映画『わかりません』キャストインタビュー。ボブ鈴木の覚醒。境界線を超えた木原勝利。

映画『わかりません』キャストインタビュー。ボブ鈴木の覚醒。境界線を超えた木原勝利。

片山享監督最新作映画『わかりません』が池袋シネマ・ロサにて、10月 1 日から10 月 14 日まで公開。その後、全国順次公開予定。
現役の役者でもある片山享が、40代50代の役者の物語である『わかりません』を監督。本作は片山監督自身と20年来の親交があるボブ鈴木、そして片山監督と同じ俳優事務所所属の木原勝利を主演に迎え、虚構と現実ないまぜの、おっさん達のドラマ。
本作は役者の日常が描かれている。役者の物語というと一般的にはスターダムにまでのし上がる物語を想像しそうだが、役者を20年続けてきた片山監督らしい、普段は見ることのない「売れていない」役者の日常をリアルに描いている。その日常は平凡だが、平凡だからこそ、役者ではない方々の胸にも響くものがあるはず。
今回、ボブ鈴木さん、木原勝利さんのお二人に本作制作のきっかけ、片山監督との関係、作品にまつわるエピソードを思う存分語ってもらった。また、今回のインタビューを行った場所についても記事掲載写真に注目しながら『わかりません』を観てほしい。

■映画『わかりません』ボブ鈴木、木原勝利インタビュー

▼本作品の企画の始まり

-本作は、「ボブ鈴木を長く知っているからこそ変えたい、だから撮る」という奇妙な企画ではじまったそうですが、ボブさん自身はどのように聞かされていたのでしょうか?

ボブ鈴木
ことの始めは、プロデューサーの大松と、片山監督の2人が話をしたことがきっかけらしいです。僕はその時にいなかったので知らないんですけどね。

木原勝利
僕はその時にその場にいたんです。うちの事務所・ハイエンドを2020年の2月に立ち上げたその年が終わろうとしている時、2020年の年末でコロナ禍真っ只中の頃でした。
その年末に、片山さんと大松さんがコロナ禍で忘年会もできないけど、来られる人だけでちょっと飲もうということになりました。そこで、事務所を今後どうしていくかという話になったんです。
片山さんはボブさんともう20年来の付き合いで、代表の大松はボブさんと6年くらいの付き合いで、その場に僕は遅れて行ったという流れになります。ちなみに撮影は2021年の1月末が撮り始めになります。

わかりません
木原勝利

ボブ鈴木
その場で「ボブ鈴木を何とかしよう」という話を俺がいないところでしたらしいんです。

木原勝利
その時に、「ボブ鈴木はいつまで経っても、どんどん経験を積めば積むほど、なんか理論武装して、頭でっかちになって、ボブさんはさあ…」ということを二人が話していて、その結果、「ボブさんを変えたい」となったんです。
そういうのを聞いていて、ボブさんはどう思っているんですか?

ボブ鈴木
元々は、俺を変えたいというよりも、事務所を立ち上げて、片山も監督として作品を撮るようになって、役者と監督がいる状態が出来て、作品をつくりやすくなった所で、「何かをやろう」ということだったらしいんです。

▼槍玉にあがったのがボブさん

ボブ鈴木
片山には、元々やりたかったものがあって、その題材として槍玉にあがったのが俺なんです(笑)

木原勝利
槍玉って!(笑)

ボブ鈴木
ただ、俺は片山とは付き合いが長いんで、お互いに芝居のことは20年来いろいろ言い合っていることがあるんです。
元々は俺が片山に言うことの方が多かったんですけど、片山も成長していったわけです。
俺の考えよりももっと飛び越した状態のことを考えられるようになったと思います。片山とは家が近所ということもあって、家に来て「タバコ一服していいですか?」といいつつ、3、4時間くらい普通に話し続けることをやっているのが片山なんです。
そんな中で、俺の芝居がどうこう言うことが片山自身に増えていったんです。
ただ、俺も俺で頑固な部分もあるので、「俺もわかってるよ、そんなこと」って言ってしまう部分があります。
多分、片山自身の中では、俺に対してモヤモヤしてる部分があったと思うんですね。
その部分と作品を作ることが一致して、きーちゃん(木原さん)という戦力も加わって、「巻き込んでいけるじゃないか」と、俺がいないところで3人で企んでいたという流れらしいです。
「何かをやりたいね」っていうところが一番の根底にあって、何か一つ作品を作りたいっていうのは、きーちゃんも聞いてるでしょ?

わかりません

木原勝利
そう、うちらは俳優で、やっぱり作品があって、セリフがあって、役があって、それをもらって、見せる・見せられるじゃないですか。
そうでないと何もできないんですよね。
だから「自分たちでやろうよ」、「片山さんは監督であり、カメラもあって機材もあるんで撮れるじゃないか」となって、「何かを始めよう!」となってスタートしたんです。

▼ボブ鈴木を改革しよう!

