シナントロープ

ドラマ『シナントロープ』:対談 アフロ(MOROHA)x遠藤雄弥 「天才と献身性」

バーガーショップ「シナントロープ」を舞台に、裏組織<バーミン>や謎の人物「シマセゲラ」の影が複雑に交錯する予測不能なドラマ『シナントロープ』。今回、冷徹なトップ・折田を中心に暗躍するバーミンのメンバー、龍二(りゅうじ)を演じる遠藤雄弥さんと、その幼馴染で相棒の久太郎(きゅうたろう)を演じたアフロ(MOROHA)さんの対談が実現しました。沖縄から上京した幼馴染という役柄 を演じるにあたり、初共演でありながら、遠藤さんが「もう何年も隣にいたような安心感」 を抱くほどの絆を短期集中で構築。撮影前にコミュニケーションを密にし、1日の撮影に対して1日練習を重ねるなど、ドキュメンタリーのような熱量で挑んだ役作りの深層に迫ります。

■ ドラマ『シナントロープ』アフロ(MOROHA)x遠藤雄弥 対談

ドラマでは、龍二(りゅうじ)を演じる遠藤雄弥さんと、その幼馴染で相棒の久太郎(きゅうたろう)を演じたアフロ(MOROHA)さん。お互いを役名の愛称である“りゅうちゃん”、“きゅうちゃん”で呼び合うおふたりの対談・対話内容をお楽しみください。

(c)此元和津也/「シナントロープ」製作委員会

▼1:名前の由来と想い

ー: 本日はありがとうございます。まずは当サイト恒例の質問なのですが、アフロさんの芸名、そして本名である勇斗さんの名前の由来からお聞かせいただけますか。

アフロ: 本名は滝原勇斗(たきはら ゆうと)です。勇斗の「勇」は勇気、そして「斗」は多分、北斗七星の斗だと親から説明を受けていました。ですが、「斗」には「少ない」という意味もあるそうなんです。親がそれを知っていたかはわかりませんが、結果的に「勇ましさが少ない」という名前になりました。ラップというものが「持たざるもののための音楽」であると考えると、そこから始めるという意味で、すごくいい名前だなとラップを始めてから思うようになりました。

ー: なるほど。そんな深い意味があったんですね。では、芸名のアフロさんはどこから?

アフロ: こんなにラップを長くやるつもりはなかったんです。同窓会の出し物でラップをすることになって、その時の髪型がたまたまアフロヘアだったんです。だから最初は「アフロヘッド」という名前でした。
いつの日だったかヘッドを外して「アフロ」にしたんですが、髪型がアフロじゃなくなってからも、ラッパーの友達が「アフロ」って呼んでくれるようになって、もう変えるタイミングを見失ってしまいました。今もめっちゃ変えたいと思っています。

遠藤雄弥: 今日も食事をしているときにその話をしたよね。

アフロ: そう、変えたいと。それで「芸名どうしよう」という話になって、「もう、本名でカタカナでユートでいこう」ってなって、俺も「じゃあ、りゅうちゃんがもし芸名を変えるなら何にする?」って言う時に、たたずまいから「遠藤ぶるぅす」って名前にしようってなったんだよね。


遠藤雄弥:「遠藤ぶるぅす」、伸ばし棒(ブルース)じゃなくて、ひらがなの「う」で、小さな「ぅ」なんですよ。

アフロ: これは今すぐじゃなくて、50歳を超えたあたりで検討してみて。
今は絶対「ゆうや(遠藤雄弥)」の方がいいけど、もしかしたら50のタイミングでセカンドシーズンを「遠藤ぶるぅす」で行ってもいいかもしれないし。

ー: お二人のお名前が、「ゆうや」と「ゆうと」、というのも偶然にも似ていて面白いですね。

▼2:幼馴染・相棒役の関係性構築


ー: 遠藤さんは以前コメントで、アフロさんのことを「もう何年も隣にいたようなアフロさん」と表現されていました。お二人は今回が初共演ですが、この幼馴染みという関係性(龍二と久太郎は沖縄から一山当てようと上京してきたごくつぶしという設定)をどのように構築されたのでしょうか?

