『世界の始まりはいつも君と』は、“コロナ禍時代の映画”、なくなって気づく日常のキラキラ

『世界の始まりはいつも君と』は、“コロナ禍時代の映画”、なくなって気づく日常のキラキラ

7月16日(土)、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022が開幕。オープニング上映作品として、映画『世界の始まりはいつも君と』が上映され、上映後には舞台挨拶も行われた。
今回、特別にお時間をいただき、本作のメインキャスト3名、手島実優、根矢涼香、栗生みな、そして、磯部鉄平監督に本作にまつわるエピソードとコロナ禍において考えたこと、お客様へのメッセージをお話いただきました。

世界の始まりはいつも君と

■ 映画『世界の始まりはいつも君と』監督、キャストインタビュー

▼本作制作のきっかけとなった原作者との居酒屋での遭遇について

-本作制作の機会が、高円寺の居酒屋で原作者の麻草郁さんに出会ったことからだと伺いました。もう少し詳しく教えていただけますか?

磯部鉄平監督
細川博司と原作者の麻草郁さんが、仲が良いんです。あ、細川さんの説明を…。
舞台演出家・脚本家・役者の細川博司という人がいまして。10年以上前からの知り合いでずっとお世話になってて可愛がってもらってるんです。先輩ですね。漫才コンテストのシーンでMCをやっていた人です。それで、いまは僕がたまに東京に来たときに一緒にお酒を飲むといった間柄なんです。その細川さんが、『アリスインデッドリースクール』の舞台版の演出をやっているんです。

世界の始まりはいつも君と
磯部鉄平監督

手島実優・根矢涼香
へぇ、そうだったんだぁ

栗生みな
やっていますね。

磯部鉄平
で、僕が東京で辛酸なめ子になって疲れて高円寺に流れ着き、細川さんに慰めてもらおうとしたら、麻草さんを初めて連れてきたんです。

栗生みな
こういった話を聞いたら、細川さんもきっと喜ぶと思います。

磯部鉄平監督
そこで、原作の麻草さんに「はじめまして~」と、出会った流れになります。

▼SKIPシティアワード受賞の特典。映像クリエーターへの支援策について

-今年のSKIPシティ映画祭のオープニングトークイベントでも、SKIPシティアワードの受賞者向けの機材貸出の話が出ていましたが、今回の作品作りにどのように役立ちましたか?

磯部鉄平監督
『ミは未来のミ』という作品で、2019年のときにSKIPシティアワードをもらいまして、SKIPシティアワードの受賞者特典として、ここ(SKIPシティ)の施設を100時間使えるというものでした。
MA(Multi Audio)の編集室が使えるということで、この映画でたっぷり使わせていただきました。

-整音・編集に長時間借りたら、結構な額になりますものね。

磯部鉄平監督
そうですね。「ほんまに借りたら、これぐらいかかります~」という明細が届くんですけど、「こんなにかかるんや…」と思いましたね。
それが毎回来るから、「キミはタダやけど、ほんまは、こんななんやで」って、ずっと言われているような気がしていました(笑)

世界の始まりはいつも君と

▼監督ご自身初のジャンル映画に取り組まれた感想

-今までの磯部監督の作風とは変わった新しいジャンル映画に取り組まれて、難しかったことなどを教えてください。特にご自身のオリジナル脚本の自主映画から、原作がある舞台版の作品を映像化するにあたって心がけたことや、原作者と話し合ったことを教えてください。

磯部鉄平監督
原作となる舞台は、屋上のみで2時間やる舞台なんです。
キャストはみんな屋上から出ては戻ってきて説明するような流れなんです。
「これこれこういうことが2階で起こっていました!」、「こんなことになっていたよ!」っていうのをずっと、限定された舞台の中で想像させるような感じです。
麻草さんと喋った時に、「せっかく映画なので、下の階にもいけるんじゃないの?」ということを話しました。それは麻草さんも観たいって言っていたし、「“異変”が発生するまでを描きたいです」と言っていました。
そういった部分を描くことが自分は得意だと思っていたので、そこを精一杯やりました。

-舞台版の屋上のみの世界から、その外まで描いた点が今回の映画ならではになるわけですね。

磯部鉄平監督
はい。学校全体・学校外まで描いたのは今回がはじめてではないかと思います。

▼キャスティング関連のエピソード

-キャスティングに関して、オーディションがあったとのことですが、そのときのエピソードを教えてください。

磯部鉄平監督
オーディションでもマジでみんなに漫才をやってもらったんですよね。

手島実優
監督は、オーディションでのみんなの漫才をみて、どう思いましたか?
漫才ってほとんどの方がやったことがなくてわからないじゃないですか。
それを頑張ってやっている若手の女優さんをたくさんみて、どう思いましたか?