ボブ鈴木
その第1弾のテーマが“ボブ鈴木”。「ボブ鈴木を改革しよう!」みたいな。

木原勝利
その時に集まったのが、代表の大松の家で、大松さん、ボブさん、片山さん、私・木原。そして、『わかりません』にも出ている大宮将司の5人。それが主要メンバーとなって会議で、「ボブ鈴木をどうする?」って話そうとなりました。
「じゃあ、とりあえず短編でも撮ろうよ」とか、「長編は大変だから…短編でも大変だけど、みんなでまずは短編を撮ろうよ」と話していた流れで、誰を主役にするかが大事だからとなって、話の流れで「じゃあボブさんだ」と。「ボブさんを変えなきゃ」という流れでした。

いろいろな話が出ました。“ボブさんと片山さんが言い合いをたくさんした”とか、マネージャーの大松さんも“ボブさんを俳優としてどうにかなってほしいと願っている”とか。
そこでグズグズと燻っているような状態であるボブさんに対して、大松さんがポロッと刺さるような鋭い一言を言ったんです。そうしたらボブさんのこめかみに血管が浮き出て、その瞬間、こう反論したんです。
「でもね、こういう場合はこうでこうでしょ、俳優っていうのはこうだから、こういうのを作って、与えられた役の中出来ることを…どうのこうの…」ってなったんです。ボブさんは頭が良くて、理論的に口が回るので。
そういう話を片山さんと大松さんはもう何年も前から聞いていて聞き飽きているんですよね。でも僕はその時・その会議では、ボブさんとちゃんと話すのは初めてだったんです。

ボブ鈴木
ほぼほぼ、初対面に近かったよね。

わかりません

▼ボブさんと木原さん…初対面?

木原勝利
ボブさんは、「僕とちゃんと会って話すのは初めてだよね」って言うんですけど、実は違うんです。過去に事務所は違ったんですけど、『DRAGON BLACK』という作品でがっつり共演しているのに忘れているんです、僕のことを。

ボブ鈴木
今日の午前中の取材の時も「あれが初対面だよね?」って言っちゃったよね。

木原勝利
まぁ、僕のことはそれぐらいの印象だったみたいなんですけど、ボブさんと改めて初めて喋って、僕が話を聞いている時に、大松さんと片山さんが、「またボブさんの話が始まったよ…」という様子で別のことをし始めたんです。

ボブ鈴木
その瞬間、俺はもう怒り心頭になってた。

木原勝利
そこで僕は、「一生懸命ボブさん話してんだから!」って、めちゃくちゃブチギレて…
心の中で(笑)
「ちょっと!ボブさんが話してんでしょうが!なんでそんなにちゃんと聞かないんですか!」と思って、めちゃくちゃ切れたんです。
でもキレたからといって別に表に一切出さないすよ(笑)

▼ファーストカット秘話

木原勝利
ボブさんが「やっぱりさ、経験するといろいろお化粧しちゃうところがあるじゃないか」っていうのを「お化粧?」って思いながら、ずっと親身に話を聞いていたんです。
話が終わって後から片山さんに聞くと、「ボブさんはもう何十年もああやっているんだよ。」、「あんな理論のことばっかり喋ってんだよ」って言うんです。それをきいて「ああ、だからあんな態度に出るんだ…」と思って大笑いしたんです。
片山さんは、僕が親身になってボブさんの話を聞いている姿を見たときに、その姿が滑稽に見えたそうなんです。
で、その内容が実はこの映画のファーストカットになっているんです。

わかりません

ボブ鈴木
オープニングがまさしくそれなんです。

木原勝利
これはぜひ劇場で確かめていただきたいですね。

ボブ鈴木
そのオープニングと、斉藤マッチュ演じる田口マネージャー役ときーちゃんと僕らが、撮影が終わった後に川沿いを3人で歩きながら話すシーンがあるんですけど、そこの会話もリアルマネージャーの大松と話すこととそっくりの内容が使われています。

木原勝利
ああいう会話をしたわけじゃないけど、あの場だったら本当にああいうふうになるよねっていう。だから、役を演じてはいるんですが、自分のパーソナリティを十分に使った自分の言葉と言えますね。

▼台本のファーストカット部分。最初はト書きだけ

ボブ鈴木
だから、オープニングのところって、台本に台詞がなかったんだよね。

木原勝利
「ボブさんが演技論云々かんぬんを語っている。それを親身に聞いている木原。」というト書きだけでしたね。

ボブ鈴木
あれって本当にファーストカットなんだよね。

木原勝利
そうですね。「明日ちょっとボブさんの家に来て、何かやってみようか」という風に。

ボブ鈴木
「じゃぁ、ちょっとやってみましょうか…」みたいな形でやったのがファーストカットだったよね。
だから、きーちゃんとちゃんと話したのも、大松さん会議の後に1,2回くらいだよね。

木原勝利
2回目か3回目ですね。

ボブ鈴木
だから、深い会話をする前に、あんなお芝居の理論のトークを言ってるっていう。

木原勝利
クライマックスシーンをやるときは、撮影前に片山さんが「ロケ地を探してくるから」って言って、車の中で待たされていたときに、身の上話をしたんですよね。
そんなことを喋ったのがだいたい5回目ぐらいという。