(c)此元和津也/「シナントロープ」製作委員会

遠藤雄弥: アフロさんとは今回が初めましてでした。ただ、役柄が幼馴染みで相棒。その関係性を僕ら二人で構築するために、きゅうちゃんが「ご飯を食べに行こう」と誘ってくれたり、撮影前に読み合わせをしてくれたり、とにかくコミュニケーションを取る機会を本当にたくさん設けてくれたんです。

アフロ:りゅうちゃんが「もう何年も隣にいたようなアフロさん」とコメントで書いてくれたのは、すごくありがたいですね。

遠藤雄弥:この短期間の共演でしたが、本当に昔からずっと隣にいたかのような安心感というか、なんだか落ち着く感じがありました。僕らの関係性構築は、もはやドキュメンタリーのような強さを持っていました。

アフロ:本当にすっごい一緒にいたんですよ。

アフロ:本当にすっごい一緒にいたんですよ。

遠藤雄弥:撮影日一日に対して、練習も一日していました。当日に現場でやるのではなく、別日でスケジュールを取って稽古してから現場に臨んでいました。

アフロ: 撮影が朝6時、7時ぐらいに終わった日も、次の日ちゃんと12時ぐらいに集まって練習したよね。僕らのノリや、二人で過ごしてきた時間が、決して浅いものではない設定を作り上げたんだと思います。

遠藤雄弥:お互いのスケジュールをすり合わせてカラオケに入ったこともありましたが、僕はきゅうちゃんの歌を聞きたかったのに、結局1ミリも歌わなかったという(笑)。

アフロ:りゅうちゃんは歌う芝居もあったけど、俺といる時はそちらの練習ではなく、俺との掛け合いに時間をかけてくれていましたね 。

▼3:役者としての互いの印象。天才と献身性


ー: お互いの役者としての印象はいかがでしたか?

遠藤雄弥: アフロさんと会って、「天才っているんだな」って思いました。僕も俳優として長い年月を過ごしてきて、お芝居の経験や積み重ねてきたものが自身を創り上げると思っていましたが、アフロさんをみて思ったのが、「天才っているんだな、ひとつのことの経験の長さだけがすべてではないんだな」ということです。
アフロさんは、MOROHAでの音楽活動を経てさまざまな表現をしてこられたと思います。そんな豊かな時間を過ごして来たことに勝るものはないなと思いました。それだけ豊かな時間を過ごしてきたはずなんです。たとえ演技経験が少なかったとしても、これまでを昇華して役者として表現する天才がアフロさんなんだなと思いました。

アフロ:めっちゃうれしいです!もっと言ってほしいですね!わはは!
天才だなんていわれたことがなかったし、そんな風に褒められたことがないので。「凡人」だとか、「凡庸」だとか、「ただ人生を真っ当することを叫んでいる」とか。それを天才だとりゅうちゃんが言ってくれることが本当にうれしいです。

ー: アフロさんからみた遠藤さんの印象はいかがでしょうか?

アフロ: 僕はりゅうちゃんの現場での佇まいにすごく衝撃を受けました。特に眼差しの強さと、佇まいの寂しさみたいなところ。見ていてずっと画になるんです。あと、作品に対してすごく献身的だということ。特に忘れられないのが、衣装合わせの時に、りゅうちゃんが僕の隣で全スタッフがいる前でこう言ったんです。

「この(久太郎の)正念場の場面をいかに輝かせることができるかが僕の仕事だと思ってます」と。

こんなに作品に尽くす人がいるんだな、役者ってそういうものなのかなと、経験の少ない俺にはすごく衝撃でした。実際現場でも細やかにいろんなところに気づいて、ずっと機嫌よくいることに尊敬できると思いましたね。
りゅうちゃんは、周りの調和を見つめながらも、自分のエゴが突き出せるのがすごいです。周りに気配りしすぎると、成立させることだけになっちゃうけれど、ちゃんとエゴも出せる。これはすごいことだと思いました。

▼4:現場の雰囲気と試練の「修羅場」


ー: 多くの出演者がいる現場の雰囲気はいかがでしたか?

遠藤雄弥:僕らが全キャラクターと絡めたわけではなかったのですが、情報量が多い脚本なのでスタッフもキャストも大変だったと思います。少なくとも僕らのところは殺伐とせず、和気あいあいと撮影が進んでいた印象でした。僕ら自身もすごく楽しんでやらせてもらっていました。

アフロ: 僕の中で一つだけ修羅場だった場面があるんです。ヘアメイクさんがいらっしゃって、ずっと僕は「コウノさん」と呼んでいたんです。りゅうちゃんが運転して、俺が助手席の芝居で車で移動中のシーンで、俺が全員に聞こえるインカムで「コウノさんってかっこいいよな」って言ったら、「アフロさん、コウノさんじゃなくてミツノ(光野)さんです」って言われて。

遠藤雄弥:すごい恥ずかしかったんだよね。

アフロ:そう、恥ずかしくって。しかもその直後が、10行弱のむちゃくちゃ長いセリフだったんです。あれは試されましたね。17年も音楽をやってない人間だったら、あれは乗り越えられてないですよ、マジで!修羅場をくぐってないと!

