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『undo 4K リマスター』公開舞台挨拶レポ!豊川悦司・山口智子・岩井俊二監督が32年ぶりの再集結で撮影秘話を語る

1994年の初公開当時、劇場動員記録を塗り替えるなどカルト的人気を博した岩井俊二監督の伝説的傑作『undo』が、監督完全監修の4Kリマスター版として全国公開中。これを記念し、主演の豊川悦司、山口智子、そして岩井俊二監督が登壇する公開舞台挨拶が開催されました。初公開から実に32年ぶりの再集結となった登壇者陣が、当時の撮影現場での知られざるエピソードや制作秘話、当時は語られなかった“真実”や作品への想いをたっぷりと披露。32年の時を経て感動の再会を果たした彼らが改めて語る、貴重なイベントの模様をお届けします。

■ 『undo 4K リマスター』公開舞台挨拶レポート

TOHO シネマズ 新宿にて、9 月 26 日(土)に、映画『undo 4K リマスター』の豪華キャストと監督が集結する公開舞台挨 拶を開催した。当日は、主演の豊川悦司と山口智子、そして脚本・監督を務めた岩井俊二監督が登壇。1994 年の初公開か ら、実に 32 年。時を越えて、主演の二人と岩井俊二監督が再び一堂に会し、32 年という長い年月を経た今だからこそ語ることができる、当時の撮影現場での知られざるエピソードや制作秘話など、貴重なエピソードが語られた。


それぞれから一言挨拶。豊川は「本日は集まりいただきまして、ありがとうございます。 俳優として昔の作品を見ていただくのは、本当に嬉しいことであると同時に、とってもとっても恥ずかしいことでもあります。今回この 4K リマスターの話を聞いて、ふつふつと 30 年前のことを思い出して、30 年も経って、皆さんとこのように作品を共有できているということが、 信じられない出来事でもあります」と挨拶した。

山口は続いて「本音を申し上げると、本当に豊川さんもおっしゃったように、昔 の自分が出た作品を、今皆さんがご覧になって、しかもご覧になった直後に出てくるっていうことはめちゃくちゃプレッシャ ーというか…本当に夢を壊して申し訳ないという思いの塊なんです。でも 30 年経っちゃったし、岩井さんにも豊川さんにも 会いたいし、皆さんに会いたいので、来ちゃいました!」と今の思いを含めて話した。

岩井監督は「30 年前の作品になるんですけど、手作りというか、3 人で「なんかこんな映画作りたいよね」から始まって、本当に自主映画のようにして作った作品で す。 懐かしいというか、あの時のパッションが未だに羨ましく思う作品です。しかもこんな大きなスクリーンで流れたんですよね。本当に素晴らしいです」と顔をほころばせた。


豊川は 4K リマスター化の話を聞いた際、正直なところ「 『Love Letter』が4K になった時に、『undo』も 4K 化になればいいな、と考えていた」と述べた。特に豊川は、作品の内容が現代では受け入れないかもしれないと心配していたそうで 「中身的にも、今はウケない内容じゃないかな…」と思っていたと明かした。それを聞いた山口は「今こそなんじゃない?(コン プライアンスの時代に)殴り込みみたいな感じがする」と作品への期待を滲ませる。山口は「岩井監督は作品への熱情の塊」と 話す。「一緒にお仕事させて頂いた時は毎日熱病にかかったかのような気持ちで、朦朧としながら現場に行った記憶があります。心を込めた熱情の塊で作った“本物の念”がこもった作品というものは、時間と共に作品の魅力がじわじわと伝わるので は…」と語った。


岩井監督に本作の 4K リマスター化にあたってどんな苦労があったかを聞く。監督は、撮影監督の篠田昇がフィルムの現 像にこだわり、様々な現像方法を試していたこと、そして古い映画のような雰囲気を目指していたことを明かし、その再現に 苦労したそうで「傷だらけの映画みたいな雰囲気からだんだん柔らかく、肌艶が変化していくということを目指していまし た。それの再現がなかなか骨の折れるところで…当時のことを色々思い出しながら仕上げました」と今は亡き篠田昇との思い出と共に作業したことを明かした。


撮影時の印象的だったエピソードで覚えていることを聞く。豊川は撮影現場が「印象だらけ」であり、自分のキャリアの中で も多くの情報を覚えている現場だと明かした。特に「寝なかった」ことが印象的で、山口と控室で「いつ終わるんだろうね」と 話していたことを明らかになった。「撮影助手が毎日のスケジュール表に(撮影終了時間が)70 何時間と書いてあった」とい う事実が披露されたが、豊川は「『終わるまで』と殴り書かれていたような気がする」と述懐する。「その時、チーフでスケジュ ールを切っていたのが、行定勲監督でした。彼が終わらないので、逆ギレしていたんですかね?」と振り返る。そんなスケジュールをもらったのは、後にも先にもこの作品だけだそうだ。