ボブ鈴木
そう、あの時車の中で待機時間があって、「きーちゃん家って実際はどうなの?」という話とか…

木原勝利
「家族は?どういう生い立ちなの?」という話を、その時に初めてしたんです。

わかりません

▼ボブさんと木原さんの相性

ボブ鈴木
とても不思議な感覚だったね。そんなに深い話をしてないのに、きーちゃんに関しては最初っから俺は変な言い方ですけど、甘えることができたんです。
何の気兼ねもなく芝居ができるというか、それがきーちゃんの不思議なとこなんだよね。

木原勝利
それは僕にもありますね。ボブさんって、実年齢でいえば、撮っている時、僕は39歳で、ボブさんも50歳を迎える前ですよね。10歳離れているんですから先輩じゃないですか。
だけどなんだか先輩と言う感じはなくて、スッと懐に入れる感じで、それは相性だと思うんです。

ボブ鈴木
いや、それは多分片山と大松の影響もあると思うよ。

木原勝利
2人がそういう扱いをしているから?なるほどそうか(笑)

ボブ鈴木
でも本当にファーストカットは、「最初からなんでこんな距離感で普通に話せるんだろう…」っていうのが、不思議でした。なかなかない感覚なので。
だからこの作品のファーストカットは好きなんだよね。

-一度観た後に、再度、最初に戻ってこの映画を観た時に、印象が変わりそうですね。

木原勝利
このインタビューを読んだ後に映画を観ても、また見え方が変わると思いますよ。

ボブ鈴木
「ああ、あの時はこうだったんだ!」ってね。
今回、キャスト全員、俺は甘えられる人が多かった気がする。

木原勝利
“甘えられる”っていう言葉の定義と意味が、まだ僕には伝わってないんすけど、“甘えられる”っていうのは何でしょう?

ボブ鈴木
委ねられる…といえばいいかな。 

木原勝利
“任せられる”というか、そういうことですかね。なるほど。

▼年代で異なる『わかりません』の感想

-片山さんが何人かの役者に作品の感想を聞いている話を耳にしました。
 20~30代と40~50代で感想の傾向が大きく違うという話があったのですが、その違いについてどう考えますか?
 その感想の違いが出るのが、ボブさんと木原さんの重要なシーンらしいんです。

木原勝利
40~50代の方から、「もう、ボブさんは俺だよ!」という声があったと耳にしましたね。

ボブ鈴木
「あれは俺や!」とかね。

木原勝利
「あれは俺だ!」と言ったのが。誰かは聞いていないんですが、苦労して役者を続けている人からそういう感想があったと聞いていますね。「あれは俺だ!俺自身だ!」と。

片や20~30代の若い人たちの意見について、「こういう感想だったよ」っていうことをポロッと聞いているんですけど、“終始爆笑している”って言うんです。滑稽で、「どこで泣くんですか?」って。「ずっと笑ってた」って。
だから、“感じ方”といいますか、捉え方というか。それは年齢の違いなのか、経験している経験値の違いなのか、年齢にそれが比例することもあるでしょうし、必ずしも比例しないこともあるから…

ボブ鈴木
両方な気がするよね。

木原勝利
そうですよね。

▼客観的にみると…

ボブ鈴木
でもね、俺も実は一昨日久しぶりに、『わかりません』を観直しておこうと思って、頭から最後まで観た時に、やっと、ちょっと客観的に観られたんだよね。それまでは自分が居過ぎるから、冷静に観られなかったんですよ。
でも、全部を通して観るのにしばらく時間が空いていたので、観直してみようと思って観たんです。
そうしたらまず前半が意外と面白いと思えたのと、きーちゃんとのクライマックスのシーンで、きーちゃんに言われたセリフで俺、笑っちゃったよ。
それで、『わかりません』を観て笑うって「ああ、こういうことか!」と思ったんだよね。
その後はやっぱり自分として刺さる部分は出てくるんだよね。すごく痛いなと思うところが。
だけど、滑稽に見える片鱗っていうのは、客観的に観ることでやっとわかってきたよ。

木原勝利
十分に滑稽に捉えられて、コメディータッチといいますか、笑える要素は十分にあるんですよね。ただ、ボブさんは本人だから滑稽には全然捉えられなかったんですね。

ボブ鈴木
そうそう、そうだったんだよね。やっぱりね、あれは俺の本音だからね。

木原勝利
本人からしたら滑稽な部分は一つもないですもんね。

ボブ鈴木
俺も必死だからさ。

木原勝利
それは僕も然りです。笑いはないけど、でもだんだん時間も経って、どんどん離れていって、少しずつ客観性を取り戻していくと、確かに楽しめる部分も出てきますね。

ボブ鈴木
ツーショットで立っているところで、「何やってんだろう、このおっさん二人」って思うことがあって、罵るところとか「何を言ってんだろう…」と思って、あそこはね初めて笑っちゃった。

