、人々に笑顔をもたらした「サプライズ花火」のエピソードをもとに生まれた、涙と笑いと希望の物語

出演:山時聡真 中島瑠菜/ 櫻井健人 堀家一希 高橋大輔 前野朋哉MEGUMI 林家正蔵 橋爪功 

監督・脚本:平松恵美子 音楽:村松崇継 主題歌:手嶌葵「風につつまれて」(ビクターエンタテインメント)
©︎ 2025 つなぐ映画「蔵のある街」実行委員会
https://kuranoarumachi.com/

8月22日(金)より 新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー

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Hajime Minamoto

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