5月30日(金)から、映画『BADBOYS -THE MOVIE-』が全国劇場公開された。「BADBOYS」は、1988年から1996年まで「ヤングキング」で連載されていたシリーズ累計発行部数5,500万部を誇る、田中宏による伝説的不良漫画「BADBOYS」(少年画報社 ヤングキングコミックス刊)。過去に何度も映像化されてきた時代を超えて愛される大人気漫画。2025年、東映配給にて実写映画化!『BADBOYS -THE MOVIE-』(西川達郎監督)として、5月30日(金)に劇場公開することが決定。今回、西川監督(AOI biotope)にお時間をいただき、ご自身の映画との関わり方、本作撮影のエピソードを語っていただきました。

- 1. ■ 映画『BADBOYS -THE MOVIE-』西川達郎監督インタビュー
- 1.1. ▼名前の由来
- 1.2. ▼少年時代に観た映画、影響を受けた映画
- 1.3. ▼過去作品の主人公たちが高校2年生であることへのこだわり
- 1.4. ▼『令和のヤンキー映画のニュースタンダード』
- 1.5. ▼若手俳優の登竜門としての不良映画
- 1.6. ▼時代設定の曖昧さと狙い
- 1.7. ▼映画に込められた「熱い友情や仲間に対する誇り」について
- 1.8. ▼アクションシーンへのこだわりやエピソード
- 1.9. ▼印象に残っているシーン
- 1.10. ▼ヒロインの久美役・井頭さんの印象と演出について
- 1.11. ▼井頭さんお気に入りの夕日のシーンについて
- 1.12. ▼兵頭功海さん(陴威窠⽃総⻑ 段野秀典役)の印象について
- 1.13. ▼撮影現場の雰囲気と監督の心がけについて
- 1.14. ▼自転車というアイテムへのこだわりについて
- 1.15. ▼お客様へのメッセージ
■ 映画『BADBOYS -THE MOVIE-』西川達郎監督インタビュー
▼名前の由来
ー: 本サイト恒例の質問です。インタビューの冒頭でお名前の由来についてお伺いしています。また、監督を目指された経緯など、「始まり」の部分についてもお話を伺いたいと考えております。
西川監督のお名前の由来について、ご両親等からお聞きになっていることがあれば、お聞かせいただけないでしょうか。
西川監督: 父が「達」の字に視力の「視」という字を書いて「たつみ」と読むのですが、僕の「達郎」という名前の「達」の字は父の名から取られ、生まれる前から男の子であれば「達郎」と名付けることが決まっていたようです。父の実家では長男は「清」の字を受け継ぐ慣習があるらしく、祖父と父の兄、つまり僕の叔父には「清」の字がついており、従兄弟の名前も「清文」君といいます。ただこの慣習は長男のみで、次男にはないとのことです。父は次男なので、名前を継げなかった事を寂しく思っていたようで、自分の子供には必ず自分の字を継がせたいと考えていたようです。
ー: なるほど。それでは、西川監督が映画監督を目指されたきっかけについてお聞かせいただけますでしょうか。
西川監督: 僕は子供の頃から映画が好きでした。家族で映画館へ行ったり、家でビデオを観たりする度に、自然と映画が好きになっていきました。小学校3年生の頃には映画監督になりたいと思うようになり、卒業時に将来の夢を発表する際、「映画監督になりたい」と言ったことを覚えています。
▼少年時代に観た映画、影響を受けた映画
ー: ご覧になっていた映画のジャンルは、洋画、邦画、アニメなどいかがでしたか?