木原勝利
それはあるかもしれないですね。

-年齢とか経験があってこそのあのシーンで、そこがないと滑稽に見える。でも客観的に観た場合にはその滑稽さが見えてくるんですね。

ボブ鈴木
そこはあると思いますね。特に若い世代って、僕らの世代を経験してないからこそ、より客観だと思うんです。想像の範疇でしかないと思うんです。
でも歳を重ねていくと、想像が実体験や実感になっていくから、多分「わかる、わかる」っていう共感が持てるようになる。
でも若い人たちからすると、共感の持ちようがないから、もう終始客観で見ちゃうと思うんですよね。客観で見ていると、「40と50の大人が、こんな夜中に罵りあって何言ってんだろう」っていう。
挙句の果てにわめき散らしてぐちゃぐちゃになって、そりゃあおかしいだろうなって思いますね。

わかりません

▼いろんな世代の反応をみてみたい

-いろんな年齢の方で劇場内の反応をみたいですね。

ボブ鈴木
初日は本当に、どういう反応になるんだろうね。わかんないな。
役者じゃない人はどうみるんだろうなっていうのもありますね。

木原勝利
そうですね、役者じゃなくても例えば芸能関係やそれに携わった人だと役者の実生活も少なからず知っている人もいるでしょうし、そういう人だと想像しやすいと思うんですけど、全く触れてない方が観たときに楽しめるかどうか気になりますね。
そして、そういう方にも自分の人生において何か一つ一生懸命になることがあったとしたら、ときに共感できるものがあるんじゃないかと思います。

ボブ鈴木
だから、例えば芸能に関わってない人たちでも、その“何か”は置き換えられるよね。自分の実体験に置き換えられるものを見つけられる人は共感度が高くなっていくし、それを見つけられない人からすると、滑稽で…っていう。

木原勝利
エンターテインメントな展開になっているので、それはそれで楽しんでいただければいいと思いますね。

ボブ鈴木
多分いろんなとこにちょこちょこと、全編を通して共感できるところがある気がするね。
家での姿、兄弟との姿、仲間との姿だとか。あとは仕事の最中だとか。
そういったところの、何かしら共感できるシチュエーションが結構散りばめられている気がするので、人によって受ける印象が変わるかもしれないね。

▼ボブさんの覚醒。木原勝利の作家性

-ボブさんと木原さんのクライマックスシーンで、テストカット後に片山監督と木原さんと会話をした後、そこからボブさんが変わったそうですね。
“台本に書かれた台詞”と、“俳優自身の内側から出てくる言葉”がキーワードにあると感じました。

木原勝利
基本的に俳優は台本通りにやりますけど、台本にある台詞は、それを俳優が言うときに俳優自身の言葉として吐くわけです。それは自分の言葉として、台本に書いてある台詞を吐いてはいるんですけど、その台本に書いてある役を演じるじゃないですか。演じ終えた後も、カットはかからず続くわけですよ。となると、演じ続けるわけじゃないですか。
そうなった時に、“台本の言葉ではない僕から出た言葉”で演じ続けるというか、その前までが自分から出た言葉ではないというわけじゃなくて、自分から出た言葉ではあるけど、それは台本にも書かれている言葉であって、その台本の文字が無くなった後は、当然、台本に何も無いわけで、そこからは“今、その場で生まれた言葉”というか、“僕自身の内側から出てくる言葉”なんです。

「胸張れや!」という言葉は、僕の内側から出てきた言葉なんです。
片山さんがその撮影の後で、「“胸張れや”は俺には書けないな」って言ったんです。

ボブ鈴木
あの言葉は、きーちゃんから出てきた言葉だもんね

木原勝利
片山さんは「あれは俺には書けないな。俺からはあの言葉はでないし、俺の中にも無い。」と。
あれは、僕の作家性といいますか…作家性じゃないけど(笑)
あの言葉は僕が高校生の時に体験したものだったんです。

▼木原勝利、高校生の記憶

木原勝利
僕は高校時代にサッカーをしていて、全国大会に出場するようなプロサッカー選手が出るようなサッカーチームだったんです。僕が1年生の時に3年生の先輩がインターハイに出場して、それがたまたま地元の京都の大会でした。
先輩達はめちゃくちゃ強いんですけど、全国大会で戦っていけば破れるわけです。負けた選手達は、彼らの応援席の選手や保護者たちの前に一列に並んで礼をするんです。
そして、自分たちのベンチに帰って行くんですけど、その時はみんなもう全部出し切ったけど肩を落として、下を見ながら来るんです。その時に1年上の2年生の先輩たちが、「おいお前ら!胸張れや!」って言ったんです。
「お前ら立派に戦ったんやから、負けたけど胸張れや!全国大会で代表で京都で戦ったんだから胸張らんかい!」って言ったんです。
それを聴いて僕はビックリして、でも当時その意味がわからなかったんです。
ずっとわからないまま僕の心の中にだけ記憶されていました。それは16、17歳の頃の話になります。
その言葉が、15年以上の時を経て、呼び起されて出てきたんです。

