「“タイムトラベル劇団”ヨーロッパ企画の世界」トーク「僕らだからこそできる映画を作れたら」

「“タイムトラベル劇団”ヨーロッパ企画の世界」トーク「僕らだからこそできる映画を作れたら」

2023年11月26日(日)に、パルテノン多摩・小ホールにて、第33回映画祭 TAMA CINEMA FORUMの上映プログラム「“タイムトラベル劇団”ヨーロッパ企画の世界」のトークイベントが開催。プログラムとして、劇団ヨーロッパ企画の映像『サマータイムマシン・ブルース』(2018年公演の収録映像)と、映画『リバー、流れないでよ』が上映。トークイベントでは、『リバー、流れないでよ』の脚本・上田誠さん、監督の山口淳太さん、主演・藤谷理子さんと出演者の石田剛太さんが登壇した。

■ 「“タイムトラベル劇団”ヨーロッパ企画の世界」トークイベント

▼プログラムの上映作品について

『サマータイムマシン・ブルース』は、2000年に初演された舞台作品で、大学の部室のエアコンのリモコンをめぐるタイムマシンを使った演劇作品。2018年に13年ぶりに再演され、その際に収録した映像が上映されました。石田さんは、13年ぶりに大学生の役を演じたことについて、「アラフォーの人間が大学生を演じるのには無理がある」、「開き直って楽しんだ」と語りました。
また、山口監督は、撮影にあたって、「長回しが一番臨場感を持ってその場にいるように体験してもらえる」、「演劇で役者さんがその場にいるのと同じように臨場感を持って楽しんでもらえることで笑いやすい環境になるんじゃないかと思った」と、意識したことを語った。

▼TAMA映画フォーラム実行委員から、登壇者への質問

TAMA映画フォーラム実行委員から質問が用意され、登壇者に答えていただくコーナーが開催された
(スクリーンにうつる6つの数字から各登壇者が順を追って選ぶ形式)

◆1:だれの初期位置につきたい?

質問:『リバー、流れないでよ』の登場人物のなかで、だれの初期位置につきたいですか?

※“初期位置”とは、『リバー、流れないでよ』において、2分間でループする際に、毎回戻される“初めの立ち位置”(藤谷理子さん演じるミコトの場合は貴船川のほとり)

上田誠
僕はもう、雑炊を食べるあの部屋ですね。あったかいし。

山口淳太監督
僕もね、圧倒的に雑炊の部屋なんですけど。上田さんと同じになってしまうので…。
僕はひとりの時間が好きなので、チノさんがいるパントリーです。ずっとひとりの空間で喧騒にまみれないので。

藤谷理子
私は意外とお風呂。あんなにバタバタしなければ、のぼせもせずにずっと入っていられるので。良くないですか?

石田剛太
僕は、小説家のオバタ先生の部屋ですね。
ループのことを理解して、作家活動に活かすわけじゃないですか。
オバタ先生がループを一番利用して、いい感じで過ごせているんです。
ループを最大限に利用しているという意味では、オバタ先生は素晴らしいなと思うんですよね。

◆2:貴船のおすすめスポットは?

質問2:貴船で撮影をされたみなさんだから知っている、貴船のおすすめスポットは?

上田誠
ん~、行けるところの方がいいですよね。撮影した場所って結構私有地で(立ち入ることができないので)…。
ふじやさんの2階ですね。2階から向こう側と空中で会話するあの空間線がめっちゃ好きで。空中会話は絶対に入れたいと思っていたので、あそこですね。

山口淳太監督
ベタですけど、ポスタービジュアルにもなっている貴船神社の階段ですね。
あそこはやっぱり映画で観て、ポスタービジュアルで見てもやっぱり現地で見ると、やっぱり感動がすごいんですよ。なんてシネマティックな映える場所なんだろうって、京都にはいろいろ観光地がありますけど、ベストなすごい眺めなんじゃないかなと思っていつも見ています。

藤谷理子
私は貴船出身なんですけど…神社しかないんですよね…。貴船には神社しかない…けど…。
タクとミコトが二人で渡った橋があるんですけど、その赤い橋を渡ると実は鞍馬山の入山口になっていて、由緒あるハイキング道にでます。

石田剛太
ふじやさんに(撮影で)ずっといさせていただいたので、ふじやさんでお食事されることがそれ(おすすめ)だと思います。

◆3:タイムマシンが現れたら乗りたい?

質問3:『サマータイムマシン・ブルース』のように、ある日突然タイムマシンが現れたら乗りたいですか?乗る場合、どの時間に行ってみたいですか?

