2月21日(土)、東京・新宿K’s cinemaにて映画『DEAD OR ZOMBIE』の初日舞台挨拶が行われ、主演の倉島颯良、共演の涼井菜生、佐藤智也監督が登壇した。本作は、2022年に公開された短編映画に前日譚と後日譚を加え、4つのエピソードから成る1本の長編として再構築された異色のゾンビ映画だ。「生きづらさ」を抱えた人々が、ゾンビ化によって静かなサバイバルを繰り広げる世界観について、キャスト陣が撮影の裏話を語った。

上映前の熱気に包まれた会場で、佐藤監督は長編化の経緯について「元々は長編として企画し、ゾンビ隔離地域に残る人々を3組ほど描く予定だった」と明かした。諸事情により短編として先行公開されたが、今回ようやく当初の構想を実現。「世の中がどんどん生きづらくなっている今、その環境を同世代のキャラクターで描けたのは良かった」と、現代社会の閉塞感を作品のテーマに重ねて語った。

短編に続き、主人公・石動早希役を演じた倉島颯良は、約4年ぶりとなる同役への再挑戦について「懐かしさを感じた」と笑顔を見せた。今回は新たな登場人物である愛生(あい)との出会いが描かれるが、役作りについて「愛生という存在がいることで、早希が昔の自分を重ね合わせ、客観的に自分を見られるようになった。その結果、少し前向きになれた」と内面の変化を語った。これを受け佐藤監督は「前作の舞台挨拶で倉島さんが『60%くらいの決意』と言っていたので、今回は80〜90%くらいの決意になるよう演出した。逆に100%だと嫌な奴になるので」と、自己評価の低さを肯定する本作ならではのさじ加減を明かし、会場の笑いを誘った。

本作で重要な鍵を握る自殺志願の少女・平田愛生を演じた涼井菜生は、自身の役柄について「表向きは明るく振る舞うが、一人になると反省して落ち込むような二面性がある」と分析。「自殺願望がある役なので演じるのが難しかった」と振り返る涼井に対し、監督は「そういう役ができる人はなかなかいない」と、キャスティングの苦労と涼井への信頼を口にした。また、撮影中のエピソードとして、涼井は「倉島さんにはカリスマ性があり、本当はもっと話しかけたかった」と告白。しかし、劇中での初対面の緊張感を保つためにあえて距離を置いていたことを明かし、ストイックな役作りをのぞかせた。

本作の特徴であるリアルなゾンビメイクは、特殊メイクの第一人者である江川悦子が担当している。倉島さんは「近くで見ても本当にゾンビで、演じていて『なんだ人間じゃん』と冷める瞬間がなかった」とそのクオリティを絶賛。一方、初めて特殊メイクのゾンビと対面したという涼井さんは「見た瞬間、本能で『逃げろ』と感じた」と、その迫力に圧倒された体験を語った。
舞台挨拶の最後、倉島さんは「生きづらさを感じている方に、死ぬか生きるかだけでなく『ゾンビ』という選択肢を提示することで、少しでも救われる人がいれば」と作品に込めた願いを語った。涼井も「新しい視点のゾンビ映画。監督からのメッセージを受け取ってほしい」と観客に呼びかけた。映画『DEAD OR ZOMBIE』は、新宿K’s cinemaほかにて公開中。
