映画『生きててごめんなさい』、「自分らしく生きていきたい」穂志もえかインタビュー

映画『生きててごめんなさい』、「自分らしく生きていきたい」穂志もえかインタビュー

2023年2月3日(金)より、映画『生きててごめんなさい』がシネ・リーブル池袋、ヒューマントラストシネマ渋谷、アップリンク吉祥寺ほか、全国順次公開される。今回、本作ヒロイン清川莉奈を演じる穂志もえかさんにお時間をいただき、作品にまつわるエピソードをお話しいただきました。

穂志もえか

■映画『生きててごめんなさい』穂志もえかインタビュー

▼映画のタイトルの文字(題字)ついて

-メインビジュアルに書かれた手書きの文字は、穂志さんが書かれたそうですが、どういった経緯で書くことになったのでしょうか?

穂志もえか
藤井道人プロデューサーから「題字を直筆で書いてほしい」という相談が突如ありまして、書かせていただきました。

-SNSで「ブワッと思いのままに」とつぶやかれていましたが、書く時の気持ちはいかがでしたか?

穂志もえか
莉奈の気持ちでこの言葉を表現したかったので、莉奈を再び召還させました。
そんな莉奈の気持ちでこのタイトルを言葉に出しながら、「生・き・て・て・ご・め・ん・な・さ・い」といった感じで書き上げました。

生きててごめんなさい

-書き上げた時の紙やペンはどういったものだったのでしょうか?

穂志もえか
突如いただいたお願いで、まっさらな紙が手元に無かったので、用紙を買って自宅にあった太いマッキーで、わかりやすく書き上げました。

▼スタッフに支えられた想い出

-「スタッフさんたちに支えられまくった撮影期間」とつぶやかれていましたが、撮影時のスタッフさんからの支えの想い出についてお聞かせください。

穂志もえか
ベテランのスタッフさんたちがいらっしゃったので、とても心強かったです。
たくさんの経験をしているからこその、「こういう時はこうしたらいい」といった、トラブルがあった時の対処法や、現場の雰囲気、技術面でも支えられていることを感じました。

中でもメイク部は、役者にとって距離が近い部署の一つだと思うのですが、ヘアメイクさん達にも支えていただき、撮影中に色んな話をしたのを覚えています。「穂志さんのお芝居が好きなんです。」という言葉をストレートにいただく経験があまりなかったので、そういったことも糧になって、莉奈として突っ走ることができました。

穂志もえか

▼一緒にモノ作りをしている感覚

-「一緒にモノ作りをしている感覚が強くて嬉しかった」とつぶやかれていましたが、それを感じたエピソードをお聞かせください。

穂志もえか
私がベッドの上で寝転がっているシーンの時に、照明部の方がいろんな道具を使って絶妙な光を作り出してくれました。照明部や、美術部、各々が専門のプロ的な技術を持ち寄って一緒に作り上げている感じがして、嬉しかったです。皆さん優しい方たちでした。

▼穂志さん自身の表現について

-演じられた莉奈は、出版社・編集の場での自身の言葉を評価される様子が描かれています。穂志さん自身も独特で素敵な言葉の表現をすると思っています。心がけていることや、表現の元になっているものがありましたらお聞かせください。

穂志もえか
私は言葉で伝えることが苦手なので、文字で表現するほうが落ち着いてできるんです。
誤解されることが多い人生だったので、伝えたいことがそのまま伝わるにはどうしたらいいか、何度も考えられる文章が好きです。
芝居は役を通しての表現になりますが、文章での表現はわりと穂志もえか自身のままでの発信になっていると思います。
相手の心に残ってほしいと思うので、自分の中で読んでみて、リズムは大事にしています。

-大学が文学部のご出身なので、文章の読み書きがお好きなのかなと思いましたがいかがですか?

