伊藤沙莉

第39回高崎映画祭、最優秀主演俳優賞に伊藤沙莉!『風のマジム』で恩人との再会と亡き恩師へ捧ぐ涙と笑顔のスピーチ

2026年3月22日、群馬県高崎市の高崎芸術劇場で第39回高崎映画祭の授賞式が開催され、最優秀主演俳優賞に映画『風のマジム』の伊藤沙莉が輝いた。本作は、沖縄でのラム酒造りに情熱を注ぐ人物をモデルにした物語で、伊藤は主人公を力強く繊細に演じ切った。授賞式のステージでは、10年来の恩人であるプロデューサーとの絆や、完成直前に急逝した所属事務所の前社長への深い感謝と愛情あふれるエピソードを披露。会場の涙と温かい拍手を誘った感動の受賞スピーチの詳細をお届けする。

伊藤沙莉

大きな拍手で迎えられ、ステージ中央に登壇した伊藤沙莉は、「初めまして。このたびはとっても素敵な素晴らしい賞を受賞させていただき、本当にありがとうございます」と深く頭を下げ、喜びを噛み締めた。直前にスピーチした高崎映画祭常連の渋川清彦のユーモアあふれる挨拶を引き合いに出し、「ホームの人とは気持ちのあり方が全然違うので、面白いことは言えないと思うんですけれども」と謙遜して会場の空気を和ませた。

伊藤にとって『風のマジム』は、特別な縁に導かれた作品となった。本作の関プロデューサーは、伊藤が初めて一人暮らしをする際の物件探しを手伝い、敬語を一から教えてくれたという10年来の恩人。「本当にお世話になっていた方との再会の作品がこの映画で本当によかった」と、感慨深げに語った。また、長編初監督を務めた芳賀薫監督とも主人公マジムの人間像や作品について何度も話し合い、共に作り上げてきた濃密な制作過程を振り返った。その上で「自分自身が現場に持っていけるものなんてほとんどなくて、本当に皆さんにマジムにしていただいたと思っています。関わった全ての方々、作品を見てくださった方々に感謝を申し上げたい」と、周囲の支えへの深い感謝を口にした。

伊藤沙莉

スピーチの後半、伊藤の口から語られたのは、本作の完成を心待ちにしながらも直前に亡くなったという、所属事務所の前社長への思いだった。「現場が大好きで、この作品にも情熱を込めて現場に来てくださった素敵な方だった」と故人を偲び、「完成した作品を初号で見た時に、絶対に『良かった』と思っているだろうなと。こういう素敵な作品に携わることができて、きっと褒められるぞと思いました」と、前社長へ胸を張って報告できる喜びを、時折笑顔を交えながら語った。

伊藤沙莉

最後は、「きっと前社長も今日この場に来ていると思いますので、今日は美味しいお酒を飲んでいただきたいですし、私も後ほど飲ませていただきます」と天国へのメッセージを送り、会場は温かい拍手に包まれた。

続いて、お祝いのスペシャルゲストとして芳賀薫監督が花束を持って登場。芳賀監督は、伊藤が最初の本読みの段階から沖縄の言葉を完璧に練習し、台詞を頭に入れてきていたエピソードを明かした。「もうここにマジムがいるなと思える演技からスタートしていた。長編初監督の僕を引っ張って、こういうところまで連れてきていただいて本当に感謝しています」と、伊藤の並外れた真摯な姿勢を大絶賛した。恩人たちとの絆と、亡き恩師への愛に溢れた、高崎映画祭の歴史に刻まれる感動的な受賞シーンとなった。

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Hajime Minamoto

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