映画『ほとぼりメルトサウンズ』東かほり監督、宇乃うめの。似た者同士の出逢いと歩み。

映画『ほとぼりメルトサウンズ』東かほり監督、宇乃うめの。似た者同士の出逢いと歩み。

7月16日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開となる長編映画『ほとぼりメルトサウンズ』。本作はMOOSIC LAB[JOINT]2021-2022 でお披露⽬され好評を博した、東か ほり監督の作品。本作は、⽔曜⽇のカンパネラのケンモチヒデフミがサウンドプロデュースするアーティスト xiangyu(シャンユー)を主演に迎え、彼⼥がある町で出会った⼈々との交流記録を基にした映像作品。主⼈公・コトをxiangyu 、謎の⽼⼈・タケを鈴⽊慶⼀が演じる。多彩なキャストとして、『階段の先には踊り場がある』『神⽥川のふたり』の平井亜⾨、東かほり監督の盟友・宇乃うめの、名バイプレイヤーの坂⽥聡らが顔を揃えている。

ほとぼりメルトサウンズ
写真左)宇乃うめの 右)東かほり監督

今回、東かほり監督と、宇乃うめのさんにお時間をいただき、映画にまつわる夢、音、そしてお二人の出逢いについてお話をうかがいました。

■ 映画『ほとぼりメルトサウンズ』東かほり監督、宇乃うめのインタビュー

▼映画『ほとぼりメルトサウンズ』制作のきっかけ

-本作制作のきっかけについて教えてください。音楽と映画の祭典「MOOSIC LAB」作品でもあり、音を題材とした点を主に聴いてみたいと思います。

東かほり監督
一番最初がMOOSIC LABのコンペ部門がある回の時、つまり、今回私が取り組んだMOOSIC LABの1個前の回で参加するはずだったんです。それに向けて進めましょうということでした。
MOOSIC LAB代表の直井さんと私とが会って、今回の企画の話をするようになりました。
そこでxiangyu(シャンユー)さんの名前が挙がって、紹介してもらった流れです。
その時はストーリーは全然決まっていない状態だったんですけれども。

-xiangyuさんの起用以外の、音を扱うストーリーの話もまだ出ていなかったのでしょうか?

東かほり監督
具体的には決まってなかったのですが、日常の音を大事にした映画にしたいなとは思ってはいました。

-「xiangyuさんとの初めての打ち合わせがすごく懐かしくて感慨深い」というコメントを拝見しました。初めての打ち合わせで覚えているエピソードやxiangyuさんの印象などを教えてください。

東かほり監督
最初の顔合わせ程度のものは、事務所かどこかではあったのですが、そこでxiangyuさんのコラムの話になったんです。
『Maybe!』という雑誌でxiangyuさんが、横浜の寿町に住んでいるおじいさんとの交流を書いているのですが、そのコラムがすごい面白いんです。
「二人の関係性や二人の生活が気になる」という話をしたところ、xiangyuさんが早速機会をつくってれて。寿町で待ち合わせをしたんです。

-コラムに出てくる場所に実際に行かれたんですね。

東かほり監督
そうなんです。駅前のドトールで打ち合わせをしたのですが、それがとても印象的でした。
その後で、xiangyuさんが「ミラノサンドA」という曲・MV(https://www.youtube.com/watch?v=w0hpodi7VUs)を出されているんです。


撮影が終わってしばらくしてから、ドトールに立ち寄った際に、お店でも流れていたりしていて。
xiangyuさん自身から、元々ドトールが好きだと聞いていたんですけれども、そういったこともあって、のちに感慨深いな…と思った次第です。

▼夢にまつわる話

-監督のコメントに「たくさんの取材をしていく中で不思議な人が夢に出てくるようになった」という話がありました。また、「note」( https://note.com/higashi_kahori/ )で監督は、夢日記を書かれている点に興味を持ちました。最近見た夢や覚えている夢の話を聞かせてください。

