2025年11月15日にパルテノン多摩大ホールで行われた第17回TAMA映画賞授賞式において、広瀬すずが最優秀女優賞を受賞した。同賞は「本年度最も映画ファンの心に残った女優」に贈られるもので、出演した『遠い山なみの光』、『アット・ザ・ベンチ』、『ゆきてかへらぬ』、『片思い世界』、『宝島』など多数の作品での活躍が評価された。

50年代長崎の主人公に「覚悟」


特に受賞の決め手となった『遠い山なみの光』では、1950年代の長崎を舞台に、希望を持って生きる主人公・悦子の役を演じた。表彰状では、広瀬が「悦子の繊細な心情を見事に表現しました」と称賛され、彼女が本年度「最も映画ファンの心に残った俳優」であったことが強調された。
広瀬さんは登壇し、「このような素敵な賞をいただき光栄に思います」と感謝を述べた。「心から尊敬する監督やスタッフ、キャストと共に一つの作品を作り上げ、それが評価されることは本当に励まされます」と喜びを語った。

役作りについて広瀬さんは、「当時の女性の立場や存在の仕方が人それぞれ全然違うような色に見え、主人公の悦子の独特な“景色”や“見え方”を掴むのに時間がかかった」と振り返った。監督とは現場でニュアンスだけを頼りに会話するような、非常に難解な作業だったという。広瀬さんは「とても覚悟のいる役だったなとも思っていて、時代が進む中で当時の女性を演じることはすごく貴重な経験であり勉強になった」と強調した。

息遣いだけで通じ合う「刺激的」なシーン
広瀬は、美術や衣装についても言及し、当時の長崎をイメージしたセットや衣装の色みがとても別格で「すごくパワーをもらえた」と述べた。この年は「時代物」の作品が多く、「役者人生でとても濃厚な年だった」と振り返っている。
また、『遠い山なみの光』の中で最も印象に残っているシーンとして、お弁当を作る場面を挙げた。お弁当を作りながら共演者と会話するこのシーンについて、「お互いの表情が見え」ず、声や息遣いだけで演技をするのが「ものすごく刺激的だったのと、すごく楽しかった」と語った。


最後に広瀬さんは、「良い映画を届けられるようにこれからも頑張っていきたい」とし、「またここに戻って来れたら嬉しいです」と、今後のさらなる活躍への意欲を見せた。

-
第17回TAMA映画賞:吉沢亮、最優秀男優賞受賞 “命を削る”献身に初の2年連続受賞の快挙
-
第17回TAMA映画賞:桜田ひよりが最優秀新進女優賞受賞 「映画はなくてはならない存在」 苦悩を越え活力溢れる演技を評価