1つのセクハラ、ハガキ、アプリ通知で日常が変貌。ギリギリの人間たちがそのやり方で人生に抗う崖っぷちエンターテインメント

1つのセクハラ、ハガキ、アプリ通知で日常が変貌。ギリギリの人間たちがそのやり方で人生に抗う崖っぷちエンターテインメント

2022年4月16日(土)~4月22日(金)池袋シネマ・ロサ 新人監督特集vol.8にて、映画『遠吠え』が上映。
本作の脚本・監督は、シェーク M ハリス。その初長編作品。
ギリギリの人間たちが、ギリギリのやり方で、人生に抗う崖っぷちエンターテインメント。1回のセクハラと1枚のハガキと1件のアプリ通知で彼の日常が変貌していくストーリー。

遠吠え

シェーク M ハリス監督は、短編『カミング、バック』で、カナザワ映画祭「期待の新人監督」(2019)、第8回関西学生映画祭(2019)入選。短編『手遅れの葉一』で、杉並ヒーロー映画祭2021入選、うえだ城下町映画祭第18回自主制作映画コンテストほか入選。という経歴をもつ新進気鋭の若手監督。これまで同世代若者の自我や鬱屈感を独自の視点で描く短編作品に精力的に取り組んできた。
今回は、40歳の男女を描くという初挑戦の脚本。監督初の長編作品となった。シェーク監督の持つ独特な距離感の人物描写とテンポのいいストーリー展開を、撮影監督の斎藤文が大胆に切り取り、スピード感とエネルギーのある珠玉のブラックコメディに仕上がっている。
舞台プロデュースを主に活動してきた「演劇集団ツチプロ」(第24回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞)とタッグを組み、クラウドファンディングで230名を超える方々から支援された本作。
主役のうだつのあがらない四十男を演じるのは橋本一郎(映画「あなたにふさわしい」(宝隼也監督)、「時の行路」(神山征二監督)、「 Fukushima 50」(松節朗監督)、「空母いぶき」(松節朗監督)他多数出演) 、20歳のヒロインには50名以上のオーディションから選ばれた高橋ユキノ、そのまわりでは舞台や映画でキャリアを積んできたベテラン俳優陣が思う存分実力を発揮しており、まるで舞台をみているような感覚を覚える見応えのある作品に仕上がっている。他にも光、色、美術、衣装、音楽など見どころが映画『遠吠え』にはたくさん詰まっている。

■映画『遠吠え』

▼【あらすじ】
田之上隆二は、うだつの上がらない40歳。
地位も名誉も金も女もない 、いつかやる!やるやる詐欺な毎日。
セクハラでバイトをクビになったその日、中学の同窓会の案内が届く。
ほぼ同時に、マッチングアプリで連絡を取っていた紫アカネから「直接お会いしませんか 」とメッセージが届く。下心丸出しで待ち合わせに向かった隆二…。
しかしアカネから発せられた言葉は、「1千万差し上げるんで私の父を殺してくれませんか 」と衝撃の一言だった。
後日、隆二は同窓会で初恋の相手千聖と、かつて隆二と千聖を虐めていた土田勝徳と再会する。この日を境に、隆二の日常が急激に変貌していく…。

▼【監督メモ】
多くの人はこの現状を「ひっくり返してやろう」と頑張ってはみるものの大抵はどうにもならず
「まあ、しょうがないよね」で片づけ、そのまま「しょうがない」と言いながら人生を全うする。
この作品は、主人公だけでなく、出てくるキャラクターのほとんどが「しょうがない」の束縛に囚われていて、彼らなりにそこから抜け出すために悪戦苦闘する。
「しょうがない」運命に無様にも抗う姿は、何もしない人生を見るよりずっとおもしろい。
それは同時にどこか悲しくもあり、滑稽でもある。
そして追い詰められた人間のとる行動は全く理屈に合わないことが多い。
そんな人間の面白さを1つ2つ隣の席から眺めるように描いていきたいと思っている。

▼【この映画をひとことで言うと?】
『荒唐無稽のファンタスチック作品』(製作総指揮:土屋 士)
『男根主義的ヒロイズムの否定です』(脚本・監督:シェーク M ハリス)
『ネオ・ガロ的映画だと思う』(プロデューサー:早川玲奈)[※ガロ=月刊漫画ガロ]

