映画『まだ君を知らない』 監督、キャストへの質問と回答。“りとリ”、“物体S”とは

映画『まだ君を知らない』 監督、キャストへの質問と回答。“りとリ”、“物体S”とは

福井映画祭 15TH にて観客賞を受賞、おおぶ映画祭 2023 にも⼊選を果たした福岡佐和⼦とはまださつきによる映像制作ユニット「しどろもどリ」初の⻑編劇映画『まだ君を知らない』が、10 ⽉ 7 ⽇(⼟)より新宿 Kʼs cinema にて⼀週間限定公開される。
今回、監督・出演者に向けておこなった、テキストインタビューを紹介いたします。

しどろもどリ
「しどろもどリ」

■ 映画『まだ君を知らない』

▼あらすじ

とある喫茶店に届いた忘れ物。エアコンのリモコンに、ヘアカラー⽤ブラシ、ミョウガの⾷品サンプ
ル、スパナ がくっついたこれは⼀体誰が何のために……?
ざわめく喫茶店をよそに、そこでアルバイトをしている安藤杏は今⽇も⿊板にランチメニューを書く。そんな出来事を知りもしない会社員の忍静江はラーメン屋でチャーハンを頼み、もみほぐし店で働く星野源希はテレビゲームで負け続け、⼤学⽣の武部凪は恋⼈お⼿製のぶりの照り焼きを⾷べている。

▼テキストインタビュー

◇映像制作ユニット「しどろもどリ」命名について

-ユニット名を「しどろもどリ」にした経緯を教えてください。特に、“リ”がカタカナである点が気になりました。また、耳馴染みのある「しどろもどろ」という言葉との関係、一文字違いの点について教えてください。

監督・脚本 福岡佐和⼦監督・安藤杏役 はまださつき
自分たちの好きな言葉リストの中に「しどろもどろ」があり、はじめはしどろもどろにしようとしていました。それでtwitterアカウントを作ろうとしたら、shidoromodoroというユーザーネームがすでに使われており、ためしにshidoromodoriと入力したらそれは使えたので、しどろもどりって語感かわいくていいね、と採用になりました。りをカタカナにしたのは、ろじゃなくてりなんだよ〜という主張がひとつと、りとリってぱっとみ見分けがつかないことが多くておもしろいのではと思ったからです。
しどろもどリのりを間違えてひらがなで書いているひとをみるたびわたしたちはにやにやとしています。

◇「しどろもどリ」結成時のことについて

-「しどろもどリ」の結成日と場所は「2018年12月13日木曜日にろう下」とのことですが、この日は、どんな日だったのでしょうか? また、ろう下で結成された状況について、教えてください。
(参考)https://madakimiwoshiranai.amebaownd.com/pages/5636503/aboutus

監督・脚本 福岡佐和⼦監督・安藤杏役 はまださつき
まずはじめ、ぜんぜん映画を撮るつもりなどはなく、そのころはまだと福岡が所属していたサークル内でラジオを撮ることが流行しており、わたしたちもやりたいねと雑談していた流れで結成されました。

場所がろう下だったのは、部室に人がいっぱいで入れなくてろう下でおしゃべりしていたからです。

◇ふたりが一目でファンになった原恭士郎さんについて

-おふたりが一目でファンになった原恭士郎さんを目にした時のこと、お二人が感じた原さんの魅力について、教えてください。

監督・脚本 福岡佐和⼦監督・安藤杏役 はまださつき
わたしたちの前作をしっかり見てくださっていたり、オーディションだけど、わたしたちにも質問を返してくれたりして、採用する側される側というだけではなく、やりとりを楽しもうとしてくださっているところが魅力的でした。好きな映画を聞いた時に、うんうん悩んだ末に「逆にお二人は何が好きですか?」と言われたのがとても印象に残っています。自分のダサさみたいなものをぜんぜん隠そうとしない様子がとてもすてきだと思いましたし、なかなか出会える人ではないな、とはまだ福岡両名びしびし感じました。

まだ君を知らない

◇監督・脚本 福岡佐和⼦さんと“前向き”

-福岡さんのコメントに、「どうしても前向きになれなかった大学四年の冬に前向きになりたくて、祈るようにこの映画をかきました。」というものがありました。
当時、前向きになれなかった原因・理由。この映画をかくことで、前向きになれたかどうか、教えてください。

