4月30日(土)池袋シネマ・ロサにて、映画『to…』(塩野峻平監督)が上映初日を迎えた。本作は3本で構成されるオムニバス作品。舞台挨拶が行われ、Part1のW 主演の植松優 ( 小松役 )、東出薫 ( 立野役 )、塩野峻平監督が登壇。収録映像にてPart1の楽曲担当の早希のコメント・弾き語り映像が上映された。
SKIP シティ国際 D シネマ映画祭や門真国際映画祭など、大学在学中から複数の映像コンペティションで高い評価を得てきた塩野峻平が、コロナ禍の “端の人” を描くオムニバス映画を監督として制作。監督・スタッフの多くが現役の中央大学の学生であり、彼らが身を持って感じてきたコロナ禍の生きづらさを繊細に表現し、コロナ収束後の世界への希望を作品に託した。
100 名を超えるオーディションの中から選ばれたのは、植松優、東出薫、清水陽介、藍川きあら、猪征大、竹内詩乃。登場人物同様、コロナ禍で生きる 6 人の若い出演陣が集った。挿入歌は、YOASOBI の ikura も所属した、ぷらそにかの現メンバーである早希、YouTube にて 6.5 万人以上のチャンネル登録者を持ち TikTok でも人気を誇る Day and Night、力強い歌声でインディーズ界隈を沸かせ精力的にライブ活動を行うマリナの3 組が本作のために楽曲を書き下ろした。
キャスト、アーティスト、スタッフがそれぞれの視点、それぞれの役割で、コロナ禍の「今を生きること」を描いた作品。
■ 映画『to…』
▼あらすじ
〈パート 1 :小松(植松優)× 立野(東出薫)〉
東京で 1 人暮らしをする大学 2 年生の小松は、隣人の立野がアパートを出ていく準備をしているのを見かける。
立野は地方出身の大学 1 年生で、進学のために上京したが、コロナの影響で講義がオンライン授業となり、大学に通えないため、実家に帰る決断をしたのであった。小松は、思い描いていた大学生活を送れなかったことに対し複雑な思いを抱く立野の話を聞いて、立野が東京で過ごす最後の日に、彼女を 1 日だけの東京観光に誘う。
〈パート 2: 要(清水陽介)× 光(藍川きあら)〉
要は実家の中華料理屋で働き、要の幼なじみの光は大学 3 年生で就職活動をしている。コロナ禍という状況の中で要の実家の中華料理屋はだんだんと客足が減っていき、光もオンラインでの就活面接が続くなど、それぞれの状況でやりにくさや、将来の不安などを感じている。光はそんな状況の中で、春から故郷を離れ、東京の会社に就職することを要に伝える。
〈パート 3: 大内(猪征大)× 楠本(竹内詩乃〉
倉庫でアルバイトをしながら劇団で役者をしている大内は、コロナ禍で役者として表現ができる場を失っていた。
小規模ながら舞台の活動を再開し始めた時、大内は、公演に頻繁に足を運ぶ女子高生・楠本にどこか不思議な感覚を覚える。舞台に上がるたびに楠本を気に掛ける大内。コロナでそれぞれの生活が一変した 2 人の間には、舞台演劇を通し自然と繋がりができる。
■初日舞台挨拶レポート
MC 中村綾菜
塩野監督から自己紹介をお願いします。
塩野峻平
映画『to…』の脚本・監督を務めました塩野峻平と申します。よろしくお願いします。
植松優
今回、『to…』のパート1で小松役を演じました、植松優と申します。本日はどうぞよろしくお願いします。
東出薫
『to…』パート1で立野役を演じました東出薫です。本日はお越しいただきありがとうございます。よろしくお願いします。
▼本作制作のきっかけ
MC 中村綾菜
塩野監督にお聞きします。Part1について、なぜ、コロナ禍の大学生の話を映画にしようと思ったのでしょうか?