東かほり監督
最近見ておぼえている夢は、夏の夢です。「暑い、暑い」と言っていたら、友達がアイスキャンディーを持ってきたんです。それは、灰色で、白い線でボディーラインが描かれた、ウルトラマンのようなアイスキャンディーでした。
ちゃんと、カラータイマーが中心についていて、赤く点滅してるんです。一体何味なんだろうと思っていたら、「アッチー」といって、その友達がアイスキャンディーを食べるんじゃなくて、顔に塗りはじめたんです。私も真似をして「あつーい」と言いながら顔にアイスキャンディーを塗りまくった、という内容です。

-夢診断だと、どんな結果がでるんでしょうね。宇乃さんに質問です。まず、夢は見ますか?また夢を覚えていられる方ですか?覚えている夢がありましたら聞かせてください。

宇乃うめの
私は東さんほど詳細には覚えていられないんですけど、すごい怖い夢や印象に残っているものは覚えている方です。
怖い夢をみて、ハッと起きた時は、胸に手があるか、お腹に手を置いていることが多いです。

東かほり監督
何か理由があるのかな。

-重さを感じたり、圧迫されることで夢に影響するんですかね。

東かほり監督
お祈りみたいなものかもしれないよね。

-怖い夢を見ることが多いですか?

宇乃うめの
そうですね。多いかもしれませんね。

-覚えている具体的な夢は何かありますか?

宇乃うめの
怖い夢ではなかったのですが、昨日、死んだおじいちゃんが夢に出てきました。

東かほり監督
え!?

宇乃うめの
おじいちゃんらしき人と誰かが並んで座っていて、その後ろ姿を私が見ているところから始まるんですけど、隣に座っていたのは映画『クレマチスの窓辺』の永岡監督でした。永岡監督が振り替えって、私に「おじいちゃんが来てるよ」って言ってくれて。「なんで監督は私のおじいちゃんだってわかったんだろう?」と思いつつも、前方にまわって顔を見てみたらおじいちゃんでした。その横に四角い大皿が10枚ぐらい重ねて置いてあって、1番上のお皿に箸置きがいっぱい並べられていたんです。
その箸置きが置いてある1枚目の皿だけよけて、下の皿9枚ぐらいを「取りに来た」っておじいちゃんが言うんです。
それを持っておじいちゃんが軽トラで帰っていっちゃったっていう夢でした。

東かほり監督
その夢って、なんかありそう!そのお皿は白いの?

宇乃うめの
ううん、カラフルだった。
調べてみたら、亡くなった人が笑顔で出てくる夢はいい夢らしいんです。

東かほり監督
じゃぁ、いい夢なんだ。

宇乃うめの
多分、いい夢なんだと思う。

東かほり監督
お皿を持って帰るっていうのも何かありそうじゃない?

宇乃うめの
私の何かを持っていってくれたのかなぁ。

東かほり監督
そうかもしれないね。悩んでいたことだとか。

宇乃うめの
確かに。

-宇乃さんの悩みを取り除いてくれたのか、それとも、おじいちゃんが何か欲しがっているのか、どっちですかね。

宇乃うめの
怖いこといわないでください(笑)
あと、なんで永岡監督が出てきたのかっていう疑問もありますね。

東かほり監督
夢ってそういうことがあるよね。何でこの人が夢にでてきたんだろうって。

宇乃うめの
そんな不思議な夢を見ました。

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▼お二人の経歴について

-東かほり監督は、デザイナーから映画監督へ。宇乃うめのさんは看護師から映像制作会社を経ての俳優。元々のきっかけから現在に至るまでについて教えてください。

東かほり監督
今もデザイナーと映画監督を半々のようにやっているんですけれども、27歳ぐらいまで、会社に勤めていて、デザイン部に所属していました。
27歳になって、自分のやりたいこと・やれることが、なんとなくわかってきたというか…
きっとこのままデザイナーをしての生活・人生が、最後の仕事というか、一生続けていくことになるんだろうなといったものが見えたときに、「このまま死ねない…」と思ったんです。
その時に、私が一番好きなのは映画だなと改めて思ったんです。突然父に電話して、「映画をやってみたいかも」という話をしたんです。絶対に否定されるな…と思ったんですけど、意外にも「やればいいんじゃない?」と言われて、それで、あぁ、そんな感じ?!と嬉しくなって、映画学校に入ったんです。
同時に、映画学校の課題に集中するために、フリーランスのデザイナーになりました。
映画学校の課題で短編映画を撮ることになって、そこで最初に宇乃さんに声をかけて、5分くらいの作品を撮ったというのが始まりです。