西川監督: 子供の頃は洋画とアニメが中心でした。洋画ではスピルバーグ監督作品やジェームズ・キャメロン監督作品といった、いわゆる80年代から90年代にかけてのハリウッド大作映画をよく見ていました。中でも特に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が好きでした。他にはトム・クルーズやレオナルド・ディカプリオのようなスター俳優が出演する、いわゆる『金曜ロードショー』で放送されるような映画を見ていました。シュワルツェネッガーなどもそうですね。アニメは、ジブリ作品やポケモン、コナンなどをよく見ていました。
ー: これまで監督が手がけてきた映画は、オリジナル作品が多かったと思います。今回、漫画原作をもとにした作品で監督と脚本を担当されましたが、原作のある作品の監督・脚本を手がけるのは初めてだったかと思います。漫画原作、脚本、そして実写映画化というキーワードが浮かぶのですが、そういった初めての経験をされていかがでしたでしょうか。
西川監督:原作である『BADBOYS』自体は以前から知っていましたのでイメージはありましたが、令和の時代に改めて映画化するにあたって、原作の世界観をどのように今、表現すべきかを深く考慮しました。個人的には、監督である以上、自身の内面にないものは表現できないと考えています。全く内面にないものは制作できませんが、1つでも分かる部分があれば、それを基に多くの人々の協力を得て、10にも100にもひろげて作品を作り上げることができると思っています。「0」はどんなに掛けても0のままですから、「1」となるものを原作の中から見つけ出す作業が必要でした。
ー: なるほど。興味深いですね。以前のインタビューで、ある脚本家の方も「実写化は漫画の世界を3次元の映像に落とし込むのが大変だ」とおっしゃっていました。脚本の面もそうですが、2次元を3次元にする、そして人が実際に動くという点で、非常に難しい部分があるのではないかと感じます。原作から映画化するにあたり、削らなければならない部分や、映画ならではの加えなければならない部分など、さまざまな要素があるかと思いますが、その点についてはいかがでしたか。
西川監督: そうですね。加えるべき点についてですが、先ほどの「0と1」の話に繋がりますが、『BADBOYS』を「1つの青春漫画」として捉えようと考えました。僕の作品をご覧になった方ならご存知かと思いますが、『向こうの家』『太陽がしょっぱい』『BISHU〜世界でいちばん優しい服〜』という映画は、家族を描いた映画と言われがちですが、実はどれも高校2年生の主人公たちの青春映画なのです。そのような作品を手がけてきた経験から、まずは青春漫画という観点で原作を捉え直して、具体的に原作のどの部分がそれに該当するかを検討しました。
例えば、仲間たちとの絆や熱い友情、久美ちゃんとの関係、そしてライバルとの戦いなど、そういった要素をある種の青春として一つ一つ丁寧に捉え直す作業を最初に行いました。その上で、プロデューサーである前田利洋さんの方で、伝説のバイクのエピソードを中心とした構成にしたいという意向があったので、そこを軸としました。
西川監督:また、削ったわけではありませんが、ギャグシーンについても変化を加えました。原作のギャグシーンは、当時の空気感や漫画だからこそ成立する部分があるかと思います。それを3次元で表現する際には「登場人物たちは真剣だけど、しかし外から見るとそれが可笑しく見える」という、きちんと喜劇に見える様に意識しました。つまり、キャラクター自身がボケにいってはいけないのです。観客が見て初めて可笑しいと感じるようなものに変えていく作業が必要でした。
ー: 原作を読んでみたのですが、確かに冒頭部分は原作と一緒の部分がありますし、割愛されている部分もありました。また、「このようになるのか…」という驚きもありました。確かに原作マンガのギャグシーンは、そのまま実写化すると冗談になってしまいますね。
