終戦80年の広島描く『惑星ラブソング』 時川英之監督が明かすキャストの魅力と制作秘話

終戦80年の広島描く『惑星ラブソング』 時川英之監督が明かすキャストの魅力と制作秘話

若者と謎のアメリカ人観光客が出会い、過去と現在が交錯する不思議な物語――。終戦80年を迎える現代の広島を舞台にした映画『惑星ラブソング』が、5月23日よりMOVIX広島駅ほか広島県で先行公開され、6月13日よりシネマート新宿、池袋シネマ・ロサほか全国で公開される。国際映画祭で数々の賞を受賞し、広島に活動拠点を置く時川英之監督がメガホンを取った本作について、このほど時川監督自身のオフィシャルインタビュー第2弾が解禁され、主要キャストの魅力や撮影エピソードが語られた。

■ 映画『惑星ラブソング』

本作は、美しい広島を舞台に、若者モッチとアヤカが謎めいたアメリカ人旅行者ジョンと出会うことから始まる。ジョンが持つ奇妙な力を通じ、街の至る所で何かを見つけていく彼らの不思議な旅は、小学校で広島の歴史を学んで怖くなった少年ユウヤが見る、戦時中の広島への夢と混ざり合い、過去と現代、幻と現実が融合していく壮大な物語となる。愛と平和を探す不思議な旅を描く、心揺さぶる約束の旅、そして平和をテーマにしたエンターテイメント作品だ。主演のモッチ役は本作で映画初主演となる曽田陵介が、ヒロインのアヤカ役は秋田汐梨が演じ、謎めいたアメリカ人観光客ジョン役にはロサンゼルスからチェイス・ジーグラーが起用された。UFO博士役の八嶋智人、悪役を演じる川平慈英、お好み焼き屋店主役の西村瑞樹(バイきんぐ)ら、実力派から個性派まで豪華キャストが脇を固める。

▼時川監督インタビュー

◆キャスト選出について

時川監督は、ジョン役のチェイス・ジーグラーについて、アメリカ、ヨーロッパ、日本からのSNS応募やエージェント紹介による約100人の候補者の中から、書類選考とズームでのオーディションを重ねて決定したと選考経緯を語る。チェイス氏はロサンゼルス在住の俳優でありながら、作家や音楽プロデューサーとしても活躍する多才な人物だ。今回が初の日本、そして日本の映画参加であったが、彼の明るくオープンな人柄のおかげで、他のキャストやスタッフともすぐに打ち解けられたそうだ。

監督は、彼がこの広島を舞台にした平和の作品に参加することに意義を感じてくれたことが、作品に大きく影響したと感じている。撮影前に平和記念公園や広島平和記念資料館を訪れ、様々なことを感じた経験が、ジョンというキャラクターを深く作り上げる上で強く影響したという。

チェイス・ジーグラー
チェイス・ジーグラー

◆特に印象的なシーン

特に印象的なシーンとして、ジョンと少年ユウヤが小学校の校庭で出会う場面を挙げ、「チェイスの優しさやユニークさが出た」「ジョンの大きな包容力と不思議さ、それに対する少年の好奇心が交錯し、2人の間に特別な結びつきが生まれたこの夕景のシーンは、理想的な形にできた」と述べている。実はこの小学校は監督自身が子供の頃に通っていた場所であり、似たシーンを夢に見たことがあり、夢で見たものとかなり近いものを撮影できたことに驚きを感じているという。

◆重要な歌について

さらに、本作の重要な歌となる「Peace song」について悩んでいた際、ジョンの役作りをしていたチェイス氏がメロディーを思いつき、仮の曲を聞かせてくれたエピソードを披露。「その曲の雰囲気が驚くほど物語に合っていて、そのまま映画で使うことになった」といい、チェイス氏が平和公園などに行きジョンになりきっていたからこそ、自然とメロディーと歌詞が浮かんだのだろうと振り返り、「今振り返っても奇跡的な出来事だった」「作品の全体を引っ張っていく歌になった」と、その才能と役への深い没入ぶりに賛辞を送った。

