2024年9月13日(土)、池袋シネマ・ロサにて、映画「隣のサンズイ」の初日舞台挨拶が開催され、多くの観客が足を運んだ。司会は東紗友美さんが務め、監督・流役の道川内蒼さん、出演・涼役の小原澤遼典さん、出演・菜奈役の大畑優衣さん、監督補の大迫一平さん、撮影の池田啓将さんが登壇しました。

■ 映画「隣のサンズイ」初日舞台挨拶
道川内蒼さん(監督・流役)は、池袋シネマ・ロサでの初日上映に足を運んでくれた観客に感謝を伝えました。小原澤遼典さん(涼役)、大畑優衣さん(菜奈役)、池田啓将さん(撮影)も同様に感謝の気持ちを述べ、短い時間ながらも舞台挨拶を楽しみにしてほしいと語りました。
大迫一平さん(監督補)は、撮影時に監督補を手伝ったことに触れ、観客がこの時間を楽しんでくれることを願うとコメントしました。
映画誕生のきっかけと撮影秘話
司会から映画製作のきっかけを問われた道川内蒼さんは、撮影の池田啓将さんと「何か一緒に作ろう」と話していた際に、「今一番心に残っていることは何か」と聞かれたことが発端だと明かしました。道川内さんは、制作に悩んだ時期もあったものの、夏に実家に帰った際にご両親から「お前がやるなら」と背中を押されたことで、作品が生まれたと説明しました。

撮影は約3年前の9月頃に行われたといい、数々のエピソードが披露されました。
特に印象的だったのは、海のシーンでの出来事とのこと。撮影の池田啓将さんが溺れそうになったという驚きのエピソードが語られました。海が深く、全く泳げない池田さんにとっては大変な状況だったようです。

小原澤遼典さんは、涼という役だけでなく、様々な役を演じる中で「わからないことってなんか面白いな」という気づきがあったと述べ、撮影自体を楽しんでいた様子がうかがえました。

道川内蒼さんは、自宅での料理シーンで多くの手料理を自作したことを明かし、共演者からは「めちゃめちゃ美味しかった」と絶賛されました。特にナムルが絶品だったそうです。
また、千葉の南房総での深夜の撮影では、現場に到着すると暴走族の喧嘩が始まるという予期せぬ事態が発生。その際、大迫一平さんが勇敢にも彼らに「ライトを消してください」と頼みに行ったという、「本当にめちゃくちゃかっこよかった」というエピソードが披露され、会場を沸かせました。
撮影のこだわりと役作り
池田啓将さんは、「隣のサンズイ」の美しい映像について問われると、カメラを持ち出して間もない頃だったため、「目の前のことを全力で撮る」という気持ちで臨んだと語りました。大学時代の友人もこの映画を観に来てくれたことに触れ、「一緒に作品も作れて、すごい幸せなことだな」と感謝の気持ちを表しました。

役作りについては、道川内蒼さんは監督として脚本も書いていたため、役作りの理解を深めながらお芝居ができたと振り返りました。しかし、「監督という立場で芝居をするのが当時の僕の力量では全然追いつかなくて」、海のシーンでは大迫一平さんに助けを求めたと語りました。

小原澤遼典さんは、親友の物語であるこの作品において、役作りの上で「仲の良さ」を表現することを重視したと述べました。道川内さんとは8年もの付き合いがある中で培われた関係性が、映画の中の「流と涼」の絆に繋がっていると語りました。

大畑優衣さんは、菜奈役について、実際の友人関係と劇中の恋人という関係性が重なる部分が多く、「一番近くにいるのに一番遠い」という感情をリアルに感じながら演じられたと明かしました。また、監督の道川内さんが「いつも彼を信じているから」と声をかけてくれたことで、強い信頼関係のもとで役に取り組めたと語りました。