西川監督: 下ネタも多かったりしますし。主人公の最初のモチベーションが、家庭教師の美知恵さんと親密になりたいという点だったりするので、その部分は映画では削りました。
ちなみに美知恵さんの名前は、バーの店名に残しています。
▼過去作品の主人公たちが高校2年生であることへのこだわり
ー: 先ほどのキーワードについてですが、『BADBOYS -THE MOVIE-』以外の監督の過去作品3つの主人公が、皆高校生であることに何か特別な意図はありますか。
西川監督: 高校2年生は変化が多くて、モラトリアムな時期であると考えています。高1だと幼いし、高3では受験が控えているため忙しい。高2が最も心が動く時期だと感じています。
ー: まさに子供と大人の狭間で、自分の方向性を定める必要がない時期ですね。
西川監督:特に『向こうの家』の主演の望月歩くんと『BISHU』の服部樹咲さんは、当時実年齢が役と同じ時期でした。『BADBOYS -THE MOVIE-』ではキャラクターの年齢をあえて曖昧にしています。
▼『令和のヤンキー映画のニュースタンダード』
次に、「令和のヤンキー映画のニュースタンダードを目指して作った」というコメントの意味と、目指したものを改めてお聞かせください。
西川監督: 不良映画は実は海外にはあまりないジャンルです。ギャング映画やマフィア映画はありますが、日本の様な不良映画は少ない。近い物にコッポラ監督の『ランブルフィッシュ』や『アウトサイダー』などがありますが、それらは悲劇的な結末を迎えることが多いです。青春映画のような明るくポジティブな部分がありつつ、喧嘩のアクションシーンや特攻服のような様式美もある不良映画は、おそらく日本にしかない独自のサブカルチャーだと思います。それを令和の時代に新しく撮るにあたり、当時の反抗的な不良の価値観や、リーゼントなどの昔のスタイルは、現代の観客には受け入れられない可能性があるので抑えつつ、それでいて王道の不良映画の物語やキャラクターを、日本独自のサブカルチャーとして描き直すという意味を込めて「ニュースタンダード」と呼んでいます。
昔はガチだったものが今はサブカルチャーとして受け止められるのではないか、サブカルチャーである以上、世界に向けて発信できるのではないかと考えています。
ー: なるほど。不良映画は過去にも色々ありましたが、最近だと『東京リベンジャーズ』などがそうかもしれません。ご自身の人生の中で記憶に残る不良映画はありますか?
西川監督:『クローズ』ですね。『クローズ』は映画で、『WORST』や『疾風伝説 特攻の拓』は漫画で読んでいました。
ー: 不良は確かに日本だけのものかもしれません。抑圧された若者が反抗する…というような。
西川監督: 今回の『BADBOYS -THE MOVIE-』には反抗がないんです。
ー: そうですね。確かに。
西川監督: 何かに対する反抗、例えば親や世間体に対する反抗ではなく、伝説の単車への憧れに重きを置いています。昔の不良的な反抗を主題として描くのは難しいと感じています。
付け加えて、仲間や恋人といった大事なものを守るという意味で、司を不良でありながら「ヒーロー」的な存在として描いています。終盤のミッドエンドや3Dタイトルは、ヒーロー映画であるマーベル映画を意識しています。
▼若手俳優の登竜門としての不良映画
ー: 日本の映画文化において、若手俳優やアイドルの映像出演作の入り口、あるいは代表的なデビュー作となるような作品の傾向が見られますが、現在でも同様の傾向はあるのでしょうか。
西川監督: 今もその傾向はあります。毎年必ず何かしらの不良映画が公開されていると思います。若くエネルギッシュな俳優たちが多数出演するという点で、不良映画は若手俳優の登竜門としての役割を果たしていると思います。
ー: そうした映画、すなわちエンターテイメントの中でも文化として重要な位置付けにある不良映画は、今もなお存在意義があるということですね。
西川監督: その通りです。
▼時代設定の曖昧さと狙い
ー: 劇中では、時代背景を明確に特定していないように思われますが、意図的なものでしょうか。