■映画『遠吠え』3つの試み

【その1:垣根を越えたスタッフィング】
世代も枠組みも超えた「あたらしいカタチ」で映画をつくりたい。
年齢・性別はもちろんキャリアに関係なく、新しい時代を敏感に感じて表現したいと思う人を起用したい。
いろいろなものが止まってしまった今、コロナ禍だからできるチーム編成。
これまでと同じなら交わることがなかったかもしれないスタッフ編成。
今までと同じでは太刀打ちできない世界になってしまったからこそできる、あたらしいカタチ。
そんな製作総指揮の提案で、ベテランから畑違いのスタッフまでプロ・アマ入り乱れるこれまでとはまったく違うシェーク組ができあがりました。
製作総指揮の土屋 士は演劇界から、プロデューサーの早川玲奈はCM業界から。
撮影監督には映画業界から斎藤 文が参戦し、彼女の繊細な感性で切り取られる画の大胆な色と光を作るのは舞台業界からの照明、松本 永。
録音や音楽制作はCM業界のプロたちが集まり、編集はシェーク監督の同期で映像ディレクターの坂根大悟。
助監督には女優の木下千加が入り、タイトルロゴや宣伝デザインには、デザイナーのオオクラテツヒロが参加。
そしてNCW(ニューシネマワークショップ)の卒業生たちがまわりを固めました。
このようなチーム編成により、随所にこだわりが詰まった『遠吠え』が完成しました。
ぜひ、こだわりのひとつひとつを楽しんでいただきたいです。

【その2:リスペクトという考え方】
垣根を越えたスタッフィングを行う中で、参加スタッフ全員が自由な発想やアイディアを遠慮なく話し合える環境をつくるためには、嫌な緊張感のない、風通しの良い現場を作っていくことが大事であると考えました。
そこで、Netflixが全世界で展開して話題になっているリスペクトという考え方を全員で共有することにしました。トレーニングまではできなくとも、全体ミーティングごとに、まわりの人に対する配慮や、意見を出し合う時の心構え(先入観なく意見を聞き、まず受け止めて考えること)を全体でのルールとすることを周知させました。
また、性的なシーンの撮影に関しても、俳優本人たちに演技をまかせるのではなく、事前にキャラクターの生い立ちや行動習慣・思考習慣などを、プロデューサー、キャストケアスタッフ立ち合いの下、監督、助監督、役者が話し合う時間を設けました。キャラクターとしての具体的な動き方を考えたり、女優と女性スタッフのみで、身体的接触に対する具体的な条件を決めて、監督、カメラマン、相手役と事前に合意しておくことで、性的シーンの撮影に対する心の負担を軽減できるよう努めました。カメラアングル(どう映るのか、どこまで見えるのか)に関しても、事前検証と役者への共有、本番は最低人数での撮影にするなど、細かな段取りを決めておくことで、演技や撮影に集中し、引いては全体のクオリティを上げていくことに集中できる現場作りを実現できたと思います。

【その3:クラウドファンディング】
ゼロからスタートしたツチプロ映画製作『遠吠え』。そこには当然ですが、我々が思う作品作りに必要な資金調達の壁がありました。ならば、クラウドファンディングでできないだろうか?アイディアが出てきたのはいいものの、経験者もおらず、こちらもゼロスタート。本作出演の池上リョヲマがリーダーとなり、製作総指揮:土屋 士、プロデューサー:早川玲奈、宣伝・広報:洪 妤綺が中心となって手探りで進めていきました。見様見真似ながらも、参加してくださる方に
「一緒に作る楽しみ」を感じていただきたい、という思いでニュース作りや動画コンテンツ、Youtubeライブ配信を敢行。
そして、製作総指揮を中心に役者・スタッフ全員が一丸となって宣伝活動を行い、230名を超える方々の応援を頂戴することができました。自分の分野を越えた製作参加の機会、分業になりすぎないものづくりの場が撮影前に作れたことで、撮影本番にもいい影響があったと感じています。ご支援者の方々からも劇場で観られることを楽しみにしている、とのお声もいただいており、今回の劇場公開でまた盛り上がりたいと思っています。
多くの方に支えていただきながら完成した映画『遠吠え』。そんな制作過程をこちらでご覧いただけます。
https://motion-gallery.net/projects/tsuchiya-haris

