堤幸彦監督「コロナ禍で仕事が真っさらになった時、映画をつくりたいとの声がけで前へ進めるようになった」、短編映画上映会で語る。

6月22日（水）東京・渋谷のギャラリー・ルデコ4Fで開催中の「ルデコショートフィルムパーティ」（短編映画上映会）にて、堤幸彦監督がトークゲストとして登壇。堤監督自身初となるダンスアートフィルム『Trinity』の上映後、撮影当時を振り返り、満身創痍での撮影エピソードなどを語った。

今回のトークイベント当日の上映枠では、3本の短編作品が上映された（『今夜新宿で、彼女は、』、『誰のための日』、『Trinity』）。各作品に関わる4名（堤幸彦監督、生島翔、広山詞葉、里内伽奈）が登壇。スペシャルゲストの堤幸彦監督を中心に各作品について語った。

1. ■ 「ルデコショートフィルムパーティ」トークイベント　～ＳＰゲスト堤幸彦監督～
2. ■ 『ルデコショートフィルムパーティ』開催概要

■ 「ルデコショートフィルムパーティ」トークイベント　～ＳＰゲスト堤幸彦監督～

今回のトークイベント当日の上映枠で上映された、3本の短編作品（『今夜新宿で、彼女は、』、『誰のための日』、『Trinity』）に関わる4名（堤幸彦監督、生島翔、広山詞葉、里内伽奈）が登壇し、スペシャルゲストの堤幸彦監督を中心に各作品についてエピソードが語られた。

『誰のための日』を自ら脚本・主演した里内さんが本作の準備期間を質問されると、「準備は約一か月。脚本は３週間程度で書き上げた。」と説明。準備期間の短さに会場からは驚きの声が上がった。

トークイベント当日、急遽参加となった生島さんは映画『Trinity』のプロデュース・振り付け・主演を担当し、映画監督の堤幸彦が監督・コンセプト・脚本を担当。特別出演の広山さんとともに作品作りに挑んだ。
新型コロナウイルスの影響により公演が中止となり、ダンスを扱う映画『Trinity』の創作に至った経緯がある。ロケ地となる伊豆大島を決定したのは生島さん。日本で唯一の砂漠（“砂漠”と表記されている）となる伊豆大島の「裏砂漠」を舞台とすることを決定。「予算的に無理だろう」という声がある中、「よし行こう」と決めてから2日ほどで伊豆大島に向かったという。そのような中、堤監督がテトラポッド（消波ブロック）で滑って転び負傷。骨折しながらも根性での撮影となったことを明かした。

撮影で大変だったエピソードとして、崖でのダンスシーンについて語られた。そのシーンでは血のりだけでなくローションをかけられた中、3人のダンサーがそれぞれをリフトアップしながら撮影する状況で、「まるでローションプロレスのようだった」と生島さんは当時の状況を振り返った。

『Trinity』に特別出演した広山さんは主にナレーションを担当。「それまでの作品での語り口調と違うと感じた」という事前アンケートからの感想に対して、広山さんは堤監督から「声を低く、少し怒った感じでと演出された」と話すと、堤監督からは「（ダンスという）肉体表現に、女優の言葉の表現を組み合わせたかった」と、演出の意図を説明した。

『今夜新宿で、彼女は、』をプロデュース・主演を務めた広山さんは、『Trinity』の劇中でも『今夜新宿で、彼女は、』と同様に絶叫。“絶叫女優”という言葉がトークイベント内で飛び出した。

堤監督は、伊豆大島での真夏の朝日の撮影が時期的に難しいという話を耳にしたことを語り、スケジュールの関係でメインカメラマンが伊豆大島を離れた後、自身の“俺の4K”カメラで撮影したことを説明。また、塔で踊る3人のダンサーを撮影するシーンでは、骨折している中、鏡を使って光をあてた“俺の照明”と称した撮影エピソードを語り、会場を笑いに包んだ。

最後に堤監督は、「コロナウイルスの影響で、当時（仕事が）更地になってしまった。」、「いろんな意味で、「どうしようか…」と一瞬足が止まった時に、生島さん、広山さんから声をかけてもらって、前を向いて進めるようになった。」、「とても良い経験をさせてもらった。」という言葉でトークイベントを締めくくった。