愛のごとく

映画『愛のごとく』舞台挨拶、古屋呂敏と宮森玲実が語る「愛」の正体 井土紀州監督と共に明かす撮影秘話とタイトルの真意

2026年1月23日より池袋・新文芸坐にて封切られた映画『愛のごとく』の舞台挨拶が、アップリンク吉祥寺にて2月14日のバレンタインデーに同館で開催され、主演の古屋呂敏、ヒロインの宮森玲実、井土紀州監督が登壇した。山川方夫の遺作小説を映画化した本作は、愛と孤独の狭間で揺れる男女を描く。満員の観客を前に、キャスト陣は撮影の裏話やタイトルに込められた想いを語り、作品の深い余韻を共有するひとときとなった。

(C)1st Generation

公開から数週間が経過し、多くの反響が寄せられる中、司会者から観客の感想について問われた古屋は、本作のテーマである「愛」について深く考え込む観客が多い点に言及した。「1回目と2回目で印象が変わるなど、深く考える時間をもらえる映画に関われて嬉しい」と、作品が持つ多面的な魅力への手応えを語った。

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出演の経緯について話題が及ぶと、古屋は脚本を読んだ瞬間に「ハヤオと巡り合えるなら今しかない」と直感し、即座に参加を決意したことを明かした。一方、ヒロインのイズミを演じた宮森も、オーディション前に脚本を読み、その読後感に胸のざわめきが止まらなかったと回想。「他の人にやってもらうより私がやりたい」と強い意志でオーディションに臨んだエピソードを披露した。そんな二人に対し、井土監督は初対面の印象を吐露。宮森については「ポジティブなパワーとエネルギーの塊」と絶賛する一方で、古屋については「いい人すぎる」と苦笑い。役柄の持つ情けなさや冷たさを、本人の人の良さを消してどう表現するかが課題だったと明かし、会場の笑いを誘った。

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撮影中の互いの印象について、宮森は、原作では暗く粗暴なイメージのハヤオが、古屋の実直さと混ざり合うことで「愛おしいハヤオ」になったと分析した。対する古屋は、既婚者でありながら元恋人に無邪気に向かってくるイズミの行動が当初は理解できず「怖い」と感じていたが、宮森自身の持つ力強さが相まって、男性がその勢いに「落ちてしまう」説得力が生まれたと振り返った。

話題は印象的なシーンの演出にも及んだ。劇中でハヤオがイズミに冷酷な言葉を放つシーンについて、古屋は当初、感情を爆発させる演技を提案したが、監督からは「冷たくていい、さらっとしろ」と指示を受けたという。完成版を見た古屋は、その冷徹な反応こそがハヤオという人間なのだと納得した様子を見せた。また、アドリブについての質問では、ラストシーン近くでハヤオが「イズミ!」と叫ぶ場面が、実は読み合わせの際に不意に出た言葉であり、それがそのまま採用されたことが明かされた。さらに、格闘技の技に関する撮影裏話も飛び出し、緊迫した作品世界とは対照的な和やかな空気が流れた。

舞台挨拶の締めくくりとして、タイトル『愛のごとく』の解釈について問われた三者。井土監督は、本作の中心には男女の愛だけでなく「亡くなった恩師や文学・小説への愛」が存在し、それが登場人物を動かす隠れたモチーフになっていると解説した。宮森はシンプルに「愛のごとくではなく、愛だったという話ではないか」と語り、古屋は「愛とは振り返った時に初めて『愛していた』と気づくもの。そんな真実を表現しているのではないか」と答え、それぞれの「愛」の定義でイベントを締めくくった。

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映画『愛のごとく』

【スタッフ】
監督:井土紀州 脚本:小谷香織
企画:利倉亮、郷龍二 プロデューサー:竹内宏子 ラインプロデューサー:森川圭 撮影:中澤正行 録音:山田幸治 美術:成田大喜 編集:蛭田智子 音楽:高橋宏治

助監督:東盛直道 制作:牧野信吾 ヘアメイク:石山美子 衣裳:藤田賢美 

インティマシー・シーン監修:佐倉萌 ポスター写真:三宅英文 スチール:今優介 キャスティング協力:関根浩一 営業統括:堤亜希彦
制作:レジェンド・ピクチャーズ 配給・宣伝:Cinemago
2026/日本/DCP/100分/カラー/ステレオ/16:9/R15+
(C)2026「愛のごとく」製作委員会

愛のごとく

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Hajime Minamoto

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