映画『違う惑星の変な恋人』東京国際映画祭でワールドプレミア。⽊村聡志監督&直井P登壇

映画『違う惑星の変な恋人』東京国際映画祭でワールドプレミア。⽊村聡志監督&直井P登壇

第36回東京国際映画祭のアジアの未来部門にて、映画『違う惑星の変な恋人』(⽊村聡志監督)がワールドプレミア上映。上映後のQ&Aに、⽊村聡志監督と直井卓俊プロデューサーが登壇し、会場からの質問に答えた。

映画『違う惑星の変な恋⼈』の監督は、⽊村聡志。インディーズ映画では異例の 199 分に及ぶ傑作恋愛群像劇『恋愛依存症の⼥』がシネマ・ロサの動員記録を達成。その後、感動シネマアワードの企画コンペグランプリを受賞した『階段の先には踊り場がある』で商業デビューを果たした今泉⼒哉監督以降の新世代恋愛群像の旗⼿と評価されている監督。
本作の劇場公開⽇は、 2024 年 1 ⽉ 26 ⽇(⾦)に決定。新宿武蔵野館ほか全国順次公開となる。

■ 映画『違う惑星の変な恋人』ワールドプレミア上映後Q&A

▼ひとことあいさつ

木村聡志監督
今日はこの映画のワールドプレミアということで、使い古された表現かもしれないですけど映画はお客さんが観て初めて完成するっていう風に古から言われていて、この映画もそれにならっていると思うので、今日改めてこの映画が僕の手元を離れてやっと完成したなという風に思っています。
完成に立ち会っていただいてどうもありがとうございます。

直井卓俊プロデューサー
今日は一番最初の上映に立ち会ってくださってありがとうございます。この作品は木村監督と雑談ぐらいから始まった小さなお話からここまで映画が育ってですね。今回、「アジアの未来」という部門で上映されるということで、本当に誇らしく思っております。是非皆さんの感想を聞きたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

▼制作の経緯

-映画が完成して、こうしてお客さまを目の前にするといかがでしょうか?安堵するものなのか、かえってドキドキするものでしょうか?

木村聡志監督
今回、ワールドプレミアなので観た人の感想がわからないんです。この劇場でみなさんと映画を観ていないので、お客さまがどう思ったのか体感していないので、一応みんなが楽しんだってという体で今から話させてください。

-今、直井さんからちょっとした雑談からこうしてひとつの作品が生まれたというお話がありましたけれども、どういうところからはじまったんですか?

直井卓俊プロデューサー
今回東京国際映画祭で、城定秀夫監督特集が行われて、そちらで今日まさに上映した『愛なのに』という映画があるんですけれども。
そちらのエンディングテーマの主題歌を歌っていたのが、今回出演していた“みらん”というアーティストでした。みらんさんが、女優さんとしても面白いのではないかという妄想があって、「本人もやってみたい」といった話がありました。
その時に木村監督の前作『階段の先には踊り場がある』という映画がありまして、それを拝見した時に、この世界観で音楽…。
木村監督はそこまで明確な主題歌とかそういうアーティストとはやっていなかったので、化学反応というか、そういったものがないかと思ったところが、本当に最初のきっかけなんです。 

-私も拝見した時にとってもポップで、それぞれの言い分が「なるほどな…」と思いつつ、本当になんかみんな異星人に見えてきたみたいな面白味もあったなぁと思いました。

▼Q&Aタイム

◆木村監督のこだわりについて

-監督はご覧になってなかったということですけど、すごいウケていました。ただ、僕がウケて、(周りに)ウケていないところですが、「浅井健一、ベンジー」とかがウケていなかったところですね。

-かなりこだわって作られているなと思いました。木村さんの作品は配信とかで観るんじゃなくて、劇場で観るべき映画だなと改めて思いました。

質問は、浅井さんが映った朝のシーンで、これだけこだわっていたのに、ギターがストラトキャスターだった。グレッチじゃなかったっていうところはこだわりはなかったのかな?っていうのをお聞きしたいです。 

木村聡志監督
おっしゃっていただいた通り、撮影時に一回、まず美術で話題になったんですけども、あくまでもモノマネをしてるわけじゃないっていうことで、「あまりやりすぎると…」っていうのがあったので遠慮した部分があって、映らないように、JUDE(ユダ)のCDが飾ってあるんですけど。

さっき、お話しされた「浅井健一、ベンジー」のところはあまり反応が良くなかったみたいな、そういうのも含めて、映画の狙いというか、この映画の全てを理解することは多分できないっていうことを思っています。

それは映画を作る上でそういう風に作ろうと思っていて、どんな人間でもその人を100%理解するってことは不可能だと思うし、観た後にいろんな人と議論することが映画の醍醐味だと思うので、わからないことだったり、理解できないことっていうのが、映画の中に観ただけで全て理解できるんじゃなくて観終わった後に、人と話したり調べたりとか家で考えたりとか、そういう時間を通して、「1つ映画を観た」っていう時間になると思うので、自分の映画を観た人にはそう思って欲しくて、あえて全てがわからないようにして作っているのがあります。 

◆キャスティングについて

-安定の中島歩さんのクズっぷり。それに引けを取らない3人のベクトルトークが素晴らしかったです。キャスティングはどんな感じで行われたか?また、テンポも気になさったと思うのですが、力を入れたところを教えてください。