◆川平慈英さんについて

カーター長官という悪役を演じた川平慈英氏とは、時川監督がプロデューサーをしていた25年ほど前のディズニー番組での共演以来、親しい間柄だといい、今回初めて映画で一緒に仕事ができたことを大変嬉しく思ったと語る。川平氏の魅力について、監督は「舞台やミュージカルで培われた他の人が持ってない明るさやエネルギー」を挙げ、今回のユニークなアメリカ人の悪役をその持ち味を活かして演じてくれたと述べている。編集作業中に気づいたこととして、「慈英さんが出てくるシーンは他とはかなり異質」でありながら、「なぜか慈英さんのシーンが出ると物語が大きく動き出すという不思議な推進力があり、作品に大きな動きを作ってくれた」とその存在感を高く評価。これは川平氏自身が持つ不思議なエネルギーに関係しているのかもしれないと推測している。

川平慈英
川平慈英

印象に残るシーンは、謎の組織を率いるカーター長官が、支配下の様々な国の外国人スタッフ30人ほどを英語で鼓舞する場面だ。撮影では、川平氏が自ら「そんなんじゃ聞こえねえぜ!」などと盛り上げてくれ、最後には一糸乱れぬチームが出来上がったという。撮影中のエピソードとして、川平氏のシーンは近未来的な建物であるフマキラーの会社で撮影が行われたことを明かし、悪そうで面白いヒール役をノリノリで演じ、長い撮影にも関わらず「もっと広島で撮影していたいねー」と楽しんでくれたことがとても印象に残っていると語った。

▼バイきんぐの西村瑞樹さんの起用について

お好み焼き屋の店主スケザネ役には、バイきんぐの西村瑞樹氏を起用。監督は彼のドラマ出演を見ており、コントで培われたユーモアのある芝居に魅力を感じていた。広島を舞台にした本作で、お好み焼き屋の店主役は「ここはぜひとも広島の人でなければならない」と考え、西村氏にお願いしたという。西村氏は、お好み焼きのエプロン姿もとても似合い、お好み焼きの文化を知っているため、自然とお店に馴染んでいたそうだ。監督は「西村さんは普通のことを話していても面白さがにじみ出てきて撮影していてもとても楽しかった」と、その人柄にも触れている。

西村瑞樹
西村瑞樹

印象に残るシーンは、劇中のお好み焼き屋で、西村氏が突然あるものを見て驚く場面。監督が粘って何度も撮影したため、西村氏はいろんな形で驚く演技を繰り返したが、「嫌な顔ひとつせず何度もトライしてくださってありがたかった」「大げさにやっても、大げさにやらなくても西村さんは面白く絵になる」とそのプロ意識と表現力を称賛した。撮影エピソードとしては、撮影場所の「セカンドハウス」で本物の店長からお好み焼きの焼き方を教わったことに言及。西村氏は店長の真似をしながらプロっぽく振る舞っていたものの、実際の撮影で鉄板のお好み焼きを真剣な様子でひっくり返そうとしたところ、3つともぐちゃぐちゃになってしまい、それでも芝居を続ける西村氏にスタッフの笑いが止まらなかったという微笑ましい一幕を明かした。

◆キャストへの監督の感謝の気持ち

監督は、主演の曽田陵介氏、ヒロインの秋田汐梨氏を含め、各キャストがそれぞれの役柄に真摯に向き合い、作品世界を豊かに彩ってくれたことに感謝している様子が伺える。特にチェイス・ジーグラー氏、川平慈英氏、西村瑞樹氏といった個性的なキャストが、その持ち味を存分に発揮し、物語に深みとユニークさをもたらしたことが、監督の言葉からも伝わってくる。広島にゆかりのあるHIPPY、谷村美月、さいねい龍二といった面々も作品を豊かに彩っている。

