第38回東京国際映画祭が10月27日(月)、華やかなオープニングセレモニーをもって開幕しました。日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区などを会場として、この日から10日間にわたる世界各国の映画の旅がスタートしました。今年のオープニング作品として選ばれたのは、映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』。主演の吉永小百合さん、のんさん、そして阪本順治監督の3名がステージに登壇。吉永小百合さんには特別功労賞が授与され、映画祭が華麗に開幕しました。

■ 第38回東京国際映画祭が華麗に開幕
セレモニー冒頭では、映画祭ナビゲーターを務める瀧内公美さんが登壇し、ウェルカムスピーチを行いました。瀧内さんは、デビュー当時から映画祭に通い続けた経験を語り、「ナビゲーターを務めさせていただけるのは、非常に感慨深く、嬉しく思っております」と述べ、観客に笑顔で挨拶しました。


吉永小百合、のん、阪本監督が登壇
今年のオープニング作品として選ばれたのは、映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』。主演の吉永小百合さん、のんさん、そして阪本順治監督の3名がステージに登壇し、会場を沸かせました。


吉永さんは、作品が女性として初めてエベレストに登頂した田部井淳子さんのエピソードに基づいていることに触れ、「この作品の元になる、50年前に(登頂した)田部井淳子さんとご一緒にこの夜を楽しみたい」との思いから、田部井さんの写真が描かれた帯を締め、この場に臨んだことを明かしました。

のんさんは、「吉永さんと阪本監督が作ったこの作品に参加させていただき、この場に共立っていることが本当に嬉しく、喜びで溢れています」と心境を述べ、多くの観客に作品をじっくりとご覧いただきたいと語りました。


阪本監督は、オープニング作品に選ばれたのが初めてであることを喜びつつ、本作を「山の映画でもありますが、家族の映画でもあり、人生の映画です」と紹介しました。また、映画関係者に向けて、「まだまだ復興する力とか妄想する力とか、AIに負けないように私も頑張っていきたい」と力強いメッセージを送りました。

功績を讃え、吉永小百合さんに特別功労賞

セレモニー最大の注目ポイントは、映画界への長年の貢献が目覚ましい人物に贈られる特別功労賞の発表の場面でした。今年は、数多くの傑作への出演、芸術性や作品への高い評価、また文化功労者としての輝かしい功績を称え、吉永小百合さんに特別功労賞が贈られました。

贈呈では、カルロ・シャトリアン審査委員長からトロフィーが、そして安藤裕康チェアマンから花束が贈られました。

安藤チェアマンは、吉永さんが「生涯にわたって多大な功績を残された方」に贈られるこの賞にふさわしいと述べ、新人時代の『キューポラのある街』から『てっぺんの向こうにあなたがいる』まで、長きにわたり観客に感動と勇気を与えてきたことに感謝を表明しました。さらに、吉永さんが昭和、平成、令和の三世代にわたって日本映画のど真ん中で活躍し、東京国際映画祭の歴史上、日本の女優として初めて特別功労賞を受賞したことを称賛しました。安藤チェアマンは、吉永さんの「山に例えるなら今は八合目」という発言に触れ、「これからのさらなるご活躍を期待したい」と祝福しました。

受賞した吉永さんは、3年前に野上照代さんが同じ賞を受賞したことに触れ、「とてもとても光栄に思っております」と感謝を伝えました。そして、「これからも一歩一歩、映画の道を歩いていけましたらと願っております。どうぞこれからも皆さま、どうぞよろしくお導きください」と、今後の映画への情熱を語りました。

チェアマンが開幕宣言

セレモニーの締め括りとして、安藤裕康チェアマンが登壇し、映画祭の成功に向けたメッセージを述べました。

安藤チェアマンは、週末に雨が降ったものの、この日は秋晴れとなり、レッドカーペットが華やかに終了したことを報告。今年のレッドカーペットには270名が参加し、昨年に比べ3割増となったことも明らかにしました。また、映画祭のチケット売れ行きも好調で、「幸先の良いスタートを切れた」と手応えを語りました。

最後に安藤チェアマンは、「国際映画祭という名にふさわしく、多様な作品と、そして素晴らしい企画をたくさん用意してございます」と述べ、観客に対し、この時期に一度だけの作品を東京各地のスクリーンで楽しむよう呼びかけ、第38回東京国際映画祭の開幕を宣言し、セレモニーは閉幕しました。




<第38回東京国際映画祭 開催概要>
・開催期間:2025年10月27日(月)〜11月5日(水)
・会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
・公式サイト: www.tiff-jp.net
<TIFFCOM2025 開催概要>
・開催期間:2025年10月29日(水)〜10月31日(金)
・公式サイト: www.tiffcom.jp
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