<SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023>オープニング作品『瞼の転校生』舞台挨拶。大衆演劇が実際にどういうものか感じて欲しい。

<SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023>オープニング作品『瞼の転校生』舞台挨拶。大衆演劇が実際にどういうものか感じて欲しい。

“若手映像クリエイターの登竜門”「SKIP シティ国際 D シネマ映画祭」が、7 月 15 日(土)より 20 回目の開催 を迎えた。初日にはオープニング・セレモニーが開催された後、オープニング作品『瞼の転校生』の舞台挨拶を行い、出演の松藤史恩、葉山さら、高島礼子、そして藤田直哉監督の 4 名が登壇した。

瞼の転校生

映画祭 20 周年と川口市制施行 90 周年を記念して製作された『瞼の転校生』は、大衆演劇の世界で生きる中学生がひと月しか通えない学校での出会いと別れを通じて成長していく姿を描く爽やかな友情ドラマ。短編映画『stay』で 2020 年本映画祭国内コンペティション短編部門優秀作品賞を受賞した藤田直哉監督が、長編デビューとなる本作で凱旋した。

■ 映画『瞼の転校生』舞台挨拶

▼初長編作品で、「SKIP シティ国際 D シネマ映画祭」に戻ってきた今の気持ちは?

藤田直哉監督
2020年に『stay』という作品で賞をいただいたことをきっかけにここに戻ってこられてとても嬉しく思います。
2020年の時はコロナ禍で、全てオンラインでの開催でした。こうやってフィジカルにお客さんに観てもらって、コミュニケーションを取ることができなかったので、改めてじゃないですけど、たくさん皆さんに観てもらえる機会をいただいてとても嬉しいと思いますし、すごく楽しみにしてきました。

瞼の転校生

▼大衆演劇を題材にした本作。大衆演劇に監督はいつ出会ったのか?

藤田直哉監督
僕は出身が北海道で二十歳を越えてから上京してきました。それまで大衆演劇という文化を全く知らなかったんです。多分、北海道には劇場がなかったというのもあったんですけど、上京してきてからお風呂入ることが趣味になりました。スーパー銭湯にいろいろ回った時期があって、常設の劇場があって、存在は知っていたんですけど、知っているだけで観ることはなかったんです。「なんだろうな?」っていう気持ちで過ごしていた期間がありました。

たまたま観させていただいた時に、今まで知らなかった文化をこの歳にして初めて観て、カルチャーショックを受けました。

この映画を観てもらうとわかるんですけど、個人的な面白さをふつふつと感じたことがあって、それで興味を持っていろいろ取材させてもらって、今回、映画の題材にさせてもらいました。

▼大衆演劇へのチャレンジは大変だったのでは?

松藤史恩
この撮影をするまで大衆演劇について全然知らなくて、台本をもらったときに監督がいろいろ調べたことのお話を聞いたり、教えてもらって、毎日公演が違うセリフを覚えたり、カツラもすごく重くて大変でした。
白塗りをするのは、小学1年生の時に歌舞伎を体験したので、人生2回目ですが緊張しました。踊りについては(撮影の)前日くらいに届いて、ホテルの中で練習しました。

瞼の転校生

▼裕貴とケンの二人の男の子に挟まれる難しい役を演じてみていかがでしたか?

葉山さら
松藤くんが演じる裕貴と、齋藤潤くんが演じるケンを力強く引っ張っていく役だったので、そのエネルギーやパワーをどう表現するか、監督と何度も話し合いを重ねながら進めていきました。

瞼の転校生

▼こどもに寄り添い悩む母親役を演じてみて

高島礼子
今のこどもたちは、ものすごくしっかりしているなと思いました。自分たちでちゃんと自主性があって、親はそれを見守っているだけ。こどもを信じて変な方向に行かないように見守るような役でありがたかったです。
こどもと同じ目線で見てあげて、小難しいことをいわずに応援をきちんとしている役でした。

瞼の転校生

▼印象に残っているシーンは?

藤田直哉監督
松藤くん、齋藤潤くん、葉山さんの3人が仲良くなっていたという関係性が、すごく画面に出たと思っています。特に3人のシーンがあるのですが、現場で仲良くなって積み上げてきた関係性がうまく転んで、僕はいいシーンになったと思っています。

瞼の転校生

▼川口市での撮影で印象に残っているところは?