(参考)https://twitter.com/eiga_madakimi/status/1690296757891284992

監督・脚本 福岡佐和⼦
いろいろな原因があるので明確なことを言えないし、自分でも分かりきれていないことがあるのですが、一番は自分が違うと思うことをやり続けてしまったことにあると思っています。そんな気持ちで「まだ君を知らない」の前に白紙になった企画である「あのこのみ」という映画を書いていて、それを読みながら私はどうしてこんなにも自分の好きな映画が書けなくなってしまったんだろうとさらに気持ちが落ち込んだ状態にありました。

そんな時に、なるべく頭で難しいことを考えず、楽しく好きなように書こうという気持ちで書いたのがこの脚本です。だからなのか、書きながら気付かされることがたくさんあったし、自分を知れたと思います。

◇特技=「眠れない人を眠らせること」について

-高田さんの特技は、「眠れない人を眠らせること」とのことですが、どういった技(具体的にどういったことを行う)か教えて下さい。
(参考)https://twitter.com/eiga_madakimi/status/1709493140053455011

忍静江役 髙⽥歩
眠る時頭でぐるぐると考え事をしてしまって眠れない時、そっと手で眠れない人の背中をさすっていると相手の身体の中に一緒に落ちていく感覚があります。
その時、今離れたら目が覚めるな、とか、もう朝まで眠れるな、
というのが体感でわかるんです。
一緒に眠りの中に落ちていく感じなのです。
成功した時は、その方も、よく寝れた!と朝言ってくださることが多いです☺️

◇チラシ配り・ポスター貼りのエピソード

-原さんは、チラシ配り・ポスター貼りの宣伝活動を積極的に行っていますが、訪問先はどのように決めていますか?宣伝活動時のエピソードがありましたら教えてください。

星野源希役 原恭⼠郎
普段は会社員として働きながら俳優活動をしているのですが、しどろもどリ(監督である福岡・はまだの活動ユニット名)の2人とは今作『まだ君を知らない』の出演を通じて親交を深め、上映にあたっての宣伝活動として、チラシ配りにも積極的に参加しています。

映画の宣伝活動は初めてだったので、最初は自分が普段から行きつけにしているお店を回って、チラシやポスターを置いて頂けないか相談をしました。

その後は徐々に、お店の雰囲気を見て、「置いて頂けそうだな」と思ったら店員さんに声を掛けて相談する…という風に、とにかく見よう見まねでやってみました。

宣伝活動の主な拠点として、行きつけのお店がたくさんあることと、「映画」という文化との相性も良い下北沢を中心に宣伝活動を行いました。有り難いことに沢山のお店でチラシやポスターを置いて頂くことができて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

映画館でのチラシ配りもおこなったのですが、自分が関わった作品のたった1枚のチラシを受け取って頂けることが、どれだけ尊いことか、実際に宣伝活動をして凄く感じました。

商業映画ではなく、自主映画という公開館や公開時期も含め様々な範囲が限られた作品ではありますが、だからこそ丁寧に、手探りをしながら自分たちで宣伝活動を行なっています。

できるだけ沢山の人にこの作品が届いたらいいな、と思っています。

興味を持っていただけたら、是非劇場まで足を運んでいただけたら幸いです。

また、俳優の辻凪子さん、長野こうへいさん、黒住尚生さんが宣伝活動のお手伝いをしてくれたことも本当に嬉しかったです。この3人は今回の映画に出演してません。それなのに一緒に夜遅くまで新宿、東中野を回ってビラ配りを手伝ってくれました。3人の優しさには本当感謝してます。

まだ君を知らない

◇“物体S”とは?

-“物体S”とは何なのでしょうか?
(参考:主題歌 ⼯藤祐次郎さんのコメント「ところで物体 S って結局何なのさ!」)

監督・脚本 福岡佐和⼦監督・安藤杏役 はまださつき
作品の冒頭に出てくる、エアコンのリモコン、ヘアカラー用ブラシ、みょうがの食品サンプル、スパナ、はさみ、泡だて器が組み合わされた謎の忘れ物のことです。作品のとても大きな要素のひとつです。

何と聞かれるとわたしたちもなんなんだろうね…というしかないのですが、強いて言うならば、「なんなんだろうね…」とその物体を見た人が思うことにいちばん意味があると思っています。なんなんでしょうね…?

