ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で注目を集めた短編を長編化した映画『DEAD OR ZOMBIE』。ゾンビが発生した世界で「生きるか、死ぬか」ではなく「ゾンビになるか」という第三の選択肢を提示する本作。生きづらさを抱える主人公・早希を演じた倉島颯良さんと、自殺志願の少女・愛生(あい)を演じた涼井菜生さんに、役へのアプローチや、衝撃的な結末に込めた思い、そして主題歌に重なるメッセージについて語っていただきました。

- 1. ■映画『DEAD OR ZOMBIE』倉島颯良×涼井菜生インタビュー
- 1-1. ▼お二人の名前の由来について
- 1-2. ▼役名に込められた意味と、演じる上でのアプローチ
- 1-3. ▼「生きづらさ」を抱える役柄とどう向き合ったか
- 1-4. ▼ゾンビ映画の思い出と、本作の「走らないゾンビ」
- 1-5. ▼お互いの役柄への印象と共演について
- 1-6. ▼タイトル『DEAD OR ZOMBIE』と「自己評価」について
- 1-7. ▼家族との再会、そして「人間を続ける」という決意
- 1-8. ▼ゾンビから受け取った「肯定」と救い
- 1-9. ▼それぞれの道を選んだ二人の「その後」
- 1-10. ▼主題歌「carpe diem」とエンドロールに感じたこと
- 1-11. ▼これから映画をご覧になる方へのメッセージ
- 1-12. ▼上映劇場情報
■映画『DEAD OR ZOMBIE』倉島颯良×涼井菜生インタビュー
▼お二人の名前の由来について
Q:まず最初に、お二人の本当のお名前の由来について教えていただけますか?
倉島:私の「颯良(さら)」という名前は、音の響きは決まっていたのですが、「颯」という字は母が辞典で調べて、男の子にも女の子にも使えるような汎用性というか、爽やかなイメージを込めてつけてくれました。「良」は父がつけてくれたんですが、字の通り「いい子に育ってほしい」という願いが込められていると聞いています。

涼井:私は「菜生(なお)」という名前なのですが、「菜」には菜の花のように生き生きと周りを自然と明るくするような人生を歩めますように、という意味があります。そして「生」は、私の苗字である「涼井」の「す」とあわせて、「素直(すなお)」に生きられますようにという願いが込められています。

▼役名に込められた意味と、演じる上でのアプローチ
Q:劇中でもお互いの名前の意味を話すシーンがありました。早希は「早い希望」、愛生は「愛に生きる」。この役名について、演じる上でどのように感じられましたか?
倉島:名は体を表すとよく言いますが、一つ前の作品(Episode 1)で「早希は早い希望」という説明があった時は、自分の中で後ろめたい気持ちがありました。不登校だった過去など、名前に見合っていない自分を感じていたんです。でも今回の作品(Episode 3)では、規制区域の中へ一歩踏み出し、自分からアクションを起こしていく早希の成長が感じられて、以前よりも自分の名前を前向きに受け止められるようになっていると感じました。
涼井:私が演じた愛生(あい)という名前は、漢字の通り「愛に生きる」という意味もあると思うのですが、私は逆に「愛されて生きる」という意味を持って演じさせていただきました。台本を読んでいて、名前から初めて期待を感じました。それなのに、愛生は親からも愛されず、周りからも拒絶されている人生で。「なんでこんな名前つけたのだろう」「なにつけてくれてんだよ」と、親を恨んで人生を終わらせてしまおうと思うくらい、名前自体が呪縛になっているんだなと考えながら演じました。
▼「生きづらさ」を抱える役柄とどう向き合ったか
Q:早希も愛生も、それぞれに現代的な「生きづらさ」を抱えているキャラクターです。ご自身が演じるにあたって、どのようなことを意識されましたか?
倉島:早希は、いい意味であまり先のことを考えていないというか、目の前にあることを見て動ける子だなと思っています。「英語の仕事がしたいから英語の勉強をする」というように、意外と行動力があるんです。前作では家族に背中を押されて「生かされたから生きている」という状態でしたが、今回は自分を受け止めた結果、少し前向きに、未来を見据えて行動する部分を意識して撮影に臨みました。
涼井:愛生は結構、他人本位な子だなと思っていました。誰かから言われたことにすごく影響を受けやすいんです。母親から言われた「あんたを産むんじゃなかった」という一言で心が折れてしまった。自殺志願者だけれど、本当は誰かから「生きていていいんだよ」と言ってもらいたかったのだと思います。愛情を知らないまま死ぬのは嫌だと思っていたからこそ、ゾンビの地域に行っても死への一歩がなかなか踏み出せなかったのかなと。そういう愛生を思い浮かべて、撮影期間中は寝る前にすごくネガティブになって寝られなくなるほど考え込んでしまいました(笑)。今思い返せば、そういう感情になれたのも良かったのかなと思います。

