名匠 チャン・リュル監督の最新作「柳川」 監督・キャストの来日決定、絶賛コメント到着

名匠 チャン・リュル監督の最新作「柳川」 監督・キャストの来日決定、絶賛コメント到着

九州・柳川を舞台に日中のスター俳優が共演した名匠 チャン・リュル監督の最新作『柳川』が 12 月
30 日(金)より新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開されます。福岡のKBC シネマでは先週 16 日(金)より現在、先行公開中。
12 月 23 日(金)からは、監督の過去作を 2 本、日本では劇場未公開の『群山』(18)と、ベルリン国際映画祭フォーラム部門に出品された『福岡』(19)を新宿武蔵野館、KBC シネマ、横浜シネマリンほか順次限定上映される。

柳川

リュル監督は、韓国、中国で活動する中国出身の監督で『キムチを売る女』(07)、『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』(14)、『春の夢』(17)などが日本で劇場公開されており、ヴェネチア、カンヌ、ベルリンなど世界の三大映画祭で高く評価されてきた。『柳川』は、『福岡』(19)に続き、日本を舞台にした第 2 弾作品となる。
そして、この度、日本での公開を前にリュル監督と映画『福岡』に出演しているクォン・ヘヒョ、ユン・ジェムンの来日が急遽決定。12 月 23 日、24 日には KBC シネマにて、25 日・26 日には新宿武蔵野館でリュル監督のトークイベントを実施し、27 日には、KBC シネマにてクォン・ヘヒョ、ユン・ジェムンのトークイベントを実施(※詳細は劇場 HP まで)。年末・年始は、リュル監督の作品世界を存分に堪能できる機会が各劇場で展開される。

そんな中、本作を一足早くご覧になった、リム・カーワイ監督、作家の東山彰良など、国際色豊かな著名人からのコメントも到着した。

柳川

■ 映画『柳川』

喪失感にとらわれた男女の心情を静かに映し出す人間ドラマ ―
九州・柳川を舞台に日中のスター俳優が共演した
名匠 チャン・リュル監督の最新作!

【STORY】
中年になり自分が不治の病であることを知ったドン(チャン・ルーイー)は、長年疎遠になっていた兄・チュン(シン・バイチン)を柳川への旅に誘う。柳川は北京語で「リウチュアン」と読み、2 人が青春時代に愛した女性「柳川(リウ・チュアン)」と同じだった。20 年ほど前、チュンの恋人だったチュアンは、ある日突然、姿を消してしまったが、今は柳川で暮らしているという。誰にも理由を告げずに消えた彼女の存在は、兄弟の中で解けない謎になっていた。2 人は、柳川でついにチュアンと再会する・・・。

柳川

▼寄せられたコメント

リム・カーワイ(映画監督)
2004 年春に香港国際映画祭でチャン・リュル監督の衝撃的なデビュー作『唐詩』を見た。上映後の懇親会ですぐ友達になった。同じ年の秋に私が北京に留学した際に借りたアパートがなんと『唐詩』の撮影で使われた部屋だった事を、後にチャンさんから教えてもらった。『柳川』は福岡県柳川市を舞台にしているが、『柳川』を見終わる頃には何故か当時北京でチャンさんと連れ立ってよく飲み歩いた後海と鼓楼の路地の思い出が蘇り、また北京に行きたくなった。日中の真の友好はこういうささやかな偶然から始まるとふと思った。

カトウシンスケ(俳優)
伝えられぬ想いが、生と死の狭間のような町を揺蕩う。”失う”という本質的な衝撃に胸が締め付けられる。
シンドイ事全部、はぐらかしてはぐらかして、笑い飛ばせたらいい。抱えきれないこの想いを笑い飛ばせたらいいなあ。。
そうはし切れないこの想い達の残骸を映画館を出た後もそっと抱きしめたいと思う。ぎゅうう。