穂志もえか
文学部出身ではありますが本を読むのが遅いんです。ただ、“著書“が面白いと思うのは、小説であれば世界観の完成形だし、論文や調べ事をして出会う本は、その人の調査の成果だと思うからです。
ネットに転がっている正確性が曖昧な情報ではなくて、“著書”ってその人の作品・傑作に感じるので、他人の頭の中や成果に触れられる本って貴重で偉大だなと思っています。

-バンクーバーに行かれて8ヶ月間連載記事を執筆されているので、劇中の莉奈の言葉にも、どこか穂志さんの気持ちや言葉が出ているように感じ、穂志さん自身との繋がりがあるのかと考えました。

穂志もえか
莉奈のセリフについては、監督があまりガチガチに固めていたわけではなかったので、いくつか私が足した部分もあります。
そういった意味では、私の言葉との繋がりはあると思います。
カナダ(バンクーバー)へ行ったのは、本作の撮影の3カ月後で私自身、「莉奈も海外が合うのかもしれない。」と思うことがありました。

穂志もえか

▼莉奈を演じるにあたって心がけたこと

-穂志さんが演じた莉奈は、自信なさげで、自己評価が低いキャラクターだったと思うのですが、莉奈を演じるにあたって、心がけたことはありますか?

穂志もえか
莉奈には共感できる部分もありましたが、「莉奈は今、環境でそうなってしまっているだけ。今までの環境がちょっと合わなかっただけ。」と、常に莉奈の味方でいるようにしていました。

最初に脚本を読んだ時から、“言葉で説明できない理不尽さに見舞われがち”なところは、自分も似たような経験があると思った部分です。
私は莉奈のように、あそこまで思い切ったことはできませんが(笑)

みんなと同じことをしているのに、なぜか私だけおかしなことになってしまうことが私の人生にはかなり多かったんです。
そのたびに「狙ってやったんじゃないか」と言われ、腫れ物に触る・白い目で見られるといった経験もありました。

カメラの前では、「莉奈と私のどちらなんだろう?」と境目がぼやけたような状態で立っていました。監督と莉奈についてたくさん話し合い、莉奈を信じて突っ走りました。

▼最初に脚本を読んだ感想は?

-インパクトのあるタイトルだと思うのですが、最初に脚本を読んだ時の感想っていかがでしたか。

穂志もえか
最初に脚本を読んだのはオーディションの前でした。とても魅力的な内容だったので、私がやるべき役と強く思いました。
莉奈は環境によって辛い思いをしてきたけど、分かり合える友達はいるはずだと。
当初の終わり方は、完成した映画と全く違ったんですが、監督が当初のエンディングを乗り越えた後の二人も見たいとのことで、もう少し長い期間の二人を描いたような形になったのが現在の映画です。
内容としては共依存っぽい恋愛、相手を否定して自分が優位な気持ちを味わうといった、身近に往々にしてある話なのではないかと思いました。

▼穂志さんの好きなもの

-本作ではチワワとの共演がありますが、穂志さんは動物好きとのことで、ご自身は猫(マンチカン)と暮らしているそうですね。名前が“もみじ”(愛称は、もみ)というそうですが、名づけの由来はありますか?

穂志もえか
いくつか名前の候補があったのですが、呼んでみてしっくりきたのと、彼女の毛並みがグレーっぽい色をベースに茶色い部分が少し混ざっていて、それが紅葉みたいでかわいいなと思って、“もみじ”と名づけました。

-作品の中では、チワワと共演されていますが、撮影時のエピソードをお聞かせください。

穂志もえか
とても静かで、ものすごくお利口なプロの役者犬でした。役者犬の“ラムネちゃん”として動物プロダクションに所属しているのですが、体は“もみ”よりも小さかったです。
そんなチワワを抱っこしながら命の重さを感じることができました。
作品の中で殺処分ではありませんが、そういった描写(ペットにまつわる闇、引き取り屋)があった為、ラムネちゃんと触れ合うことで、あのシーンでの莉奈の思いの強さや、守りたいという気持ち、動物が殺されてしまう理不尽さに対しての思いはさらに強くなったと思います。

▼最近始めたもの

-SNSでのつぶやきによると、最近自主的にアクションを始められたそうですが、そのきっかけは?