-東監督は、デザインの中でも映画関連のデザイン、例えばタイトルロゴといったものをよく見かける印象があります。

東かほり監督
元々、デザインをやっている時は、映画関係のデザインをやりたいとずっと思っていました。
なので、今はデザインでも映画に関われて、すごく嬉しいです。
両方できるのは、とてもありがたいことです。

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-宇乃さんの看護師、映像制作会社勤務、役者へのきっかけ、その流れについて聞かせてください。

宇乃うめの
ちっちゃい頃、すごいテレビっ子だったんです。
将来、この業界に入れたらいいなという思いが漠然とありました。
けど母が看護師をしていて、看護師になることをじわじわと勧められていたこともあり(笑)ぼんやりと、私も看護師になるのかなとも思っていました。
私が「看護師になりたい」って言った方が、周りの人も喜んでくれているし、嬉しそうだと思って小学校の卒業文集の将来の夢にも「看護師になりたい」って書きました。
それから中学校に入って、自我が芽生えて、進路についてきちんと考えた時に、「私自身は看護師になりたいわけじゃないな」と気づいちゃったんです。
できれば映像やエンターテイメント分野に関われたらいいなって思っていました。
ところが、私は出身が青森なのですが、当時青森にはそういったことを学ぶ学校が近くになくて、行くとしても、私立で県外に行かなければならなかったんです。
駄目もとで、そういう学校に行ってみたいと母に言ってみたんですけど、「馬鹿じゃないの?」と言われてしまいました。地方に生まれて、特別美人だったり才能があるわけでもないのにそういう業界を目指すのは現実的じゃないよなぁ、私が好きなことをやるためには、自分で自分の責任を取れるようになってからじゃないと無理だなと察しました。それで、最短で看護師の資格を取れる学校に行って、看護師を3年やった後に好きなことをやろうと決めました。
実際に看護師として3年がっつり働いて、このあと映像の世界に入るためにはどうしたらいいのかなと考えていたところ、
一番仲良かった友達が制作会社のAPをしていて、「制作だったら未経験でも入れるところがあるし、いろんな部署の人たちと関われるから、一度、制作として入ってみて、どういう部署に就きたいのかを選んだらいいんじゃない?」って言ってくれたんです。
それでCMとかミュージックビデオの制作会社に入ったんですけど、“スタンドイン”という、撮影前に実際の演者さんが入るまでカメラ前にいる役割をやることが多くなり、なぜか指名も入るようになりました(笑)
そうしているうちに、「これをやりたいかも」って思っちゃったんです。おこがましいんですけど。
私は普段は石橋をめちゃくちゃ叩いて渡るタイプなんですけど、直感で「やりたい!」って思ったら行動しちゃうことも結構あって、そういう裏返しの両面を持つ人間なんです。その時、「やりたい!」って思ってしまって、すぐに行動してしまったんです。

東かほり監督
会社を辞めてから、次の行動にうつしたんだよね。

宇乃うめの
そうなんです。上司のプロデューサーに「役者をやりたいんで、辞めます」って言ったら、すごい笑われました(笑)
会社を辞めてENBUゼミナールに入って、役者をやり始めました。
ENBUの在学中に東さんと出会ったんです。

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▼二人の出逢い

東かほり監督
私が宇乃さんの出演した公演を観て、友達経由で「あの子の連絡先を教えてください」って、宇乃さんに声をかけたんです。

宇乃うめの
そうなんですよ。私と東さんは別々の学校に通っていたんですが、両方の学校に通っていたキーマンの人がいたんです。その子が東さんをENBUゼミの公演に呼んでくれて。

東かほり監督
公演を観終わった後に、すぐ宇乃さんに声をかけさせてもらって。ちょうど、探していた役
にもぴったりのイメージだったんです。今思うとその公演に呼んでくれた方には申し訳ないんですが、出会わせてくれて感謝ですね。

