12月8日(金)アップリンク吉祥寺にて公開される、武田かりん監督のデビュー作『ブルーを笑えるその日まで』の主題歌・RCサクセション「君が僕を知ってる」を使用した新予告編とポスタービジュアルが公開された。 本作は、自身のコンプレックスであった中学時代の記憶をモチーフに学校という小さな世界で感じる孤独描いた青春ファンタジー映画。
武田かりん監督は、本作が初長編作品ながら「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023国内コンペティション長編部門」にノミネート、続けて「第24回 TAMA NEW WAVE コンペティション部門」に選出されるなど今後の活躍が期待されている。
物語は、学校には馴染めず、ひとりぼっちで中学校生活を過ごす安藤絢子(アン)が、薄暗い立ち入り禁止の階段が唯一の居場所だった。そんなある日、不思議な商店で魔法の万華鏡を貰う。それを覗くと立入禁止の扉が開く、屋上には同じ万華鏡を持った生徒・アイナがいた。二人はすぐに仲良くなり夢のような夏休みを送るのだが、屋上には「昔飛び降り自殺した生徒の幽霊が出る」という噂があった・・・。
■ 映画『ブルーを笑えるその日まで』
▼ストーリー
逃げよう ここではないどこかへ
安藤絢子(アン)はひとりぼっちの女の子。唯一の居場所は薄暗い立ち入り禁止の階段。不思議な商店で、魔法の万華鏡を貰ったアンは、同じ万華鏡を持った生徒、佐田愛菜(アイナ)と出会う。二人はすぐに仲良くなり夢のような夏休みを送るのだが、屋上には昔飛び降り自殺した生徒の幽霊が出るという噂があり…アイナはその幽霊なのではないかという疑念を抱きながらも、お互いにとってかけがえのない存在になっていく二人。そんな楽しかった夏休みも終わりに差し掛かるのだった―。
▼W主演のふたり
主人公アンを演じるのはスターダスト「第1回スターオーディション」で当時12歳ながら初代グランプリに輝いた渡邉心結。もう一人の主人公アイナを演じるのは「ミスセブンティーン2021」ファイナリストの角心菜。本作が映画初主演となるフレッシュな二人が鮮やかに演じている。
▼場面写真
▼新予告編
今回公開された新予告編は、11月18日のTAMA NEW WAVEでの上映に合わせ作成され、主題歌であるRCサクセションの「君が僕を知ってる」を使用し明るい印象の予告編に仕上がった。忌野清志郎が作詞・作曲を手掛けた「君が僕を知ってる」は、名曲としてファンの間で長年愛されている。今回は武田かりん監督の熱烈オファーが実り、主題歌としての使用が叶った。
■武田かりん監督について
映画監督:武田かりん
1997年生まれ。
2020年東京工芸大学映像学科映画研究室卒業。学生時代よりプロアマ問わず多くの映像制
作に携わる。2020年映画研究室卒業制作として制作した初監督作『そして私はパンダやシマ
ウマに色を塗るのだ。』が複数の映画祭でノミネート・受賞。2022年、10代の頃の不登校や
自殺未遂の経験を元にした本作を制作する。イラストレーターとしても活動しており(三枝か
りん名義)、表現の場所を広げている。
イラストレーター:三枝かりん
1997年生まれ。
2020年ごろからSNSにイラストを投稿し始める。 2021年にWEGO主催のイラストコンペ
で受賞したことをキッカケにアパレルブランドとのコラボや展示への参加などイラストレーターとして積極的に活動を開始。
Instagram https://www.instagram.com/pyooon333/
あの頃の私と君へ
「いつかタイムマシーンが発明されたら、大人になった私はきっと、今の私を助けにきてくれる」あの頃の私は、そんな空想を本気で信じて、ヒーローを待ち続けていた。
中学1年生のとき、ある日突然、ひとりぼっちになった。きっかけが何だったのか、今でもよくわからないが、きっとそれくらい些細なことだったのだと思う。クラスの女の子全員から無視をされて、聞こえるように陰口を言われた。背中にボールを投げつけられて、咄嗟に振り返ると、昨日まで友達だと言っていた女の子が笑っていた。親や先生は誰も話を聞いてはくれなかったし、水槽の中のような狭い世界でひとり、味方はどこにもいなかった。誰も聞いてくれないこんな声もう要らない。そう思っていたら、本当に声が上手く出なくなってしまい、それから中学校の3年間、誰とも話せず閉じ籠った。