▼ゾンビ映画の思い出と、本作の「走らないゾンビ」
Q:ゾンビ映画に関する思い出や、本作の「走らないゾンビ」についてどう感じましたか?
倉島:私が最初に見たゾンビ映画は『アイ・アム・レジェンド』や『ワールド・ウォーZ』だったので、かなり走るゾンビを見ていた方でした。なので、本作のような「走らないゾンビ」が出てくる作品は見たことがなくてすごく新鮮でした。ゾンビの概念が全く異なり、敵以外の意味がちゃんとある。ゾンビ自体に新しい発見ができる作品だなと思いました。あと、特殊メイクにもかなりこだわっていて、朝現場に行くと何体かゾンビがいるみたいな、そんな撮影期間も楽しかったです。
涼井:私は『バイオハザード』シリーズが好きなのですが、子供の頃は怖がって見ていました。本作のゾンビはやっぱり走らないし、急に自我が戻って喋ったりするという新しい視点があって。「ゾンビってこんなこともできるんだ」と、新しい考えを与えてくれる映画だと思いました。生きる屍(しかばね)みたいなイメージがある中でも、すごく新しい概念の中で動いていると思いましたね。
▼お互いの役柄への印象と共演について
Q:お互いの役について、共演する中でどのように感じていましたか?
倉島:愛生については、話し合ったわけではないですが、早希は愛生に昔の自分を重ねていた部分はあったと思います。ただ、愛生は表面上はすごく明るく振る舞っていることが多くて、早希としては「分かり合える部分もあるのにつかめない」「不思議な宇宙人のような存在」と感じていました。そんな存在と区域を旅する、ちょっとした冒険のような印象を受けていました。

涼井:早希は、出会った当初は「もうここでお別れだからね」と突き放そうとしていた部分もありましたが、結局は優しい部分があったので、愛に飢えている愛生からしたらその優しさをすぐにキャッチしたのだと思います。「あ、この人ならもしかしたら」と思って、「ついていこう」と思えるような印象がありました。
▼タイトル『DEAD OR ZOMBIE』と「自己評価」について
Q:『DEAD OR ZOMBIE』というタイトルについて、どのように考えましたか?
倉島:今回の作品はゾンビが完全に敵ではなく、元々人間だった背景がちゃんと描かれています。今メジャーとされているゾンビと違うからこそ、このタイトルがふさわしいと思いました。「DEAD OR ALIVE」と言わないのは、早希や愛生に関しては「死にたい」と願っていた過去があり、生きることを真正面から受け止められない部分があったからだと思います。そこでゾンビという生命体が、自分たちの中で一個の救いみたいな存在でもあるんじゃないかなと。この映画の内容だからこそつけられたタイトルだと、すごく納得できました。
涼井:「死ぬかゾンビになるか」というテーマで、人間とは違うゾンビという種族で一から人生を始めていいよ、というメッセージもあるのかなと思いました。現実に置き換えてみると、今悩んでいたら、すぐにでも違うステージ、違うステップに進んでもいいんじゃないかという、監督なりのメッセージもあるのかなと感じました。
▼家族との再会、そして「人間を続ける」という決意
Q:早希は最終的に、ゾンビ化した母親と再会し、前向きな変化を見せます。その心境の変化をどう演じられましたか?
倉島:早希はあまり感情が表に出ないタイプで、一人で英語の勉強をしていて、外から見たら強い子だと思われるかもしれません。でも、母親と再会して「今英語の勉強してるよ、うまくできるかわからないけど」と言うセリフには、やっぱり不安な気持ちや弱さもしっかり抱えていることが表れています。その上で「あなたは人間を続けなさい」と言われた時、「自分は一人じゃないんだな」とすごく思えました。母親役のみやべほのさんのお芝居を見て、「人間として年老いて死ねるように頑張る」と思えたのは、別の生命体になった母親と面と向かって会うことで再確認できた部分が大きかったなと思います。