塩野峻平監督
僕自身この映画を企画したのが当時まだ大学生の時でした。身の回りに大学に通えずに地元に帰ってしまう人とか、あるいは全て授業がオンラインであったりという環境が身近にあったので、こういう時代にその環境を映画にして残して皆さんに届けることができればという思いからPart1を撮影しました。
MC 中村綾菜
私達は同じ大学なのですが、私も3、4年生の頃はオンライン授業でした。
それでは東出さんと植松さんにお聞きいたします。それぞれの役を演じるにあたって、役とご自身の違いについて教えてください。
植松優
小松は大学生なのですが、僕は大学に行ってなかったので、大学に通っている友達にいろいろ聞いて、そこで学んだり、そこで役に立ったことを使って演じました。
東出薫
私も大学には進学していないんですけれども。立野と私の性格が違うと思ったのが、初めて会った小松からの「観光に行けませんか?」という提案に乗った勇気で、そこがすごいなと私は思いました。
でもある意味、悩んでいる立野が何か行動を起こそうというところが、自分と違うというかすごいなと思いました。
MC 中村綾菜
確かに、知らない人についていくというのは、すごい勇気がいりますよね。
▼印象に残っている撮影時のエピソード
MC 中村綾菜
それでは印象に残っている撮影のエピソードをお願いします。
植松優
一番印象に残ったのは歩道橋のシーンです。そこで出てくる台詞で、「大学生ってどんな感じなんですか?」から始まって、その中で、「また、きっと誰かに会えますよ」っていう台詞があるんです。そこのセリフが一番印象に残りました。
東出薫
スタジオ撮影と違って、外でのロケが多かったので、毎日撮影場所が違って、分刻みでスケジュールが変わって、でも、立野としていろんな場所を観光できたので、コロナ禍で過ごす中で新鮮な気持ちがして観光したことが楽しかった印象です。
MC 中村綾菜
どこの観光場所が一番でしたか。
植松優
楽しかったのは、浅草が一番でした。
東出薫
初めてスカイツリーに登ったので、怖かったんですけど、貴重な経験で楽しかったです。
植松優
二人とも高所恐怖症なのですごいブルブルして怖かったです。
東出薫
プライベートでは行く機会がないので、撮影で体験できて楽しかったです。
MC 中村綾菜
でも、見てる感じではわからなかったですよ
植松優
ひたすら遠くを見ていました。
MC 中村綾菜
塩野監督は撮影時に印象に残っていることはありますか?
塩野峻平監督
出演者2人が、割と「よーい、スタート!」で、役に入るタイプ・性格でした。本番が始まる前まではいつもの二人なんですけど、いざ本番ってなったらすごい切り替えて、シリアスじゃないですけど、静かなシーンも演じられたので「あぁ、役者だな」って思いました。
MC 中村綾菜
植松君は普段と本番と全く違いますよね。(笑)
植松優
そうですね。
東出薫
彼は自分でさっきおっしゃっていたんですけど、“内気な性格だっていう形”で売りにしたいらしいんですけど。
植松優
そうですね。
塩野峻平監督
結構、人見知りですよね。
東出薫
そうですね。私も植松さんはそんなに明るい方ではないのかなと思って接していたのですが、大事なシリアスなシーンの前に騒ぎ始めて…
植松優
楽しかったね~(笑)
MC 中村綾菜
逆に、植松さんからみて東出さんはどんな方でしたか?
植松優
イメージの通りでした。天真爛漫でよく食べる気さくな子だなと思いました。
MC 中村綾菜
だそうですが、東出さんはそれを聞いていかがですか?
東出薫
その通りです(笑)
▼キャストの印象 ~オーディション時と本番時の違い~
MC 中村綾菜
塩野監督に質問します。オーディションをしたときの2人の印象と違いましたか?
塩野峻平監督
オーディションはPart1のポストの前のシーンで行いました。
当然、部屋に入った時から2人ともそのキャラクターになっていたんですけれども。いざ顔合わせの時に自分で考えたキャラクターで来たので、「あぁ、そういう感じかぁ」と思いました。本番でしっかりやってくれましたね。
東出さんは最初はすごい静かでした。徐々に二人とも心が打ち解けていったので、それがすごい良いなと思いました。
MC 中村綾菜
ふたりとも、“ドンジャンケンポン”で遊んで打ち解けていったみたいですね。
植松優
最初、わからなかったんですが、教えてもらいました。
▼事前にSNSで募集した質問への回答
MC 中村綾菜
今回、事前にSNSで質問を募集しました。そこでいただいた質問をご紹介したいと思います。これは東出さんへの質問じゃないかなと思います。
「私は女優を目指していますが、うまくいかない日々が続いています。今回の映画もそうですが、今までたくさんのポジションを経験されているであろう薫さんなら、オーディションの必勝法もあるのではないですか、ぜひ教えてください」とのことです。
東出薫
逆に教えてほしいですね(苦笑)
そうですね…なんでしょうね。やっぱりイメージやタイミングがあるので気張らずにありのままでいけるように、自分ができる最低限の準備をして挑むことでしょうか。
MC 中村綾菜
植松さんは何か意見はありますか?
植松優
その通りだと思います。
東出薫
なにか言ってくださいよ(笑)
MC 中村綾菜
オーディションは緊張しますか?
植松優
緊張しますね。でも最近はもう緊張しなくなりました。
最初は緊張していたんです。そこは切り替えていこうと思いました。
MC 中村綾菜
『to…』のオーディションの時は緊張しましたか?どんな感じでしたか?
植松優
スタッフの方が結構いらしてその真ん中に塩野監督がいらっしゃって、「いかついな」っていう印象でした。
東出薫
同世代の方が多かったと思います。皆さんが結構違う芝居をされていて、「こういうやり方もあるんだな」ってすごく刺激的な感覚を受けました。
フェイスシールドをしてのオーディションも初めてで、曇ってしまって、「どうしよう、前が見えない」という緊張感もありました。
▼キャスト選びの決め手は?
MC 中村綾菜
塩野監督に質問です。立野と小松という役をこの二人にお願いしようと思った決め手はなんですか?