西川監督:意図的に時代設定は曖昧にしています。キャストには、脚本の読み合わせの際に毎回、「本作はパラレルワールドの日本が舞台で、時代や場所も意図的に曖昧にしている」と説明していました。
ー: 原作は広島が舞台ですよね。
西川監督: はい。しかし、映画では現実の広島ではなく、パラレルワールドにおける「日本のどこか」として描いています。携帯電話などの現代的な機器も登場させませんでした。
ー: なるほど。ロケ地も埼玉や千葉の木更津など、さまざまな場所が使われていますね。
西川監督: そうですね。
ー: 作品制作において、設定を曖昧にすることには、意図や制作上の都合など、様々な要因があったのでしょうか。
西川監督: ロケ費などの物理的な制約ももちろんありますが、仮に広島を舞台とした場合、キャストは広島弁を話さなければなりませんし、時代を80年代に設定した場合、当時の美術品を用意する必要が出てきます。限られた映画制作の時間や予算の中で、それらの実現は困難であると判断しました。一方で、設定を曖昧にしたことで、表現の自由度が増したという側面もあります。
▼映画に込められた「熱い友情や仲間に対する誇り」について
ー: この映画には、原作で描かれたキャラクターの熱い友情や仲間に対する誇りが大切に描かれているとのことですが、特に重要視された点についてお聞かせいただけますでしょうか。
西川監督: 原作の中で僕が最も心惹かれたのが、まさにその部分でした。仲間への思い、友情、ライバルとの戦い、そして恋愛といった熱い青春群像劇の部分です。これらの要素を映画で最も大切にしたいと考えてました。また、ジャンル映画である以上、エンターテイメントとしての一定の方向性があると思っていました。エンターテイメントとアートという区分がある中で、エンターテイメントは、多くの人が共感し、社会的に良いとされる価値観を楽しく再確認する作業だと考えています。
一方で、アートは、まだ知られていない感情や名付けられない感情を見つける作業だと考えています。今回の映画はエンターテイメント作品なので、特に友情や仲間の素晴らしさといった価値を、真正面から、そして楽しく描くことを意図しました。
▼アクションシーンへのこだわりやエピソード
ー: アクションシーンについてお伺いしたいと思います。今作のアクションは生々しさが際立つ正統派であると感じましたが、スタントコーディネーターの出口さんとの間で、どのようなこだわりやエピソードがあったのでしょうか。
西川監督: 最初に、飛び跳ねたりワイヤーで吊るなどの演出はしないと決めました。不良同士が殴り合うような肉弾戦をしっかりと描くことを重視したんです。その上で、印象的な動きを加えていければと考えました。例えば、司と段野が戦う際に、互いの腹を殴り合い、そのまま拳を押し合うシーンや、陽二と
カズの戦いで、カズが拳を振り外して陽二に抱きつくシーンなど、熱くなる部分を盛り込みました。
ー: 近年の若手俳優は、立ち回りなどの経験が少ないため、アクションシーンは難しいと聞きます。今作では、蹴りではなく殴り合いが中心で、ぶつかり合いのような印象を受けましたが、そのような狙いもあったのでしょうか。
西川監督: 格闘術ではなく、あくまで喧嘩の延長線上にあるアクションを目指しました。それぞれのキャラクターに合わせて、司はシンプルな喧嘩戦法、段野は柔道ベース、ヒロはキックボクシングのようなスピード感のある動きを取り入れましたが、基本はパンチを打ち合うことをベースにしています。事前に出口さんの指導のもと、キャスト全員で練習を重ねたことで、本番で良い画が撮れたと思います。
ー: 今作のアクションシーンは、全体的にかなり長めに撮られていると感じましたが。
西川監督: 特にクライマックスの全員が入り乱れるシーンは長くなっています。見せ場の一つとして、丁寧に作り上げました。僕自身、今回初めてアクションシーンを監督しましたが、非常に楽しんで取り組むことができました。時間的な苦労はありましたが。
▼印象に残っているシーン
ー: 撮影の中で特に印象に残っているシーンはありますか?