ボブ鈴木
下の学年の人が上の先輩に言ったことなんだよね。

木原勝利
そうです。もちろん選手の中には1,2年生もいるわけですけど、励ましであり、鼓舞であり、享受であり、プライドであり、誇りであり、自分たちの尊厳であり、やってきたことへの何か…なんでしょうね。
サッカーの勝負の世界なので勝ち負けはあります。俳優の世界での勝ち・負けは分からないですけど、オーディションがあって、役を勝ち取れたり、勝ち取れなかったり、役を得て演じる時であってもいろいろあるでしょうし。
という中で、芸術というかそういう表現活動だからこそ、難しい部分もありますけど。
それに対して、この言葉が出てきたんでしょうね。そこからは、もう自分から出てくる言葉になるという。

-境界線を越え、高校時代の記憶が呼び起こされたんですね。

木原勝利
そこでの記憶があったからこそ出てきたんでしょうね。何かしら経験してきたことから形成されているんでしょうから。

わかりません

▼境界線を超えた木原勝利

木原勝利
今回の撮影で、境界線を越えるという奇跡的な部分を撮ってもらえました。映像・映画ではカメラで映像として撮らないと存在しないことになってしまうので、それを収めてもらうっていうのは、いろんなタイミングと奇跡が合わさらないと実現しないんです。
その奇跡を毎回起こしていく準備を俳優は俳優としてできることをやるんですけど、かといって毎回奇跡が起きるわけじゃないんです。
だからそれを撮ってもらうということは、メインキャストとして映画を撮る機会すら多くないのに、メインキャスト以外ではなおさら機会が少なくなりますから、撮ってもらえたというのはすごく貴重な出来事でした。

▼強いられるということ

ボブ鈴木
そう。片山が言うことなんですけど、「いろんな現場で役者はいろんなことを強いられる」。
例えばここのシーンでこう動いてとか、これちょっとひと間余っていたら、次に行きましょうかという演出は、結構あります。あえてテレビドラマと言ってしまうとあれですけど、テレビドラマの現場の監督さんだと、そういう演出をする人が多かったです。

そこの理由付けと役者が本来自身で考えてすることを、“するもんでしょ”って、至極当然のごとく言ってくる。
理由付けを役者がすることが大事なんですけど、そういう部分を、言うなれば強いてくる。
僕も片山から「強いてくる」っていう言葉を聞いたときに「言われてみたらそうだな」と思いました。それが当たり前だと俺は思っているんで。
そう思っていたけど、「でもそうじゃない。“強いられている”んだ」というのを聞いたときに、自分のお芝居にクエスチョンマークをやっと付けられたんです。
「今、本当に動く?」とか、「本当にそれを言う?」っていう、そのクエスチョンマークを付けられるようになった。
今回の作品の中での発見というわけじゃないんですけど、再認識したといえます。
ただ、それも副作用があって、とことんしんどくなるんですよ。
特にしんどいシーンに関しては、もう徹底的に追い込む形になっちゃうので、ひたすらしんどくなるんですよ。

なので、本当にクライマックスのシーンは、「もうやだ!もうやだ!」と思いました。
「もう1回行こうって言わないでくれ。もうやだよ、俺こんな気持ちになりたくないから、やだやだ」って。

▼撮影時の片山スタイル

木原勝利
片山さんの強いるという話しで、段取りといいますか、クライマックスのシーンって多分カット的には、3,4カットあると思います。
その3、4回を頭からやらせてくれるんです。
そうすると流れができるじゃないですか。
俳優としてはやりやすいと同時に、あれだけの感情的なシーンを4回もやると、俳優からしたら、もう最後の方は「もうええやろ!」と思って、「もう、何回やらすねん!」って思って。

ボブ鈴木
「もうやりたくない!」って思うんです。
1回でさえしんどいシーンなのに。

木原勝利
でもそれが俳優の仕事ですから、やるんですけどね。

ボブ鈴木
正直に言っちゃうと、効率の悪い撮影の仕方なんですよ。
ドラマの現場だと、時間が差し迫っていて効率をどうしても重視しなくちゃいけないから、役者に強いる部分が多くなるんです。
でも、片山監督の場合は、それは絶対したくなくて、部分部分のカットのそこだけを撮ることは絶対にしないんです。

木原勝利
どうしても部分のカットのみの撮影にしなければいけないときは片山さんが「本当に申し訳ないんですけど、途中からやってもらっていいですか?」ってはっきりと謝られます。そういったことを片山さんは大事にされていますね。

-自然な本来の流れを大切に捉えているんですね

ボブ鈴木
役者の…言い換えれば人間の生まれてくる心情をとても大事にしたいと思っていて、それは作られて決められているものではなくて、それを撮るのではなくて、その場で生まれてくるものを大事にしたい。
だから、そこに至るまでの過程からちゃんとやりましょうっていうのが片山組にあります。

木原勝利
そういった部分で、片山組には時間が多大に必要ですね。

ボブ鈴木
その割にはタイトなスケジュールで撮ったりするんですけどね。

▼ボブさんの芝居が変わった瞬間を目の前で感じたものは?