■映画『遠吠え』 ~関係者初号試写コメント~

◆加藤正人氏(脚本家)
表現せずにはいられないという俳優の熱情が創り上げた映画。表現とは、吠えること。

◆佐藤佐吉氏(映画監督・脚本家・俳優)
まさに『世界がひっくり返る』映画だった。イライラするほどに情けない主人公が
ボンクラゆえに人々を動かし彼自身にも革命を起こす。
ラストシーンに私はかつて味わったことのない爽快感を得た。
またひとりとんでもない監督が現れた。

◆攻めの姿勢に感服しました!(20代男性) 
◆ラストシーンまで結末が読めず面白かったです(20代女性)
◆建物の線と人物の配置など構図がとにかく素晴らしかった(20代男性) 
◆映画と舞台を同時に観ているような感じでした。(50代女性)
◆映っていて画が保つ役者が多く見応えありました(40代男性) 
◆主人公のクズっぷりがリアルでおもしろかったです(40代女性)
◆色濃く、音濃く、匂い立つ。(60代男性)
◆いろいろな要素のつまった最高の映画でした(50代男性) 
◆ラストシーンは、70年代の不条理を見る感じ。(60代男性) 
◆場面ごとの空気感やBGM、個々のキャラクターが絶妙(30代女性) 
◆意外な結末でしたが、なんだかすっきりしました笑(30代女性)
◆ザ・映画というラストだなと感じました(50代女性) 
◆男にすがらない女、ありです。(50代女性)
◆ところどころの笑いは滑稽な哀しさがあり、よかった。(50代女性)
◆脚本の力と、それを演じるキャストの方々の表現力の高さを感じた(30代男性)


映画『遠吠え』
2021/日本/ヴィスタサイズ/カラー/ステレオ/86分

【キャスト】
橋本 一郎 高橋 ユキノ 小野 孝弘 池上 リョヲマ 小谷 沙奈恵 坂根 大悟 本田 宇蘭
土屋 士 蔵本 康文 小飯塚 貴世江

【監督プロフィール】
シェーク M ハリス
1994年、東京都出身。母は日本人、父はパキスタン人のハーフ。
中央大学経済学部経済学科卒。
ニューシネマワークショップクリエイターコース修了。
短編『カミング、バック』で、カナザワ映画祭「期待の新人監督」(2019) 、第8回関西学生映画祭(2019)入選。短編『手遅れの葉一』で、杉並ヒーロー映画祭2021入選、
うえだ城下町映画祭第18回自主制作映画コンテストほか入選。
2021年10月NCW映画祭「Movies-High 20」招待枠作品。
つんく♂総監修「中2映画プロジェクト2022」に監督として携わる。

遠吠え
シェーク M ハリス監督

【スタッフ】
製作総指揮:土屋 士/プロデューサー:早川 玲奈(株式会社サンク)/ 撮影監督:斎藤 文/照明:松本 永(eimatsumoto Co.,Ltd. )/録音:菊池 秀人/編集:坂根 大悟 /音楽:広瀬 和奏/美術:吉岡 晶/衣装:岡上 亮輔/ヘアメイク:宮崎 睦/制作:宇佐美 滉士 濵田 耕司 望月 亮佑/助監督:木下 千加/カラーグレーディング:斎藤 文/MA :株式会社テクニカランド/スチール:野村 芳輝/メイキング:野村 芳輝 高木 良輔(株式会社HOUND) 上岡 英門(株式会社HOUND)/ 宣伝・広報:洪 妤綺/タイトルロゴ・宣伝デザイン:オオクラ テツヒロ/車両:東野 圭/キャストケア協力:藤沢 美由紀(有限会社マシン)/協賛:株式会社サンク/企画制作:演劇集団ツチプロ

◉遠吠え特設サイト ツチプロ公式ホームページ  http://www.tsuchipro.com
◉「遠吠え」公式Facebook  https://www.facebook.com/information.winnersclub
◉「遠吠え」公式Instagram  https://www.instagram.com/tsuchipro55/
◉「遠吠え」公式Twitter  https://twitter.com/Tsuchipro55
◉「遠吠え」 Motion Gallery ページ  https://motion-gallery.net/projects/tsuchiya-haris

上映:2022年4月16日(土)~4月22日(金)   池袋シネマ・ロサ
一般 1,800円、大学専門 1,500円、中高 1,000円、シニア1,100円、水曜1,100円、前売1,500円

2022年4月16日(土)~4月22日(金)池袋シネマ・ロサ 新人監督特集vol.8にて上映

遠吠え
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