文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト 2023」合評上映会 『光はどこにある』舞台挨拶

文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト 2023」合評上映会 『光はどこにある』舞台挨拶

2024年3月7日、文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト 2023」合評上映会が開催され、選ばれた4人の監督の短編映画が上映。作品ごとに監督とキャストが登壇し、舞台挨拶を行った。本記事では、『光はどこにある』(野田麗未監督)を取り上げる。

■ 短編映画『光はどこにある』舞台挨拶

上映後舞台挨拶には、円井わん[看護師の田辺灯里(27)役] 、東 龍之介[新人看護師・朝倉健太(22)役]、霧島れいか[母の病気を知らされていなかった娘の山野果穂(50)役]、はっしーはっぴー(患者・渡辺役)、野田麗未監督が登壇。司会は、映画パーソナリティの伊藤さとりが務めた。

▼短編映画『光はどこにある』

©2024 VIPO

強く、弱く、儚く、しぶとい。


ストーリー
消化器内科病棟で働く看護師の田辺灯里(27) は、新人看護師・朝倉健太(22)らと共に慌ただしい日々を送っている。戦場のような場で献身的に働き、勤務後は行き慣れた居酒屋やとっておきの場所で酒を飲む。ある日緊急入院で膵臓癌ステージ4の患者・山野佳子(74)が運び込まれてくる。佳子を見た途端、固まる灯里。母の病気を知らされていなかった娘の山野果穂(50)は、佳子の最期に向き合うことが出来ない。急速に弱っていく佳子。親子に灯里は何が出来るのか。そんな灯里には、誰にも明かせていない“過去”があったー

▼ひとことあいさつ

伊藤さとり
皆さんから一言ずつ、思いを込めてご挨拶をいただきたいと思います。
まずは野田監督からどんな思いを込めてお作りになられたのかも踏まえてのご挨拶をお願いします。

野田麗未監督
監督をさせていただきました野田麗未と申します。作品を鑑賞いただきましてありがとうございます。
過去に看護師を経験した、そのときの思い残しだったりとか、心に残っているものをたくさん詰めた…
自分の過去の、自分そのもののような作品を作らせていただきました。大事なスタッフの方と、大事なキャストの方と大好きな皆さんと一緒に作品を作れて幸せに思います。今日はよろしくお願いします。

野田麗未監督

伊藤さとり
それではキャストの皆さんからは出演した感想を込めてのご挨拶をいただければと思います。

円井わん
野田さんの情熱と心にわしづかみされて、一緒に戦いたいなという気持ちと、今後どのようにして監督として作品を作っていくのかっていうのをすごく楽しみにご一緒させていただきました。今日はよろしくお願いします。

円井わん
円井わん[看護師の田辺灯里(27) 役]

東龍之介
皆さんこんにちは新人看護師の朝倉健太を演じました、東龍之介と申します。初めて野田監督の本をいただいて、思わず涙を流してしまいまして、自分にも人間らしいところがあったんだなというのを野田監督のおかげで、そんな気持ちにさせていただいてすごく上質な時間を過ごさせていただいたなと思いました。

東龍之介[新人看護師・朝倉健太(22)役]

霧島れいか
皆様こんにちは霧島れいかです。山野果穂を演じました。
私の母も持病を抱えつつもまだ健康で元気でいてくれているのですが、やっぱりだんだんと現実味を帯びてきているので、自分の今の年齢とか母の年齢と重ね合わせていろいろ考えさせられていまして、監督がとても感情を込めてくれて、監督の気持ち・感情がすごくこちらに伝わったので、私としてもすごく演じやすかったですし、撮影期間はとても短かったのですが、家に帰ってから、両親の顔を見て、いつもと違う感じで両親を見つめることができたといいますか…
そして、普段病院に何かの理由で行ったときに、働いていらっしゃる方にまた違う思いも、自分の中で湧き上がったような気がしています。
今日はありがとうございました。

霧島れいか[母の病気を知らされていなかった娘の山野果穂(50)役]

はっしーはっぴー
渡辺役を演じさせていただきました、コンピューター宇宙のはっしーはっぴーです。ありがとうございます。僕はお笑い芸人をやっていまして、演技っていうのは初めてだったんですけれども、監督からいただいた台本が本当にすごく素敵なもので、僕も初めてながらにちょっと一生懸命に「こういうふうに演技した方がいいのかな」とか、「ちょっと間をあけてみよう」みたいなことを台本にめちゃくちゃ書いて行ったんですけども、当日行ったら、「もう、はっしーはっぴーそのままでいいいんで、これは捨ててください」って言われたので、そのままで演技させていただきました。でも本当に素敵な作品に関われて本当にありがたいですので今日はよろしくお願いします。

はっしーはっぴー(患者・渡辺役)

▼どうやってエピソードを入れ込もうとしたか

伊藤さとり
監督のご自分の人生の部分を見たような作品でもあったんですけど、看護師の体験の中でいろんな経験があったと思うんですね。今回それを映画として30分でみせるって相当、脚本作りが大変だったんじゃないかと思いますけど、どうやってエピソードを入れこもうと決めていきましたか?