-クライマックスシーンで“ボブさんが芝居が変わった”というものを目の前でみたもの・感じたものを教えてください。

木原勝利
ボブさんは、僕が衝動的になったり、感情的なものをぶつけたりすると、それをちゃんと受けて、反応して答えてくれる・芝居をする…言い換えると“生きる”ということをする俳優さんなんです。

例えるなら、“歩いて来て、テーブルのコーヒーカップを取って、再度戻って行ってから振り返って台詞を言う”といったお決まりの形をすることではなく、ボブさんは、僕が何かをぶつけたり、感情的にかきむしったり、引き裂いたりすることによって反応する俳優です。

だけど、たくさんの仕事をする中で、形や段取り、その引き出しがたくさんあるがゆえに、自然のお芝居をする機会も減っていく中で、凝り固まった状態ではあったと思うんです。

▼戻った?変わった?それとも…

僕はそこまでボブさんのことを見てはいないんですけど、ボブさんは元々は反応する性質を持っているんですよね。僕は純粋に衝動でぶつかるからそれを返すじゃないすか。それに対して、本当にボブさんの心から、どうしたいか・どうするかというのが生まれてきたんです。本来の性質に乗っかって行動し始めたんですよ。
僕自身は驚きは何もなかったんです。そういう人だなと思っているから。
『わかりません』を撮影しながら、そういうふうにしか見えてないですから、驚きや変化があったというよりは…

ボブ鈴木
やっと戻ったなっていう感じ?

木原勝利
いえ、僕は戻るという前を知らないので、やっと衝動・本能・自分の感じたまま、言われた形をするのではなくて、真実に生き始めたといいますか、“その場にいること”が生まれた。
そうなった時に片山さんには、“変わった”と見えたんでしょうね。

後日片山さんから聞いた話ですけど、その後、ボブさんが久々に、自分からあふれ出る感情のままお芝居をしだした。そうしたら、久々の内面の揺れ動きを感じたがゆえに、自分でも形・段取りをせずに、いい真実・衝動・本能のまま動いた・演じた・行動した。
その自分の感覚に驚いたといったことを語ってくれました。
“これはこう演じればいいんだ”と言うか、“生きればいいんだ”ということを感じた瞬間にその感情をつかもうとしたんですって。

その感情みたいなものは、僕は不確かなもので、その時自然発生的に出るものだと思っています。なので掴もうとして、その感情にフォーカスをあてちゃうと感情なんて消えちゃうと思うんです。そうした時に、ある撮影が終わった時の帰り道、僕はもう先に家に帰っていたんですけど。
「じゃあどうしたらいいのかな?」って片山さんが言ったんです。
今までボブさんと片山さんの会話の中では、「いや、わかるよ。こういうときは俳優はこうこうこうだからこうしなきゃ、そういうことにも対応して、演じていかなきゃいけない。コーヒーを取りに行けと言われたら、その中で演じなきゃいけない」みたいな、ある意味、論理的なことをずっと言っていたボブさんが、「じゃあ片山、そういう時どうしたらいいのかな?」って、話す内容が変わったって言っていました。

片山さん曰く、「出てきた感情はもう捨てればいいんだ」と。僕の言葉で言えば「放っておけばいいんだ」と。
言い方はいろいろありますが、それに執着せずにそのままにしておけばいいんですよ。また、次に生まれてくる感情に乗っかっていけばいいと。
そうすれば、その感情は消えていきますし、執着せずに・捕まらずにずっと生き続ければいいと。
今現在の私達も、喋っている私も出てくる感情があったり、それも収まれば…興奮すると声が大きくなったりするじゃないですか。

今までのボブさんと話す内容が変わったと。演技も変わったし、話してることも変わったし、脳みそが変わるわけですよね。フォーカスをあてている部分が。
そこからボブさんの芝居が確かに劇的に変わるんですよ。

▼短編から長編へ

木原勝利
短編を最初に撮って、木原勝利の人生をもっとみたいと片山さんが思って長編にしようということになりました。
木原のシーンが合わさっていく中で、ボブさんの新たな登場シーンも増えるわけです。
その中で芝居が今までとは変わってくるわけです。その変化を見ているからこそ、ラストシーンもまた変わる、そこももう一度撮ろうということで撮ったんです。
だから2回目に撮ったボブさんは、話の内容は一緒ですけど、もう全然違うんですよ、強くなっているんですよ、ボブさんが。

現実の僕だったら「ボブさんそんなことしても意味ないですから、帰りましょう」って言いますよ。「話、聞きますから」って。これが僕のリアルですね。
でもこれはエンターテイメントで虚構の世界。虚構の想像上の世界ですけどそれを真実にするための行動をするのが俳優の仕事ですから。だからもう湧き上がる内から出てくるものがあるわけですよ。だから、エネルギッシュで、よりパワフルなんです。
ボブさん、強かったなあ、僕はもう負けそうでした。