それでも16歳になり、通信制の高校に通い出した。新しい環境でやり直そうとしたけれど、心の穴は塞がらないまま、いつもどこか寂しくて。未来ではタイムマシーンが発明されていて、いつか大人になった私が助けに来て味方になってくれるんだ…それがただの空想だったことにも、この頃にはもう気づいていた。タイムマシーンなんてこの世界に存在しなくて、いくら待っても大人になった私なんて現れるわけなくて、結局わかってくれる人なんてどこにもいない。17歳の冬、いろんなことに疲れてしまって、自殺した。
でも、結局痛い思いをしただけで死ぬことはできず、未来に希望を見出せないまま、進路を決めることになり、映画の道を選んだ。映画のエンドクレジットにはたくさんの名前があるから、この中の一人に私もなってみたいな… 人と繋がりたいな… そんな安直な理由だったけど。ずっとひとりぼっちだったから、誰かと一緒にものづくりすることに憧れていたのだと思う。
それから、映像系の大学に進学し、助監督や制作部として、たくさんの現場を経験した。映画作りという同じ目標のために集まった人たちとなら、前より上手く話すことができたし、いつしか私は、明るく振る舞えるようになっていた。
その一方で、あの頃の不登校や自殺未遂の経験は、誰にも言えない1番の秘密だった。だからこそ、それがバレないように、とにかく明るく、笑っていたのだと思う。そんな他所行きの態度は大学生活を過ごす中ですっかり板についていた。
4年生になり、卒業制作で初めて監督をすることになった。39分の映画を制作した。それもまさに私の他所行きの性格が出ていたと思う。上部だけなら、楽しく、明るい映画。あの頃の記憶を上手く隠せれば、このまま上部だけは笑っていられると思う。でも、心のどこかで、いつもあの頃の自分が泣いているような、呼んでいるような、いつもそんな気分だった。そんな時、10代の死因で1番多いものが自殺だという記事を読んで、ショックを受けた。あの日たまたま失敗しただけで、もしかしたら私の人生もこんなふうに数字にされていたのかもしれないと思うと、とても他人事には思えなかった。あの頃の私が泣いている気がする、呼んでいる気がする。それは、気がするだけではない。あの頃の私は、きっと世界中にいて、今もひとりぼっちで泣いているのだ。そう思ったら、居ても立ってもいられなくなった。
大人になって、青春も青空も笑えるようになる日がいつか来る。そんな「生きていればいつかきっと」は、言葉だけではあの頃の私には届かなくて。だから、私は1番の秘密だったコンプレックスを手放して、あの頃見たかったものを、言って欲しかったことを、物語にしてみようと思った。
それは、青空や青春やあの頃の記憶を、私が、君が、笑えるようになる“その日まで”の物語だ。タイムマシーンは2023年になった今も開発されていない。でも、映画はきっと、それにだってなり得ると信じている。
「いつかタイムマシーンが発明されたら、大人になった私はきっと、今の私を助けにきてくれる」私は、助けに行く。映画というタイムマシーンに乗って、あの頃の私と君へ、この物語で寄り添いたい
武田かりん
■作品情報
映画 『ブルーを笑えるその⽇まで』
(2022年製作/⽇本/99min/シネマスコープ/カラー/DCP)
出演:渡邉心結/角心菜/丸本凛/成宮しずく/佐藤ひなた/夏目志乃/片岡富枝
脚本・監督:武田かりん
主題歌:RCサクセション『君が僕を知ってる』(Licensed by USM JAPAN, A UNIVERSAL MUSIC COMPANY)
撮影:上野陸⽣/照明:稲葉俊充/美術:野中茂樹/ヘアメイク:吉⽥冬樹/助監督:平岡凌/制作:⽥丸さくら/山城ショウゴ/
プロデューサー:⽥⼝敬太/協⼒プロデューサー:⽥中佐知彦/製作:映⽇果⼈/武⽥かりん/kotofilm 配給:映⽇果⼈
配給協⼒:SPOTTED PRODUCTIONS/協⼒:埼⽟県/SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ
©2023 ブルーを笑えるその⽇まで
公式サイト https://www.bluewo2023.com/
●「第24回 TAMA NEW WAVE/第33回映画祭TAMA CINEMA FORUM」
https://www.tamaeiga.org/2023/newwave/
2023年12月8日(金)よりアップリンク吉祥寺にて公開予定!以降全国順次公開