▼ゾンビから受け取った「肯定」と救い
Q:愛生は人間ではなく、ゾンビから「自分を大切にしなさい」と肯定されます。その時の心境はいかがでしたか?
涼井:母親から「産むんじゃなかった」と言われ続けてきた愛生にとって、存在の肯定は人間社会の中では得られないものでした。だからこそ、人間から外れた存在であるゾンビに「自分を大切にしなければならない」と言われたことが、愛生にとって初めての「条件のない肯定」として心に届いたのだと思います。人に否定され続けてきた愛生が人間ではない存在に救われたという事実の本質は、結局、愛情とは血縁や常識ではなく「受け入れること」にあるんじゃないかと思っていて。最終的にゾンビになることを受け入れたのも、絶望ではなく、「自分のままでいていい」とゾンビに認められた安心感のもとの選択だったのかなと、演じていて考えました。

▼それぞれの道を選んだ二人の「その後」
Q:早希は人間として生きる道、愛生は早希とはまた別の道を選びました。二人はその後、自分の居場所を見つけられたと思いますか?
倉島:早希はしっかりと居場所を見つけられるんじゃないかなと思っています。もちろん紆余曲折はあると思うんですけど、英語を使った仕事をしたいと思っているし、一生懸命生きていくんだろうなって。一生懸命というほど前向きではないですけど、一人で地道に毎日を大切にして生きていくような子なんじゃないかなと思います。
涼井:愛生目線で言うと、私も居場所を見つけることができたんじゃないかなと思っています。たくさん悩んできた愛生だからこそ、「何も考えなくていい」という世界が、愛生にとっては安心できる場所だなと思っているので。私からしたら「本当にそれでいいよ」「愛生が安心して生きられるならそれでいいじゃん」と思います。精神的な存在なのか、どういうプロセスで人として亡くなるのかは難しいですが、彼女なりの幸せを見つけられたのではないかと思います。
▼主題歌「carpe diem」とエンドロールに感じたこと
Q:エンドロールで流れる主題歌「carpe diem(カルペ・ディエム)」を聞いて、どのようなことを感じましたか?
倉島:私はラテン語が全然わからなかったので最初は意味を知らなかったのですが、聞いた印象としては、優しい気持ちになれるような、包み込んでくれるような曲だなと思いました。早希と愛生はそれぞれの道に進んだけど、そんな二人をちゃんと歓迎してくれているような印象を受けました。ゾンビ映画って怖い印象を受ける方も多いと思うんですけど、その中でこんなに優しい終わり方ができるんだなという驚きもありましたし、佐藤監督がゾンビという存在を通して伝えたかったものがちゃんと込められたエンドロールなんだろうなと思いました。

涼井:歌詞にもある通り、「大丈夫だよ、味方だよ」という言葉は、愛生が求めていた言葉だなと思っていて。本当に映画を見終わった後に、「愛生、もうあなたの道で進んでいいんだよ」とそっと優しく押し出してくれるような曲だなって。最後の最後で背中を押してくれる曲だなと思いました。
▼これから映画をご覧になる方へのメッセージ
Q:最後に、これから映画をご覧になるお客様へのメッセージをお願いします。
倉島:『DEAD OR ZOMBIE』というタイトルが印象的なので、走るゾンビが好きな方も見に来てくださるかもしれませんが、そういう方には是非「走らないゾンビ」を通して、ゾンビ映画ってこういうものも伝えられるんだなという新鮮さを味わっていただきたいです。逆に、今「生きるか死ぬか」ですごい迷っているような方にも、佐藤監督が「ゾンビ」という新しい選択肢をこの作品の中で描いてくださっているので、その救いが誰かの元に届いたらいいなと本当に思います。誰かを救える映画だと思うので、多くの人に届けばいいなと思います。
涼井:本当に新しい視点から見るゾンビ映画だなと思っていて、ゾンビの概念をいい意味で壊していく映画になっています。それこそ今何かに悩んでいる方とか、自分の人生で行き詰まっている人たちがそれを見て、少しでもいいアイデアが浮かぶような映画になっているので、是非見ていただいて、自分なりの人生を進んでいってもらえればと思っています。