-この話を聴くまでは、ボブさんが変わったというのは、昔に戻ったということなのかと思っていましたが、それ以上のものがあるようですね。

ボブ鈴木
経験してきたことが、一切無駄じゃないっていうことだと思うんです。

▼すべてが糧になる

木原勝利
形でやることも一切無駄じゃないんです。それも糧となった上で、戻れた状態で、それぐらいピュアな状態で演じるから、今までの経験が全て糧になるんです。無駄はないんですよ。

ボブ鈴木
だから経験が増幅器みたいに作用するんだよね。
増幅器自体は、あくまでも増幅であって、そこから音が生まれるわけじゃないんですよ。音源があってそれが増幅されるという、その音源が経験で、多分そういうものっていうのが今までの糧なんですね。
言い換えるとするならば、自分はおそらく増幅器の中で音を出すということをやっていたんだと思います。

木原勝利
ちょっと何言ってるかよくわからないですけど。

ボブ鈴木
ごめん、俺も何言っているかよくわからなかった。

木原勝利
ごめんなさい、これ、言いたかっただけです(笑)

▼若い頃は、もっとわがままに芝居をしていた

ボブ鈴木
多分、若い時って、もっとわがままに芝居をしていたと思うんです。わがままといってもいろんな意味はあるんですけど。
「俺はこうだって思うんだもん」っていうことをもっとやっていたんですよ。
それがいろんな経験を積むことで、「こうだから、こうなって、こうしなくちゃいけないんだ」っていうことが増えてきて、そうするためにはどうすればいいっていうことを考えるようになってしまった。そこが多分、元々は理屈が強めの男ですけど、よりそこに輪をかけてそうなってしまった部分があると思います。

ただぶっちゃけ、あのシーンに関しては僕はもうあまり覚えてないですね。
ひたすらしんどかったということが体感である。

-それぐらい、その場でしかない何かがでてきたんでしょうね。

ボブ鈴木
覚えていないけど、そのシーンを観ると、しんどかった感覚は思い出すんですよ。
だから、そのシーンは観られないし、観たくなかったんです。すごくしんどくなっちゃうから。
で、2日前に久々に観た時に、やっと本当に客観的に観られた感じだったんです。
それまではそのシーンを観ることは、思い出すことに近くて、ひたすらしんどくなってしまう。それが嫌だという状態でした。
目では見ているけど、脳みそは受け入れていないようなそんな見方をしばらくはしていました。
2日前にやっと脳みそで受け入れて観ることができました。

わかりません

▼奇妙な企画の結果は?

-当初の企画が見事に成功している感じがしますね。

木原勝利
結果的にそうですよね。始まりはボブさんを変えるなんて言ってますけど、撮っている最中はそんなこと微塵も考えてないじゃないですか。「そんなところじゃない!」っていうか。
僕らも自分が出ていないシーンでは、自分がカメラアシスタントをやったりとか、制作部や、裏方をやりつつ、僕の撮影の時はボブさんが三脚を持ったりとか、大宮さんや大松さんがいろいろやりながら現場を回していたんです。

ボブ鈴木
多分、ボブ鈴木を変えたいっていうのは、片山の最初の思いとしてはもちろんあると思うんだけど、でもスタッフみんなで1本作品を作りたいっていうものが主流としてある。

そこにきーちゃんだったり大宮さんが同意して、俺も乗っかって、それを許してくれる大松という社長がいて…という体制があって、こうなってきたんだよね。
だからやりながらも、きーちゃんなんかはもう相当なスタッフワークを身につけたよね。

木原勝利
いや、こんなのでは役に立たないですけど、片山組のミニマムな撮影の状況の中でできることをやっただけであって、スタッフワークの技術が身に付いてるわけじゃないです。全く何もできない。

