2026年、ドラマ『ぜんぶ、あなたのためだから』『教えてください、藤縞さん!』『親友の「同棲して」に「うん」て言うまで』への立て続けの出演に加え、主演映画『愛のごとく』も公開中など、破竹の勢いで活躍する俳優・古屋呂敏。俳優業と並行して、フォトグラファー・映像クリエイター「ROBIN FURUYA」としても活動し、そのクリエイティブな才能は多方面から注目を集めている。 今回は、そんな古屋さんのルーツから、俳優とクリエイターという「二刀流」の真髄、そして表現者としての現在地について、たっぷりと語っていただいた。

■ 俳優・古屋呂敏インタビュー
名前の由来とルーツについて
――まずはお名前について伺います。モデル自体の「ロビン」、「呂敏」から現在の「古屋呂敏」へと活動名を変えていらっしゃいますが、改めてお名前に込められた思いや、ご自身のルーツについて教えていただけますか?
古屋: 名前の由来として一番大きいのは、父の親友の名前が「ロビン」だったことですね。父は日系アメリカ人(3世)で、ハワイかどこかで出会った親友の名前を僕につけたそうで、これが本名なんです。 モデル活動をしていた時は、どうしても漢字だと伝わりづらい部分があったのでカタカナの「ロビン」や「呂敏」として活動していました。そこからお芝居の仕事を少しずつするようになり、役者として振り切ってやっていこうと決めたタイミングで、名字もつけて「古屋呂敏」として活動することにしました。自分自身の変化とともに名前が変わってきている感じです。
――ご両親からもらった名前を大切にされているからこそ、現在の活動名にしたとうかがいました。
古屋: そうですね、大切にしています。小さい頃は珍しい名前だったので、どうしても目立ってしまってあまり好きになれない時期もありました。でも、大人になってこうして仕事をさせていただく中で、一度覚えてもらえると忘れられない名前だというのは、一つのアイデンティティになっているなと感じています。
芸能界入りのきっかけと「人生の決断」
――就職活動中に「夏休み限定」のつもりで始めたモデル活動が、結果として「これが人生だ」という決意に変わったというエピソードがプロフィールの中で印象的でした。
古屋: 本来は就職活動をするために、ハワイの大学から東京に帰ってきていたんです。東京での生活費を稼ぐためにモデルの仕事を始めたんですが、あるオーディションに合格して、その仕事が長期的なものになってしまって。結果としてアメリカの大学に戻れなくなってしまったんです。 その時に、「芸能の仕事に賭けてもいいのかな、やってみたいな」という思いが芽生えて、この仕事を選びました。僕の人生において、一番ではないかもしれませんが、かなり大きな決断の一つでした。
大学時代の経験と言語学・心理学
――大学では言語学と心理学を専攻されていたそうですね。当時の学びが、現在の俳優やフォトグラファーとしての活動に役立っていると感じることはありますか?
古屋: 技術的な部分やスキルとして、当時の勉強が今の仕事に分かりやすく反映されているかというと、少し難しいかもしれません。ただ、日本で育った中でアメリカに行き、自分が難しいと思うことを毎日勉強してチャレンジしていったという「姿勢」みたいなものは、今のキャリアにも生きていると思っています。
――確かに、“心理学”というと、一般的には、人の心を読んだりするような内容のイメージもありますが、学問としては、様々な分野がありますものね。
古屋: 心理学にもいろいろなジャンルがありますよね。僕が学んでいたのは、長期記憶や短期記憶といった「記憶」や、脳の細胞がどう働いて感情が動くのかといった、生物学に近い分野でした。「この人がこういう目線をしたからこういう意図がある」といった心理テクニック的なものとは、ちょっと別のものを勉強していました。

