また逢いましょう

映画『また逢いましょう』東京初日舞台挨拶開催、生と死を温かく描く物語が東京公開

映画『また逢いましょう』の初日舞台挨拶が7月19日(土)に新宿K’s cinemaで行われ、主演の大西礼芳さんをはじめ、中島ひろ子さん、伊藤洋三郎さん、神村美月さん、田川恵美子さんら主要キャストと、西田宣善監督、脚本の梶原阿貴さんが登壇しました。本作は、ある介護施設での人間模様を通して、生と死の関係を深く、そして温かく描き出す物語であり、7月18日(金)には京都と大阪で先行公開され、東京では19日から全国順次公開となります。

■ 映画『また逢いましょう』東京初日舞台挨拶

長年の夢を叶えた西田監督のデビュー作

本作で初の劇場映画監督デビューを果たした西田宣善監督は、17歳からの映画監督志望だったことを明かし、「この歳にして監督できる機会を与えられたことが本当に嬉しい」と感慨深く語りました。もともとプロデューサーとして企画に携わっていたものの、梶原阿貴さんが書いた「すごくいい脚本」を読み、自ら監督を務めたいと強く思ったと経緯を説明しました。

実体験を元に描かれた介護のリアルと人間関係

脚本とアソシエイトプロデューサーを務めた梶原阿貴さんは、監督を支えるべく、梶原氏はアソシエイトプロデューサーを引き受け、現場を皆さんと一緒に作り上げていったと説明しました。また、主演の大西礼芳さんの漫画の才能を知っていたことから優希を漫画家に設定したと述べ、さらに大西さんが好きなピアノ演奏や歌を歌うことまで脚本に盛り込んだという。

大西さん自身の特技が生かされている

主演の大西礼芳さんは、自身の演じる漫画家・夏川優希について、脚本の梶原さんが、元々記者ライターの役だったのを漫画家に変更し、さらに大西さん自身の好きなピアノ演奏や歌、そして漫画を描くことまで盛り込んでくれたことに「仕事の速さに驚かされました」と感謝を述べました。大西さんは、劇中で描いた漫画は全て自身がデジタルで描いたものであり、ポスターの絵も担当したことを明かしました。

中島ひろ子さんは、自身が演じたベテラン職員の向田洋子役について、「介護指導の先生」をモデルにしたと語り、撮影現場もその先生が働く施設だったため、「常に見させてもらったり、少しお話させてもらったりして、取り入れさせてもらいました」と役作りのアプローチを語りました。中島さんは介護という仕事の「大変さ」を感じつつも、「みんな違くっていいんだよね。自分の人生生きようってすごく力をもらいました」と、利用者さんを通して「人の生きざま」から得たメッセージを強調しました。

優希の父・夏川宏司を演じた伊藤洋三郎さんは、役のモデルに梶原阿貴さんの父親の体験が含まれていることに触れ、自身も階段から転落して背中を打った経験から、「痛い目にあってて、なんかすごいタイミングが良くて、ああ、痛いのわかるわ、今って」と共感しながら役作りをしたと語りました。

向田洋子の娘、ルイを演じた神村美月さんは、今作が初めての演技だったため非常に緊張したことを明かしました。役作りでは、当初、反抗的な「金髪に染める」といった方向性も検討されたものの、最終的に「思春期の反抗期の女の子」として演じたと語り、共演した中島ひろ子さんを「本当のお母さんのよう」で常に優しく接してくれたため、安心して演じることができたと感謝を述べました。

車椅子利用者の加納ゆかり役を演じた田川恵美子さんは、役作りのために、梶原さんの知人で車椅子ユーザーの加納さんを訪ねた経験を語りました。24時間介助者をつけて一人暮らしをしている加納さんの姿から、介助者と「人と人として繋がって」「ただそれがしたい」という強い生きる意志を感じ、「ああ、ゆかりの怒りはそこだと思った」と、役の深部に納得したと述べました。また、劇中で披露された「レディース」姿での撮影は、出演者一同「あんな格好なかなかできない」「楽しかった」と振り返り、撮影時には大雨と雷に見舞われた過酷な状況も明かされました。

主演・大西礼芳さんからメッセージ

最後に、主演の大西礼芳さんは、観客への感謝を述べ、「私こんな賑やかな人たちと一緒に『人はいつか死ぬんだよ』っていうことを再確認できたことがすごく幸せです。もしこの映画気に入っていただけたら、隣の人とか、おご家族、知り合いの人にお伝えお願いします。介護の人にも見ていただきたいなと思って、お知り合いたらどうぞよろしくお願いします」と、映画に込められた普遍的なメッセージを伝え、締めくくりました。

本作は、伊藤芳宏氏の著書を原案に、梶原阿貴さんが現代社会を生きる女性の視点を加えフィクション化し、より生き生きとした広がりを持たせたものとなっています。現代音楽作曲家の鈴木治行氏が音楽を担当し、主題歌も制作されました。監督やキャスト、そしてスタッフが一体となって作り上げた、生と死に向き合う温かい物語は、多くの人々に共感と希望を与えることでしょう。


映画『また逢いましょう』

あらすじ……
東京でアルバイトをしながら漫画を描いている夏川優希は、父・宏司が転落事故で入院した知らせを聞いて京都の実家に戻ってくる。ちょうど出版社に持ち込んでいた漫画の原稿も不採用となり、先が見えないまま京都で暮らすことに。父は退院後、介護施設「ハレルヤ」に通所を始め、優希も付き添いで行ってみると、そこは利用者と職員が和気あいあいと談笑しリハビリテーションに励む、居心地の良さそうな空間だった。明るいベテラン職員・向田洋子や、ケアマネジャー・野村隼人、利用者の人々と「ハレルヤ」で交流しながら、いつしか温和な笑顔で利用者や職員を見守る、武藤所長の考え方の深さに魅かれていくーー。

【クレジット】
大西礼芳 中島ひろ子  カトウシンスケ 伊藤洋三郎 / 加茂美穂子 田川恵美子 神村美月 / 梅沢昌代

田中要次 田山涼成 筒井真理子

製作・監督:西田宣善 脚本・アソシエイトプロデューサー:梶原阿貴

原案 伊藤芳宏「生の希望 死の輝き 人間の在り方をひも解く」(幻冬舎刊)

音楽:鈴木治行 撮影監督:藍河兼一 美術:竹内公一、竹内悦子 録音:廣木邦人、荒木祥貴
編集 藤田和延 監督補 鈴木農史 題字 後藤理絵 漫画・ピアノ演奏 大西礼芳

主題歌「みんなしぬ」 作詞:梶原阿貴 作曲 鈴木治行 歌 大西礼芳 中島ひろ子

製作:ジュリア オムロ 配給:渋谷プロダクション 宣伝:MAP
2025年 カラー 91分 ©︎Julia /Omuro

公式HP: https://mataaimasho.com 
公式X:@mataaimasho.com
公式Instagram:matamataaimashou1889

7月18日(金)よりアップリンク京都、シネ・ヌーヴォ
7月19日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開!

この記事を書いた人 Wrote this article

Hajime Minamoto

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