ボブ鈴木
片山は、きーちゃんには相当感謝しているよ。「木原は優秀です」って。

▼想い出

元々片山さんとは20年前くらいに知り合って、今から10年前ぐらいにカメラをかじり始めたんです。まだ片山が監督をやろうとは思ってない頃のことです。その時に「ちょっと映像作品・映像を撮ってみようか」と役者仲間とやっていったことが最初のきっかけなんですよね。
あの当時、DVX(おそらく、AG-DVX100)っていう名機と言われているカメラがあって、それを貸してくれる人がいたんです。
それが自分たちにとっては、与えられたおもちゃみたいに、「すげえ!すげえ!」って言いながら、使い方もよくわからなくて、「ホワイトバランスって何だろうな?」とか、「フォーカスってなんだ?」、「こうやったら赤くなった・青くなったぞ」、「かっこいいから、赤くして撮ろうぜ」って撮った作品がありました。
その時は編集もわからなかったので、「撮ったら撮ったで、これ、どう繋ぐの?どうやったらいいんだ?」ってなって、「パソコンで繋ぐらしいけどパソコンにどうやってつなぐんだ?」、「FireWireケーブル…じゃあそれ買ってこいよ」みたいな状態でした。当時はスマホのアプリみたいなものもなかったからね。
編集するソフトも、「ムービーメーカーっていうソフトがあるから、それでやってみよう」という風に、本当に遊び感覚で始めたのがきっかけなんです。
その時に画が繋がって見れることが、めちゃくちゃ感動で、「わあ!こうなるんだ!」っていう、それが一番のきっかけになっているかもしれないです。
その時に編集を担当したのが片山でした。
僕が仕事に行っている間に片山が家でずっと編集して、僕が仕事を終えて戻ってきた時に「編集終わりましたよ、見てください」と、言われて二人で並んで観る…といったことを毎日のようにしていたことが、今に繋がってるのかなぁと思うと感慨深くなります。あの時の映画制作は自然となくなっていきました。まだ若かったというか、それぞれがバラバラになっていきました。

▼「ボブ鈴木を変えたい」の本当の意味

-「人を変えたい」というと、言葉的には“おこがましい”部分が含まれてしまうと思うのですが、今回は、“今までの経験を得たうえで、潜めていた昔の姿を取り戻す・呼び覚まして、さらにバージョンアップして欲しい・変わって欲しい”という願いなのかも…と考えてしまいました。

ボブ鈴木
僕自身は片山に感謝しているんです。嘘をつかないでいてくれている。今回のチラシもそうですけど、チラシの僕の紹介文なんてひどいですからね。
“ボブさんは売れませんでした。”って。「お前、そういうこと書いちゃうか!?」ってね。大松が「さすがに売れないっていうのは…」って自制させたぐらい、すごいことを書くなあと思いました。
でも、それを言ってくれるっていうのは、ひどい言葉ですけど、その間柄になっている嬉しさもありますし、片山だからこの作品ができたというのもあります。
短編の台本を最初に持ってきて、“情けなくなりたい・駄目になりたいんだ”ってポロっといった翌日にはもう、書き加えて持ってきて読んだのが本当の最初のことになります。「お前、ここまで書くか?」っていうくらい、読みながら痛かったです。でもそのあとに出た言葉は「ありがとう」でした。僕が痛いということは、片山も心を痛くして書いていたんだと思います。

■お客様へのメッセージ

-お客様へのメッセージをお願いします。

木原勝利
この(1st Generation)のインタビュー記事を読んでいただきありがとうございます。始まりから撮影中のお話の裏側をたくさん、お話しさせていただきました。
僕たちは撮影がない限り、連日に劇場にいます。まだまだ話したい、いろんなことがたくさんあるので、ぜひ、劇場に来てください。
観ていただいて、2度3度、繰り返しお越しいただいても楽しいお話をさせていただくので、ぜひ劇場に足を運んでいただいて、映画『わかりません』を味わっていただけたらと思います。どうぞよろしくお願いします。

ボブ鈴木
正直、初日を迎える前ですけど、今はめちゃくちゃ怖い気持ちと楽しみな気持ちが半々という感じです。
すごいわがままな言い方ですけど、僕の周りの仲間を誇りたいと思います。
だから、片山さん、きーちゃん、大松、出演してくれたみなさん、その人たちをすごく誇りたいと思っています。
意地悪に聴こえたらもうしわけないんですけど、羨ましく思ってほしいんです。
でも多分、見てくださるみなさんも、そうなれると思います。そんな希望も持ってくれたら嬉しいと思います。


■ 映画『わかりません』

▼あらすじ
俳優であるボブ鈴木と木原勝利。ボブ鈴木は出演作多数のベテランではあるが、苦労を共にした俳優達は売れていき、ふと 50 歳も越えた自分の現在地に疑問を感じる。一方、木原は芝居が評価されているが、大きな役で呼ばれるのは小規模予算の作品だけで、妻に「いつ売れるの」と言われてしまう。
同じような葛藤を抱える二人は現状を変えるべく肩を並べてもがき始める。

▼キャスト・スタッフ

出演:
ボブ鈴木(ボブ鈴木役)
木原勝利(木原勝利役)
詩野朱布(しずこ役、ボブさんの彼女)
瑛蓮(あかね役、木原の妻)
大宮将司(立花役)
斉藤マッチュ(田口役、ボブと木原のマネージャー)
安楽涼 DEG 山本晃大 片山享 柳谷一成 江藤純平 竹下かおり カトウシンスケ

監督/脚本:片山享 プロデューサー:大松高 撮影/照明:片山享 録音:スズハラリョウジ 録音協力/整音:
坂元就 宣伝イラスト/題字:葵うたの 主題歌:ナオリュウ「今を笑っていければいいさ」
2022 年/日本/90 分/カラー/ステレオ/アメリカンビスタ・シネマスコープ/DCP

公式サイト https://www.highendzworks.com/wakarimasen

『わかりません』10 月 1 日~14 日池袋シネマ・ロサにて公開

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