映画『静謐と夕暮』新ビジュアル公開。行定勲監督ら著名人の新コメントも到着。

映画『静謐と夕暮』新ビジュアル公開。行定勲監督ら著名人の新コメントも到着。

1月8日から池袋シネマ・ロサにて公開される映画『静謐と夕暮』の新ビジュアルが公開。新たに行定勲監督をはじめ、著名な方々からのコメントも到着した。
本作は2019年度京都造形芸術大学映画学科卒業制作作品。2020年度第44回サンパウロ国際映画祭で上映された。

静謐と夕暮
『静謐と夕暮』 新メインビジュアル

■映画『静謐と夕暮』

●あらすじ
写真家の男が川辺を歩いていると、川のほとりで衰弱している老人に、何やら原稿の束を渡す女がいた。
翌日、再び男がその場所に行ってみると、その原稿を読む人々がいた。
その原稿には、渡した女の書いたものと思しき、この川辺の街での日常がしたためられている。
—————ある日、いつものように川辺にやってきた女は、見知らぬ黄色の自転車と川辺に座る男を見た。
数日後、女が住むアパートの隣室にその川辺の男が越してきた。
夜な夜な隣室から聞こえる、男が弾くらしきピアノを漏れ聞くうちに、その男の生態が気になり、
毎朝、黄色の自転車に乗って出ていく彼の後ろを追いかけることにした。
そんなある日、隣室の男が失踪する。—————

静謐と夕暮
写真家の男

■新たなコメント

この映画で描かれた停滞した時間に、どっぷりと浸かって漂った。ただ風が吹き緑が無駄に輝き、人々は生きて同時に死んでいるような時のはざま。主役の山本真莉に宿る虚無を見て、何者でもなかった頃の自分と重なっていった。彼女は原稿用紙に何を記し、何を葬ったのだろうか。あのどこでもない河原にある孤独な魂を見届けながら、過去でも現在でもない時が流れ出し、いつか帰結するところを想像していた。
──映画監督:行定勲(世界の中心で愛を叫ぶ/劇場)

静謐と夕暮
『静謐と夕暮』 場面写真

映画には、見せる映画と見せない映画の二種類がある。殆どの映画は見せる映画であるが、稀に見せない映画が存在する。見せない映画とは、普通は見せてしまう部分を隠し、観客に想像させ感じてもらう映画である。この映画はその稀な映画である。人は森や川を見たとき、その感じようは人それぞれの感受性の中にある。この映画が伝えたい静寂は映像で撮ることができない。だから感じてもらう。
この映画を観てあなたがどう感じるのかを、この映画は問うているのだ。
──映画監督:林海象(夢見るように眠りたい)

静謐と夕暮
『静謐と夕暮』場面写真

何という天才!『静謐と夕暮』は光と影と、二度とはない時間だけがつめこまれた宝石箱のような映画だ。
──映画監督:宮崎大祐( VIDEOPHOBIA)

2時間超えの長尺を、するすると水を飲むように快く観た。
同時に、選び抜かれた光と色と音により緻密に作られた逢魔が時の世界に浸食され、神隠しにあうかも知れないスリルを覚えた。最後まで観終えると、もう一度どこかから観始めたくなる本作の不可思議な魅力は、初めて行った異国でひとり、知らない人たちの日常をぼんやり眺めている時の浮遊感に近い。
私はいま、『静謐と夕暮』の時空から、現世に戻って来れているのだろうか。
──映画監督:金子雅和(リング・ワンダリング/アルビノの木)

静謐と夕暮
『静謐と夕暮』 場面写真

唯一無二の物語、完全無欠の明確なイメージこそが自らを発展させると信じる数多の映画をよそに、鮮明さなどには背を向けて、曖昧に溶け合う色と音にその身を任せる梅村監督が見ている景色は、映画が朽ちた数百年後の未来のようだ。
かつて栄華を誇った都市の遺跡に生い茂る草木のように、『静謐と夕暮』に横溢する緑は凛々しく美しい。
──映画配給:降矢聡 Gucchi’s Free School主宰


■映画『静謐と夕暮』

●監督
梅村和史。1996年生まれ。岐阜県出身。高校時代、『Dr.strangelove』(スタンリー・キューブリック監督)に出会い、いつかこれを超えるかっこいいものを作りたいと思い、映画の道に進む。初監督作品は『つたにこいする』(2018)。監督の他、音楽制作にも力を注いでおり、『忘れてくけど』『彷徨う煙のように』『赤い惑星』『ROLL』(村瀬大智監督)の音楽も手がけた。本作は初の長編監督作品。

静謐と夕暮
梅村和史監督

●作品詳細
『凶悪』『彼女がその名を知らない鳥たち』『止められるか、俺たちを』など数々の受賞作品を手がける映画監督、白石和彌に「長期熟成されたウイスキーを味わうように、深く記憶の余韻が広がる映画だ。」と評された梅村和史初長編監督作品。2020年度サンパウロ国際映画祭にて上映された。主人公・カゲを演じるのは新人の山本真莉。カゲが出会うキーパーソン・老人を演じるのは入江崇史。老人が手にする原稿に記された、紙面上に浮かぶ記憶のような内容を読み進んでいく本作。人生の一瞬にふと立ち止まった女性が、訪れた鉄橋の下で原稿を通して、失いかけていた時間とカゲの記憶に触れる。監督自身がカメラを据え、映し出される街や路地、森、川辺、丘、そこに通り過ぎる夏の光と風一つ一つを丁寧にフレームに収めた。言葉では表せない息を呑む映像や音が夏の原風景を漂わせ、観客の記憶に囁きかける。

●キャスト/スタッフ
山本真莉/入江崇史/石田武久/長谷川千紗/仲街よみ/野間清史/ゆもとちえみ/栗原翔/南野佳嗣/和田昂士/延岡圭悟/梶原一真/赤松陽生/吉田鼓太良/鈴木一博/岡本大地/石田健太/福岡芳穂 監督・脚本・撮影・編集・カラーリスト・音楽・照明 梅村和史 ロケーション管理・衣装管理・メイク・小道具・美術監督 山本真莉 プロデューサー・編集・録音技師・整音・ダビング・照明 唯野浩平

●作品情報
製作:2020年3月13日/136分/アメリカンビスタ/5.1ch/カラー/日本

2022年1月8日から、池袋シネマ・ロサにて上映

静謐と夕暮
新イラストビジュアル

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