世界17ヵ国の映画祭で82冠を獲得し、異例の快進撃を続けている映画『四十九-SEEK』が、ついに日本の劇場で公開される。本作は、現代の日本に生き残る忍者の暗躍を、CGやワイヤーに一切頼らない圧倒的な生身のアクションで描いた極限のエンターテインメント作品です。公開を控え、主演・プロデューサーの浅野寛介さん、巨大闇組織のボスとして圧倒的な存在感を放つケイン・コスギさん、そして本作で長編監督デビューを果たしたシェイン・コスギ監督の3人に直撃インタビューを敢行。制作の裏話からアクションへの熱いこだわり、作品に込めた思いをたっぷりと対話形式でお届けします。

- 1. 映画制作の経緯について――この熱いプロジェクトはどのように始まったのでしょうか?
- 2. 「現代の日本に忍者が生き残っている」という斬新な設定は、どこから生まれたのですか?
- 3. タイトルの「四十九-SEEK」に込められた意味――名前に至るエピソード
- 4. 本作の見どころである、CGやワイヤーに一切頼らない「生身のアクション」について。
- 5. 主演の浅野さんとケインさん、宿命の対決シーンでのエピソードは?
- 6. 夢の「兄弟タッグ」が実現しました。現場でのエピソードを教えてください。
- 7. 海外での82冠という驚異的な評価を受けて、今のお気持ちはいかがですか?
- 8. 最後に――日本で公開を待つ映画ファンへ向けたメッセージ
映画制作の経緯について――この熱いプロジェクトはどのように始まったのでしょうか?
ー:本日はよろしくお願いいたします。まずは、本作を制作することになった経緯を教えてください。
シェイン・コスギ監督(以下、シェイン監督):コロナ禍の時期に、寛介と一緒にパイロット版となる短編映画を作ったのが最初のきっかけです。自分も、兄(ケイン)も、寛介も、幼い頃からずっとアクションとともに育ってきました。だからこそ、「日本のアクションの素晴らしさを世界に広げたい」という強い思いがずっと心にあり、どうすれば海外の観客にも広く届けられるか、みんなでディスカッションを重ねました。
浅野寛介さん(以下、浅野):最初は作った映像を、自分たちの手でYouTubeなどの配信プラットフォームで公開しようと話していたんです。でも、それだと関わってくれたスタッフたちが食べていけない。やるからには「きちんとお金を集めてしっかりしたものを作り、世界へ大きく広げていこう」ということになりました。その際、シェインさんと「海外を視野に入れるなら、セリフは英語(海外向け)が良いんじゃないか」と話し合い、本格的な長編映画の制作へと舵を切りました。
「現代の日本に忍者が生き残っている」という斬新な設定は、どこから生まれたのですか?
ー:本作は「現代の日本に忍者が生き残っていたら」という非常に魅力的な設定ですが、このアイデアはどこから生まれたのでしょうか?
シェイン監督:自分自身、映画ファンとして『ミッション:インポッシブル』のような本格アクション映画が大好きなんです。ただ、日本で「忍者」を描く際、本格的な時代劇にすると莫大な制作費がかかってしまいます。そこで「もし現代の日本に忍者がそのまま姿を変えて生き残り、秘密裏に国を守っていたら、どういう立場になるか」と考えました。これならアクションシーンも現代の舞台で組み立てやすく、海外の観客にも「現代の忍者はこうして生きているんだ」と分かりやすく広げられると思いました。
ー:彼らが身にまとう衣装やビジュアルも非常に現代的でクールですね。
シェイン監督:低予算の中でもリアリティを追求したくて、「今の忍者なら、普段は一般社会に紛れて普通の仕事をしていて、夜の暗殺任務にはどのような服を着るか」と話し合いました。衣装に関しては、モード学園さんと提携してコンペティションを行い、学生の方々に素晴らしいデザインを作っていただいたんですよ。
タイトルの「四十九-SEEK」に込められた意味――名前に至るエピソード
ー:本作の『四十九-SEEK』というタイトルですが、漢字の「四十九」に「シーク」という読み方を当てはめていて、すごくよく考えられているなと感じます。このタイトルをつけるに至ったエピソードなどがあれば、ぜひお伺いしたいです。
シェイン監督:そうですね、逆に(インタビュアーさんは)このタイトルにどういう意味があると感じられましたか?