-キャスティングについては、直井さんがお答えします。

直井卓俊プロデューサー
キャスティングには複雑な経緯がありました。木村監督がプロットというか脚本を書き始めて1/3ぐらいまで書いたところで、イメージキャストをなんとなくこう言ってみたんですけど、「まぁ、ベンジーは中島歩だろう…」と思って決め打ちで相談したところ、『愛なのに』にも出ているんですけれども。

その1/3ぐらいの時に脚本を読んだところで、「これは面白くなるやつだ」って(中島さんが)言ってくれたんです、あの感じで(笑)

なので、もうなんとなく決めてくださったんです。みらんさん(ナカヤマシューコ役)は元々やるという感じで、莉子さん(むっちゃん役)や筧美和子さん(グリコ役)とかもナチュラルな芝居が合いそうだなと思って提案していきました。イメージキャストがそのまま途中段階で出るっていってくれたんです。脚本は書き終わっていないんですけど。

だから、信じてくれて、「これは出たい」と言ってくださったところからこの企画の成り立ちがあって、綱啓永くん(グリコの元カレ・モー役)だけは、最後にオーディションをさせてもらった中に、綱啓永くんがいました。来たときは男らしいというか、すごくかっこいい感じで見た目通りの感じだったんですけど。すごく頑張ってこのキャラクターを監督の演出のもと、非常におかしなキャラクターを好演してくださったという感じです。

あとは他のキャストとして、坂ノ上茜さんも、喫茶店(のシーン)だけで別に役もなかったんですけど、坂ノ上さんが出てくださるってことで、監督がまたそこを(書き足して)夢の中のような喫茶店が生まれ…。キャスティングしながら作品も並行してできていったという、ちょっと不思議な今までに僕はやったことのない作り方でした。

◆演出・テンポについて

木村聡志監督
役者さんが本当に出ると決まってから、その後もセリフを書き換えたりとかその人と話をして、ナカヤマシューコはみらんさんが演じたんですけど、みらんさんが神戸出身で演技を初めてやるっていうので、自然な感じを出すために関西弁に書き換えたりとか、語尾はその人と喋った感じで、セリフを言いやすいように脚本も書き換えたりするので、それで作り上げました。

あとはもう役者さんは基本的にうまいんで読んでもらうだけです。

◆サッカーとこだわり

木村聡志監督
僕もすごくサッカーが大好きで、元々映画を作っている上で、あんまり時代性のを入れないようにして作っていたんですけど、作品・脚本を作っている途中でプロデューサーの直井さんから、「何か時代性があるものを、今回の映画では入れてみないか?」っていうことをおっしゃられたんです。「そうすると、この映画により奥行きが出てくるからチャレンジしてみない?」と話していただいて、去年の12月にこの映画を撮影したんですけど、ちょうどカタールのワールドカップをやっていたんで、 それでそのまま拝借して…。

直井卓俊プロデューサー
監督がサッカーを好きなんですよね?

木村聡志監督
はい、好きです。

▼木村監督の登場人物に対する考え

-木村監督の作品が好きで、いわゆる“木村シネマティック・ユニバース”は全て観ています。 その中で毎回楽しみになるのが、前作に出ていた登場人物が再登場する点です。そういう発想というのは一体どこから出てくるんでしょうか?

木村聡志監督
ポジティブな側面とネガティブな側面があって、ポジティブな方で言うと、この映画もそうですが、「結局のところ…」っていう感じで終わると思うんです。
僕が思うのはこの後、家に帰る電車の中であの人たちがいるかもしれないっていう風に自分も思っています。なので、例えば配役で今回出てもらった役者さんに他の役で出てもらうっていうのは自分は考えられなくて、一度その役で出たらその役で今でもどっかに生きてるんじゃないかなっていう風に思っています。一度使った役はそのままずっと使い続けるっていうのがまずひとつあります。

もうひとつの悪い意味で言うと、1回出てもらうと、役者さんや事務所さんから「次もお願いしますよ」 みたいな感じで言われるので、“こういうルールがある”と言えば、断りやすいっていうのが悪い意味です。


■作品概要

映画『違う惑星の変な恋人』

莉⼦ 筧美和⼦ 中島歩 綱啓永 みらん 村⽥凪 ⾦野美穂 坂ノ上茜
2023|監督・脚本︓⽊村聡志|製作︓藤本款、直井卓俊、久保和明、⽟井雄⼤、柳﨑芳夫、前信介、⽔⼾部晃|プロデューサー︓原⼝陽平、秋⼭智則、久保和明|企画・キャスティング︓直井卓俊|⾳楽︓渡辺雄司(⼤⽥原愚豚舎)|劇中歌・主題歌︓みらん(NOTT/NiEW) |撮影︓⼭⽥笑⼦|照明︓⼭⽥峻佑|録⾳︓古茂⽥耕吉|美術︓⼩泉剛|
スタイリスト︓⼩宮⼭芽以|ヘアメイク︓進⼠あゆみ|ラインプロデューサー︓浅⽊⼤、篠⽥知典|助監督︓江⼝嵩⼤|宣伝
美術︓寺澤圭太郎|宣伝協⼒︓平井万⾥⼦|製作︓「違う惑星の変な恋⼈」製作委員会|制作プロダクション︓レオーネ
|配給・宣伝︓SPOTTED PRODUCTIONS |カラー|ヨーロピアンビスタ|5.1ch|116min ©「違う惑星の変な恋⼈」製作委員会


「違う惑星の変な恋⼈」 X アカウント︓https://twitter.com/chigawaku2024

2024 年 1 ⽉ 26 ⽇(⾦)新宿武蔵野館ほか全国順次公開

違う惑星の変な恋人

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