本作は、キャスト陣に加え、スタッフも国際的に活躍する精鋭が集結している。美術は、広島出身で日本アカデミー賞優秀美術賞を多数受賞している部谷京子氏が担当。撮影は、映画、ドキュメンタリー、MVとジャンルや国境を越えて活躍するアイバン・コバック氏。編集スーパバイザーは、『罪の声』で日本アカデミー賞優秀編集賞を受賞した穂垣順之助氏が務めている。

◆本作への著名人からのメッセージ

本作は、各界著名人からも熱いメッセージが寄せられている。アカデミー賞受賞ドキュメンタリー映画監督のスティーブン・オカザキ氏は、「現代の広島に生きる人々の日常を見事に奇抜に映し出し、人生の喜び、悲しみ、ユーモア、そして広島が持つ重大なメッセージを思い出させてくれる」とコメント。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲氏は、「時に笑い、時に悩み、不思議な感覚で『平和』を手探りする若者たち」を描いた本作を、「被爆の継承を難しく、重く苦しく受け止めがちな、現代を生きるみなさんにぜひ見てほしい」と推薦している。俳優の南果歩氏は、「過去は変えられないけれど、未来は変えられる」「この地球の運命は私たちが握っている。この星を平和にしていくのかは私たちが決めること」という力強いメッセージとともに、「原爆投下から80年の今年、戦争を我が事のように考えるきっかけとなるエンターテイメント作品」として、「小さな子供たちから戦争を経験した世代の方々にまで見て欲しい」と、幅広い世代への鑑賞を呼びかけている。本作は広島県知事推奨映画にも選ばれている。

◆本作への注目度

本作はすでに高い注目を集めており、4月22日にはMOVIX広島駅で特別上映会が開催された。10代から60代まで幅広い年代の観客が集まり、上映後は多くの感動に包まれたという。時川監督が本作に込めた“見終わった後に戦争のことについて考えるきっかけになれば”という狙い通り、多くの観客から平和や未来について考えるきっかけとなったという声が寄せられている。中には「怖いわけでもないのに、涙が出た」「子どもでも、戦争の強さ、広島の美しさ、平和の大切さがわかった」「ぜひ外国の人たちに観てほしい」といった10代の声や、「重々しくはなく、もっと身近に平和について考えられる作品」といった30代の声、「物語に引き込まれ、平和について考えさせられた」「人が普通に生きていることの素晴らしさが物語のあちこちに散りばめられている」といった声が紹介されている。この反響を受け、5月23日の広島先行公開初日にはMOVIX広島駅で主演の曽田陵介、ヒロインの秋田汐梨、ジョン役のチェイス・ジーグラー、プロデューサーの横山雄二、時川英之監督らが登壇する舞台挨拶が行われ、翌24日には広島県内5箇所の劇場を巡る公開記念舞台挨拶も決定している。また、本作は海外の映画祭でも評価されており、アメリカで開催されるFilm Invasion Los Angelesへの正式招待も決定している。

終戦から80年という節目の年に、広島から発信される『惑星ラブソング』は、過去の悲劇を踏まえつつも、重くなりすぎず、エンターテイメントとして平和と未来への希望を描く。時川監督が語るキャストや制作のエピソードからも、温かい雰囲気とユニークな魅力が伝わってくる。国内外で注目を集める本作は、平和について考える新たな視点を与えてくれるに違いない。ぜひ劇場に足を運び、広島で描かれる心揺さぶる約束の旅を体験してほしい。