野田麗未監督
本当にページ数を減らしていくことがとても大変で、最初は必要枚数の倍ぐらいの枚数で多分、初稿を書いていて、脚本の講師の小川さんと「何とか削らないといけない」みたいなのを、かなり切磋琢磨してちょっとずつちょっとずつ削っていってやっと削れたっていうのはあるんですけど。
撮影をしていくと、伝えたいことを30分に収めきるということがすごく難しくて、関係者試写の後も円井わんさんと「短編でこのテーマを描くのって難しいですね」っていう話をすごくさせていただきました。
なので、結局いろいろと反省もありつつ、いろんな方といろいろ話して、少しずつまとめていったかなと思います。

▼役柄は、実際に体験した・出会った人たち

伊藤さとり
今ここに立っているキャストの皆さんの役っていうのは、実際にそれぞれみんな体験した人たち・出会った人たちですか。

野田麗未監督
田辺灯里はほぼ自分かなと思っていて、朝倉も自分の1、2年目のときの自分のことをかなり入れているので、2人はほとんど私の過去の要素を入れているかなと思います。
そうですね。果穂さんと佳子さんの親子もモデルにさせていただいてる一番今まで関わらせていただいた患者様の中で一番心に残っている親子をモデルに書かせていただきました。渡辺に関しては、意識がなくなって、夜中に心臓マッサージすることが頻繁にあったりする中で、退院されて 外来に来てくれた帰りに、病棟に感謝の気持ちを伝えに来てくれる患者さんがたまにいらっしゃって、そういうことを先方がどれくらい大きいことかわからなくても、医療従事者にとっては、本当にそれがすごく支え・助けになるなっていう経験があったので、基本的に皆さん、自分の経験だったり、思いが入っているキャスト・役になります。

伊藤さとり
はっしーはっぴーさんがいると、そこが緩急がつくというか…

はっしーはっぴー
(ですよ)ねぇ~。ありがとうございます。

▼キャスティング

伊藤さとり
そこのキャスティングも流石と思うんですけれども、円井さんが本当にもう看護師さんにしか見えないというか。

©2024 VIPO

円井わん
本当ですか?

伊藤さとり
本当にね、分身度が高いというか。
どうやってあのキャラクターが出来上がっていったんですか?お2人の中では。

円井わん
でもほぼほぼ監督っていうところもあるんで、いろいろと話を聞いて、もうめちゃめちゃ監督に寄せようとも思っていたんですけれども。
ただ、監督ってめっちゃ涙もろいんですよ。あのね。演技したら泣いてるんですよ。
結構。ワンカットごとかな。
それくらい泣いていたので、「そこまでじゃないな…」と。
そういうところもちょっといろいろやりつつ。

あと、私は看護師の友達がめちゃめちゃ多いんですね。その人に話を聞いたりとかして、ちょっとすり合わせさせていただいたって感じですね。

円井わん

▼「命を乗り越えるもんじゃない」

伊藤さとり
「命を乗り越えるもんじゃない」っていうセリフがね…。

円井わん
やばいですよね。

伊藤さとり
あれはいい言葉ですよね。あれはどこから生まれたんですか?あのセリフは。

野田麗未監督
でも本当にいい言葉ですよね…とか調子に乗ってごめんなさい。ちょっと突っ込んでいただけるかなと思って言っちゃいましたけど。
決定稿になるときに、あそこのシーンのセリフは変えたんですよね、確か。
もうちょっと綺麗な言葉で書いていたんですけれども、もっともっと深い言葉、自分にしか出せないような言葉ってないのかっていうのを、最後の脚本の詰めのときにプロデューサーの方だったり、助監督の方と一緒に話して、最後の最後に絞り出したセリフだったかなと思っています。

伊藤さとり
すごいね、決め台詞がバンバンバンと入ってないところに。そこにさっと入っているのがまた
いいですよね。

野田麗未監督
私も思いました。

▼監督の演出について

伊藤さとり
東さんはね、新米っていうところもあって、でも専門用語でいろいろと喋ったり学んだりすることもあったと思いますが、どうでしたか?今回の監督との演出について印象に残ってることは。

東龍之介
そうですね実年齢が円井さんより僕の方が年が上なので。
22歳の役をやらなきゃいけなかったので、お芝居してるとき最初の段階で、僕が出ちゃうと、ちょっと悟ってしまうような言い方だったりしちゃうので、「そこはあまり大人にならないで欲しい」っていうことをずっと言っていただいていました。
そういう細かいセリフの言い方とかではなくて、気構えというか、“どういうスタンスで彼は生きているのか”というようなこととかを、監督からお話しいただいてやらしていただきました。

