映画『3653の旅』、『彼女たちの話』上映初日。中村更紗、稲村美桜子、出演の気持ち語る

映画『3653の旅』、『彼女たちの話』上映初日。中村更紗、稲村美桜子、出演の気持ち語る

2022年8月13日(土)、池袋シネマ・ロサにて、映画『3653の旅』、『彼女たちの話』が上映を開始。初日舞台挨拶には2作品に主演・出演するキャストと野本梢監督が登壇。登壇者は、中村更紗、二田絢乃、稲村美桜子、卯ノ原圭吾。 オファーから出演への思い、脚本を読んだ感想。主演にあたって心がけたことを語った。

3653の旅

■ 映画『3653の旅』、『彼女たちの話』初日舞台挨拶

台風8号(メアリー)の接近による大雨の中、映画『3653の旅』、『彼女たちの話』は上映初日を迎えた。舞台挨拶には野本梢監督がMCとして登壇。2作品に参加するキャスト、中村更紗、二田絢乃、稲村美桜子、卯ノ原圭吾とトークを展開した。

野本監督から初めて脚本を読んだ時の感想を質問された中村更紗さんは次のようにこたえた。

中村更紗
3.11、東日本大震災の話だと聴いていてオファーを受けたので、ちょっと構えてはいたんですけど。
実際に読んでみると、3.11の話だということよりも、野本監督から脚本を渡していただいたときに「残された人の話だ」というのを聴いていて、それから脚本を読んだら、確かにそちらの方が印象に残ることが多くて、すべての人に当てはまるというか、両親が亡くなってしまった方とか、飼っていた猫ちゃんが亡くなってしまったり、会えなくなってしまった人とか、3.11に関係なくとも演じていけるんじゃないかとすごく印象に残りました。

3653の旅
中村更紗

続けて、同じ質問をされた二田絢乃さんは感想と自身の気持ちを次のように語った。

二田絢乃
脚本を読んで思ったのは、自分が被災していなかったり、ニュースでしかみていない側だと「大変だったんだろうな」とか「辛かったんだろうな」という思いが先行してしまうことがあったんですけど、でも現地で実際に経験された方は10年経った今も自分の生活をしていて、前に進もうというか、前に進んでいて、しかもその“進む”という表現も私たちからしたら申し訳ないと考えたりしていて、ただ「大変そう」、「辛そう」だけじゃなくて、その人たちも私たちと同じように、一生懸命に毎日を生きているんだろう・生きようとしているんだろうなってところをうまく表現したいなっていうのは、脚本をみた時に思いました。

3653の旅
二田絢乃

石巻に訪問した際のことを質問された卯ノ原圭吾さんは当時の気持ちを次のように語った。

卯ノ原圭吾
撮影の3,4年前くらいに、陸前高田の高台から海の方を見たことがありました。
その時は土や砂というか、ショベルカーや機材によって土が盛られていたりだとか、そういった風景を見た後にオファーをいただいたので、最初、怖い部分がありました。
石巻という街が、僕らが想像している以上にどこまで進んでいるのか、どういう街になっているのか。
実際に石巻の駅に降りた時に、語弊があるかもしれませんが“田舎の普通の駅”の感じがしました。それから街を歩く中で、駅のまわりは、ものすごく整理されたわけではなく、昔の建物があったことに驚いたのと、眺めていると、「ここまで津波が来ました」というものをみた時に、急に津波や震災というものが現実味を帯びました。僕が演じた辻祐太という人物は東京にいて、そこから石巻にいく設定だったので、あえて、石巻のことを調べずに行ったんです。石巻で受けたものをそのまま表現したいと思って、そういったことを感じたのを覚えています。

3653の旅
卯ノ原圭吾

野本監督から『彼女たちの話』での初主演にあたっての感想を求められた稲村美桜子さんは当時の気持ちを次のように語った。

稲村美桜子
最初に脚本を読んだ時に内容がわからなくて、野本監督や母にきいて理解していきました。
特に自分の中で気を付けていたことは、お姉ちゃんが二人いるんですけど、長女と次女の“美玖との距離感”が違くて、それはどちらも大好きなんですけど、どちらも同じ気持ちではなくて、ちょっと違うんです。そこを気を付けながら演技してみました。そこをもう一度振り返って観ていただけたらうれしいです。