世界の始まりはいつも君と
手島実優 (ユウ 役)

磯部鉄平監督
オーディションって、まず漫才だけでしたっけ?

手島実優
漫才のシーンにつなげて、「ごめんね」みたいなシーンをやりましたね。
でも漫才はフルにやりました。

磯部鉄平監督
めっちゃ悩んだんです。漫才はうまいけど、普通のお芝居もあるじゃないですか。
そのバランスをずっと脚本の永井くんと一緒に、「漫才はいいよな…。でもこっちもあるよな…。」、「こっちはいいけど、でも漫才はどうすんねん。」といったことを喋っていました。

-劇中でも、女子高生の漫才で、それ自体に課題があるというような部分もあるから、あまりうますぎてもいけないのかなと思いました。

磯部鉄平監督
そうなんです。女子高生が頑張って作って、自分(ノブ)は面白いと思っているし、ユウも面白いと思っている。でも、「う~ん…」っていう、「そのラインってどこなんや」というところのさじ加減が難しかったと思います。
手島さんが一番よかったです。

手島実優
うーん… その言われ方だと…

一同(笑)

-手島さんが以前されていたものまねをするようなイメージで取り組まれているのかなと感じる部分もありました。

手島実優
うーん… はい(笑)

▼漫才コンビの難しさ

-今回、漫才コンビに取り組まれた手島さんと根矢さんに質問です。すごく難しかったと思うのですが、芝居と違った難しさはどこにあったのでしょうか。


手島実優
お芝居って相手の台詞を受けてから反応して返すじゃないですか、だから私は、“相手を受けない”ということが難しかったです。
言ったら言いっぱなしだし、ボケたらボケっぱなしで、相手には突っ込まれるけどそれを無視して次のボケに行くみたいなのが、その脳みそ(思考回路)に切り替えるのが難しかったです。そういったボケをかますといった漫才をしつつ、でも演じているじゃないですか。そこで頭をフル回転させていたんです。「きちんと応えたいけど、無視しなきゃ」というのが台詞も多かったですし、自然にポンポンとテンポよくやるのが難しかったです。
そこは、お芝居と漫才では違うと思いました。

-ツッコミ側の根矢さんはいかがですか?

根矢涼香
ノブの中で、本番ってあの中で1回、漫才コンテストのシーンだけで、それ以外はずっと雑念の中でやっていました。
だから、やっているけど、最後を思い出してイライラしちゃって、むかついて中断しちゃうとか、つっかかって止めちゃうとか、漫才をしようとするけどうまくいかないみたいなラインが、ただ難しくて、普通に漫才がうまくいかないという(笑)

面白くやろうとしても全然うまくいかない、その満身創痍感は出たと思うんですけど、その“ノブがやる漫才”って考えるのがものすごく難しかったです。
会議室で練習していたもんね。

手島実優
うん。夜にね。

根矢涼香
しかも、1個、練習していた漫才がカットされているもんね。

手島実優
そうなんですよ。自信があった方がカットされているんです。フルで1個ネタがあったと思うのですが、あれよりさらに1.5倍ぐらい長い、すごいのがあったんですよ。
それをやったんです。

根矢涼香
ちょっと頑張ったもんね、あれ。

磯部鉄平監督
あれは良かったですね。

-それは、アスパラガスのネタじゃないんですか?

手島実優
アスパラガスから派生して、バンクシーが出てくるような壮大なネタがあるんです。

根矢涼香
広がりのあるいいネタだったんです。

磯部鉄平監督
あれはいいシーンでしたね。切ったのは僕なんですけど(笑)

世界の始まりはいつも君と

▼鳥居みゆきさんとの共演シーン

-根矢さんは鳥居みゆきさんとのシーンがあったと思うのですが、本物の芸人さんとの会話の中でアドバイスみたいなものはいただいていませんか?