まだ君を知らない

◇映画『まだ君を知らない』について

-本作は、4つのお話で構成されているとのことですが、それぞれのお話はどういったことから生まれたか、また、4つのお話での構成とした経緯を教えてください。

監督・脚本 福岡佐和⼦監督・安藤杏役 はまださつき
人物から作っていました。一番最初に主人公の名前や年齢を考えて、そこからどんなことを考えながら過ごしている人なのかということを考えていきました。(例えば、星野源希は名前にちょっとコンプレックスがある人で…ちょっと卑屈…のような)。

なので、実際のエピソードを盛り込もうとかそういうことを意識していたわけではないのですが、結果的に自分や自分の周りにある話とすごく近い距離にある形になったなと思っています。

今回スタートの地点でやりたかったことが、「謎の物体が喫茶店に忘れられている そんな状況がある中で、いろんな人が生活している」という部分と「その人たちが偶然につながることがある(それは出会うという意味ではなく)」という2つのことでした。それもあって、この4つの話は最初から型を決めてはいなく、主人公とその子の今ある状況を決めて、あとはなるようになれ という気持ちで書いていたので、ここに当てはめられた可能性のある人物のお話は無限にあったなと思っています。実は、4話目の主人公は当初いい子コンプレックスを持っている女の子のお話だったのですが、それは完全に白紙になって、凪のおはなしが入ることになりました。

▼上映期間中イベントについて

上映期間中は、監督、キャストのほか、ゲストを呼んでのミニライブやトークショーが行われる予定。
詳細は、新宿K’s cinema の作品情報ページをご確認ください。

初日舞台挨拶

【日時】
10/7(土) 20:45回 上映後
【登壇者】
高田歩さん 原恭士郎さん 宮崎澪香さん
兼高哲さん 原知也さん 杉本惠祐さん (以上 出演)

福岡佐和⼦監督 はまださつき監督(出演)


ミニライブと舞台挨拶

【日時】
10/8(日) 20:45回 上映後

【登壇者】
工藤祐次郎さん(音楽家・本作主題歌) 福岡佐和⼦監督 はまださつき監督(出演)


トークショー

【日時】
10/9(月・祝) 20:45回 上映後

【登壇者】

堀春菜さん(俳優) 原恭士郎さん(出演) 福岡佐和⼦監督 はまださつき監督(出演)


舞台挨拶

【日時】

10/10(火) 20:45回 上映後

【登壇者】
原恭⼠郎さん(出演) 成瀬志帆さん(出演) 中村元彦さん(撮影) 福岡佐和⼦監督 はまださつき監督(出演)


トークショー

【日時】
10/11(水) 20:45回 上映後

【登壇者】
本橋龍さん(劇作家・演出家) 高田歩さん(出演) 福岡佐和⼦監督 はまださつき監督(出演)


トークショー

【日時】
10/12(木) 20:45回 上映後

【登壇者】
安楽涼さん(俳優・映画監督) 原恭士郎さん(出演) 福岡佐和⼦監督 はまださつき監督(出演)


舞台挨拶

【日時】
10/13(金) 20:45回 上映後

【登壇者】
高田歩さん 原恭士郎さん 成瀬志帆さん 宮崎澪香さん 原知也さん 杉本惠祐さん
冨田智さん 粒二さん  荻下英樹さん みやたにさん 酒井絵麻さん 上山史華さん
藤本ほのかさん 岡田直樹さん 橋本珠里さん(以上 出演)

福岡佐和⼦監督 はまださつき監督(出演)


映画『まだ君を知らない』

出演:
はまださつき ⾼⽥歩 原恭⼠郎 成瀬志帆
宮崎澪⾹ 兼⾼哲 原知也 杉本惠祐
三浦瑛夏 ⼭⼝マシュー 野津芽⽣ 粒⼆ 藤本ほのか ⼀歩 上⼭史華 冨⽥智 荻下英樹
⼤⼭あきら みやたに 葛原幸乃 酒井絵⿇ 岡⽥直樹 橋本珠⾥

監督:福岡佐和⼦・はまださつき 脚本・編集:福岡佐和⼦ 制作・題字:はまださつき
撮影監督:中村元彦 録⾳:WUPIANXIAN 美術:松本千広
記録:⼭⼝マシュー・中村侑寬 撮影助⼿:菊池史華 録⾳助⼿:伊藤⿓弥 録⾳応援:堀内友貴
製作・配給:しどろもどリ 配給協⼒・宣伝:イハフィルムズ 宣伝デザイン:五味健太郎
主題歌:「台所のうた」⼯藤祐次郎(おぞうにレコーズ)
(2022 年|⽇本|16:9|ステレオ|カラー|97 分)
*福井映画祭 15TH ⻑編部⾨観客賞 受賞
*おおぶ映画祭 2023 セレクト作品 選出

公式サイト:https://madakimiwoshiranai.amebaownd.com/
作品公式 Twitter [X]:https://twitter.com/eiga_madakimi
しどろもどリ公式 Twitter[X]:https://twitter.com/shidoromodor

10 ⽉ 7 ⽇(⼟)より新宿 Kʼs cinema にて⼀週間限定公開

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