第78回毎日映画コンクール、スポニチグランプリ新人賞『さよなら ほやマン』アフロ。映画というものに初めて触れ、情熱の賜物だなと素直に思った。

第78回毎日映画コンクール、スポニチグランプリ新人賞『さよなら ほやマン』アフロ。映画というものに初めて触れ、情熱の賜物だなと素直に思った。

第78回毎日映画コンクールが、2024年2月14日にめぐろパーシモンホールで開催された。スポニチグランプリ新人賞(男性)には、映画『さよなら ほやマン』で、豊かな海に囲まれた美しい島で一人前の漁師を目指す阿部アキラ役を演じたアフロが受賞した。本記事では、本サイトのコンセプト(1st)にちなみ、映画初主演(First Starring role)となるアフロにスポットをあて、受賞時の喜びの声を取り上げ、表彰式にて発表された受賞結果を写真と受賞コメントで紹介。

2人組バンド「MOROHA」のMCアフロがアキラ役で映画初主演

目次

■ 第78回毎日映画コンクール 表彰式

▼スポニチグランプリ新人賞(男性):アフロ「さよなら ほやマン」

生島ヒロシ(司会)
スポニチグランプリ賞1人目は「さよならほやマン」にご出演されましたアフロさんです。
おめでとうございます。
さあ、どんな喜びの言葉が出てくるんでしょうか。here we go!

アフロ
ありがとうございます映画「さよなら ほやマン」で阿部アキラ役を演じましたアフロと申します。なんかレッドカーペットのオバケみたいな格好で出てきてすいません。


ちょっとでも賑やかになればいいなと思い、そして制作陣のですね魂が乗っかったこのスーツでこの場所に立てていること、非常に嬉しく思っております。

この賞ですね同時に共演の黒崎煌代がノミネートしておりまして、自分は黒崎が取るもんだと思って悠々と構えていたんですけど、おそらくあの審査員の方が俺の勢いに押されて、自分に賞をくれたんだろうなと。
10年後20年後、きっと黒崎の活躍を見て、きっと審査員の方たちが少し照れるっていう、そんな未来
を想像しております。

ですがそのときに自分自身も人間として輝いて、(審査員が)「うん、でもアフロでも悪くなかったな」と思ってもらえるような未来を作っていきたいなと思っております。

映画というものに初めて触れたんですけれども、情熱の賜物だなと素直に思いました。
その情熱に賞をいただけたんだと思っております。今日は素晴らしい賞をいただきありがとうござい
ました。


生島ヒロシ(司会)
「さよならほやマン」の監督の庄司輝秋様、会場にいらっしゃいますのでお越しいただきましょう。
庄司監督どうぞステージにお願いいたします。どうも本当におめでとうございました。
まず監督、もうアフロさんがしっかり受賞されましたけど監督としてはどうですか。

庄司輝秋監督
この人のエネルギーっていうものを特別なものがあるのかなと思ったので、そのエネルギーをこの
映画の魂だなと思ってるので、すごく嬉しく思います。

生島ヒロシ(司会)
どうして彼を今回のアキラの役に決めたんですか。

庄司輝秋監督
新人賞って、一生に一回しか取れないと思うから、ほやマンスーツじゃなくていいんじゃないって思っ
たって言ったんですけど、どうしてもこれででたいと。
「さよなら ほやマン」という映画はまだまだなかなか知られていないから、この格好で1人でも多くの
方に伝えたいです…というもがきのようなものがすごくあって、そのもがきっていうのはこの映画の一つ
のテーマだったので、そういうもがきっていうことを恥ずかしげなく堂々とやるこの人の魅力っていうものがこの映画に必要だと思って、それでキャスティングしました。


生島ヒロシ(司会)
アフロさんのMCとしても活躍されていますけど、どうですか、この映画出演をきっかけにもっとやっ
ぱり映画俳優に挑戦してみたいとか、そんな気持ちになりましたか。

アフロ
お仕事をいただけるとありがたいなと思うんですけれども、僕はやっぱりミュージシャンが基礎にあって、そこでの輝きを見て、監督がお話をくださったと思っているので、音楽を一生懸命頑張っていきたい。
その姿に何かこの情熱が必要だなと思ってる方が現れてくださったら、一緒に何か作れたら嬉しいなと思っております。

生島ヒロシ(司会)
映画と音楽作りは違いますよね。


アフロ
そうですね本当にこんなに誰かのおかげと思いながら仕事できることがなかったので、すごく充実し
た体験でした。


▼スポニチグランプリ新人賞(女性):サリngROCK「BAD LANDS バッド・ランズ」

サリngROCK

この賞は、私は私への賞じゃないと思っています。
私みたいなものを初めて映画に出させていただいて、作り上げてくださった原田監督への賞と思いますし、お芝居の場で演技を引き出してくださった安藤サクラさん、山田涼介さん、共演者の皆さんへの賞やと思いますし、その環境を作ってくださったスタッフの皆さんへの賞だと思っています。
映画「BADLANDS」での賞やと思ってます。
映画「BADLANDS」を代表してここに立たせていただいて本当にありがとうございます。