アクションから文芸作品まで、幅広いキャリアの歩み
――仮面ライダーのようなアクション作品から、恋愛ドラマ、そして現在は純文学作品と、非常に幅広いジャンルでキャリアを積まれています。ご自身ではこの道のりをどう捉えていますか?
古屋: どうなんでしょうね(笑)。僕自身、役者業のスタートは他の役者さんに比べて圧倒的に遅いんです。だからこそ、声をかけていただいた作品に対しては、何でも前向きにトライしているつもりです。「狙ってこの仕事をやっていこう」というよりは、頂いた仕事にひたむきに向き合ってきた結果が、今のキャリアにつながっているという感覚です。
――それぞれのジャンルでファン層も広がっているように感じます。
古屋: 確かに、イベントや舞台挨拶をやると、中学生から70代、80代の方まで、本当に幅広い年齢層の方が会いに来てくださいます。自分がやってきたジャンルの幅広さが、そういった形で現れているのかなと感じています。
多忙な出演ラッシュと役の切り替え術
――2026年のスタートは凄まじい活躍ぶりです。1月だけでラブサスペンス、TL(ティーンズラブ)、BL(ボーイズラブ)と全く毛色の異なる作品に出演されています。これほど多忙な中で、どのように役の切り替えを行っているのでしょうか?
古屋: 役作りの上で僕がよくやっているのは、「その役に合うイメージの曲を1曲選んで聴く」ということです。 例えば、映画『愛のごとく』で言うと、映画『華麗なるギャツビー』の主題歌であるLana Del Rey(ラナ・デル・レイ)の「Young and Beautiful」という曲が、僕の中でのテーマ曲でした。 撮影時期が被ることもあって、「昨日はこの役、今日はこの役」といっぱいいっぱいになる瞬間もあるんですが、その曲を聴くことで「今からはこの役の、この人になるんだよ」と、ぐっと集中するきっかけにしていました。
純文学・文芸作品への挑戦
――映画『愛のごとく』や舞台『春琴抄』など、昭和の文豪の作品にも挑まれています。現代的な役柄とは異なる重厚な世界観ですが、演じてみていかがでしたか?
古屋: 純文学に向き合うことは僕にとって初めての経験だったので、今までの向き合い方とは全く違うやり方をしないとダメだろうなと感じました。監督ともたくさん話し合いましたね。 『愛のごとく』に関しては、相手のことが分からないからこその戸惑いがあって良かったのかなとも思います。文学における心の動きというのはとても繊細で、同じ言葉でも違う汲み取り方ができる瞬間がたくさんあります。表現一つでここまで違うのかと感じましたし、原作者の山川方夫さんが僕と近い年齢で亡くなっているという点にも運命を感じました。本当に難しい作品でした。

フォトグラファーとしての原点と愛機
――ここからはクリエイターとしての側面についても伺います。カメラを始めたきっかけは何だったのでしょうか?
古屋: アメリカの大学から帰国してモデルをやっていた時、出会うカメラマンさんたちがとてもかっこよかったんです。自分自身、「この仕事で大丈夫かな」と不安な時でも、雑誌を見たらとても綺麗に、かっこいい世界の一部として僕を撮ってくださっていて。 「僕自身もそういう風に誰かに魔法をかけられたら嬉しいな、そういう技術が手にあったらいいな」という憧れが最初のきっかけです。そこからカメラマンさんたちに「教えてほしい」とお願いして、現場に遊びに行かせてもらって、照明の組み方から機材の使い方まで教えてもらいました。
――現在使われている機材について教えてください。
古屋: 今はニコンのZ8をスチールで使って、Zfも使っています。レンズも大好きで、古いロシア製のレンズなども集めています。ただの機材オタクですね(笑)。
写真展のタイトルと「焦点距離」
――これまでに「reflection」「Love Wind」、そして「MY FOCAL LENGTH」と写真展を開催されています。タイトルにもこだわりを感じますが、そこにはどのような思いがあるのでしょうか?
古屋: 写真というものは評価がしづらく、物差しが少ない表現の世界だと思います。その中で、僕は言葉で写真を補足することの美しさを信じています。もちろん写真にある余白も大事ですが、特に「MY FOCAL LENGTH」という写真展では、僕を見に来てくださるファンの方の中には写真にあまり興味がない方もいらっしゃるので、丁寧に一から説明したいという思いがありました。 「MY FOCAL LENGTH」は「僕の焦点距離」という意味ですが、カメラを通じたからこそ見れる景色を共有したかったんです。
――写真って、自身の視点・視線がさらけ出すことを感じるのですが、古屋さんはどのように感じますか?
古屋: ちょっとスッポンポンですよね、写真って(笑)。特に人物を撮った時に、自分がその人をどう見ているのかが出てしまうのが、自分自身でもハッとさせられます。 例えば、僕はグラビアが撮れないんです。女性を男性目線のエロティシズムで撮影するのがとても恥ずかしくて、どうしてもおしゃれな世界観の方に逃げてしまう。それは自分のフィルターがそうだからなんだろうなと、自分自身を知る上でも面白いです。