©2024 VIPO

伊藤さとり
まさにそのね。新人の頃とベテランになってきてからの分身っていうのがここであるという。

伊藤さとり
霧島さんの役は本当に患者側の家族ですよね。でもそこはあんまり深く描く時間もない中で、そこも全て汲み取るっていう役どころで、どんな演出を受けたりしたんですか。

霧島れいか
そうですね…鷲尾さんはもう本当に自分の母親に似ているところもあったので、そういった意味でもすごく感情を込めやすかったのでありがたかったんですけど、 納得がいかないと、監督 は何度でもやらさせていただけるので、それもありがたかったんですけど。
でもあまり考えすぎずに、いつ自分に起きてもおかしくないことなので。
そういう意味では一度、私も母が倒れたこともありましたし、病院にもそういった意味では、何度か行ったことがありますので、気持ちは込めやすかったっていうのもありますが。

でも印象的だったのは、さっきも話が出たように、カットがかかるために監督が涙してくれるっていうのが、こっちとしても嬉しいやら…
なんかちょっと笑っちゃいけないんだけど…

©2024 VIPO

▼監督の涙

円井わん
(これが)ずっと続くんだなと思いましたね。1日目、初めて監督が泣いたときに。
「これ続くんだ」って。

霧島れいか
私もそれにつられて泣けてきちゃったりとかして、なんて温かい現場なんだろうなとか。
ちょっと珍しいぐらい…初めてかなっていう感じですね。なんか私より先に泣いている監督って。

▼手のアップ

伊藤さとり
しかも映画を観ていて思いますけど。手をアップで撮るところも結構監督ね、手のシーンが多かったじゃないですか?そこはカメラマンさんと話し合いながらどうやって?

野田麗未監督
そうですね。手はすごく大事にしたいなと思っていて、医療者だった自分は、患者さんとかご家族に何かを渡す仕事・渡すことが大事だと思っていたんですけど、結局その患者さんだったり、ご家族にもらって助けてもらってるんだなっていうのを脚本を書きながら、だんだんとわかってきて、そのもらう・渡すっていうものを大事にしたくって、カメラマンの方と手のカットを印象的に撮りたいっていうのは、お話ししました。

▼40回!?

伊藤さとり
そして、はっしーはっぴーさんの、冒頭のところは、ラストのところだけですか?倒れてるあそこもそのまま。

野田麗未監督
はっしーさんだったり、人形だったり..
皆さんが運転免許を取るときの人形だったり、。

はっしーはっぴー
俺、あのときは本当にやられるのかと思ってめっちゃ怖かったですもんね。

円井わん
そんなことあるわけないじゃないですか(笑)

はっしーはっぴー
いやでもあのときも口から泡を出すっていうシーンなんですけど、監督がすごいこだわっていて、いろんな種類のラムネを噛んで出してみたいなことをいろいろとやったんですけど、もう美味しくて食べちゃって、吐くってことをしないから、あそこで40回ぐらい撮り直しましたよね。

全員
そんなではない!

東龍之介
はっしーさんのシーンでは監督は泣いていなかったですよね。

伊藤さとり
でもあの円井さんのね、人形に乗っているところ(心臓マッサージ)もすごいリアルというか。

円井わん
あれめちゃめちゃしんどくて、本当に心臓マッサージの大変さをそこで知って、マジで筋肉痛になっちゃうっていう。本当に大変だなと思いました。

▼今後のテーマ

伊藤さとり
それでもやっぱり監督がね、経験されてることだからこそすごく細部にわたった・リアルだったと思うんですけど、今後、ご自分でどんなテーマに興味があるとかどういったものを撮れたらいいなとかありますか。

野田麗未監督
限定してこういうジャンルがいいっていうことではないんですけど、多分今書いているプロットだったりとか、今後やっていきたいものを全部見ていると、家族だったり、他者との繋がりみたいなものと命・生死に関しての何かは必ず入ってるような気がするので、どういうジャンルの作品をこれからも撮ることになっても、そういったことは何か大事に作っていけたらいいなと思っています。


作品タイトル:光はどこにある

監督氏名:野田麗未(NODA Remi)

出演者:             円井わん  東 龍之介 霧島れいか 鷲尾真知子

©2024 VIPO

スタッフ:          監督・脚本:野田麗未

製作総指揮:松谷孝征(VIPO理事長)
製作:特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)
プロデューサー:堀慎太郎
音楽:コトリンゴ
撮影:山崎裕典
照明:山田和弥
録音:大竹修二
美術・装飾:KEN
衣装:江頭三絵
ヘアメイク:唐澤知子
編集:宮島竜治
リ・レコーディングミキサー:喜多真一
助監督:石井純
制作担当:古川卓也
看護監修:夏目実幸
キャスティング:渡辺有美

作家推薦団体:TMS東京映画映像学校
制作プロダクション:RIKIプロジェクト
上映年・フォーマット・上映時間・コピーライト:2024年/カラー/ビスタ/30分/©2024 VIPO

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