宇乃うめの
その人のおかげで今があるんです。

-慎重と言いつつ、意外にも大胆。自分の本心に気付いたら、あっという間の行動で、そこからは最短距離で今に至っているように感じました。

宇乃うめの
遠回りをしたようで、意外とこれが一番近道だったかもしれないですね。

-そこがお二人の出会いのきっかけになっているわけなんですね。

宇乃うめの
お互いに社会人をやってからこの世界に入ったので、より仲良くなりやすかったんだと思います。
たまたま同い歳で、同じような境遇だったことを知らずに、東さんは私に声をかけてくれたんです。運命ですね。

東かほり監督
何か同じものを感じたんだよね。

宇乃うめの
ありがたかったです。

-今の出会いの話からすると、東さんからご友人経由で宇乃さんの連絡先をきいて、連絡したということになると思います。
 ご本人を目の前にしてなかなか言いづらいかもしれませんが、東監督からみた宇乃さんの魅力や気づきにはどんなものがあったのでしょうか?

東かほり監督
宇乃さんが、出演されてた舞台で、すごく悲しそうな顔をしてお弁当を食べている役をしていたんです。
それを見て、悲しそうにお弁当を食べるのが上手いなと思いました。舞台では真ん中にいたんですけど、すごい隅っこにいる存在・隅っこ感を出せているというか、それが昔の自分を思い出すじゃないけど、同じ空気感を感じたんです。

-監督自身はそういう隅っこでお弁当を食べるようなタイプだったのでしょうか。

東かほり監督
そうです。幼稚園から小学校3年生ぐらいにかけては陰にいて、人と喋れない人でした。
幼稚園の時も、みんなと食べたくないからこっそり早弁したりして(笑)なるべく人と触れないように過ごしてしまうタイプでした。

-お二人の出会いにつながっていく感じがしますね。東監督から宇乃さんに声をかけた理由が、悲しそうに食事する点であったり、どこかでコメントされていた「私と宇乃さんは似ている」といったことの理由がつながってきました。

-では、宇乃さんからみた東監督の印象や、はじめて連絡をもらった時の気持ちを聞かせて下さい。

宇乃うめの
連絡をもらって、すごく嬉しかったのを覚えています。
「私で大丈夫かな」と不安な部分もあったんですが、いただいた台本もすごく面白いと思ったし、いざロケ地に行ってみたら、レトロ可愛くて好きな感じの場所だったので、さらに「これは楽しみだ…!」となりました。

東かほり監督
割と好きなものが似ているんですよね。レトロな街並み・古いものが好きでたまに一緒に見に行ったりしています。商店街を歩いたり。

宇乃うめの
自分も好きなものを好きな人が、好きな映画作ってくれて、さらにその映画に出られるなんて、嬉しかったし、今も嬉しいし、幸せだなと思います。

-これもコメントで、「二人で遊ぶ」ということが書かれていたので、どういった遊びをするのかなと思っていました。

東かほり監督
多分、マダムたちの遊び方だと思うんです。純喫茶でお茶したりとか、お花屋さんで花をみたり、商店街で買い食いしたり。大好きなんですよ。

ほとぼりメルトサウンズ

▼印象に残る食事のシーン

-作品の中で、ご飯のシーンがすごくいいなと思いました。家庭の特徴が出やすいメニュー(カレー、餃子、目玉焼き等)が出てきましたが選んだポイントにはどういった考えがあるのでしょうか。

東かほり監督
カレーは最初にお母さんと作る・親子で作るようなイメージがあって。劇中では浩子さんとコトちゃんが一緒に作ります。二人はお互い大人なんですけど、関係性は、お母さんと子どもみたいな感じに見えないかなぁと思って、そのシーンではカレーにしました。

餃子はxiangyuさんの曲に、「餃子」という曲があって、その歌詞からイメージして、そのシーンに入れています。

-作品にちなんた質問です。目玉焼きにかけるのは何派ですか?

宇乃うめの
私は断然、しょうゆですね。劇中はソース派ですけど。

東かほり監督
私は塩コショウだなぁ。両親がそうだったから。

▼今日の気分とその色

-作品にちなんだ質問で、コトちゃんが声を吹き込む時に、今日の気分を色で表現したと思うのですが、その時の今日の気分と色について聞いてみたいと思います。

東かほり監督
父親への留守電というところで、今日の気分っていうふうに、最初のところで言っているんですけど、父親の真似をすることを入れたいと思っていました。
私も父の影響を受けている部分が結構あって、そういう意味でも入れています。
色に関しては、xiangyuさん自身が、日々の気分のことや、色のことを書いていたのをみて、そこから考えています。
私自身も、占いの今日のカラーみたいなものを意識したりするので、それもあります。
-ちなみに今日の気分は何色ですか?