西川監督:司が公園の滑り台から降りてくるシーンがあるのですが、その滑り台は結構な高さがありまして、司が久美ちゃんを見つけてドギマギしながらも、難なく降りてくる様子が印象的でした。あれは運動神経が良い人でなければ難しいと思います。軽々と降りてくるまめちゃんに感心しましたし、戦いのアクションシーンとは異なるアクションシーンとして、非常に気に入っているショットです。
演出の話になりますが、監督として演出する際、まずキャラクターの動きをつけることから考えます。動きにも物語の様に、作品全体を通したテーマが存在することがあります。今回の映画では、弱い者が成り上がっていくという動きが基本にあり、例えば司はアッパーパンチの様な、上へ駆け上がっていくような動きをします。時に浮かれて滑り台に登ったりします。逆に強い者は上から降りてくる。ヒロと段野は高いところから降りてくる。この上下運動と、二人の人間がタイマンをする動き、一対一の対面をする運動が、今回の映画の基本的な構成要素でこの作品の文法と言えると思います。
▼ヒロインの久美役・井頭さんの印象と演出について
ー: ヒロインの久美役・井頭さんについてですが、井頭さんご自身のインタビューでは「(久美の)持ち前の自然で愛らしい一面を大切にしつつ、キャラクターの真の強さを表現することに注力した」とコメントされていました。この点について、監督から見た印象や演出についてお聞かせいただけますでしょうか。
西川監督: 最初の本読みの段階で、井頭さんには、久美は天然だけど、やる時はやる芯の強い女性であると伝えました。井頭さんはその意図をしっかりと受け止めてくれました。あと理屈で細かく説明するよりも、感覚派の方だと思います。現場の雰囲気や動きに合わせて自然と感情が湧き出てくるタイプの方だと感じました。海辺で泣いているシーンや、バイクの後ろから抱きしめて止めるシーンなど、感情が入るとそのモードに入り続けられるのが素晴らしいなと感じました。
▼井頭さんお気に入りの夕日のシーンについて
ー: 井頭さんが特に気に入っているというシーンは、夕日に照らされる中で、久美役の井頭さんと主人公の司が話し合う場面だとコメントされていました。夕日が沈む前に撮影を終える必要があり大変だったものの、印象的な映像になったそうですが、監督から見て、このシーンの夕日に照らされる井頭さんの様子はいかがでしたでしょうか。
西川監督: このシーンはロケ地にもこだわり、赤い夕日を背景に絶対良いものを撮りたいと考えていました。重要なシーンでしたので、時間がない中でも妥協せずに一つ一つ丁寧に撮影した結果、お二人とも素晴らしい演技を見せてくれたと感じています。
ー: 短い撮影期間の中で、時間の限られた夕日のシーンを撮影するのは大変だったのではないでしょうか。
西川監督: 夕日のシーンを撮影するためには、逆算して全てをきちんと決める必要がありました。絶対に撮り逃せない状況であり、夕日はどんどん沈んでいくので、非常に大変でした。
▼兵頭功海さん(陴威窠⽃総⻑ 段野秀典役)の印象について
ー: 兵頭功海さんについてもお伺いしたいのですが、段野役を演じた兵頭さんの印象はいかがでしたでしょうか。
西川監督: 兵頭くんは、本読みの時から、1行のセリフの中で前半部分はこの感情で、後半部分はこの感情で読むのはどうかといった具体的な提案をしてくれました。キャラクターを自分の中でしっかりと設計していく意識のある人だと感じました。非常にストイックでそこが心強かったです。
▼撮影現場の雰囲気と監督の心がけについて
ー: キャスト一同、「撮影現場が非常に楽しかった」というコメントを残されていますが、監督から見た撮影現場の様子や心がけていたことについてお聞かせください。
西川監督: 現場の様子で言うと、特に主要キャストは親睦を深めていたと感じます。また、若い世代の俳優が多く出演しているため、現場には活気がありました。各チームが互いに負けじと、演技だけでなくチームワークでも競い合っている様な気合がうかがえました。それが現場に良い影響を与えていたと思います。個人的に、撮影とスポーツは共通点が多いと感じています。チームとして一丸となる必要があったり、集中力が重要だったりという点で、スポーツと映画作りは似ていると思います。今回の撮影現場は、特に終盤のアクションシーンはまるで大運動会のような雰囲気で、それが良い方向に作用したと感じています。