根矢涼香
鳥居みゆきさんは、本当に鳥居みゆきさんのままの方でした。
とにかく面白かったです。観察していたというか目が離せないのと、「それ食べちゃ駄目!」っていう台詞があるんですけど、それは台本にない台詞でした。
話したことは、その場で「じゃあどうします~?」みたいな感じです。
あの場では鳥居さんに任せていました。「本物だ~」みたいな気持ちでみていました。

世界の始まりはいつも君と
根矢涼香 (ノブ 役)

磯部鉄平監督
何テイクか撮ったんですけど、全部パターンが違ったんです。

根矢涼香
そう、全部違うことをするんです。本物の芸人さんでした。

▼舞台と映画の違い

-今回、舞台から映像化・映画化という中で、舞台に出演されているところから、映画に出演されて、栗生さんの目の前の姿とのギャップに驚いています。見た目だけじゃなくて、声まで変わるのかという感想を持ちました。
舞台と映画の違いにはどういったものがありましたか?

栗生みな
映画になると、舞台では描ききれないところも表現されていて、一幕物の舞台の中で、人間が表現されないところも、映画だとキャラクターや役に愛着が湧くぐらい、すごく表現されていて、本当に出演させてもらってよかったなと思いました。
今日、原作ファンの方もたくさんいらっしゃっていたので、そういう人たちが報われるというか、観てくださった方で、「こういうことだったんだ」って思ってくださる方が多いのではないかなと思います。映画になって良かったなってすごく思います。

世界の始まりはいつも君と
栗生みな (紅島弓矢 役)

▼初共演での感想は?

-手島さん・根矢さんは共演経験がありますが、栗生さんは、おそらく初めてお二人と共演されたと思います。お二人の印象はいかがでしたか。

栗生みな
座組というか出演するメンバーの中で一番話してくれた2人です。
撮影中、私が演じた紅島はあの風貌なので若い子たちに怖がられるんです。ちょっと寂しいなって思いながら、メイクしたり、ご飯を食べていたのですが、2人はしっかり喋りかけてくれて、心の中ですごくありがたいって思っていました。

世界の始まりはいつも君と

手島実優
私たちは、喋ってもいい感じの役だったもんね。

世界の始まりはいつも君と

栗生みな
話しかけていただく時が至福の時でした。

根矢涼香
学校の中では、異物同士だったのかもしれないですね。

▼反応がないところで演じる怖さ、難しさ

-ちなみに、舞台側の“ノ☆ビューン”を演じる役者さんの漫才の練習はどのようにされているのでしょうか?

栗生みな
同じ感じだったと思います。すごい悩む人が多いです。
舞台は進み続けるテンポがあって、しかも目の前にお客さんがいるので、その反応を受け取って漫才をできるんです。
でも、映画って、練習もお客さんがいない状況のところでやるから、難しいと思います。

-コロナ禍でのオンラインでのプレゼンテーションも、視聴者の反応がないので難しいって話を耳にしますものね。

栗生みな
反応がないって怖いから、そういう感じなんだろうなって思って見ていましたね。

▼漫才をするにあたって、参考にしたお笑いの方たちは?

-漫才をするにあたって、参考にしたお笑いの人たちや、好きな漫才・お笑いの方々はいらっしゃいますか?

根矢涼香
漫才の特訓をしてくれた脚本の永井さんからは、「Aマッソ」の女性コンビ2人を見ろって言われました。
「ノ☆ビューン」自体が、高校生だけどキャピキャピ系じゃなくて、ノブは王道漫才をしようとしているので。Aマッソさんも実際に女芸人の中で、かなりめちゃくちゃストイックにザ・漫才をされている方なので、そこを参考にしつつ、同じにもならないから。

手島実優
漫才を本気でやる映画ではないからね。

根矢涼香
漫才をしようとしている二人だから、私はM1をイチから全部見ました(笑)
撮影期間中、全部見ていたんです。配信サイトでダウンロードしておいて、毎日寝る前にみて。見てはいるけど反映されないという(苦笑)
芸人さんってすごいなって思いました。全芸人を尊敬しました。