東かほり監督
今日の気分は水色かもしれません。

-水色の紫陽花など、目に留まる季節ですしね。

東かほり監督
そうですね。梅雨ですしね。
あと、今日の宇乃さんのお洋服の色がいいと思います。

-宇乃さんはいかがですか?

宇乃うめの
はい、私も完全に水色です。

-やはり、おふたりは繋がっていますね。

ほとぼりメルトサウンズ

▼映画『ほとぼりメルトサウンズ』と音に関するこだわり

-少しマニアックな質問をしてみたいと思います。
劇中で鈴木慶一さんが演じるタケが、オーディオテクニカ社のヘッドフォンをしていますが、エンドロールで“機材協力”ではなく、“衣装協力”のところに、オーディオテクニカ社の名前が入っていました。これについてなにかエピソードはありますか?

東かほり監督
はい、ヘッドフォンをお借りしました。

-二十数万円するヘッドフォンなんですよね。
 【参考】鈴木慶一インタビュー「ハイエンドヘッドフォンに誘われ」 
     https://www.switch-pub.co.jp/suzuki-keiichi-audio-technica-ath/

東かほり監督
ご存じなんですね。あれは鈴木慶一さんが別の取材の特集記事で使用されたヘッドフォンと同じものなんです。その関係もあって、衣装部の方からオーディオテクニカさんにお借りしたものになっています。

-これもエンドロールで気づいた点なのですが、整音に関して、“整音”と“劇場版整音”の表記があったのですが、二つある理由や両者の音の違いといったポイントがありましたら教えてください。

東かほり監督
録音部の宋さんという方に、ほぼほぼ整音していただいていたのですが、元々2.1chで作ってもらっていたんです。それをスタジオで5.1chに変える作業や、微調整をしていただいたので、スタジオの劇場版整音の方と宋さんの整音という意味で、エンドロールに2つお名前を書かせていただいています。

-音に関する映画ですし、ヘッドフォンも登場しますし、ヘッドフォンで鑑賞する映画館などもあるので、そこでの特別上映があっても面白いのではないかと思いました。

東かほり監督
それはすごく面白いですね!ヘッドフォンといえば、鈴木慶一さんはヘッドフォンの付け方も格好良かったです。プロならではの慣れた感じ、ちょっと片側だけ持ち上げる仕草など、使い方がかっこよくて、さすがだと思いました。

宇乃うめの
そういう些細な動きって映像に出ますよね。

東かほり監督
口笛を吹くシーンがあるんですけど、それも鈴木慶一さんに現場で考えてもらったんです。
何カットか撮ったのですが、その場で考えてもらったのを最初に撮って、次に違う角度から撮ってカットを変えたのですが、毎回、音がほぼ一緒でずれがなくて。編集で繋いでいても全く違和感がなかったので、改めて天才だと思いました。
ちなみに、口笛のシーンで通った猫は偶然通りかかったんです。スタッフが“チュール”でおびき寄せていたんですけど、その時は全然来てくれなくて、それが撮影しているときに急に現れたんです。

宇乃うめの
すごい奇跡的でしたよね。

▼お客様へのメッセージ

-それでは、お客様へのメッセージをお願いします。

東かほり監督
この映画は、日常の音を集めるシーンが多く出てきます。きっと皆さんも聞いたことがある音もたくさん入っていると思います。映画のストーリーはもちろんですが、映画を観た後も、日常の音に耳を傾けて、新しいことを知ったり、懐かしい気持ちになったりと、音を意識する帰り道になっていたらいいなと思います。
家族とでも、大切な人とでも、誰とでも観やすい映画だと思いますので、よかったら、お気に入りの街にお散歩にいく感覚で、気軽に観にきていただけたら嬉しいです。

宇乃うめの
主演のxiangyuちゃんが、すごく純粋で嘘がないお芝居をされていて、ご一緒させていただいて、尊敬する部分がたくさんありました。
鈴木慶一さんの「タケさん」、平井亜門くんの「山田くん」も本当に素晴らしくて、登場人物それぞれが唯一無二でとっても魅力的なのでそのキャラクターにも注目してほしいです。
東監督ならではの、ちょっと変で不思議だけどあたたかくてなんだか懐かしいような世界、たくさんの方に味わってほしいです。劇場でお待ちしております。

-宇乃さんについて、監督からひとこといただいてもよろしいですか?