広島県知事推奨映画

映画『惑星ラブソング』

作品紹介
戦後80年。美しい広島で描かれる心揺さぶる約束の旅
終戦80年になる2025年に広島を舞台にアメリカ人観光客と広島の若者たちが出会い、過去と現在が交錯する平和をテーマにしたエンターテイメント作品が誕生!
監督・脚本は、幻想的な物語を描く時川英之監督。国際映画祭で数々の賞を受賞し、『彼女は夢で踊る』『鯉のはなシ
アター』『シネマの天使』『ラジオの恋』などの秀作を積み重ねてきた。
本作で初めての映画主演を務めるのは、若手実力派俳優として数々のドラマで存在感を発揮している曽田陵介。ヒロインには、映画、ドラマ、舞台に活躍する個性と華やかさを併せ持つ秋田汐梨。ロサンゼルスから俳優、作家、音楽プロデューサーとして活躍するチェイス・ジーグラーを迎えた。そして、高い人気とユーモアを兼ね揃え幅広い演技に定評のある八嶋智人、ミュージカルなど明るいイメージが強いが本作で悪役を演じる川平慈英が脇を固める。その他、谷村美月、さいねい龍二、西村瑞樹、HIPPYなど、広島にゆかりのある個性豊かな面々が作品を豊かに彩る。
また、美術には広島出身の部谷京子(日本アカデミー賞 優秀美術賞12回受賞、うち2回最優秀美術賞受賞 「Shall we ダンス?」「それでもボクはやってない」 、紫綬褒章/2016年秋、第77回 中国文化賞受賞/2020年)、撮影は、映画、ドキュメンタリー、ミュージックビデオなどジャンルと国境を越えて活躍するアイバン・コバックを起用。編集スーパバイザーとして『罪の声』 で第44回日本アカデミー賞 優秀編集賞を受賞し、『ちはやふる〜結び〜』『ビリギャル』『花束みたいな恋をした』と実績を積む、穂垣順之助が担当。
映画監督・時川英之が創り出す現代の広島を舞台にしたユニークな愛と平和のファンタジー「惑星ラブソング」にご期待ください。


ストーリー
ひとつの歌が導くのは―愛と平和を探す不思議な旅
ある日、広島の若者モッチとアヤカは、謎めいたアメリカ人旅行者、ジョンに出会い、広島の街を案内することになる。
ジョンには奇妙な力があり、街の至る所で何かを見つけていく。一方、小学校で広島の歴史を学び怖くなった少年ユウヤはその夜夢を見る。夢の中の少女はユウヤを戦時中の広島へと誘う。彼らに起こる不思議な物語は混ざり合い、一つの大きな渦となる。広島の過去と現代が交錯し、幻と現実が融合し始める。やがて忘れられていた歌が街に響き、人々はひとつの奇跡を見つめる。広島から放つ愛と平和のファンタジー。

■キャスト
曽田陵介 / 秋田汐梨 Chase Ziegler 八嶋智人
西川諄 Raimu 谷村美月 佐藤大樹(友情出演) / 川平慈英
さいねい龍二 塚本恋乃葉 西村瑞樹 キコ・ウィルソン 松本裕見子 田口智也 HIPPY
■スタッフ
監督・脚本・編集:時川英之
プロデューサー:時川英之 横山雄二
特別協賛:みどりグループ
協賛:オタフクソース モースト 津谷静子 にしき堂 やまだ屋 プローバホールディングス ウメソー 広島電鉄
生活協同組合ひろしま Y-HOTEL薬研堀 ボートレース宮島 ひろぎんホールディングス フューレック
後援:広島県 広島市 広島市教育委員会 広島ユネスコ協会 国連ユニタール協会 鶴学園 広島大学
配給:ラビットハウス 宣伝:ブラウニー 協力:広島フィルムコミッション
企画・制作:TimeRiver Pictures
製作:「惑星ラブソング」製作委員会
コピーライト:©映画「惑星ラブソング」製作委員会

【Web・SNS】
◇公式サイト:https://wakuseilovesong.com
◇公式X(旧Twitter):https://twitter.com/wakuseilovesong (@wakuseilovesong)
◇公式instagram: https://www.instagram.com/wakuseilovesongfilm (@wakuseilovesongfilm)

2025年5月23日(金)よりMOVIX広島駅ほか広島県先行公開
2025年6月13日(金)よりシネマート新宿、池袋シネマ・ロサほか全国ロードショー

惑星ラブソング

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