上田誠
僕はもう、1分前ですね。
そうすると、先にここに座っているはずなので、そこに「1分後から来たよ」っていう俺が来て、「あ、来たか!」となって、その俺が1分前に行くってなるはずなので…っていうのをやりたい。ミニマム・タイムループっていうのを。近い時間っていうのがいいですね。

山口淳太監督
僕は乗らないですね。お譲ります。
(未来を)知りたくないじゃないですか~
過去も美化していたものがリアリティとしてそこに現れたらイマジネーションの世界が陳腐なものになってしまうかもしれない。怖くて乗れないです。

藤谷理子
私は載りますけど…未来にも行ってみたいですけど…。未来に行くとしたら決めきれないので…。
私はヨーロッパ企画の一番新しい入ったばかりの劇団員なんですけど、私が産まれたばかりの時の過去作品を観に行くと思います。

石田剛太
確かに未来は怖いので、僕はそうですね…親の馴れ初めに行きますかね…。
自分の父親や母親が出会ったところとか、自分が生まれてるところを見て、ちょっと泣いちゃうみたいな。ドキュメンタリーが結構好きなので、そういう気持ちで使わせていただきます。

◆4:タイムマシンのモチーフについてのこだわり。SF作品で好きなタイムマシン

質問4:『サマータイムマシン・ブルース』のタイムマシンはドラえもん型、『リバー、流れないでよ』のタイムマシンはロケット型でしたが、上田さん、山口監督は作品に登場するタイムマシンのモチーフについてのこだわりはありますか? 藤谷さん、石田さんは、SF作品で好きなタイムマシンはありますか?

上田誠
今「時をかけるな、恋人たち」というドラマも時間ものを山口さんも監督されていますけど、あのドラマではキックボード型…タイムボードという名前で。
恋人たちが違法タイムトラベルをするものなので、2人乗りしている悪い感じとか、何かそういうので何かあんまりきっちりした乗り物というよりは、そういうものがいいなとか、なんかもう作品に合わせて、デザインしています。

山口淳太監督
『リバー~』では、神社に溶け込んでいそうなのが一番のテーマでした。浮き過ぎない。
あそこに」ツルっとした銀色のものがあったら異質物ですけど。あれなら横目に映っても見逃せるかな。

藤谷理子
あれがロケット型なんだって今気づいたんですけど。今回の『リバー~』のタイムマシンは好きですね。思いつくのは、ドラえもん型なので…。
でも、「ロケット型がすきか?」と呼ばれるとどうなんだろう。。。

石田剛太
僕は普通にやっぱデロリアンですかね。タイムマシンといったらあのイメージがあって、あれに乗りたいかな。

▼花束贈呈&フォトセッション

▼メッセージ

石田剛太
ここに来てくださってる皆さんも観て、会場がいっぱいになってる皆さんを見て、ほんっとにずっとヨーロッパ企画、やってきてよかったなってすごい実感しております。皆さんのおかげでこうやって活動できてて、タイムトラベルものばっかりやっていても皆さんが来てくれるのが、本当に嬉しいです。
こういうことをずっとやり続けて参りますので、どうぞ、ヨーロッパ企画をよろしくお願いします。ありがとうございました。

藤谷理子
昨日の授賞式からもずっと夢をみているような心地なんですけれども、さっき後ろでちょっとだけ本編を一緒に観させていただいたときに、とても皆さんが笑ってくださって…。
私、(今まで)5回くらい客席でこの映画を観ているんですけど、1回もウケてなかったんですね。
今回やっと『リバー~』が愛されてるなっていうことに気づきました。本当にありがたかったです。そして今も見えているんですけど、たくさんのサポートしてくださった、クラウドファンディングにご協力いただいた皆様に本当にお礼を言いたいです。みんなで何か受賞したような、そんな気持ちがしています本当にありがとうございます。

山口淳太監督
もうお2人と同じ思いで本当に感謝申し上げます。TAMA映画祭さんにですね。今回初めて日本で賞をいただくことができました。これもひとえにですね映画をたくさんここまで盛り上げていただいた皆様のおかげでございます。
それが実行委員の皆様にもずっと伝わって、皆さんにすくい上げていただいて、こんな晴れの舞台に立たせていただいております。本当に『リバー~』は頑張ってみんなで作った作品で、僕らは本当に良い作品ができたと思っております。

実はこれまだ下北沢で上映が続いておりますので、もし今日初めてご覧いただいた方、お気に召していただけましたら、二度三度また劇場の方に足をお運びいただければ幸いです。今日はどうもありがとうございました。

上田誠
僕らは劇団なので、映画をずっとメインにして活動してきたというよりは、映画とは少し離れたところにいるので、そんな僕らだからこそできる映画を作れたらなって思って、それでこういう映画もあるよっていうのは僭越ですけど、提案していけたらいいかなと思ってやってるところがあります。
そんな作品をこうして映画として認めてくださった皆様には本当に感謝にたえません。幸せすぎてちょっともうこれね、タイムループして、あの撮影が中止になった大雪の日に戻らないことをちょっと願うばかりです。
本当にありがとうございました。


会場には、TAMA映画祭実行委員による手作りの作品(鳥居、タイムマシン)やボード(解説図)も。

映画祭カテゴリの最新記事