高島礼子
(映画祭会場でもあるSKIPシティの建物内にある)「つぼ八」が美味しかったんです。そこで雑談をして、私にとっては思い出深いシーンになりました。

瞼の転校生

松藤史恩
夜景を見るシーンがあるんですけど、そこがすごくきれいで何度でも行きたくなります。
あと、ゴリラ公園というのがあるのですが、そこのゴリラをまだ見られていないので、それを見たいです。

葉山さら
川口駅前の川口西公園が印象に残っていて、素敵なモニュメントがあったり、芝生や川で小さい子が遊んでいるのを見ると、川口に住んでいる方たちの憩いの場なんだと思って印書に残っています。

瞼の転校生

▼お客様へのメッセージ

松藤史恩
この映画をいろんな人に観ていただいて、大衆演劇っていうものをますます広げていけたらなと思います。

瞼の転校生

葉山さら
映画の中で描かれている1ヶ月で、裕貴とケンとマナの成長と関係性が少しずつ変わっていくところを楽しんでいただけたらなと思っています。

瞼の転校生

高島礼子
ロケ中に観なかった川口の素晴らしい趣のある景色もたくさんきれいに映っていました。こどもたちがその前でしっかりと芝居をしてくださって、絵画を見ているかのごとくの印象を受けました。
その辺りも楽しんでいただけるんじゃないかなと思っています。

瞼の転校生

藤田直哉監督
大衆演劇を題材に映画を作らせていただいて、今回の映画制作をきっかけに大衆演劇にガッツリと関わらせていただきました。
大衆演劇を実際に何回も観に行ったり、個人的に楽しめた経験があるので、皆さんもこの映画を観たことをきっかけに、実際に足を運んでみて、(大衆演劇が)どういうものかを感じていただけるきっかけになれば嬉しいです。
メインの3人のこどもたちの友情の物語でもあるので大人目線でこどもをどう見ているのか、観た人にとってどう感じるかを深く考えて欲しいです。

瞼の転校生

映画『瞼の転校生』

大衆演劇の世界で生きる中学生が、ひと月だけしか通えない学校での様々な出会いと別れを通じて変わっていく姿を描いた青春ドラマ。監督は『stay』(19)が2020年の本映画祭国内コンペティション短編部門で優秀作品賞を受賞した藤田直哉。受賞後には文化庁の若手映画作家育成プロジェクトndjcで『LONG-TERM COFFEE BREAK』(22)を監督し、文化庁「日本映画の海外展開強化事業」に参加してNYで研修をするなど、さらに注目を集める存在に成長して映画祭に帰ってくる。日本文化大衆演劇協会の協力の下、これまでの作風とはひと味違う作品に挑戦した本作だが、『stay』と同じく脚本に金子鈴幸、プロデューサーには井前裕士郎という大学時代からの盟友がスタッフに名を連ねる。出演は主演の松藤史恩と、その友達役に齋藤潤、葉山さら。経験豊かな高島礼子、佐伯日菜子らも子どもと共に悩む大人たちを好演している。本作は、映画祭20周年と川口市制施行90周年を記念して製作され、本映画祭での上映がワールド・プレミアとなる。

監督:藤田直哉
出演:松藤史恩、齋藤潤、葉山さら、村田寛奈、市川華丸、生津徹、タモト清嵐/佐伯日菜子/高島礼子

2023年 / 日本 / 80分


■ <SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023>オープニング・セレモニー


■ SKIP シティ国際 D シネマ映画祭 2023 開催概要

▼会期:《スクリーン上映》2023 年 7 月 15 日(土)~7 月 23 日(日)
《オンライン配信》2023 年 7 月 22 日(土)10:00 ~ 7 月 26 日(水)23:00
▼会場:SKIP シティ彩の国ビジュアルプラザ 映像ホール、多目的ホールほか(埼玉県川口市)
▼主催:埼玉県、川口市、SKIP シティ国際映画祭実行委員会
▼公式サイト:www.skipcity-dcf.jp

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