穂志もえか
アメリカテレビシリーズ『SHOGUN』の撮影で真田広之さんと知り合ったのが一番大きいきっかけです。
これからも海外の作品にもチャレンジしていきたいと思っていて、アクションが必須というわけではないのですが、条件としてあるようにも感じるので、身に付けておきたいと思いました。
簡単なことではないのですが、少しでも基礎を身につけていけたらいいなと思っています。「アクションもできます。」と言ったら、日本でもまた違ったお仕事に挑戦できるようになると思っていて、
私はまだまだやっていないことがたくさんあると考えて、色々と挑戦しているところです。

穂志もえか

▼SNSアカウント名について

-先ほど、演じた莉奈への共感の話がありましたが、Twitterのアカウント名が「@moehamegenai」で、“めげない”=“負けない”、“ひるまない”といった意味であることに興味を持ちました。このアカウント名をつけた時の気持ちなどお聞かせください。

穂志もえか
アカウント名に関しては、わりと適当につけていたりするのですが、私もまわりが「あれ!?」と感じるような事件を意図せずに起こすことがあって、そういったことに負けずに、自分らしく生きていきたいと思い、このアカウント名をつけました。「めげない!」というのは、今でも心のベースにある気持ちかもしれません。

▼共演者とのエピソード

-共演者とのエピソードをお聞かせください。黒羽麻璃央さんとのケンカのシーンがすごいと思いました。監督藤井プロデューサーも「嫉妬するほど」とコメントされていましたが、そのエピソードをお聞かせください。

穂志もえか
ケンカのシーンは、撮影を重ねれば重ねるほど黒羽さんが、今までの彼から崩れていくのを感じました。

段々と堕ちていく姿は、役者として少しうらやましくもありました。

あの時、ラムネちゃんがとても良いタイミングでウロウロしてくれたんです。

■お客様へのメッセージ

-お客様向けのメッセージをお願いします。

穂志もえか
莉奈と修一の表面のみをキャッチしてしまうと、共感できないこともあるかもしれませんが、
描かれていない(映像になっていない)部分について、その人がどういう生い立ち・経験を経て、今そうなっているのかという所も想像していただけると、より楽しめて深みのある作品になると思います。

穂志もえか

ヘアメイク:川又由紀(HAPP’S)
スタイリスト:前田勇弥
衣装:ブラウス(¥18,150)、パンツ(¥18,920)
グラムトーキョー(LAYMEE) 03-3746-9950


■穂志もえか プロフィール
1995年8月23日生まれ。千葉県出身。上智大文学部卒。特技はバレエ、アルゼンチンタンゴ。 2017年に女優デビューし、昨年は映画「窓辺にて」(今泉力哉監督)に出演。2021年は映画「花束みたいな恋をした」(土井裕泰監督)や「街の上で」(今泉力哉監督)でヒロインを好演。ドラマでは「大豆田とわ子と三人の元夫」主人公・大豆田とわ子(松たか子)の勤める住宅建設会社経理部員・羽根子や「グラップラー刃牙はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ」主人公あかね(松本穂香)の友人・ちこなどキャラクターの強い役を演じた。現在、TBS金曜ドラマ「100万回言えばよかった」に出演中。主要キャストの一人として真田広之も参加しているアメリカテレビシリーズ「SHOGUN」の放送が控える。


■映画『生きててごめんなさい』作品概要

出演:黒羽麻璃央 穂志もえか
松井玲奈 安井順平 冨手麻妙 安藤聖 春海四方 山崎潤 長村航希 八木アリサ 飯島寛騎

監督 山口健人 企画・プロデュース 藤井道人
脚本 山口健人 山科亜於良
制作プロダクション:スタジオねこ 配給 渋谷プロダクション
©2023 ikigome Film Partners

公式サイト:https://ikigome.com/
公式Twitter:https://twitter.com/ikigome_movie
公式Facebook:https://www.facebook.com/ikigome

2月3日(金)よりシネ・リーブル池袋、ヒューマントラストシネマ渋谷、アップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開

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