映画『水いらずの星』写真家として映画製作に関わるということ【後編】

映画『水いらずの星』写真家として映画製作に関わるということ【後編】

映画は撮影部隊だけがスタッフではない。
その後のポスプロチームしかり、宣伝チームにしかり関わっている人の数は計り知れない。
その中でも映画「水いらずの星」は特殊だ。
1st Generationの以前の記事でもとりあげたように、映画本編が、登場する男と女が夫婦として離れてから6年後再会したところから始まるということで、写真家の上澤友香がインスタグラム、ツイッターにて 「映画本編へと辿りつくまでの男と女の6年を写真で紡ぐ、インスタ限定アナザーストーリー。」と題し、その時代を日々更新し続けている。

写真家として映画製作に関わるとはどういうことか?前編と後編に分け、今回は本編でもスチールとして参加した上澤友香さんからみた河野知美さん、梅田誠弘さん、越川道夫監督の印象をうかがいました。

水いらずの星
©梅田誠弘 [左)川口ミリ 右)上澤友香]

■ 映画『水いらずの星』に関わる写真家・上澤友香インタビュー

▼7:写真家として接する中で感じた…河野知美について

-河野知美というプロデューサーについての印象は?

上澤友香
そうですね…。“プロデューサーとして”、“俳優として”という以上に、“河野知美”その人とずっと付き合ってきて、とても近い間柄なんです。多くの時間を一緒に過ごしてきたので、逆にうまくまとめるのがすごく難しい。河野さんだけでなく、梅田さんに対してもそうですね。想いはすごくあるんですけども。

まず、プロデューサーとしての河野さんは、いつ寝ているのかなって思うぐらい、毎日駆け回っているイメージがあります。常に作品やそれに関わる人たちのことをすごく思っていて、愛を持って接してくださいます。また、アイデアがたくさん浮かんで、しかもそれをすぐに実践できるパワフルな人だなって思っています。

私も直感で動くタイプですが、どちらかというと腰が重いので、パワフルな河野さんに背中を押してもらっている部分や、勇気づけられている部分がいろいろあります。
口だけじゃなく、きちんと形にして、それを達成するパワーがある、魅力的な人だなと感じています。

水いらずの星
©上澤友香

▼8:河野知美という俳優について

-「俳優・河野知美」についてはいかがですか?

上澤友香
俳優としては、『水いらずの星』に関して感じたことだと…河野さんが“風”、梅田さんが“樹”のように私には見えていました。梅田さんという樹のまわりを河野さんが風としてくるくると回っていて、梅田さんの葉っぱを揺らしているような感じです。
風が治まる時もあれば、すごい勢いで動く時もあり、面白かったです。
河野さんは『水いらずの星』の時はずっと、“女”そのものという感じで、表情が豊かでコロコロ変わって、危うくて儚くて、目が離せなくて、感情を揺さぶられました。

▼9:梅田誠弘という俳優について

上澤友香
表情より佇まいの人というか、そこにある空気を変えられる人だと思っています。
横顔や、手の動きや、背中や、仕草みたいなものから、その役=人間の背景みたいなものを感じて、それがすごくいいなと思っています。

水いらずの星
©上澤友香

▼10:越川道夫という監督について

-越川監督の現場で見た印象は?

上澤友香
映画の現場に入るのは初めてだったので、他の監督のやり方はわからないのですが、越川さんは何となく、役のイメージの地盤はしっかり持った上で、それを演じる俳優の人柄や背景みたいなものを何より大切にしていらっしゃる方なのかなと思っています。
撮影の時も、演技についてはあまり細かくは注文していなかった気がします。感情はオープンのまま、情緒がある、とても良い現場だったと思います。

▼11:上澤友香にとって映画『水いらずの星』とは?

-『水いらずの星』に関わることによって得られたものや、今、関わっている中で影響を受けている・受けたことについて聞かせてください。

上澤友香
これも言葉にするのがとても難しいです。というのは、とても特別な関わり方をさせていただいていると思うんです。一緒に並走している感じっていうのかな。まだ渦中なので、ゴールが何なのかわからないですが、みなさんと一緒に駆け抜けていきたいです。

この作品に関わることで、初めての感覚がいっぱい生まれました。特定の人をずっと撮り続けたことも今まであまりなくて。写真を撮っていながらそれだけでないというか。
もちろん、いろいろな人が写真を見て「素敵」って言ってくれるのは嬉しいし、今後の写真家人生にもきっと活かされていくんですけど、それをきっかけにどうなりたいみたいこともないくらい…。ないっていうか、そういう気持ちじゃないくらい、仕事であって仕事ではなく、「一緒に生きていた」っていう言い方が正しいのかな。
今回参加できたことでいろいろな感情が生まれたし、いい経験をさせてもらっているなっていう感じです。

▼12:公開に向けて映画を鑑賞するみなさんに一言

-映画を観にいらっしゃるお客様へのメッセージをお願いします。

上澤友香
ぜひたくさんの方に観ていただきたいです。一見、現実とはかけ離れているようでいて、実はどこかに自分と通じるものを見つけられる映画なのではないかという気がします。
本編はもちろんのこと、河野さんの連載やアナザーストーリーの写真など、いろいろなレイヤーを通して、この作品の世界を体験していただきたいです。
パンフレットも気合いを入れて作っているので、ぜひ楽しみにしていてください。

水いらずの星
©上澤友香


映画『水いらずの星』

【クレジット】
タイトル:水いらずの星
監督:越川道夫 『アレノ』『海辺の生と死』『背中』
原作:松田正隆 『紙屋悦子の青春』『海と日傘』『夏の砂の上』
主演:梅田誠弘 『由宇子の天秤』『鬼が笑う』『かぞくへ』
河野知美 『ザ・ミソジニー』 『truth〜姦しき弔いの果て〜』
撮影:髙野大樹 『夜明け』
プロデューサー:古山知美
企画・製作:屋号 河野知美 映画製作団体
制作協力:有限会社スローラーナー/ウッディ株式会社
配給:株式会社フルモテルモ/Ihr HERz 株式会社
©2022 松田正隆/屋号河野知美映画製作団体

■Twitter:@Mizuirazu_movie
■Instagram:mizuirazu_movie

オンラインメディアPINTSCOPEで河野さんが連載記事

「映画本編へと辿りつくまでの男と女の6年を写真で紡ぐ、インスタ限定アナザーストーリー。」

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