▼コロナ禍に考えたこと

-コロナ禍の過ごし方、考え方についてお話を聞かせてください。

[それまでの日常が消えてしまって気づく、ごく普通の日常のキラキラ]

磯部鉄平監督
いきなり、もう全部が、ポワンっとなってしまうんだなと思いました。そんな風にワァっと目の前からなくなってしまうんだなあと、コロナ禍の影響が出てきたときにそんな話をしていました。
今まで普通だと思っていた日常に、“異変”が起きてしまうんですけど、そんなことになると思っていないから。
普通の日常が、勝手にキラキラしだすというか、平凡と思っていたことが、その時は退屈していたり、ああだこうだ思っているけど、そういう状況になってしまったら、“あの時がすごい輝き出す”じゃないけど、そうなって初めて大切さに気づくという。
「そういうことって、あるよね」って。まさにそうなっていく話をコロナ禍、今もですけど、喋っていましたね。

世界の始まりはいつも君と

-コロナ禍の時代になったからこそ気づく。日常のキラキラとかありますよね。

根矢涼香
それは今回の映画に似ていますね。
『世界の始まりはいつも君と』のカテゴリは、“コロナ映画(コロナ禍時代の映画)”です(笑)

磯部鉄平監督
でもここはカメラマンの寡黙な小林くん(撮影・照明・カラーグレーディング:小林健太)がいきなりそれをめちゃくちゃ言い出していました。

根矢涼香
へぇ、そうなんですね。

磯部鉄平監督
「既存のカテゴリの映画じゃないですよね。」とか、「いきなりなくなるんですよ、日常っていうのは。」って。
「大切に思っていた人がいなくなっていくんですよ…。そういうことなんです!」って、めっちゃ言っていました。
みんな、相方がいなくならないと思っているから。もちろん、歳をとって、亡くなってしまうというのはあるけど、みんな死なないと思っていますからね。

[コロナ禍で考えたセルフケア]

手島実優
私達の世代からすると、コロナ禍の時代って、確実に教科書に載る出来事じゃないですか。そんなことを経験したことがなかったんです。
3.11も体験しましたが、例えば9.11のテロという大きな出来事があったとしても、自分の仕事に影響を受けるような世界的なパニックは経験がありませんでした。私はコロナになってから活動拠点を移したんです。実家のそばには祖母もいましたし、実家と東京を電車で移動することのリスクの方が高いと思いました。
自分の心が安心できるように、自分でケアする方法を掴めたのではないかと思っています。私ってすごく心配性なんですよ。
心配性の度合いって人によって違うと思うんです。
だから人からしたら、気にしすぎかもしれないけれど、私は“私が一番いい状態に持っていけるような方法”を自分だけが知っていて、それを相手に強要とかせずに、それを自分だけにちゃんと適用できるようになればいいんだって最近気づきました。

それは2年経って、やっとといった感じです。SNS(Twitter)も見る世代なんで、SNSの情報に頭をかき乱されることもあります。ニュースを見ていても「ほんとかよ…」みたいなことがあるし、「何を信じたらいいのか…」という時代の中で、結局自分の心をコントロールできるのは、自分しかいないなと思いました。
俳優としても感情や自分の思考を使う仕事だから、そういうセルフケア・自分の心の状態をケアすることは、自分以外はできないって、コロナ禍になって、すごく深く思いました。

[落ち込んだ分、いつか上がる、そして前向きに]

根矢涼香
私の場合は、やはり仕事がコロナの影響でストップしてしまいました。
言葉にしたら悪いことかもしれませんが、私は諦めがいいというか、“これが駄目だったらどうしよう”って考えるのが結構早い方だと思っています。
だから、「お客さんに会えなくなってしまった」、「映画の場所に行けなくなってしまった」、じゃぁどうしようと思って、ポーッと過ごしていたら、たまたまなラジオのDJをやらせてもらえることになって、その間に、今まで以上にお客さんと1対1のやりとりができました。
それは、コロナ禍の状況がなかったらできなかったコミュニケーションだったから、それはあってよかったなって思いました。
「これができないならこれをやろう。」、「これをやっちゃいけないって思っていることが、実は、そう思っているだけで、本当はやっちゃいけないことではないので、次に何をやるか」と考えていくのが、既成観念を外すきっかけになったのかなって思います。
配信の形態での映画祭っていうのも、そこからいろいろと今までよりも便利になったり、遠くの人に届いたりとか、映画の舞台挨拶も。リモートでできる人、直接来られる人という風に、今って、多分、コロナ禍前よりも、もっと選択肢が増えたと思いたいんですよね。

