長年メディアから遠ざけられながらも、過激な落語と破滅的な私生活で根強い人気を誇る「快楽亭ブラック」。立川談志の愛弟子であり、コンプライアンス厳格化の波に抗うかのような彼の生き様を追ったドキュメンタリー映画『落語家の業(ごう)』が、2025年12月13日より東京・渋谷のユーロスペースにて公開中。監督自身が撮影中に訴訟の共犯者となりながらも、6年半の歳月をかけて完成させた本作は、現代社会に息苦しさを感じる人々へ送る、笑いと業の記録である。

本作が映し出すのは、現代において「絶滅危惧種」とも称される快楽亭ブラックという稀有な芸人の姿だ。米兵と日本人女性の間に生まれ、幼少期から差別の視線に晒された彼は、映画館の闇に身を潜めることで救いを見出したという過去を持つ。師匠である立川談志が残した「落語とは、人間の業の肯定である」という名言を体現するかのように、彼はあらゆる出来事を笑い飛ばす「粋」な了見で人生を歩んできた。本作は、そんな彼を「コンプライアンスの超越者」として描き、生ける伝説の〈業〉に迫る壮大な一代記となっている。

制作の裏側には、ドキュメンタリーならではの予期せぬトラブルとドラマがあった。監督を務めた榎園喬介は、コロナ禍で落語会が開催できない中、生き残りをかけてインターネットでの生配信を始めたブラックの手伝いを行っていた。しかし、その配信内容をブラックの弟子に咎められたことで事態は急変し、裁判沙汰へと発展してしまう。驚くべきことに、配信を手伝っていた榎園監督も「共犯者」として訴えられることとなったが、監督はその渦中にあってもカメラを回し続け、6年半もの歳月を費やして本作を完成させた。10年、20年前の膨大な過去映像の提供も受け、芸人の半生と現在の騒動が交錯する渾身の作品が誕生した。

出演には主演の快楽亭ブラックに加え、立川談之助、鈴々舎馬るこ、げんきいいぞう、大本営八俵らが名を連ね、活弁士の坂本頼光が語りを担当する。
公開は2025年12月13日(土)の渋谷・ユーロスペースを皮切りに、翌年1月からは関西・東海地区へと拡大する。2026年1月9日(金)より京都のアップリンク京都、1月10日(土)からは大阪の第七藝術劇場、神戸の元町映画館、名古屋のシネマスコーレでの上映が決定しており、その後も全国で順次公開される予定だ。すべての出来事を笑い飛ばす芸人の生き様は、閉塞感のある現代を生き抜くためのヒントになるかもしれない。
公式サイト https://rakugokanogou.com/

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