ー:英語の「SEEK」に「探す」という意味がある一方で、読み方の「49」というのは、日本ではやはり「生と死」を感じさせる「四十九日」や、「死」「苦悩・苦しみ」といった言葉を連想させます。そうした深い背景や意味を持たせて作られたのかな、と思ったのですが……。
シェイン監督:その通りです! まさにそういうバックグラウンドがあります。僕自身、タイトルには印象的な「数字」を使いたいと調べていく中で、忍者の歴史に「49」という部族がいるのを見つけて、まずそれが面白いなと。そこに今おっしゃっていただいたような、日本の「四十九日」が持つ生死のニュアンスや「死・苦悩」という意味合いを重ねられると考えました。 さらに、主人公が「現代の忍者としての世界」と「日常の普通の生活」の二つの世界の間で葛藤しながら、自分自身の生きる意味を「探し求めている(SEEK)」という姿を重ね合わせて、このタイトルに決めました。
浅野:補足すると、実はコロナ禍より前の段階から、シェインは「SEEK」という特殊部隊の企画をずっと温めて持っていたんです。そこから今回長編映画化するにあたって、僕の方から「四十九日などの生死の意味も重ねられるし、漢字の『四十九』を当てて『シーク(SEEK)』とするのはどう?」と提案させてもらって、話し合いながらこの形に決定していきました。
本作の見どころである、CGやワイヤーに一切頼らない「生身のアクション」について。
ー:昨今のアクション映画はCGやワイヤーを多用するものが主流ですが、本作の生身の肉体がぶつかり合うアクションは非常に新鮮で胸が熱くなりました。
シェイン監督:現代の多くのアクション映画はCGやワイヤー、映像の速度編集を絡めて作られていますが、本作ではそうした技術に頼らず、肉体の極限を映し出すことにこだわりました。これが海外の映画祭でも「自分たちも真似したい!」と驚きをもって受け入れられた、一番の魅力だと思っています。
ケイン・コスギさん(以下、ケイン):僕が特におすすめしたい見どころは、本編にある「カットを切らない、長いワンカットの長回しアクション」です。僕は出演していないシーンなのですが、本当に素晴らしい出来栄えです。かつてトニー・ジャーの映画でも5分間の有名な長回しアクションがありましたが、それ以来なかなか見られない挑戦です。画面越しに「本当に生身でやっている」ことがはっきりと分かり、寛介さんとアクション監督の石井(JAE・石井靖見)さんという、本物のプロ同士だからこそ成し遂げられた奇跡のシーンです。
シェイン監督:長回しのアクションは、アクションに関わる人間にとっての「ロマン」なんですよね。最初の企画段階で「世界中をびっくりさせるような、5分や10分の長いアクションシーンが欲しい」とディスカッションをして、本当に限界に挑みました。プロフェッショナルだからこそ出せるリアルな迫力と深みを、ぜひ体験してほしいです。
主演の浅野さんとケインさん、宿命の対決シーンでのエピソードは?
ー:主人公の京平(浅野さん)と、闇組織のボス・高月(ケインさん)によるラストの直接対決シーンは息を呑む迫力でした。撮影現場でのエピソードを教えてください。
浅野:ケインさんと実際に手合わせ(アクション)をした時、本物のエネルギーと圧倒的なリアルを感じました。劇中で僕がケインさんに刀を落とされるシーンがあるのですが、あれは落とそうと演技したのではなく、ケインさんの本気のエネルギーのリズムに圧倒されて、本当に刀を落としてしまったんです。リハーサルとは全く違う、怖いほどの覇気を感じましたが、それがカメラに「本物」として収まり、一発でOK(1テイク)になりました。魅せる美しさと本物のエネルギーは表裏一体なのだと実感しました。
ケイン:役作りについては、シェイン監督と事前にじっくり話し合いました。よくある「自分の感情をすぐに外に出す分かりやすい悪役」ではなく、「何を考えているのか分からない、クールでありながら、背後に圧倒的な恐怖を感じさせるボス」というキャラクターを目指しました。

夢の「兄弟タッグ」が実現しました。現場でのエピソードを教えてください。
ー:世界的アクションスターである父・ショー・コスギ氏の血を引くお二人が、監督と役者という「兄弟タッグ」で臨まれたことも、大きな話題となっています。現場での関係性はいかがでしたか?