だから、多分この映画自体もそうだけど今までなかった形、今までの形を壊すっていうのがすごい未来に繋がるのかなって思います。
だから、最初はすごい打撃に落ち込んだけど、落ち込んだら落ち込んだ分、上がるだろうって、私自身はそういうタイプなのでそう思っています。だから前向きに新しいものがどんどん作られていったらいいなって思うし、私も何かみんながびっくりすることをやっていきたいなって思って進んでいます。

[好きなことができていることに感謝。次のステップへ]

栗生みな
自分の場合は、改めて、好きなことで仕事ができている、今のこの環境にすごくありがたいと思っています。
もちろんコロナ禍になる前は当たり前のように舞台に立てて、いろんなお仕事をいただいて、コロナ禍の間も、ちょくちょくありましたけど、やっぱりコロナが始まった最初の頃ってめちゃくちゃバッシングされたんです。
「なんで今の時期にやるの?」、「え?本当にやるの?」って。
中止しても言われるんです。「今、新幹線で向かっているのになんで中止にしちゃうの?」みたいな。
何しても怒られる時代が、あの時期にはあって、すごく落ち込んだし、「私って何のために仕事をしているんだろう」とか、「自分は好きだったよな、この仕事」だとか、「この仕事って、じゃあ私はなんで好きなんだろう」って考える期間があったんです。
行き着いた答えっていうと、そんな中でも「舞台をやってくれたありがとう」、「歌を歌ってくれてありがとう」、「映画を撮ってくれてありがとう」、「この機会をくれてありがとう」っていう人はやっぱりいるんですよね。
そういった人たちがたくさんいる。私の中ではすごくたくさんいます。なので、「この人たちのために、私は自分が歌を歌えて、芝居が芝居をして、元気になってもらえている」っていう感覚が、もっともっと強く感じるようになったので、当たり前ではないっていうことも含めて、この期間、感じたことと、自分がやってきたことは、大切にしたいと思っています。

自分的には多分、元の世界に戻るってことはないと思うので、ここで感じたものを、これからどうエンタメに繋げていくのか、もっとたくさんの方に幸せをエンタメで届けられるか、自分だったらどんな方法があるのかということを、もっと考えてもっと協力者を募ってやっていくのが次のステップかなと思っています。

-やっぱりいろんなところ、特にエンタメ分野がダメージを受けて、みんなが寄り添ったり、助け合うことが、今回、コロナ禍における大事な部分かなと思いました。
この作品も舞台・アニメ、そして映画というジャンルで、先ほども舞台のファンの方が映画の上映会上にいらした話がありましたが、それぞれの良さを新たに感じて、応援する人たちの層が広がってくれればいいなと思いました。

世界の始まりはいつも君と

■監督、キャストからのメッセージ

-それでは、来年の映画公開に向けて、作品の紹介とお客様へのメッセージをお願いします。

栗生みな
この機会を、この映画を、まず、名前から知ってくださり、興味を持ってくださった皆さん、それぞれどんなきっかけはわかりませんが、感謝しています。
皆さんが観ていただけているとき、作品の内容や、どこが好きといった部分は、人によって違うと思います。
この作品を見て、好きになってくれる人ってとても多いと私は勝手に思っています。映画っていろんなものを自分を通して観るので、今回の映画は、自分の世界を投影しながら観るというか、さきほど監督がおっしゃったみたいに、「自分の世界と、ここがリンクするな」といったところがたくさんあると思います。
この映画の誰かに共感するもよし、世界観に共感するもよし、そういったところを見て、寄り添える映画になったらいいなと思っています。
なので、観てくださって、好きだなって思ってくださった方は、大切な方にまたその映画をすすめてくださったら嬉しいななんて思っています。それで、1人ひとり増えていったら広がっていくと思っているので、もし好きになってくれたら、大切な人に広めてくださると嬉しいです。ありがとうございます。