▼上映劇場情報
東京都 新宿K’s cinema 2/21(土)〜2/27(金)
栃木県 小山シネマロブレ 2/27(金)-
栃木県 宇都宮ヒカリ座 5/1(金)-
愛知県 シネマスコーレ 近日公開
大阪府 シアターセブン 3/14(土)-
京都府 アップリンク京都 3/13(金)-
映画『DEAD OR ZOMBIE』
コロナ禍に話題を集めた異⾊の短編映画、待望の続編
ゾンビ化した家族と共に暮らす引きこもりの⼥⼦⾼⽣の姿を描き、ホラーでもアクションでもない異⾊のゾンビ映画として話題を集めた2022年公開の短編映画『DEAD ORZOMBIE ゾンビが発⽣しようとも、ボクたちは⾃⼰評価を変えない』に、前⽇譚・後⽇譚を加える形で製作、4つのエピソードから成る1本の新作⻑編に⽣まれ変わった。
| 『DEAD OR ZOMBIE ゾンビが発⽣しようとも、ボクたちは⾃⼰評価を変えない』(エピソード1) ⽇本のある地⽅都市でゾンビ化現象が発⽣。不登校で⾃室に引き籠っていた⼥⼦⾼⽣の早希は、ゾンビとなった家族を 世話するために隔離地域に残り、サバイバル⽣活を繰り広げる。 |
| 『DEAD OR ZOMBIE エピソード0 ⽣命の起源』 ⽇本の無⼈宇宙探査機が⼩惑星より採集した⽯や砂から古代のウイルスが発⾒され、地⽅都市にある国⽴宇宙研究所で解析が始まる。育児休業を終えた研究職員・聖佳は、⽣命の起源が明らかになるかもしれない研究に戻ろうとするが、交代して育休を取るはずの夫・優起夫の考えと擦れ違ってしまう。 |
| 『DEAD OR ZOMBIE エピソード2 宇宙の意思』 ゾンビに対する⽇本政府の対応が遅れ、隔離地域は在⽇⽶軍が制圧していた。さらに中国もゾンビを調査するために研究機関を送り込んでくる。⽣物学の教授・⻫はゾンビが⼈類の進化に関わっているのではないかと考え、少年のゾンビを⼿懐けることに成功する。現世⼈類の暴⼒的で⾮効率な⽣態に疑問を抱いた⻫は、ゾンビに⼈類の未来を⾒出す。 |
| 『DEAD OR ZOMBIE エピソード3 ⽣きる意味』 かつて隔離地域でゾンビ化した家族と暮らしていた経験のある早希は、中国の研究機関が感染者の遺骸を集めていることをニュースで知る。家族がどうなったかを探ろうと早希は隔離地域に侵⼊するが、⾃殺志願の少⼥・愛⽣に同⾏を願い出られる。ゾンビに憧れる愛⽣に、かつての⾃分を⾒るような思いを抱いた早希は愛⽣を街中まで案内し、⾃分は中国部隊の施設を訪ねる。 |
監督 佐藤智也
出演 倉島颯良/みやべほの/紀那きりこ/宮澤寿/程波/阿部⼒/涼井菜⽣/和⽥光沙
松村光陽/⼤⻄多摩恵/吉川勝雄/上村愛⾹/⻑⾕川千紗/⽯川秀樹/ジョンハオ/吴翰/⻫玥/⾦光⻯佑/⼩⽥原麗
中村朱貴/加藤伊織/村上秋峨/川村桜⽲/Phillip Bachman /Sergio Elias/ Liza Waldron/Jasmine Rose
作品データ 2025年/⽇本/カラー/128分©MAREHITO PRODUCTION
配給 ムービー・アクト・プロジェクト
公式サイト https://www.deadorzombie.com/
公式X https://x.com/deadorzombie

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