ミヤザキタケル(映画アドバイザー)
映画の世界観に浸る。そんな言葉を時折耳にするが、チャン・リュルが描く世界観にこそ、その言葉は相応しい。彼が紡ぐ映画的文脈に身を委ねることができたのなら、そこには唯一無二の映画体験が待っている。願わくば、本作の前後に過去作『群山』『福岡』もご覧頂きたい。より奥深い領域にまで浸ることができるはずだから。


山本由貴(俳優・モデル)
「憶えている」って何だろうとよく考える。水陰に隠れたその記憶は後悔とも違うもの。そこには色や匂い湿度があって、触れることもできる気がして、ただ、だからこそ距離を置いていたりする。私に流れる豊かな時間を感じるために、会いたい人に、会いに行く。チャン・リュル監督作品からまた自分を覗かれているようだった。

隈元博樹(映画作家)
見ず知らずの地に赴こうとも、そこに言語の壁があろうとも、ある日の愛について語り合う恋人たちの姿が素晴らしい。まばゆい記憶と儚き歌に寄り添うならば、”柳川”という名の女性は流れる水のように煌めき、それを見守る男性は穏やかな美しさを手にする。

辻野裕紀(九州大学大学院 言語文化研究院 准教授)
過去の忘れられぬ恋が旅にいざなうのは『福岡』と相似するが、その趣は大きく異なる。終わりの始まり、喪失の遍在――末期がんの宣告から始まる本作には、死の影がゆらゆらと揺曳し、その律動はあたかも柳川の水路の如くだ。柳川の情景は北京の後海での追憶と二重写しになり、時間を遡航する旅へと変色していく。チャン・リュル監督作品の通奏低音とも言えるポリグロット性は本作にも響いているが、ヤナガワ=リウチュアンにデュアルな意味を付与したり、言語の威信性を剔抉したりするなど、『柳川』は他二作以上に「ことば」が重要な役割を果たしているように感ぜられた。


池田園子(プレスラボ代表)
水で満ち、流れを止めない川のように。大人になった私たちも例外なく変わったけれど、特別なあの日に戻る瞬間だけは「変わらなさ」が愛おしい。水郷柳川を舞台に描かれた、忘れられない人を想い出す物語。

田島安江(書肆侃侃房)
映画「柳川」の主役は掘割である。謎に満ちたその色、香り。末期がんに冒されたドンとその兄チュンの兄弟ふたりと柳川で再会したチュアン。男女の混沌とした物語はすべてが幻。眼裏に残るのは水、水、水。水を通して浮かびあがる生と死、夢と現。見慣れた柳川の風景がそれぞれの人たちの引き返せない人生を映し出す。柳川に行ってもう一度、映画のシーンに入り込んでみたくなる。切なく、温かく、心に響く映画だ。

東山彰良(作家)
愛はいつも報われるとはかぎらないけれど、だからといって愛することをやめてしまえば、それまでのすべてが嘘になってしまう。見返りを求めるな。本作からはそんな声が聞こえてくる。見返りを求めないかぎり、たとえその心残りを愛と呼んだとしても、あながち間違いではないのだから。

レイラ・ハタミ、第 28 回ヴズール国際アジア映画祭審査員
非の打ちどころなく語られる力強い物語に基づいた、美しくたくましい映像は、私たちを兄弟の結び付きと愛の発見へと導いてくれる。

ドーラ・ラール、タリンブラックナイト映画祭プログラマー
個人の記憶を深く見つめることで、些細な出来事が時に人生の行方をも、決定付けると教えてくれる物語。チャン・リュル監督は、雲間から覗く満月の光に照らされた柳川の運河を漂うように観客を引き込む、この本質的で生命力に満ちた映画を細部にわたって演出している。

柳川

『柳川』
監督・脚本:チャン・リュル
出演:ニー・ニー、チャン・ルーイー、シン・バイチン、池松壮亮、中野良子、新音 ほか
配給:Foggy/イハフィルムズ (2021 年|中国|112 分)

公式サイト:https://movie.foggycinema.com/yanagawa/
Twitter @yanagawa_movie


12月30日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

柳川


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