根矢涼香
私はこの映画は、1回じゃ味わいきれないと思っています。
多分1回観て、「なんじゃこりゃ!?」って、ぽーっとしちゃうと思うんです。
そのボーっとする正体がわからなかったらもう1回。もう1回観て分からなかったら、もう一回。三回、四回と観れば観るほど、はまっていくと思うんです。
以前、私は舞台でこの作品を観ていて、何年経った後でもずっと残っています。それが映画になるってどういう風になるだろうと思いました。展開がわかっている私たちでも、楽しめちゃう作品ってすごく珍しいなって思っています。
なぜこの話が長い間、いろんな人たちに愛されて演じ続けられているんだろうって答えがここにあるので、『観に来いや!』なんて偉そうなことは言えませんが、よろしくお願いします。漫才の部分はお手柔らかに観てください(笑)

手島実優
私は、磯部さんの作品には、前にも出演させていただいて、撮る作風がすごく好みで好きです。磯部さんは私のイメージだと、渋いんですよね。「その良さ、渋~」みたいな。
渋い良さがあると個人的に思っているんです。
原作自体は、こう表現してしまうと安っぽくなりがちですけど、すごくいい意味でエモいと思うんです。“エモい”と“渋い”って、共存させることがなかなか難しいと思います。

根矢涼香
エモシブだね。

手島実優
でも、確かにエモいし、確かに渋いんですよ。
磯部さんが演出する“渋い”良さみたいなものがちゃんとノっていると思うので、
私はそれが一番いいなって感じるんですよ。どっちに振り切ることもなく、磯部さんが撮った『アリスインデッドリースクール』という原作の映画になっていると思うので、エモさの中にある渋さみたいなものが、私はこの映画の醍醐味だと思っています。
この言っている意味がもし観た方に理解してもらえたらすごい嬉しいし、「一緒に話しましょう」って思います(笑)

世界の始まりはいつも君と

磯部鉄平監督
自分が今回の作品のようなものをやるとしたら、どうやったら面白くなるんかなっていうのをめっちゃ考えていました。これまでと全然ちゃうから、でも“そこでマジで生きてる”みたいに見えないとやばいと思っていたんですよ。
なので、“この女子高生たちは本当にここで生きているんだ”みたいに見えたらいけるんじゃないのかと思いました。
そういう考えがあって、「合宿がいい」って言ったし、現場が陸の孤島みたいところだったじゃないですか。逃げられないというか、ここでみんなで生活して撮影しようって。

根矢涼香
確かに、学校かスーパーしかなかったですものね。

磯部鉄平監督
出演者に関しては、オーディションもやったしオファーもしたけど、ほんまに自分の好きな人だけにしてもらえたので、プロデューサーの皆さまには本当にありがとうございますって言いたいです。
無理を言って、自分が「この人で!」と思う人たちだけにしてもらったんで、「その人たちで1ヶ月以上生活していけたら・生きていけたら、よくなるんじゃないのか」と考えていたので、それが出たんじゃないのかなって思っています。
そういうとこですかね。
漫才は一生懸命やればいいんです(笑)

手島実優
はい!

根矢涼香
満身創痍で頑張ったがんばった!

世界の始まりはいつも君と

(記事、写真:ichigen kaneda)

▼関連記事


■ 映画『世界の始まりはいつも君と』作品概要

▼STORY
繋がるはずのない世界が繋がっていると気づいた時、
正体不明の「何か」がやってくる…。
文化祭の準備に余念のない高校2年生の漫才コンビ、ユウ(演・手島実優)とノブ(演・根矢涼香)。彼女たちをはじめ、愛心学園の誰もが変わらない日々を過ごし、今を生きていた。しかし、科学部の氷鏡(ヒカミ)と映画部の依鳴(イナリ)だけは、その異変に気づいていた。

監督:磯部鉄平
出演:手島実優、根矢涼香、栗生みな、工藤綾乃、倉嶋かれん、辻凪子、村田奈津樹
配給:MIRAI
2022年 / 日本 / 125分
https://www.skipcity-dcf.jp/films/op.html

個別カテゴリの最新記事