映画『中山教頭の人生テスト』公開記念舞台挨拶、笑いと感動の舞台裏を語る

映画『中山教頭の人生テスト』公開記念舞台挨拶、笑いと感動の舞台裏を語る

映画『中山教頭の人生テスト』の公開を記念した舞台挨拶が6月21日(土)に新宿武蔵野館で行われ、主演の渋川清彦さん、共演の高野志穂さん、希咲うみさん、渡部秀さん、そして佐向大監督が登壇し、撮影秘話や作品への思いを語りました。司会は奥浜レイラさんが務めた。

■ 映画『中山教頭の人生テスト』の公開記念舞台挨拶

前日6月20日(金)から公開された本作は、とある小学校を舞台に、校長昇進試験を控える平凡な教頭先生・中山晴彦(渋川清彦)が、個性豊かな児童や教師、保護者、そして自身の家族との関わりの中で成長していくヒューマンドラマ。司会の奥浜レイラさんは、先生が主役でありながら主人公の視点が変化していく点や、多様な人生に焦点が当てられる点が魅力だと紹介した。

大きな拍手に迎えられ、登壇者一人ひとりが来場者へ感謝の言葉を述べました。主人公の中山晴彦教頭を演じた渋川清彦さんは、「(今日、観る映画に)中山教頭を選んでいただきありがとうございます」と深々と頭を下げ、5年1組の担任教師・椎名を演じた高野志穂さんは「お熱い中、朝からありがとうございます」と挨拶。中山教頭の一人娘・未散役で本格的な映画初出演となる希咲うみさんは、緊張の面持ちながらも「この映画をご覧くださりありがとうございます。とても嬉しいです」と語りました。黒川先生役の渡部秀さんは「短い時間ではありますが最後まで楽しんでいってください」と呼びかけ、佐向大監督は「映画『ルノワール』とかが色々ある中、観に来ていただいて本当にありがとうございます」と感謝を伝えた。佐向監督は、去年の1月、2月に撮影が行われたため、公開まで時間が経ったことや、この日が家族にとって初めての鑑賞であり一番緊張していることを明かした。

質疑応答では、ネタバレを気にせず作品にまつわるエピソードが披露されました。特に印象に残っているシーンを尋ねられると、渋川さんは体育教師の葉山(演・高橋努の)「プロテインシェイカー」のシーンを挙げ、「笑いをこらえるのが大変でした」と苦笑い。高野さんは、そのシーンが台本になく、突然の展開に椎名先生として「困った顔」で対応したことが面白かったと振り返りました。佐向監督は、そのサプライズ演出が高野さんの「困った顔」を引き出すためだったと明かし、海外の映画祭では意図しない箇所でも笑いが起きたと語った。

高野さんは、礼央奈が学校に行けなくなり、コンビニに行こうとするのを椎名先生が連れ帰ろうとするシーンを挙げました。クランクイン前のリハーサルから子どもたちの演技は素晴らしかったものの、撮影期間中に山梨でのロケを通じて子どもたちとの絆が深まり、撮影終盤のこのシーンでは自然にアドリブも交えながら演技できたことが「新鮮な体験」だったと語りました。

希咲さんは、中山教頭に怒るシーンが印象的だったと述べました。撮影で怒る演技が初めてだったため、事前に自宅で父親に渋川さんの役を演じてもらい、何度も練習したと明かしました。父親は後半、自身の役が「そんな怒られると思ってなかった」と驚いていたとのこと。

渡部さんは、黒川先生として子どもたちと距離を置く役だったため、撮影中は「胸が痛む思い」だったと語り、撮影後、子どもたちが寄ってきてくれた時は「嬉しかった」と述べました。特に教室でのシーンは印象深く、「いい人だったんだ」と声をかけられたエピソードも披露し、台本通り冷徹に振る舞ったため、最後に「冷たくしてごめんね」の意味を込めて袋詰めのお菓子を配ったことを明かした。

佐向監督は、中盤の中山教頭が校庭でスローモーションになるシーンにこだわったと語りました。地元の人々も出演し、物語の重要な転換点ではないものの、中山教頭の「心の動き」を表現したかったと説明しました。子役の竜之介が撮影を通じて演技を習得していく様子にも言及しました。

また、映画のキャッチコピー「先生や大人がこうしなさいって言うことは全部まちがってる。」にちなみ、人生で心に残っている言葉が問われました。

渋川さんは、小学生の頃に親から言われた「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」という言葉が今でも残っていると語りました。高野さんは、幼稚園の頃、母に言われた「ニコっと笑えばお友達」という言葉を挙げ、海外生活で言葉の壁があった幼少期に、ドイツ人の友達を作るために母にドイツ語を教えてもらい実践したエピソードを披露し、この教えを自身の息子にも伝えていると語りました。

希咲さんは、誰かに言われた言葉ではなく、この仕事をしていく中で見つけた「夢なきものに成功なし」という言葉を大切にしていると述べ、「夢があればどんな自分にもなれる」と信じていることを語りました。今回の舞台挨拶は、その夢に「少し近づけたかな」と感じたそうです。また、撮影中にキノコ汁が出た際に、キノコが苦手で泣きそうな顔をしていたという可愛らしいエピソードも明かされました。

渡部さんは、中学時代の恩師から言われた「夢を諦めるな」という言葉が心に残っていると語りました。田舎出身で芸能界への夢を馬鹿にされた経験があったものの、恩師が強く信じてくれたことに感謝し、3年前に仕事で再会して直接その感謝を伝えたと話しました。

佐向監督は、漫画『コジコジ』でコジコジのお母さんが言っていた「今を輝け」という言葉を挙げ、「今を頑張れば将来が輝いていく」というメッセージに共感したと述べました。この映画も、目の前のことに真摯に向き合う中山教頭を通して、最後に自分を見つける物語にしたかったと語りました。

最後に、来場者へのメッセージとして、渡部さんは特に「子供たちに見てほしい」と強調し、何かを感じ取ってもらえたら嬉しいと述べました。希咲さんは「どんな世代にもたくさん届き、何か感じて討論し合ったり、感想を言い合ったりしてもらえたら嬉しい」と、緊張しながらもメッセージを伝えました。高野さんは、映画には「渋川さんの虹に滲み出る優しさ」と「子供たちのエネルギー、真っすぐな情熱」が溢れており、「純粋な優しさと情熱があれば幸せを得ることができる」ことを伝えていると作品の魅力を語り、家族や知人にも映画を広めてほしいと呼びかけました。渋川さんは、「素晴らしい作品」だとし、「そっとそばにいるような作品」と表現し、改めて鑑賞を促しました。佐向監督は、キャスト・スタッフ全員が「いいものを作ろうと一生懸命やった作品」であり、「これからの子供たちが生きたいなと思えるような作品」になったと自信を覗かせました。

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