▼自転車というアイテムへのこだわりについて
ー: 西川監督作品というと、キーアイテムとして「自転車」が思い浮かびます。『BADBOYS』と自転車の関係について、「自転車」へのこだわりや思い入れをお聞かせください。
西川監督: 自転車は青春映画には欠かせないアイテムだと考えていて、ぜひとも取り入れたいと思っていました。『BADBOYS -THE MOVIE-』以前の作品では、高校生が主人公だったこともあり、自転車は移動手段であり、作品のモチーフの一つとして捉えていました。
実は、『BADBOYS -THE MOVIE-』では冒頭の回想シーンで、子供時代の主人公が不良にこども用自転車を蹴られて壊されるという場面がありました。そこから大人になって別の自転車に乗っていくという繋がりを作ろうとしたのですが、最終的にはカットしました。
▼お客様へのメッセージ
ー: お客様へのメッセージとして、作品の見所や、ご覧いただきたい点などをお聞かせいただけますでしょうか。
西川監督: はい、やはり、キャストの情熱的な演技や、固い絆で結ばれた友情の場面、そして心揺さぶる恋愛シーンなど、彼らが輝いている瞬間を是非ともご覧いただきたいと思います。また苦労を重ねて制作した映画として、不良映画の新たな基準となる作品として受け止めていただければ幸いです。皆様に楽しんでいただけることを願っています。
個人的な話ですが、今回初めて中高生を含めた若い世代の人にも見て貰えるような映画を制作できたと感じています。これまではミニシアターに来る、大人のお客さんが主な層でした。僕自身が子供の頃から映画好きであったからこそ、子供の時に友人や家族と見た映画は今も心に残っています。今回、そういう作品を初めて作れたことを嬉しく思っています。どのように見て貰えるのか楽しみですし、ご覧になる方々の人生に長く残る作品になったら良いなと、とても期待しています。
▼ プロフィール

福岡県出身。東京藝術大学大学院 映像研究科 映画専攻監督領域卒。AOI biotope所属。修了制作作品の映画『向こうの家』が、ええじゃないかとよはし映画祭初代グランプリを受賞した他、うえだ城下町映画祭実行委員会特別賞、はままつ映画祭観客賞など多数の映画祭に選出され、全国劇場公開される。また、オランダCAMERA JAPAN FESTIVALに選出され海外上映される。2024年監督脚本作、映画『太陽がしょっぱい』『BISHU〜世界でいちばん優しい服〜』が公開。ドラマ監督作として「ゲキカラドウ」(テレビ東京)、「ひねくれ女のボッチ飯」(テレビ東京)メイン監督、ドラマ「あの日ボウリング場から出られなくなったこと」(TOKYO MX)全話監督を担当。
2025年公開の最新作として映画『BADBOYS -THE MOVIE-』がある。
映画『BADBOYS -THE MOVIE-』

あらすじ・ストーリー
裕福な家庭で過保護な親に育てられた桐木司は、幼い頃に助けてくれた伝説の不良・村越に憧れ、家を出る決意をする。暴走族の激しく争う中、彼は最大勢力に仲間入りを志願するが、追い返される。そして、逃げる途中、陽二、寿雄、エイジと出会い、意気投合し……
解説
世代を超えて愛されている、田中宏による同名漫画を、JO1の豆原一成主演で映画化した青春ドラマ。子供の頃に助けられた不良に憧れて、過保護な家を出た少年が、最大勢力の暴走族に志願するも拒否され、逃げる途中で出会った仲間たちと友情を築く。監督は西川達郎。共演は池崎理人、山中柔太朗、井上想良、井頭愛海、岩永丞威、兵頭功海ら。
スタッフ
監督:西川達郎
原作:田中宏
キャスト
豆原一成
池崎理人 山中柔太朗 井上想良
井頭愛海 岩永丞威
大下ヒロト 山谷花純
兵頭功海 青柳翔
2025年製作/106分/G/日本
配給:東映

