金髪

映画『金髪』 Q&Aイベント開催。 岩田剛典、目標や夢に向かって頑張る世代に向けてメッセージ「失敗を恐れず挑戦してほしい」

2025年11月21日(金)公開予定の映画『金髪』(監督・脚本:坂下雄一郎)のQ&Aイベントが、11月4日(火)、第38回 東京国際映画祭にて開催され、主演の岩田剛典坂下雄一郎監督が登壇した。観客を前に、岩田は来場者に映画を楽しんでいただけたか尋ね、この後の質疑応答を含めてたっぷりと映画について語りたいと挨拶した。坂下監督は、映画が完成し、このような大きな映画祭で上映されることが非常にありがたいと述べた。

■ 映画『金髪』 Q&Aイベント

主演・岩田の役作りは「脚本が全て」

会場からの質問で、教員役を演じるにあたり、念頭に描いた特定の教師がいたかどうかが岩田さんに問われた。元高校教師だったという質問者に対し、岩田さんは具体的にこの人という人物を思い浮かべて演じたわけではなかったと答えた。自身のこれまでの生活で触れてきた先生方をベースにはしつつも、今回の映画においては「脚本が本当に全てであり、自身が演じた市川先生という役は、脚本が作ってくれたと言っても全く過言ではない」と強調した。脚本には非常に細かい描写まで詰められていたという。

また別の観客からは、普段「何をしてもかっこいい」岩田さんが演じた市川先生が、「絶妙にちょっとこうダサくて残念な感じ」であり、特に表情が絶妙だと賞賛された。この絶妙な表情について、事前に模索や研究をしたのか、監督とすり合わせたのか、あるいは自然と出てきたのか質問が寄せられた。

岩田さんは、特定の顔をしようと意識した時間は全くなかったと回答。その時の感情でスクリーンに届く表情になったのであり、自身は現場でモニターチェックをほとんどしないため、どんな顔をしているか正直わからないと明かした。その上で、この映画でしか見られない表情だと評価されたことは、監督が引き出してくれたとしか言いようがないと述べた。

坂下監督は、自身があまり役者と現場で多くを語らないタイプであるため、なるべくシナリオには「この時人物はこういう風に思っています」といった描写を多めに書くよう意識していると説明した。その結果、現場では監督が特に多くを言う必要はなく、俳優陣がやってくれたものが非常に良かったので、そのまま使用していると語った。

映画界の慣習と社会の「理不尽な規則」

作中で出てくる「理不尽な規則」に関する質問に対し、坂下監督は映画制作の現場における労働環境について触れた。特に報酬の支払いに関して、取り決めが割とざっくりとしており、いつ入るかも決まらずに始まり、なんとなく終わった頃に入ってくるという慣習が、業界内に古くからあると指摘した。最近はその点が業界内でも指摘され、是正されつつあるものの、昔ながらの労働環境は変えた方がいいのではないかと思いながらやっていると述べた。

岩田さんは、社会に無意識に存在する「理不尽な規則」として、日本の社会における年序列年功序列に言及した。年長者を敬うのは常識としつつも、時に年功序列が過ぎることで、年下の者が思ったことをはっきりと発言できない環境が生まれることがあると懸念を示した。ルールではないが、暗黙の了解として皆が「フィルター」をかけた上で行動や発言をわきまえるという状態は、よりフラットで平等に発言・行動できる環境が本来望ましいのではないかとの考えを述べた。

さらに岩田さんは、今回の映画でもまさにそうした部分が出てくることに触れ、自身も先輩として、後輩に気を遣われ、本音を言ってもらえていないのではないかと気づかされたという。この映画を観る際には、そうした点にも注目してほしいと観客に伝えた。

「失敗なんてない」挑戦し続けることの重要性

最後に、看護師の国家試験に向けて勉強しているという観客から、同じ目標や夢に向かって頑張る世代に向けてメッセージが求められた。

岩田さんは、年長者が多くいる中で恐縮しつつも、「失敗を恐れず挑戦してほしい」というメッセージを送った。失敗してしまうことを念頭に入れてしまうと、自信が持てなくなったり、練習量や時間のなさ、年齢などを理由に挑戦しない理由を簡単に見つけてしまうと指摘した。しかし、そこで諦めてしまうと何も生まれない。やってみて失敗し、その経験を通じて自分に合うか合わないかを知ることが人生であると強調した。特に学生に関しては、失敗は失敗ではないと思えることが多く、最終的に失敗じゃなかったと思えるようなことは必ずあるため、「失敗なんてないんだよ」というぐらいの気持ちでチャレンジしてほしいと熱いアドバイスを送った。

イベントはフォトセッションをもって終了し、岩田さんと坂下雄一郎監督に大きな拍手がおくられた。


映画『金髪』

Story
その日、中学校教師・市川の人生を大きく変える出来事が起きた。一つは担任クラスの生徒数十人が髪を金色に染めて登校してきたこと。そしてもう一つは、彼女から結婚の話を切り出されたこと。マスコミやネット、さらには文科省まで巻き込み大騒動になる“金髪デモ”と、日々の愚痴を聞いた彼女からの辛辣な説教で板挟みになる市川は、窮地を脱するために“金髪デモ”を計画した張本人・板緑と手を組み、とある作戦に打って出る⋯。仕事の問題と人生の決断が一挙に押し寄せた市川は、いつまでも若者で何事も順風満帆だと思っている“イタいおとな”から“マトモな大人”へと成長し、全ての試練を乗り越えられるのか!?

岩⽥剛典
⽩⿃⽟季、⾨脇⻨、⼭⽥真歩、⽥村健太郎、内⽥慈
監督・脚本:坂下雄⼀郎 ⾳楽 世武裕⼦
配給:クロックワークス
助成:⽂化庁⽂化芸術振興費補助⾦(⽇本映画製作⽀援事業)|独⽴⾏政法⼈⽇本芸術⽂化振興会
©2025「⾦髪」製作委員会
2025 年/⽇本/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/103分
公式HP:kinpatsumovie.com 公式X:@kinpatsumovie

11月21日(金)全国公開

金髪

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Hajime Minamoto

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