登壇者が語る「ここに注目してほしい!」
リピーターの観客へ向けて、登壇者が「ここをよく見てほしい」というポイントを紹介しました。
道川内蒼さんは、花火のシーンを挙げました。二人で打ち上げる花火の後、引いた絵に切り替わった際に、偶然にも3つの火が画面に映り込んだそうで、「神様からのプレゼントなんじゃないかと思うぐらい感動した」と、その奇跡的なカットへの想いを語りました。
小原澤遼典さんは、涼の回想シーン、特に流目線で描かれる涼に注目してほしいと述べました。何度もテイクを重ねた信号機のシーンでは、青の点滅から赤に切り替わる瞬間に意味合いを持たせていると明かし、「もう一度見てほしい」と語りました。
大畑優衣さんは、亡くなった知らせを聞いて部屋にいる2人のシーンで、床に「水がポタッと落ちる」カットを挙げました。これは大畑さんが現場で「撮ってほしい」とお願いして追加されたカットだという、こだわりのワンシーンです。
大迫一平さんと池田啓将さんは、共に海のシーンを推薦。池田啓将さんは、手紙の文字が全て読み取れないようになっていることについて、「すべてを見せるというよりも、メッセージとして残したい」という意図があったと説明しました。
閉会の挨拶とオリジナルグッズ紹介
時間が迫る中、最後に登壇者一人ずつから観客へ感謝のメッセージが送られました。
池田啓将さんは、自主映画製作が初めてで、3年前の記憶ながら「作っている自分が一番楽しかった」と振り返り、上映の機会を得られたことに感謝を述べました。そして「また機会があれば作っていきたい」と今後の意欲を見せました。
大迫一平さんは、3年前に撮った作品が池袋シネマ・ロサで上映されるとは思わなかったと喜び、「劇場に足を運んでくださる方がいらっしゃるからこそできる」と観客に感謝しました。また、ハッシュタグ「#隣のサンズイ」での応援を呼びかけました。
大畑優衣さんは、「たった一人を思って作られたこの作品がこんなにもたくさんの人に見てもらうことができて本当に嬉しい」と感動を伝えました。映画の上映に向けてチラシ配りなどに関われたことも「すごく楽しくて、映画ってやっぱり好きだな」と感じたそうです。
小原澤遼典さんは、3年前に道川内蒼さんからの電話で始まったこの映画で、「こいつ(道川内さん)の存在を絶対に知ってほしい」という思いで参加したと語りました。この3年間、映画祭などを通じて作品を届けるために頑張ってこれたのは、大迫一平さんや池田啓将さんをはじめ、多くのスタッフや俳優部の協力があったからだと、心からの感謝を述べました。

最後に道川内蒼さんは、多くの人に支えられて劇場公開を迎えられたことに深い感謝を述べました。存在を「叫びたかった」という一心で作り上げた作品が、観客に「何か届く可能性になるんじゃないか」という思いを語りました。「隣のサンズイ」は宣伝や配給の入らない完全自主映画であり、「見に来ていただいた皆さんの声が、本当にこの作品を広げていただく大きな力となります」と、観客一人ひとりの応援の重要性を強調しました。

「隣のサンズイ」公開初日舞台挨拶は、作り手たちの作品への情熱と、多くの仲間や観客への感謝が溢れる感動的なイベントとして幕を閉じました。
『隣のサンズイ』
(上映時間:42分)
あらすじ
「去年のやつ、まだつくかな」幼馴染の流と涼。流の恋人の菜奈。三人は河川敷に集まり、花火に火をつける。就活に追われる流と涼は、重ねてきた時を経て、それぞれ社会へと出ていく。変わってゆく生活。交わした言葉。見えない声と、聞こえない表情。再び火をつけようと落としたその目の先に彼等は何を見ようとしたのか。下された結末に浮かび上がった彼等の夏は何も終わっていない-。



道川内蒼 小原澤遼典 大畑優衣
片桐伸直 荒井しき 片山健人 森麻里百
椛田真二 久保木司 高橋幸希 山口良太
大朏岳優 室井響
髙橋空

監督補/大迫一平 撮影/池田啓将 照明/大間知あかね 大矢琴音 録音/大浦真季 藤澤理紗 若山水都
整音/大浦真季 音楽/成田拓也 カラーグレーディング/池田啓将 デザイン/MIZOZINE
主題歌/Filmland 「Clocks」
監督/脚本/編集
道川内蒼受賞歴:『はままつ映画祭2023 大賞』『第8回杉並ヒーロー映画祭 観客賞』 『第22回中之島映画祭 優秀賞』『第22回うえだ城下町映画祭 入選』
X(旧Twitter): https://x.com/sanzui_film
Instagram:https://www.instagram.com/sanzui_film
2025年9/13(土)〜9/26(金) 池袋シネマ・ロサで公開


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