今後撮りたいもの、クリエイターとしてのスタンス
――今後、写真で撮ってみたいテーマはありますか?
古屋: 個人的なプライベートで興味があるのは、自分のルーツである日系アメリカ人の方々のポートレートをモノクロで撮りたいと思っています。戦前や戦争を体験した方々がどんどん減っている中で、彼らがハワイに残した功績はとてつもなく大きいものだと思っています。僕自身、3.5、4世として、そういった方々の写真はちゃんと残しておきたいなという思いがあります。
――クライアントワークとご自身の作品作りでは、スタンスは違いますか?
古屋: クライアントワークもすごく好きなんです。「こういう世界観が欲しい」というオーダーに対して最適解を見つけて、ハマった時の嬉しさや充実感があります。それは役者の仕事に近くて、監督が求める人物像にどう自分をはめ込んで、そこからオリジナリティを出せるかという作業に似ています。 意外に僕は柔軟なんです(笑)。役者をやっているとエゴが強いと思われがちですが、写真ではクライアントの気持ちを汲み取って、それ以上のものを出せれば幸せだなと思っています。
俳優とフォトグラファー、二刀流の相乗効果
――ドラマ『ぜんぶ、あなたのためだから』や『親友の「同棲して」に「うん」て言うまで』では、役柄としてだけでなく、実際に劇中写真やメインビジュアルの撮影も担当されています。
古屋: 最近、俳優とカメラが交わることが多くなって驚いています。カメラが好きだと知ってくださっている方々がオファーしてくださっているのかはわかりませんが、自分の好きな分野を扱ってくれることがすごくありがたいですね。自分のアイデンティティの一つになっている感じがします。 過去の自分を褒めたいです。「点と点がこんなにつながるとは一切思ってなかった」と。本当にラッキーだなと思います。
――二つの活動は、ご自身の中でどう作用していますか?
古屋: 役者とフォトグラファーという二軸でやることによって、心の余裕が生まれました。もし役者一本だけだったら、潰れてたかもしれないなと。僕にはフォトグラファーの世界があって、ここは誰にも奪われない自分の技術なので、その安心感は役者をやる上での強い支えになっています。

今後の目標と夢
――最後に、今後の目標や夢について教えてください。
古屋: もっと表現力をつけたいです。今は歯を食いしばっています。毎回自分の芝居を見て、「今できることは全てやった」とは思いますが、まだまだ自分が望む表現には届いていなくて。 ドラマにたくさん出させていただいて「すごいね」と言っていただくこともありますが、僕からするとまだスタートラインにも立っていなくて、まだ何者にもなっていない自分がいます。確固たる「僕自身の表現」とは何だろう、「僕のお芝居」とは何だろうというところを、突き詰めたいなと本気で思っています。
ファンへのメッセージ
――応援してくれているファンの皆様へメッセージをお願いします。
古屋: 何より、たくさんのエンターテインメントがある中で僕を見つけてくださって、応援したいと思ってくださったことに本当に感謝しています。舞台挨拶などが満席になるのも、デジタルな時代にリアルで足を運んでくださることがどれだけありがたいことか。 だからこそ、僕自身が新しい世界を見て、それを通して皆さんに色々なことを感じてもらえるよう頑張ります。「もう少し待っててね、もっと違う景色を見せられるように頑張るから」という気持ちです。

【編集後記】
「まだスタートラインにも立っていない」と語る古屋さんの瞳は、現状に満足することなく、より高みにある「何か」にしっかりと焦点を合わせているように見えた。俳優として、フォトグラファーとして、その「二刀流」が切り拓く新しい景色を、私たちはこれからも目撃することになるだろう。
・STAFF・
スタイリスト:森田 晃嘉
ヘアメイク:上野 知香
・最新情報・
NICO STOP初のオリジナルドラマ「ひかりと、まばたき。」主演
NICO STOP公式YouTubeにて配信中
舞台「春琴抄」出演
2026年4月29日(水)~5月6日(水) ※全10公演
新国立劇場 小劇場

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