映画監督の岩井俊二氏が手掛けた伝説的傑作『スワロウテイル』が、監督完全監修のもとで4Kリマスター化・Dolby Atmos化され、2026年9月4日より全国で劇場公開される。これに先立ち、8月21日に都内で先行上映会イベントが開催された。イベントには岩井監督と、音楽を担当した小林武史氏が登壇。映画公開30周年を記念し、劇中から誕生したバンド「YEN TOWN BAND」の誕生秘話や当時の過酷な編集作業など、今だからこそ明かせる貴重な舞台裏を語り合った。

◆試写会にフィルムが間に合わず? 今だから明かせる過酷な舞台裏
上映前のトークショーに登壇した岩井監督は、30年前の公開当時、アメリカのロサンゼルスでギリギリまで編集と仕上げの作業に追われていたエピソードを披露した。最初の試写会にお披露目が間に合わず、できかけのフィルムを私物として運んで自ら税関を通り、現地でフィルムを切って繋いで上映したという。さらに、当時はアゲハ蝶のCG処理が間に合っておらず、蝶がいない空っぽの状態で上映したという驚きの事実を苦笑い交じりに明かした。
同じくロサンゼルスでポストプロダクションを行った小林氏も、当時は現在のような高度なコンピューター環境がなかったと当時を振り返った。
今回の4Kリマスター化において、岩井監督は「色の調整などが本当に大変で、苦労した」と話し、半月ほどパソコンに向き合い調整ソフトの操作に没頭していたことを明かした。1カットごとに当時の様々な無茶やこだわりを思い出し、自身にとっても素敵な時間になったと語った。

◆車内で流れた「マイラバ」が契機に、音楽とテーマが繋ぐ現代へのメッセージ
劇中から誕生した「YEN TOWN BAND」の主題歌が大ヒットするなど、音楽面でも大きな社会現象を巻き起こした本作。岩井監督は、自身が求めていたサウンドの担当者を日本国内で模索していた際、車を運転中に偶然「My Little Lover」の楽曲が流れたことが小林氏へ連絡するきっかけとなったという、運命的な出会いを振り返った。小林氏は、当時の音楽制作を「初期衝動をそのまま録音したような、圧縮されたパワーがあった」と回想した。

また、作品が内包する「移民」などのテーマについて小林氏は、30年前に感じていた恐怖や規制への思いが現代の社会問題とも地続きで繋がっていると指摘。「今の時代に映画を見る人々がどう感じるか楽しみだ」と期待を寄せた。
最後に岩井監督は、30年前の完成披露の際に放った「もう精一杯やりました。これ以上できません!」という言葉を改めて引き合いに出し、観客に向けて力強く作品を送り出した。
『スワロウテイル 4K リマスター』 【CAST/STAFF】
ヒオ・フェイホン:三上博史/グリコ:Chara/アゲハ:伊藤 歩/リョウ・リャンキ:江口洋介/マオフウ:アンディ・ホイ/ラン:渡部篤郎
シェンメイ:山口智子/レイコ:大塚寧々/鈴木野:桃井かおり
プロデュ―ス:河井真也
脚本・監督:岩井俊二
音楽:小林武史
“Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜”YEN TOWN BAND(プロデュース:小林武史 ボーカル: Chara) 原作:『スワロウテイル』岩井俊二著(角川文庫/KADOKAWA 刊)
撮影:篠田 昇
照明:中村裕樹
美術:種田陽平
CG ディレクター:原田大三郎
製作委員会:
株式会社 OORONG-SHA/株式会社ポニーキャニオン/
株式会社フジテレビジョン/株式会社 KADOKAWA/
アスミック・エース株式会社/メモリーテック株式会社
製作プロダクション:ロックウェルアイズ
配給:ポニーキャニオン
日本初公開日:1996 年 9 月 14 日/148 分/日本/カラー ©SWALLOWTAIL PRODUCTION COMMITTEE
公式サイト:https://swallowtail4k.jp
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