塩野峻平監督
僕はこの作品自体、Part1ですが、短編を1本撮ろうと思っていました。
オーディションには120人ぐらい応募いただいたんですけれども、結局、自分の当初のイメージに近い二人を選ばせていただきました。
その分Part2、Part3はまた別の話でやらせていただきました。
自分が伝えたいメッセージを2人が体現してくれたかなという印象です。
▼楽曲について
MC 中村綾菜
今回の『to…』なんですが、楽曲を各パートずつ書き下ろしていただきました。
※Part1「なんでもない今日」早希 / Part2「あなたへ」Day and Night / Part3「溶けないように」マリナ
Part1では、シンガーソングライターの早希さんに、「なんでもない今日」という楽曲を書き下ろしていただきました。
塩野監督自身、作品のために歌を書き下ろしてもらうのは初めてだったと思うのですが、完成した曲を聴いてどういった感じを受けましたか?
塩野峻平監督
Part1って、少し静かなお話というのもあって、早希さんの綺麗な歌声がすごい作品に合ったなと思いますし、最初に聴いた時に「修正なしで、これでいきましょう」ということになったと思います。
本当に期待した通りの曲を書いていただいた印象です。
MC 中村綾菜
確かにメロディーも歌詞もコロナ禍の混乱などを体験した人だからこそ書ける言葉で書いてくれたかなと思いました。
今回、「なんでもない今日」を書いてくださった早希さんご本人からビデオメッセージをいただいておりますので、これからその映像をご覧いただきたいと思います。
■早希さんからのビデオメッセージ
シンガーソングライター 早希
はじめまして、シンガーソングライターの早希です。この度、短編映画『to…』のPart1に「なんでもない今日」という曲を書かせていただくお話をいただきました。
台本をいただいてから、楽曲を制作するということが初めてだったんですけれども、主人公の二人がコロナ禍で悶々とした気持ちとか、二人の二人の映画での素朴で純然な感じの世界観を楽曲にも表現できたらいいなと思って歌詞にもこだわって書きました。
今回の映画はコロナ禍をテーマにしていると思うんですけれども、本当に映画の中だけではなくて、実際に私達の生活にもたくさんの影響があって、本当にいろいろ大変な思いをした方もいらっしゃったと思います。
主人公の二人は、それでも少しずつ前に進もうとしている気がして、そんな小さな希望みたいなものを私も曲の中で表現できるように意識しました。
それでは、今回は少し弾き語りさせていただきたいと思います。それでは聞いてください。「なんでもない今日」
<弾き語り映像>
MC 中村綾菜
東出さん、植松さん、聴いてみていかがでしたか?
植松優
表情で物語が伝わってくるし、初めてビデオメッセージで聴いたんですけど、すごく感動しました。
東出薫
初・早希さんでした。素敵な歌声で数々のシーンが思い出としてよみがえってきました。
MC 中村綾菜
確かに、動いている早希さんをみるのは初めてですよね。
ちょっとアレンジが違ったと思うのですが塩野監督はいかがでしたか?
塩野峻平監督
映画の中でも皆さんは1回聴いていただいていると思うんですけど、こうやってメッセージとしてアレンジしたものをおおくりいただいて、感動しました。
MC 中村綾菜
お話とももちろんリンクしているし、きっと早希さん自身にもリンクしているのかなという感じがあったので、すごく実感がこもった曲だなって思いました。
それでは、そろそろお時間になってまいりました。最後にフォトセッションをに移らせていただきたいと思います。
それでは本日の舞台挨拶はこちらで終了とさせていただきます。
SNSへの感想はハッシュタグ「 #映画to… 」でお願いいたします。
『to…』(2021 年 / 日本 /82 分 / カラー /DCP)
出演
植松優、東出薫、清水陽介、藍川きあら、竹内詩乃、猪征大、江連健司、下石知美、内海詩野、小野孝弘、小澤うい、ほりかわひろき、笠木紘(赤枠工場)、円城寺正俊(赤枠工場)、早乙女大和(赤枠工場)、佐藤友里(赤枠工場)、湯淺惇紀(赤枠工場)
挿入歌
〈Part1〉「なんでもない今日」早希 〈Part2〉「あなたへ」Day and Night 〈Part3〉「溶けないように」マリナ
スタッフ
〈監督・脚本・編集〉塩野峻平、〈プロデューサー〉中村綾菜、〈撮影・照明〉近藤実佐輝、〈録音〉大津研、釘本勇気、園田晃平、中山春佳、〈美術〉じんりょうすけ、〈制作〉中山春佳、中村優希、松田美羽、〈グレーディング・コンポジター〉堤脩太郎、〈ポスターデザイン・Web 制作・パンフレット〉渡辺淳一、〈製作協力〉イトーカンパニー、〈撮影協力〉三鷹フィルムコミッション他
公式サイト https://2021to-someone.com/
2022 年 4/30 日 ( 土 )~5/6( 金 )池袋シネマ・ロサにて上映