彼女たちの話
稲村美桜子

野本監督は、「私は美桜子ちゃんの表情を撮る・追っているのが楽しかった。」と感想を語り、稲村さん演じる・美玖の塾の担当の先生を演じた中村更紗さんは、共演した際に感じたことを次のように振り返った。

中村更紗
「どんどん、人の表情はこんなにも変わっていくのか」というものがありました。
撮影が季節をまたいでいたので、「久しぶりに会ったね」という機会があったんですけど。
一瞬、誰だか気づかないくらい本当に変わっていて、「成長…。人ってすごいな…」って思ってしまいました。

彼女たちの話

続けて、野本監督は稲村さんに感じた印象を「いろいろ経験して、見えてくるものが変わったのかなと。何が正しい・悪いではなくて、いろいろな視点を持つようになったのかなというものを感じました。」と語った。

それに対し、稲村さんは次のような感想を述べた。

稲村美桜子
最初はお姉ちゃんの「男の人がこうだから…」という「女の人だけがいい立場に行けない」ということから始まったんですけど、最後は、男の人も同様のことが同じようあって、そこが自分が演技したときに、「あぁ、そっちもあったのか」と思うことができて、新たな発見ができました。
男とか女とか、体格面の違いもあると思いますが、立場上の話としては、男だから女だからということは言ってはいけないんだなということが学べました。学べて良かったです。

彼女たちの話

フォトセッションの後、中村更紗さんはお客様に向け、次のように語りかけた。

中村更紗
両作品とも、いろんな立場の人間が出てくる作品で、今日、みなさんがどの立場に立って作品を観ていたか、多分人それぞれあると思います。
今日は多分、自分に近い立場で作品を観ていた方が多いと思うのですが、もし良かったら、また、観ていただいて、自分とは反対というか、“自分はこの人ではない”という人の立場で作品を観ていただけたら見方がいろいろと変わるのではないかと思います。
よろしければ、2週間上映しているので、誰か一緒に来たい人を連れて観に来てくれたら嬉しいです。

3653の旅
3653の旅

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■キャストプロフィール

◆『3653の旅』

中村更紗/中元玲
1993年11月15日生まれ、岩手県出身。
2016年より演技を始め、以降舞台を中心に活動。2020年より自主制作映画や広告等、映像演技を本格的に開始し、現在公開待機作を多数控える。

二田絢乃(ひろの)/多部凪
慶應義塾大学卒業。高校で演劇に触れ、大学でも継続して打ち込む。
卒業後、会社員として働きながら舞台のみならず映画やCMにも活動の幅を広げている。現在は劇団エンニュイ「無表情な日常、感情的な毎秒」に継続して出演中。観たお客様の人生を豊かにする、そんな伝説を残したい。

卯ノ原圭吾/辻祐太
1993年6月9日生まれ、東京都出身。
明治大学在学時、明治大学シェイクスピアプロジェクト「ヘンリー四世」主役を務める。
「仮面ライダーエグゼイド」(2017/テレビ朝日)、「ドクターX~外科医・大門未知子」~ シーズン6・7 (2019・2021/テレビ朝日)にレギュラー出演、映画では「Blue」(2021/𠮷田恵輔監督)、「ボクらのホームパーティー」(2022/川野邉修一監督)などに出演する。

◆『彼女たちの話』

稲村美桜子/美玖
2007年生まれ。
野本梢監督作品「朝をこえて星をこえて」(2017)で、ダンスとボーカルデビュー。特技・バトントワリング。趣味・スキューバダイビング(PADI.AOWライセンス所持)。出演作にハマノヒロチカ「センチメンタル」MV(松本卓也監督)、「あの頃と甘いシュシュ」(2018)、「次は何に生まれましょうか」(2019)(以上全て野本梢監督)などがある。

中村更紗/霜田玲 (美玖の塾の担当の先生)
1993年11月15日生まれ、岩手県出身。
2016年より演技を始め、以降舞台を中心に活動。2020年より自主制作映画や広告等、映像演技を本格的に開始し、現在公開待機作を多数控える

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