「男らしさ」「女らしさ」の生きづらさ描く 映画『ゴールド』 十三シアターセブンで満員御礼の公開初日レポート

「男らしさ」「女らしさ」の生きづらさ描く 映画『ゴールド』 十三シアターセブンで満員御礼の公開初日レポート

知多良監督の長編デビュー作である映画『ゴールド』が、11月29日(土)より大阪・十三のシアターセブンにて公開された。本作は、昨年の十三下町映画祭2024でシネマプランナーズ賞を受賞した期待作であり、ついにシアターセブンに戻ってきたことになる。公開初日は満席のお客様で迎え、熱気あふれる上映となった。事務職のミキと清掃バイトの弘樹が出会い恋人となる物語は、「ありのままじゃ生きられない」現代人の葛藤を描き出す。仕事と生活の間で、登場人物たちが様々な人々と出会い、酒を飲み、言葉を交わす中で、「男らしさ」「女らしさ」といった大きな主語から個人を解放し、個々の人間が持つ良い面も悪い面も映し出そうとしている。

■ 映画『ゴールド』 十三シアターセブンで満員御礼の公開初日レポート

再来!満員御礼の大阪上映と制作経緯

知多良監督長編デビュー作である映画『ゴールド』が、11月29日(土)から十三シアターセブンにて公開。本作は、昨年の十三下町映画祭でシネマプランナーズ賞を受賞して以来、ついに再びシアターセブンに帰ってきた作品です。そしてその1年、期待は高まり、初日は満席のお客様と迎えることができた。

上映当日に大阪に到着したという小畑みなみさんは、「今日大阪に来て、もうすごいテンション上がっています」と、大阪での上映を噛み締めている様子でした。

知多監督は、映画を観終えたばかりのお客様の熱気に感動しながら、本作の制作の経緯について述べました。監督は「脚本を書き始めたのは3年ほど前で、当時SNSだったり、周りの人と話していたりして、男らしさだったり、女らしさだったりっていうところで、生きづらさを感じている人がいまして、そこをまず描いていきたいと思いました」と語った。

さらに監督は、当時SNSで男女が対立した際に、加害者と被害者がいて、この人が悪い人となると、その人を袋叩きのようにネット上ですごく攻撃してしまうという現象に違和感があったと言います。その経験から、「“男”とか“女”とか“悪い人”とか大きな主語から、個人を解放したいなと思いました」と説明した。また、「1人1人の個人というのは、悪いところもあるけど、良いとこもあるということも描きたいと思いました。1人の人間の中でも傷つけられる一方で、誰かを傷つけてしまうこともあるのかな」と、多面的な人間像を描くことへの思いを明かした。

出演者が語る役柄への共感と心の葛藤

監督自身の経験が色濃く反映されている本作。SNS上の強い言葉を、自分の言葉のように発する山中を演じた幸田純佳さんは、普段そのようなワードを使用することはあるかと問われました。幸田さんは、「普段は、一応使ってないつもりではいるんですけれども、でも、心の内側では、山中のセリフにあるように『事前に言って頂ければ、できたかもしれないのに』みたいなことを心の内で言っていることは結構ありますね」と正直に答える一幕がありました。

本日、一緒に劇場で本作を観たという幸田さんは、ミキ(小畑みなみ)に対する共感が深まっていることを告白しました。「私も今年30歳を迎えるんですけれども、ミキに対しての共感が日に日に強くなっていて」と述べ、特に「冒頭の、台所で立ったまま、癒される動画を見ながらご飯を食べるみたいなシーンとかも、だんだん染みてくるようになってきてしまって」と、2年前に試写で本作を観たときとの印象の違いについて触れた。

幸田さんは、「だんだん、だんだん、いろいろな年代で感じ方も変わってくるんだろうなと思いますね」と続け。本作は、仕事に疲弊するミキや、男ばかりの職場で傷つき溜息をつく弘樹など、様々な立場の方々が描かれているがゆえに、どこに一番グッと惹かれるか、共感するかは、観るときのその状況によっても印象が変わってくるという特徴があることに触れた。

職場で仲のいい先輩後輩だったはずのミキと山中の関係が、思わぬ波乱を生む後半の展開について、ミキ役の小畑さんは、「もう明日から会えないことがちょっと寂しかった」と語った。

これを受けた山中役の幸田さんは、目に涙を浮かべながら、「今、明日から会えなくなるのが寂しかったと言われて、心がドキッとしました。佐藤(ミキ)さんは誰に対しても対等な立場というか、女性に対しても男性に対しても、真ん中にいらっしゃっていて、私にとってすごく大切な存在でした」とこぼしました。この言葉に思わず小畑さんも涙する一幕があり、出演者の感情の深さが伺えた。

観客の心に深く刺さる作品

舞台挨拶の後は、知多監督からラストシーンやタイトルに込められた思いが伝えられ、お客様からの大きな拍手で送り出された。

終演後、サイン会も長蛇の列となり、小畑さん、幸田さん、知多監督は、お客様からの感想をありがたく受け止めていきました。その中には、涙を堪えながら「今の自分にすごく刺さりました」といった声が多く寄せられたとのこと。

シアターセブンでは連日上映後 舞台挨拶を予定。この機会に、今のあなたにとって、『ゴールド』がどう映るのか、ぜひ劇場でご覧ください。


シアターセブン 映画「ゴールド」のページ
https://www.theater-seven.com/mv/mv_s0953.html

▼舞台挨拶予定
★連日上映後 舞台挨拶を予定(2025/11/30現在の情報)

11/29(土)上映後
小畑みなみさん、幸田純佳さん、知多良監督
MC:野本梢さん
11/30(日)上映後
小畑みなみさん、知多良監督
MC:野本梢さん
12/1(月)上映後
小畑みなみさん、幸田純佳さん、知多良監督
MC:野本梢さん
12/2(火)上映後
相田冬二さん(Bleu et Rose)(映画批評家)、小畑みなみさん、知多良監督
12/3(水)上映後
松井敏喜さん(福井映画祭実行委員会/中之島映画祭 初代企画長)、小畑みなみさん、知多良監督
12/4(木)上映後
小畑みなみさん、幸田純佳さん、いとうたかしさん、知多良監督
12/5(金)上映後
小畑みなみさん、幸田純佳さん、知多良監督


映画『ゴールド』

【あらすじ】
中小企業で事務をしているミキと、家事好きで清掃のバイトをしている弘樹。二人は高円寺の路上ライブで出会い恋人になります。ミキの強さに惹かれた弘樹は、自立した大人を目指し正社員になりますが、ミキは弘樹に無理をせず毎日笑顔でいて欲しかったと考えていました。弘樹は男ばかりの職場で傷つき、ミキは後輩や上司の間で疲弊していきます。二人は「ありのままじゃ生きられない」現実の中、様々な人たちに出会い、酒を飲み、言葉を交わしますが、ミキはただ弘樹と一緒に居たかったのです。

この記事を書いた人 Wrote this article

Hajime Minamoto

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