岩井監督は思わず「ご苦労おかけしました…」と小声で 32 年ぶ りに謝罪した。豊川は「監督がというより、篠田さんですよね。かなり実験的なこともされていて」と思い返すと、岩井監督は 「16mm を 35mm に見せたいがために、最後のシーンは減感現像をしていて。通常の5倍くらいの照明がいるんです。真夏 なんですよ。わざわざサングラスかけて確認していました。最後シーンの方は妙に山口さんの肌が美しかったと思うんですけ ど、篠田昇の演出になっております」と現場での苦労を話した。山口は「だから熱病にかかったかのような高熱の中で撮影し ていた記憶があるんですね」と合点が行った様子。また「岩井監督が亀の吊るし方ひとつにもこだわっていました。好きだか ら作るというみなさんが集まっていて、誰も何時に終わろうが気にしていない、一番考えていないのが岩井さん(笑)。映画 研究会の部活動みたいでした」とも振り返った。


当時の監督の印象を二人に聞くと、豊川は「穏やかな人だが、“ノアの箱舟”のように様々な要素が詰まっている」と表現 し、「打ち上げ花火をどこから見るか…という発想を持っている人が、本当にいるのか?」と驚いたそうだ。豊川に岩井監督 を紹介したのは俳優の桃井かおりとのことで、「君にぴったりの監督がいる」と聞いて引き合わせて頂いたのが岩井監督だそうだ。

山口も「『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は衝撃的でした。あの世界をテレビでぶちかましてくださっ たことが嬉しくて。だから岩井監督に憧れていて、豊川さんに会わせていただきました」と3人の出会いを明かした。


岩井監督は『undo』の着想が、とある雑誌からの依頼だったと明かした。その雑誌はフェティシズムをテーマにしており、 監督は「緊縛」をテーマに作品を制作。隣のページでは別の監督が「瓶詰め」をテーマにしていたとのこと。この依頼がきっか けで、山口をモデルに写真を撮り、それがショートストーリーになり、最終的に映画化されたと語った。
30 年ぶりに時を経て再会した豊川と山口に監督からメッセージが贈られる。「あの時本当に楽しかったっていう思い出し かないんですけど、 当然暑くて大変な現場で、篠田昇の現場を体験してもらっていろいろ大変だったと思うんです。でも本 当に小さな映画だったけど、当時流行りの3人組ユニットみたいでね、音楽ユニットのああいう感じの映画版みたいな感じで 楽しくセッションできた感じでございました。30 年経ちましたけど、また再結成して作れたら最高ですよね。ちっちゃいやつ をね。本当に自主映画みたいなやつやれたらいいですよね、と思います」と嬉しそうに話した。


最後に観客にそれぞれからのメッセージ。豊川は「こういうチャンスをいただいて『undo』という作品がまた皆さんに見て もらえるということ自体が、すごくラッキーだし嬉しいことでもあります。お面白かったよっていうことを周りの人とか、お友 逹とかにも宣伝していただいて、1 人でも多くの人がこの作品に触れてくれたらなと、と思っております。どうぞよろしくお 願いします」とコメント。

山口は「岩井さん作品は本当に何度も見返して時間を経て見てみて、自分の人生のいろんなポイント でまた見返してみたりすると、また新たな“怪しさ”がじわじわと細胞に染み込んできますから、何度でも味わい直してくださ いね。私も味わい直しますということで、よろしくお願いします」と話した。

監督は「30 年経って今日、これだけたくさんのお客 さんにまた見ていただいて、本当になんかもう幸せすぎます。赤鬼の居酒屋でね…あの時、3人で三茶で飲んで本当良かっ た。そんな青春もあったと思いながら、ぜひこの映画もまた多くの方々に出会ってほしいと思いますので、ぜひ長く愛し続けてもらえればと思います」と思いをコメントした。


■『undo 4K リマスター』
アトリエのような住まいで暮らす萌実(山口智子)と由起夫(豊川悦司)。
ある時、萌実は身の回りの物をヒモで縛りつけるという不可解な行動をとるようになる。ペッ トの亀を縛り、編み物をする自らの手を縛る萌実を危惧し、精神科医(田口トモロヲ)のもとへ 訪れる由起夫。診察を受けたところ萌実は“強迫性緊縛症候群”の診断を下された。症状は進 行し、萌実はついに目に見えないものまで縛り始めるのだった。


脚本・監督:岩井俊二
撮影:篠田昇
美術:細石照美
音楽:REMEDIOS
出演:山口智子、豊川悦司
1995 年 / 日本 / カラー / 47 分
©FUJI TELEVISION/PONY CANYON


■『PiCNiC 4K リマスター』
どんよりとした街にたたずむ精神病院で出会ったココとツムジとサトル。
施設を取り囲む塀の外に出ることを禁じられていた三人だったが、「塀の外に出なきゃいい んでしょ。塀の上なら、いいのよ」というココの提案に、塀の上をつたい街中へと歩き始める のだった。
地球の最後を見届けるために―。


脚本・監督:岩井俊二
撮影:篠田昇
照明:隅田浩行
美術:細石照美
音楽:REMEDIOS
出演:Chara、浅野忠信、橋爪浩一
1996 年 / 日本 / カラー / 72 分
©FUJI TELEVISION/PONY CANYON 公式サイト: https://undo-picnic4k.jp

■ 『undo 4K リマスター』 9 月 25 日(金)より TOHO シネマズ日比谷他 全国公開 ※『PiCNiC 4K リマスター』と同時上映
■ 『PiCNiC 4K リマスター』 9 月 25 日(金)より TOHO シネマズ日比谷他 全国公開 ※『undo 4K リマスター』と同時上映

この記事を書いた人 Wrote this article

Hajime Minamoto

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