シェイン監督:兄は僕が頭の中で思い描いている期待以上のものを、カメラの前でバシッと出してくれました。本当にやりやすかったです。あまり細かく指示をしすぎず、兄が自由に自分の考えで動けるような空気作りを心がけました。
ケイン:弟の映画に出られたことは、自分の約30〜40年の役者キャリアの中でもトップ3に入るほど嬉しく、誇らしい思い出になりました。撮影期間自体は短かったですが、毎日が本当に楽しくて、子供の頃に一緒に遊んでいた時のことを思い出しながら撮影に臨んでいました。実は、弟が初監督をやると聞いた瞬間、本当は「出演したい!」と自分から言いたかったのですが、弟のイメージなども考慮して言えずにいたんです。そんな時に「悪役で出てほしい」と声をかけてもらえて、本当に光栄でした。自分も昔、監督の勉強をしたことがあるからこそ、監督が抱えるプレッシャーやストレスの大きさが痛いほど分かります。だからこそ、何でも手伝うから少しでも弟の力になりたいという一心でした。
海外での82冠という驚異的な評価を受けて、今のお気持ちはいかがですか?
ー:世界17ヵ国の映画祭で82冠を獲得という、ものすごい快進撃を続けていますが、海外での反響をどのように受け止めていますか?
シェイン監督:実は僕たち自身、最初から「海外で評価されてから日本へ逆輸入する」というマーケティング戦略を持っていました。僕が直接ニューヨークの映画祭へ足を運んだ際、現地のお客さんから「前半からテンポが良く、特に後半約20分に及ぶ怒涛のノンストップアクションが素晴らしかった!」と熱狂的な声を直接聞き、これまでの苦労が報われる思いで感激しました。
浅野:何の変哲もない河原の土の上から始まった自主制作(DIY)映画が、こうして世界を席巻して日本に凱旋できたのは、夢のようです。実は、すでに続編である『四十九-SEEK 2』の撮影も全て終了しており、僕たちはもう次に向けて全力で走り始めています。今後の展開もぜひ楽しみにしていてください。
最後に――日本で公開を待つ映画ファンへ向けたメッセージ
ー:それでは最後に、これから劇場で『四十九-SEEK』をご覧になる日本のファンに向けて、お一人ずつメッセージをお願いいたします。
浅野:本作は、何の変哲もない河原でのDIY自主制作から、自分たちが本当に信じるアクションを形にするためにスタートした作品です。皆さんが普段思い描いているアクション映画の枠を超えた、とても尖った映画に仕上がっています。ぜひ最後まで目を見開いて、全身で体感してください!
シェイン監督:映画ファンの一人として、何よりも観客の皆さんに楽しんでいただきたいという一心で作りました。アクションを通じて、劇中の時間があっ著に過ぎ去るようなエンターテインメントを提供します。ただ観るだけでなく、五感で「体験し、感じる」映画となっていますので、ぜひスクリーンで体感してください!
ケイン:現在、海外では侍や忍者といった日本文化のブームが巻き起こっており、CG多用の時代から再び生身のアクションへの注目が集まっています。本作は、限られた撮影時間と低予算という厳しい環境ながら、最初から最後までこれほどアクションが詰まった映画は他にありません。ぜひ劇場で、本物のアクションを体感してください!

映画『四十九-SEEK』
物語
忍者の末裔たちは現代の日本にて名や姿を変え、非政府組織「四十九(シーク)」として秘密裏に任務を遂行する。そのエージェントの中でも屈指の実力を持つ相沢京平(浅野寛介)は、ある潜入任務を通じて己の宿命と向き合うことになる。
生身の人間がぶつかり合う、93分間のノンストップアクション
キャスト
浅野寛介、三浦誠己、菜 葉 菜、弓削智久、小川未祐、吉田美佳子、上村侑、結城貴史、石井靖見
/ ケイン・コスギ
スタッフ
監督・編集:シェイン・コスギ
アクション監督:石井靖見(Japan Action Enterprise)
プロデューサー:浅野寛介、シェイン・コスギ、綾野文咲、浅野博貴
配給:KeyHolder Pictures
7月31日(金)より池袋シネマ・ロサ、kino cinéma 新宿、ほか全国順次公開