▼ドキュメンタリー映画賞:「『生きる』大川小学校 津波裁判を闘った人たち」(寺田和弘監督)

この毎日映画コンクールのドキュメンタリー映画賞受賞を記念して、3月から全国の映画館でアンコール上映が行われます。
1人でも多くの方にこの映画を見ていただきたいと思っています。
そして、大川小学校に来ていただき、遺族の方々の話に耳を傾けてください。よろしくお願いします。


▼アニメーション映画賞:「アリスとテレスのまぼろし工場」(岡田麿里監督)

今回はこのような素晴らしい賞をいただき、本当にありがとうございました。
ずっとアニメーション映画賞に憧れてきて、その憧れを前のめりに詰め込んだ作品になっています。
完成した画面を見て、その時々も葛藤であるとか、情熱であるとか、良いとか、いいことも悪いことも、全てが画面に現れているなと思いました。
そんなスタッフ1人1人の物が込められた画面を作品を評価していただけたことを本当に嬉しく思っています。今回本当にありがとうございました。


▼大藤信郎賞:「君たちはどう生きるか」(宮崎駿監督)

代理登壇:鈴木敏夫(スタジオジブリプロデューサー)

ジブリには宮﨑以外にもうひとり、高畑勲という監督がかつておりまして、亡くなっちゃったんですけど、「これ(大藤信郎賞が)欲しいな」って言っていました。
残念ながらね、「風立ちぬ」の時に賞が取れなくてね、悔しがっていたという。


▼特別賞:鈴木敏夫(スタジオジブリプロデューサー)


▼TSUTAYA DISCAS映画ファン賞・外国映画部門:「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(ダニエル・クワンダニエル・シャイナート監督)

代理:松下剛

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」こんな長いタイトルを
映画ファンの皆さんに選んでいただいて、こんな長いタイトルを覚えていただいたことにまず光栄です。

▼TSUTAYA DISCAS映画ファン賞・日本映画部門:「劇場版 美しい彼~eternal~」(萩原利久、八木勇征)

萩原利久の気持ちも背負って、このステージへ登壇させていただいてますので、こう
してこのような賞をいただけて本当に幸せな気持ちでいっぱいです。

▼撮影賞:鎌苅洋一「月」



▼美術賞:上條安里「ゴジラ-1.0」 



▼音楽賞:ジム・オルーク「658km、陽子の旅」 



▼録音賞:志満順一「せかいのおきく」 


▼脚本賞:阪本順治「せかいのおきく」 

▼監督賞:石井裕也「月」


▼外国映画ベストワン賞: 「TAR/ター」(トッド・フィールド監督)

代理:水野貴夫


▼田中絹代賞:薬師丸ひろ子

司会者による手紙代読

薬師丸ひろ子さんからのお手紙

薬師丸ひろ子です。この度は、栄誉ある賞を賜り、誠にありがとうございます。
私は13歳のとき、「野生の証明」という作品のオーディションで選ばれ、映画の世界の皆様に育ててもらってきました。
そんな私が、日本映画界に燦然と輝く大先輩のお名前を冠した賞を頂戴することは、身に余る光栄です。
10代から20代にかけて、古い映画を貪るように見ていた時期があり、田中さんがご出演なさった作品をたくさん拝見しました。
今回受賞の知らせを聞き、「おかあさん」、「雨月物語」、「西鶴一代女」といった作品を何本も見直し、田中さんの偉大さを再認識し、ちょうど重みを知りました。田中さんは作品の中で、それぞれのシーンをどう成立させるか、周りのこと全てに配慮して、正しく監督のように画面を采配していらっしゃるように感じました。だからその姿から一瞬も目を離せません。
着物の裾さばき、畳を掃き掃除する仕草。目が覚めるような美しい所作の一つ一つが勉強になり、惹きつけられました。
賞をいただき、この年齢で改めて田中さんの素晴らしい作品に触れた私に、田中さんは人生を重ねているからこそできる役があるということを教えてくれたのだと思っています。
私はまだまだやらなきゃいけない、ちょっとでも田中さんに近づきたいと思いますし、そうしなきゃいけないような、「もっと頑張んなさいよ」という声が聞こえた気がしています。
その声に応えられるよう、これからも励んでまいります。
この度は本当にありがとうございました。