東かほり監督
私はもう宇乃さんと4年、5年のお付き合いになるのですが、それ以上の仲だと思っています。
大人になってからでも、ここまで仲良くなれる人がいるんだなと感じています。
前回2人で一緒に作った『湯沸かしサナ子、29歳』という作品がありますが、そこを経て、それぞれ、反省点や、学んだこと・やってみたい事などが出てきました。それを「次の長編で出し切ろう!」とお互いに、目標を立てたんです。私は宇乃さんに、悔いなく演じてほしいし、私もやりたいことをちゃんとやるっていうのを決めて臨んだところがありました。
この映画を通して、私の知らなかった宇乃さんの表情を見れたり、ユーモアの中にも、彼女らしさがちゃんとあって、改めて魅力的な役者さんだと感じました。
宇乃さんは、心の動きを表情で表すのがとてもうまいんです。
お話の中でも、キーポイントになる役なので、そこにも注目してほしいなと思います。

ほとぼりメルトサウンズ
ほとぼりメルトサウンズ

■作品情報

映画『ほとぼりメルトサウンズ』

あらすじ
祖⺟の家だった空き家を訪れるコト(23)。だが様⼦がおかしい。庭には⾒
知らぬダンボールハウスが建ち、妙な⽼⼈が住み着いていた。街の⾳を録っては⼟に埋
める〝⾳の墓〟を作っているという⽼⼈。その奇妙な⾏動に興味を持ち、コトは⼿伝い
を始める。そこへ、家の⽴ち退きを要請しに訪問者がやってきて…。⼀冬のコトの”何か
イケてる”不思議な⽣活が始まる。

東かほり監督コメント
このご時世で、⽣きること、死ぬことについて考えることが多くなりました。この映画のテーマの 1 つになっています。企画を進める上でたくさんの⽅の家族の話を聞かせてもらうようになりました。それぞれの家のルールがあったり、⾷べ物の⾷べ⽅にも違いがあったりと様々な家庭の想像をする中で、不思議な⼈が夢に出てくるようになりました。みんな何か意味深なことを⾔うのです。そういう⼈達も脚本にいれながら今の⾃分の感性を映画にできたこと、関わってくださった⽅々全員に感謝しています。
そして、この映画は⽣活の⾳を集めるシーンが出てきます。
⾳を通じて家族との思い出や、これからの⼈⽣を少しでも想像していただけたら嬉しいです。


【キャスト、スタッフ、クレジット】
出演:xiangyu 鈴⽊慶⼀ 平井亜⾨ 宇乃うめの ⼩川節⼦ / 坂⽥聡 ほか 監督:東かほり 脚本:永妻優⼀・東かほり ⾳楽:xiangyu ケンモチヒデフミ 撮影:鈴⽊雅也 照明:市川⾼穂 録⾳:宋晋瑞 美術:前⽥巴那⼦ スタイリスト:中村もやし ヘアメイク:道地智代 助監督:中村幸貴 制作担当:⼩林徳⾏ スチール:⻄⾢匡弘 プロデューサー:髭野純 ロケーション協⼒:わたらせフィルムコミッション 製作:「ほとぼりメルトサウンズ」製作委員会 制作協⼒:イハフィルムズ 配給:SPOTTED PRODUCTIONS
©「ほとぼりメルトサウンズ」製作委員会
<Twitter>https://twitter.com/hotobori_movie

2022年7月16日より、新宿 Kʼs cinema ほかロードショー

ほとぼりメルトサウンズ
映画『ほとぼりメルトサウンズ』第2弾ビジュアル
ほとぼりメルトサウンズ

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