遠藤雄弥:あの時は夏撮影で秋放送の設定だったから、暑くて汗もかけないのに、変な汗もかくし。訓読み音読みを間違えた上に、長ゼリフがその直後という試練でしたよね。

アフロ:あと、りゅうちゃんすごいなと思ったのは、極力現場のスタッフの方の名前を覚えるようにしていたんですよね。

遠藤雄弥:ほっとくとあんまり覚えなかったりするからさ。

アフロ: 僕は、年長者はそういうことをするんだと思って見習いました。あと、自分たちの機嫌で空気が変わるのが演者の背負うべきカルマだから、りゅうちゃんの差し入れもいいタイミングで完璧でした。

▼5:森田想(睦美役)の「公式お兄ちゃんを名乗るアフロさん」発言

ー: 同じ裏組織<バーミン>のメンバーである森田想さん(睦美役)が、アフロさんを「私の公式お兄ちゃんを名乗るアフロさん」とコメントされていました。この部分が非常に気になったのですが、エピソードを教えていただけますか?

アフロ:「名乗る」って書いてあるのがポイントです。本当の公式お兄ちゃんなら「私の公式お兄ちゃんアフロさん」でいいんですよ。この「名乗る」ってなっているってことは、つまり俺の自称だってことなんです。この短い文章で、想はそれを表現してるんです。
ってことはまだ納得してないんですよ!俺が公式お兄ちゃんであることに!わはは!
生意気な年下だなぁ、と思いつつも、俺はやっぱり想には敵わないなと思っていて。ひたすら歳が上だ、という一点押しでどうにか偉そうにしてますね。

敵わない、ってのは現場の役者さんにも常々思うことでもあって。だからこそ、ミュージシャンが演技の現場に来てやることって「上手に出来ない!」を全うして、その負け顔の中で自分の役割を探すことなんじゃないかと。つまり、でっかい穴ぼこになることが仕事だったりするんじゃないかと。それをプロの役者さんが埋めようとした時に、思いもよらないパワーが生まれるみたいな。想も非公式お兄ちゃんのあけた穴を、見事に埋めてくれました。すごいことです。


▼6:視聴者へのメッセージ

ー: 最後に、ドラマ『シナントロープ』をご覧になる視聴者の皆様へメッセージをお願いします。

遠藤雄弥:ドラマ『シナントロープ』は、いろんな伏線も張ってある魅力的な脚本です。今日お話しさせていただいたように、我々がこれだけ役作りのためにやったんだということを踏まえた上で、久ちゃん、龍二に改めて注目してみていただけたら嬉しいです。

アフロ: 全12話、集中して見るのはたくさんの時間をいただくことになりますが、それにふさわしい熱量とクオリティだと我々は信じております。モニターに映る画角や光といったものが、撮影部の方や監督がこれまでどんな仕事をしてきたのかという背景が見えるような絵作りになっている、とりゅうちゃんが教えてくれました。
そういった角度からも、全てのスタッフが総力を挙げてこの絵を作っているということを感じながら見てほしい。作品の面白さももちろんですが、この裏側の真剣な努力を信じて見てほしいなと思います。


ドラマプレミア23「シナントロープ」

あらすじ
舞台は、街の小さなバーガーショップ「シナントロープ」。そこで働く8人の若者たちの中で、大学生の都成剣之介は、バイトの同僚・水町ことみに、密かに想いを寄せていた。そんなある日、“シナントロープ”で不可解な強盗事件が発生。静かだった日常は、少しずつ歪みはじめる。
恋愛と友情、絆と裏切り、運命と選択──揺らぎ出した関係と感情が、次々と事件を引き寄せていく。何が本当で、何が嘘なのか。そして、都成の想いの先に待つのは、恋か、それとも──。

タイトルドラマプレミア23「シナントロープ」
放送日時2025年10月6日スタート 毎週月曜 夜11時06分〜11時55分 放送
放送局テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送
配信各話放送終了後から動画配信サービス「Prime Video」にて見放題独占配信
▶Prime Video:https://www.amazon.co.jp/gp/video/storefront/
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出演水上恒司、山田杏奈
坂東龍汰、影山優佳、望月歩、鳴海唯、萩原護、高橋侃
遠藤雄弥、アフロ、森田想 / 染谷将太
原作・脚本此元和津也
監督山岸聖太
音楽江﨑文武
OP/EDテーマオープニングテーマ:柴田聡子 & Elle Teresa「ときめき探偵 feat. Le Makeup」
エンディングテーマ:S.A.R.「MOON」
チーフプロデューサー祖父江里奈(テレビ東京)、平賀大介(P.I.C.S.)
プロデューサー前田知樹(テレビ東京)、原田宗平(P.I.C.S.)、神戸麻紀(P.I.C.S.)、竹迫雄也(アスミック・エース)
制作協力アスミック・エース
制作テレビ東京、P.I.C.S.
製作著作「シナントロープ」製作委員会
公式HPhttps://www.tv-tokyo.co.jp/synanthrope/
公式X@premiere23_tx
公式Instagram@premiere23_tx
公式TikTok@premiere23_tx

(c)「シナントロープ」製作委員会

この記事を書いた人 Wrote this article

Hajime Minamoto

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