▼女優助演賞:広瀬すず「キリエのうた」

岩井俊二監督が花束をもってお祝いに

岩井俊二監督
もういろんなポテンシャルを持ってる広瀬さんだと思うんですけど、今度はね。ぜひ120%共鳴し合う役をお願いします。ぜひぜひ全力でもう広瀬すず120%全開映画を。

▼男優助演賞:宮沢氷魚「エゴイスト」


▼女優主演賞:杉咲花「市子」 


▼男優主演賞:鈴木亮平「エゴイスト」  



▼日本映画優秀賞:「ほかげ」(塚本晋也監督)


▼日本映画大賞:「せかいのおきく」 (阪本順治監督)


▼受賞者 フォトセッション


第78回毎日映画コンクール 受賞結果


日本映画大賞:「せかいのおきく」(阪本順治監督)
日本映画優秀賞:「ほかげ」(塚本晋也監督)
外国映画ベストワン賞:「TAR/ター」(トッド・フィールド監督)
男優主演賞:鈴木亮平「エゴイスト」
女優主演賞:杉咲花「市子」
男優助演賞:宮沢氷魚「エゴイスト」
女優助演賞:広瀬すず「キリエのうた」
スポニチグランプリ新人賞(男性):アフロ「さよなら ほやマン」
スポニチグランプリ新人賞(女性):サリngROCK「BAD LANDS バッド・ランズ」
監督賞:石井裕也「月」
脚本賞:阪本順治「せかいのおきく」
撮影賞:鎌苅洋一「月」
美術賞:上條安里「ゴジラ-1.0」
音楽賞:ジム・オルーク「658km、陽子の旅」
録音賞:志満順一「せかいのおきく」
アニメーション映画賞:「アリスとテレスのまぼろし工場」(岡田麿里監督)
大藤信郎賞:「君たちはどう生きるか」(宮崎駿監督)
ドキュメンタリー映画賞: 「『生きる』大川小学校 津波裁判を闘った人たち」(寺田和弘監督)
TSUTAYA DISCAS 映画ファン賞・日本映画部門:「劇場版 美しい彼~eternal~」
TSUTAYA DISCAS 映画ファン賞・外国映画部門:「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
田中絹代賞:薬師丸ひろ子
特別賞:鈴木敏夫(スタジオジブリ プロデューサー)


毎日映画コンクール概要
毎日映画コンクールは1946 年(昭和21 年)、日本の映画産業の振興に寄与し、国民に映画の楽しさを広く伝えることを目的に、毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社によって創設された国内最高峰の映画賞です。演技、作品はもちろん、撮影や美術、録音などのスタッフ、日本映画を代表する名女優田中絹代の名を冠する賞など、幅広い部門を設けていることが特徴です。
各賞は、第一線で活躍中の映画評論家やジャーナリスト、専門家など約70 人が選考にかかわり、毎日映画コンクールはその歴史と伝統とともに、選考の厳正公明さによっても映画業界から高い評価を得ています。
第75 回から表彰式の開催地は都内へと戻り、目黒区の協力を得て「めぐろパーシモンホール」での開催を予定しています。今後も、一般にも開かれた映画賞として毎日映画コンクールは成長を続けていきます。


第78回毎日映画コンクール


<対象作品>
2023 年1 月1 日から12 月31 日までに国内で14 日間以上、有料で劇場公開された作品。
なお、アニメーションおよびドキュメンタリー部門は、同期間に完成もしくは上映された作品が対象。


<表彰>
▽作品部門=日本映画大賞 日本映画優秀賞 外国映画ベストワン賞
▽俳優部門=男優主演賞 女優主演賞 男優助演賞 女優助演賞 スポニチグランプリ新人賞
▽スタッフ部門=監督賞 脚本賞 撮影賞 美術賞 音楽賞 録音賞
▽ドキュメンタリー部門=ドキュメンタリー映画賞
▽アニメーション部門=アニメーション映画賞 大藤信郎賞
▽TSUTAYA DISCAS 映画ファン賞 ▽田中絹代賞 ▽特別賞


<表彰式>
2024 年2 月14 日、めぐろパーシモンホール(東京都目黒区八雲1 の1 の1)
主催 毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社
共催 目黒区芸術文化振興財団
特別後援 カルチュア・エンタテインメント、CCCMKホールディングス
後援 経済産業省、文化庁、日本映画製作者連盟、映像文化製作者連盟、ユニジャパン、映像産業振興機構(VIPO)、目黒区
協賛 映画演劇文化協会、えがお、集中出版、スマイルコミュニケーションズ、セーフティーステップ、東急グループ、東日印刷、ハナマルキ
協力 エース、黒谷美術、芸游会、コレド室町、サッポロビール、下関市(山口県)、シモンズ、Base KOM
<公式HP>https://mainichi.jp/mfa/

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